サンサーラ速報❗️

【衝撃】クズの俺に、女「授かった」俺『』→数年後、リリ~ン!「※ちゃんのお父さんですか?保育園です」→園に迎えにいくと、息子「ポカーン」俺『』→結果・・・・・・

※前後篇の前編です

1: 名も無き被検体774号+ 2014/07/12(土) 22:06:38.61 ID:VDHLhdgMO
してい?
 
2: 名も無き被検体774号+ 2014/07/12(土) 22:06:57.96 ID:nLn5RayDi
はよ

6: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:11:58.39 ID:VDHLhdgMO
ありがとう。 
学がないので文才はないのであしからず。 

色々あったので、整理するつもりで書いていく。

 
9: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:13:46.23 ID:VDHLhdgMO
俺はどうしようもないクズだった。 

中学卒業して進学もせず働きもせず、
地元のやつらとつるんでは悪いことばっかりしてた。 

16の夏強盗と傷害で少刑に入った。 
出所後、生き方を変えようと決意したけど、
人間関係がうまくいかず職場を転々として挫折。

11: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:14:57.64 ID:VDHLhdgMO
結局それからも悪いことばっかしてたんだよ。 
何してたかとかは端折る。御想像におまかせするわ。 

22歳になって、
街でナンパした女が妊娠して所帯持ちになってしまった。 
相手は24歳のキャバ嬢。 

嫁と子供ができても、俺は全然変われなかった。
いや変わらなかった。

13: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:18:06.80 ID:VDHLhdgMO
クラブに行っては女をナンパして、
どっかの宿で目が覚める。 
そのままツレん家行って時間潰し。 
夜になったらまたクラブって感じだった。 
嫁と子供が住んでるアパートには、
週に一回帰るかどうかって感じだ。 

どうでもよかった。何もかも。
俺の人生ド底辺だしもうやりたい放題だった。

14: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:19:37.14 ID:VDHLhdgMO
籍入れて最初は、
しょっちゅう嫁からメールや電話があったけど、
当然シカト。
呆れ果ててたんだろう。嫁からの連絡はなくなった。 

たまに家に帰れば喧嘩。 
「ちゃんと仕事してよ。
生活費だけでもいいから入れて。」 
「うるせー。
キャバクラで働いてた時の貯金があんだろーが。
指図すんな。」 
正直めんどくさかった。

15: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:23:44.29 ID:VDHLhdgMO
一応結婚してすぐはちゃんと働いてたんだ。 
契約だけどさ。 
工場部品の営業なんだけど、
全然契約がとれなくっていつも上司にどやされてた。

16: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:24:57.62 ID:VDHLhdgMO
無能だとか、中卒だから駄目だとか、
クズに無駄な給料払ってやる余裕はないって言われて、
まあ正論なんだけどな。 

ある日、会社の係長の財布がなくなったんだ。 
疑われたのが俺だ。 
いや、完全に犯人扱い。 
まあフラグがたってるよな。

18: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:27:01.30 ID:VDHLhdgMO
上司
「おい俺!お前え仕事は出来ねーのに、
泥棒はするんだな」 

いつも俺を目の敵にしていた上司が、因縁つけてきた。 


「いや、やってねーっすよ」 
上司
「おまえ以外に誰がやるんだよ。バカか?」 
書類で頭を叩かれた。 

すると女子社員が来て、 
「係長の財布見つかったそうです。 
お昼に定食屋さんに忘れてきたみたいで」

20: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:28:43.28 ID:VDHLhdgMO
上司
「そうなのw まあでもおまえが
疑われやすい見た目だから悪いんだよw」 
俺は上司を睨みつけた。 
上司
「何だその目は?反抗的だな? 
だから中卒は駄目なんだよ。
脳味噌入ってないんだろ?」 

ついに我慢出来ずに上司を叩いてしまった。 
会社からは事件にはしないがクビだと言われた。 
あたりまえだが。

22: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:30:30.07 ID:VDHLhdgMO
俺は嫁にクビになったことを言出せず、
毎日公園とかパチ屋の休憩所で時間を潰してた。 

俺が悪いんじゃない。
世の中が悪いんだって自分に言い聞かせて。 
な?クズだろ俺。 

結局給料が入らないから嫁にバレた。

21: 名も無き被検体774号+ 2014/07/12(土) 22:30:01.19 ID:nLn5RayDi
殴るんじゃなくて
パワハラで訴えればよかったのに
 
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23: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:34:03.64 ID:VDHLhdgMO
>>21 
そうだよな。 
まあ随分昔だし、
社会経験の少ない俺はそんなことすら考えつかなかったよw 

続き 
で元に戻るけど、 
嫁と顔を合わせば喧嘩ばかりで、イライラする。
自分の居場所なんてなかった。
家に帰る意味なんかあんの?そう思ってた。 
そんな時、息子の寝顔を見ると癒されてたんだ。 

それと同時に、自分が惨めになるんだ。 
最悪最低の父親だって。

 

24: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:36:42.66 ID:VDHLhdgMO
でも今更自分を変えられない。
自分を受け入れてくれる世界なんてない。 
とうとう俺は家に帰らなくなった。 
俺は本当にクズなんだ。 

親を早くから亡くしたせいか。 
唯一肉親の息子のことだけは気になっていた。

 

26: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:42:53.08 ID:VDHLhdgMO
クラブでナンパした女の家に転がり込んで、
嫁からの連絡はシカトし続けた。 

そんなある日、 
知らない番号から電話がかかってきた。

 

27: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:44:04.81 ID:VDHLhdgMO

「はい?どちらさん?」 

「○○保育園の佐々木と申します。 
ハルちゃんの担任の。」 

言ってなかったけど、ハルは俺の息子の名前だ。 


「え?保育園?」 
佐々木
「はいそうです」 

知らなかった。ハルが保育園に行ってたなんて。

 

28: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:45:08.05 ID:VDHLhdgMO

「保育園が何で俺に電話してくんの?」 
佐々木
「あのー、
ハルちゃんのお父さんで間違いありませんよね?」 

「あー…はい。で何で俺に連絡してくんの?」 
佐々木
「いつもお母さんがお迎えに来られるんですが、
今日はまだ来られないんです。」

 

29: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:47:08.47 ID:VDHLhdgMO
俺「はい。。。 で?」 

佐々木
「延長の場合は事前に連絡をもらうようになってまして。 
本日はお母さんからまだ連絡はありません。 
園も8時には閉めますので、
どうかお父さん迎えにきて頂けますか?」 

嫁には何度も連絡したらしい。 
で繋がらないから、
緊急連絡先の俺に連絡があったわけだ。

 

31: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:48:15.19 ID:VDHLhdgMO
渋々だが迎えにいくことにした。 

なんて無責任で親の自覚がねーなんて
思われても仕方がない。 
読んでて不快な気分になった方は許してくれ。 
そして続けさせてもらう。

 

34: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:50:54.35 ID:VDHLhdgMO
教えてもらった保育園の場所に着いた。 
門の前には電話をくれた佐々木先生と、
息子のハルが手を繋いで立っていた。 

佐々木
「ハルちゃんのお父さんですか?」 

「あっ…はい、そうです」 
佐々木
「初めましてw佐々木と申します。 
ハルちゃん泣かずにお利口に待ってましたよーw」
 
ニコッと微笑む佐々木先生をチラ見し、
久しぶりに会う息子の顔を覗きこんだ。

 

35: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:52:53.09 ID:VDHLhdgMO
ポカーンと口を開けて俺を見上げていた。 
まあ誰だけ分かってないのかもしれん。 

佐々木
「帰ったら沢山誉めてあげて下さいねw 
ほらハルちゃんパパだよw」 
ハル
「‥‥」 
佐々木
「きっといつもお母さんが迎えに来てるから
恥ずかしがってるんですよw」 
と言いハルの手を俺に預けた。

 

36: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 22:54:21.16 ID:VDHLhdgMO
佐々木
「お母さんと連絡とれました?」 

「あの、いや。」 

佐々木
「そうですか? 
お母さんの職場に連絡したら
4時で帰ったって言ってたんで、
きっとお家にいますよw」 

俺「はー。。。 
あの、迎えにくるの遅くなってすみませんでした。」 

佐々木
「いいえw 
良かったねハルちゃん、
パパ迎えにきてくれてw 
バイバーイ」 
そう言って先生は園内に戻った。 

ハルを見ると、
まだポカーンと口を開けたままだ。

 
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37: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:00:09.70 ID:VDHLhdgMO

「はー。だりーな」 
溜め息をつき、頭をボリボリかいた。 

俺「なーハル?帰るか?」 
ハルは何も言わなかった。 
いきなり知らない人が来たんだ。無理もない話。
何しろ半年ぶりの再会なんだからな。
分かるはずもない。 

俺はハルの手を引っ張り、嫁のアパートまで行った。 
久しぶりの帰宅。 
綺麗に片付いた部屋にはサリナ(嫁)の姿はなかった。

 

38: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:01:22.62 ID:VDHLhdgMO
帰るなりハルは冷蔵庫に一直線。 
冷蔵庫を開けて俺を見た。 
俺「何?」 
ハルは俺の元に戻って手を引っ張った。 
冷蔵庫まで連れてくると、
パックのジュースに俺の手を誘導する。 


「喉乾いた?」 
ハル
「ちめたいー。ちめたいーの」 
と言って俺の手を引っ張る。

 

40: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:02:19.68 ID:VDHLhdgMO
どうやら喉が乾いたようだ。 
俺はパックのジュースをコップに注いで、
ハルに渡した。 

ハルは一気にジュースを飲み干すと、
また俺の手を冷蔵庫の中に誘導した。 


「何?今ジュース飲んだろ?」 
ハル
「ビャアアアンー。うえーんっ」 
急に大声で泣き出す。

 

41: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:05:06.26 ID:VDHLhdgMO

「はあ?何だよ?いきなり泣くな。」 
泣き続けるハル。 
うるさいので抱きかかえてヨシヨシしてみる。 
とりあえず泣き止まさないと近所迷惑だ。 


「ほらほら。どうした?泣くなよー」 
ハル
「ウギャーー」 
いっそう声のボリュームが上がる。 
駄目だわこれわ。

 

44: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:07:39.28 ID:VDHLhdgMO
俺「うるせー。 
びーびー泣くな。」 
怒鳴る俺にビックリしたのか、急に泣き止んだ。 
少し震えている。 
なんだか悪い事した気分だ。

 

46: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:09:19.56 ID:VDHLhdgMO

「落ちつけ。何が言いたいんだよ。
泣いてもわかんねーだろ」 
ハル
「ヒクッ、、ヒクッ、、マンマー、、ヒクッ」 
どうやらお腹が減っているようだ。 

俺「落ちつけ。何が言いたいんだよ。泣いてもわかんねーだろ」 

少し震えながら、冷蔵庫を指差した。 
ハル「ヒクッ、、ヒクッ、、マンマー、、ヒクッ」 
どうやらお腹が減っているようだ。

 

49: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:15:24.47 ID:VDHLhdgMO
冷蔵庫の中を覗いたが、
すぐに食べれるような物はない。 
もちろん料理なんてしたことないし、
作れるはずもない。 

あれこれ荒らしまくって、
ようやく食器棚の中にカップラーメンを見つけた。 

カップラーメンに湯を注いでハルの前に出した。

 

50: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:18:06.29 ID:VDHLhdgMO
ハル「キャッ、キャッ」 
少しはしゃいで飛び跳ねるハル。
やっぱり腹が減ってたようだ。 
俺「さー食え。」 
そう言うとハルはまた俺の手を掴んで、
箸をを掴ませた。 
どうやら食わせろってことなんだろう。
 
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51: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:20:21.01 ID:VDHLhdgMO

「はいはい。じゃあ食わしてやりますよ」 
そう言ってラーメンをハルの口もとに持っていった。 

ハル
「ぎゃあああー」 
泣き出すハル。 
熱かったみたいだ。 
仕方なくふーふーして食わしてあげた。 
ハル「んまー。んまー。」 

人の苦労も知らず、無邪気に喜ぶハル。 

俺「母ちゃん帰ってくるまでの辛抱か。。。」 
独り言を言いながら、携帯でサリナに電話をした。 
ずっと電源を切っているようだ。

 

52: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:21:38.19 ID:VDHLhdgMO

「くそが。どうせ男の家でも行ってんだろーが。 
子供ほっぽらかしてんじゃねー」 
まあ俺が良く言えたもんだって話しだけど。 

ハル
「マンマー。マンマー。」 
食べ終えたのにまただ。 

「はあ?今食ったろ? ふざけんな」

 

53: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:22:42.72 ID:VDHLhdgMO
ハル
「マンマー。マンマー。。。うえーんっ」 
また泣き出した。 
仕方がないとりあえずなだめるか。 
俺は抱きかかえて身体を揺らした。 

どれくらい時間がたったろう。 
ようやくハルは目を閉じて、
深い眠りについた。

 

55: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:23:49.90 ID:VDHLhdgMO
疲れた。 
非常に疲れた。 
くそー。何で俺がこんな目に。 

そう思いながら、
冷蔵庫からビールを取り出し、一気に飲み干した。 

「ぷはーっ、うんめー」 
一息ついて家を見渡した。 
出ていって半年になる。 
あの時のまま何も変わらない部屋。

 

56: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:26:33.63 ID:VDHLhdgMO
ハルとサリナが笑顔で写る写真が、
テレビの横に飾ってあった。 
布団でスヤスヤ眠るハルの寝顔を見つめた。 
少し成長した。 
顔も前より大人になった。サリナに良く似てる。 
そう言えばハルの声初めて聞いたな。 
会話は出来ないけどな。 

半年前は、って言っても殆ど家に帰ってないけど、
泣いてる声しか聞いたことなかったな。

 

58: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:31:17.81 ID:VDHLhdgMO
それが、ハルと俺の最初の1日だった。 

とりあえず父親何て俺には無理だと思った。 
すぐにサリナは帰ってくるだろうし、
帰ってきたらまた出ていけばいい。 
いっそのこと離婚しとくかなんて考えてた。

 

59: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:34:07.95 ID:VDHLhdgMO
身体にどしっと強い衝撃と共に目が覚めた。 
どうやらいつの間にか寝ていたみたいだ。 
ハルが俺のお腹に跨がり笑顔で冷蔵庫を指差した。 

ハル
「ちめたい。ちめたい」 

「ん?」 
ハル
「ジューチュ。ジューチュ」

 
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60: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:35:42.37 ID:VDHLhdgMO

「ジュース?はいはい」 
冷蔵庫からカルピスを出してハルに飲ませた。 
時計を見ると11時。 
うわっ昼じゃん。 
携帯を見ると着歴が3件に留守歴が一件。
どれも昨日かかってきた保育園からだ。 
サリナに電話したが、やはり電源を切っている。

 

62: 名も無き被検体774号+ 2014/07/12(土) 23:37:21.50 ID:d4Ho8sPC0
中卒のくせにいい文してんじゃねーか。

 

63: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:37:23.66 ID:VDHLhdgMO
プルルルルッ。 
不意の電話に驚いた。保育園からだ。 


「はい?」 
佐々木
「○○保育園の佐々木です。 あのーお母さんは?」 

「あの、、、」 
少し考えた。 
帰ってきてないなんて言えるはずもなく。 


「あの。突然なんですが、実家に帰省しました。
母親が入院したらしくて」 
とりあえず嘘をつく俺。

 

64: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:38:33.83 ID:VDHLhdgMO
佐々木
「そうですか? 
お父さんは連絡ついてるんですね?良かったw 
じゃあお父さんもハルちゃんも一緒に実家に?」 


「いや、あの、妻だけ帰りました。」 
佐々木
「そうなんですねw 
ハルちゃんは今日はお休みですか?」 

「いや、あの。。。」

 

65: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:39:51.94 ID:VDHLhdgMO
急いで着替えさせ、
抱きかかえて家を出て走った。 


「すいません」 
佐々木
「いいえw 出来れば休むにしろ、
遅刻にしろ前もって連絡下さいねw」 

「はい。」 

結局保育園に連れてきたのだ。 
佐々木
「お迎えは5時なので、ちゃんと迎えに来て下さいw」

 

66: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:41:35.77 ID:VDHLhdgMO
俺「はい」 
そう言って保育園を後にした。 

ふざけんな。 
冗談じゃない俺が迎えに行くわけねーだろ。 
何が何でもサリナを見つけ出してやる。 
そう考えながら、
まずはサリナの職場に連絡した。 
地元のスーパーでレジのパートをしていると
保育園で聞いた。

 

68: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:47:59.73 ID:VDHLhdgMO
どうやら職場にはいないみたいだ。 
店長
「いや今日はお休みで朝電話がありましたよ。」 

「次いつ来ます?」 
店長
「さー。当分休むって連絡あったからねー。」 
そう言われ知り合い何人かにも連絡を入れてみた。

 

69: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:49:15.70 ID:VDHLhdgMO
サリナのキャバクラ時代のツレや、地元のツレ。 
結局誰もサリナの近況すら知らなかった。 

後はサリナの実家しかない。 
でも、ここだけは連絡したくなかった。 
だけど背に腹は変えられない。 
仕方なく電話した。

 

70: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:52:01.53 ID:VDHLhdgMO
サリナ母
「ハルト君? サリナ知らないわよ。 どうして?」 

「連絡つかなくって困ってて」 

サリナ母
「えー? あんた甲斐性なしだからよ。出てって当然。 
ハルちゃんは? ハルちゃんはどうしてるの?
ハルちゃんはサリナと一緒なの?」 

サリナの母親は当然のごとく俺を良く思っていない。 
どうやら知らないようだ。 
何か話しているようだが、途中で電話を切った。

 

71: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:54:06.25 ID:VDHLhdgMO
ようやく理解した。 
あいつはもう戻ってこないのだと。 
しかし何て薄情なやつだ。
息子を捨てて消えるなんて。 
俺がそんなこと
言えたもんじゃないことは重々承知だが。 

結局ハルは俺が迎えに行った。 
またアパートに帰り。
スーパーで買ったオムライスを食わせ寝かせた。

 
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72: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:55:58.98 ID:VDHLhdgMO
今日はあまり泣かなかったが、疲れた。 
子育てって大変だなって、
たかが1日2日で思ったんだ。 
世の中の主婦をすごく尊敬するよ。 

全然会話も出来ない息子。 
これからどうすればいいのだろう。 
いきなり取り残され、いきなり父親になる。 
本当に大丈夫なんだろうか? 
ハルの寝顔を見た。 
寝る前に少し泣いていたから、
涙の後が頬に残っている。

 

76: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/12(土) 23:59:05.88 ID:VDHLhdgMO
無理もない。 
いつも一緒だった母親がいないんだ。 
寂しいだろーな。 

サリナがどんな気持ちで出ていったのか、
その時の俺は知る由もなかった。 

そっとハルの体に布団を掛ける。 
ハルが生まれてすぐ、
ハルは集中治療室に入った。 
ミルクを飲まず、血便が出たからだ。 
その弱々しい小さな体を見つめ。 
石ころのような、小さな手を握り 
俺「俺が守ってやるからな」 

寝ているハルの手を優しく握り、
そう誓ったのを思い出した。

 

79: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 00:05:19.47 ID:7FyMgNZmO
どうしようもないクズでバカげてるけど、
こんな情けない男でも父親なんだ。 

ハルの寝顔があまりにも可愛いく思えた。 
こいつには今俺しかいないんだ。 
俺が守ってあげないと。 

出来ないかもしれない。
いや出来ないじゃない。
やるしかないんだ。父親を。 

俺にも父親がいた。
自慢できるような父親じゃなかったけど。
でも俺を育ててくれたんだよな。 
今でもそんな父親の背中を覚えている。 

その日から、俺とハルの二人三脚の生活が始まった。

 

80: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 00:06:27.64 ID:gXc6hoQN0
はじまっちゃまずいのがはじまちゃった。

 

82: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 00:08:15.45 ID:7FyMgNZmO
色々レスありがとう。 
出来る限りは返事するけど、スルーは許してくれ。 
ちなみにリアル中卒だ。 

書きため分はまた後で投下します。

 

85: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 00:15:07.89 ID:GnP5A1m+0
すごい憎い内容なんだけど、なんだろう憎めない

 

91: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:24:51.91 ID:7FyMgNZmO
遅くなった。 
映画見てたんだ。返却が明日までだから。 

続きです。 
朝の日差しで目を覚ますと、
横ではハルがぐっすり眠っている。 
とりあえず父親になると決めた。 

まずは保育園に行って佐々木先生に、
サリナが出ていったことを話そう。 
それから仕事を探さないと。
俺一人なら食っていけるけど、
今はハルを育てなきゃいけないんだ。 

サリナがいつ戻ってくるのか?
もう戻ってこないかもしれない。
誰かをあてにすることなんでできないんだ。

 
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92: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:25:54.58 ID:7FyMgNZmO
担任の佐々木先生には、
サリナが家を出たことを告げた。 

佐々木
「これから大変でしょうけど、 
私たち園も出来る限りハルちゃんの力になります。」 
と言われ少し安心した。 

その足で職安に行くことにした。

 

93: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:27:01.15 ID:7FyMgNZmO
職員
「松井さん(俺の名字仮です)。
正直難しいですよ。今不景気ですしね。
職歴も殆どないですし、学歴も中学卒業じゃね。 
資格もないと言うことですし… 
それに子供を一人で育ててる訳でしょ?
会社の負担になりかねませんよ。」 


「お願いします。どんな仕事でもするんで。」 

正直仕事をしないとやばい。 
手持ちも殆どなく、
明日にもハルを食わせられなくなるかもしれないからだ。

 

94: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:27:59.97 ID:7FyMgNZmO
結局その日は登録のみで、
紹介すらしてもらえなかった。 

とりあえず携帯やら、
求人のフリーペーパーでバイトを探してみる。 

アパートから近目の場所に手あたり次第電話をした。 
あっさり面接を4件こぎつけた。
楽勝じゃん。でもそう簡単ではなかった。

 

95: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:30:53.99 ID:7FyMgNZmO
店長
「どうしてうちで働こうと思ったの?」 
某有名フランチャイズレストランに面接に来た。 

「いや、とりあえず金がほしくて。」 

この時の俺は、
本当に社会人としてのスキルが皆無だったんだよ。 

店長
「履歴書君が書いたの?」 

「そうですけど…」 
店長
「漢字間違ってるし、字下手だね?w 
それに君、職歴が空欄だけど仕事したことないの?」

 

96: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:31:56.39 ID:7FyMgNZmO

「したことないわけじゃないんすけど、 
最近はずっとプーだったんで」 
店長
「ハハw ちょっとうちじゃ難しいかなw」 

こんな感じで断られた。 
まあこう言われる方がまだましだ。 
何も質問されず、後日連絡すると言われて
追い返される事の方が多かった。

 

98: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:34:00.65 ID:7FyMgNZmO
一週間がたったけど、まだ仕事は見つからなかった。 

ハルとの生活だけど、ハルは泣いてばかりだった。 
会話が出来ないから、
ハルとの意思疎通が出来ない。
だからイライラが募る。 
俺は怒鳴ってばっかりだ。 
ほとほと疲れた。 

仕事も見つからない。
お金ももう残っていない。 
頭を抱えるしかなかった。 
どうすればいいんだ。
これからちゃんとやっていけるのか。 

そんな不安に追い討ちをかけるように嵐はやってくる。

 

99: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 03:37:35.13 ID:icL6J1Rui
この段階で子供を殺す親も多いんだよな

 

100: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:37:49.25 ID:7FyMgNZmO
ピンポーン。 
チャイムが鳴った。 
こんな朝早くに何だ。 
時間はまだ7時前。 
またチャイムが鳴る。 
ドンドンッドンドンッ。 
激しく玄関を叩いている。 

その音にハルが反応して目を覚ました。 
ハル「あーーんっ」 
うるせーなっと思いながら、
泣くハルを抱きかかえて玄関を開けた。

 

102: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:39:02.21 ID:7FyMgNZmO
「松井さん? 大家ですけど。」 
ぽっちゃりしたキツい目をしたおばちゃんが、
ズカズカと家の中に入ってきた。 


「朝っぱらから何なんすか?」 
大家
「何度も電話したのにでないからよ。 
わざわざこっちが来てやったわよ。 
奥さんはいないの?」 

鼻息を荒くし、強い口調で話す大家さん。 
大家さんが言うには、
3ヵ月家賃を滞納しているらしい。

 
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103: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:42:35.79 ID:7FyMgNZmO
大家
「どうなってんのよ? 
今月まとめて払えなかったら、
出ていくように言ってあったでしょ!」 

財布の中身は600円だったのを思い出した。 

「いや、すんません。俺知らなかって。 
何とかするんで一週間待ってもらえませんか?」

 

104: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:44:31.11 ID:7FyMgNZmO
大家
「駄目よ。賃貸契約の時点で、
2ヶ月滞納したら強制退去って書いてあったでしょうが。 
ただでさえもう1ヶ月待ってやってんだ。 
もう特別はなしだからね。」 


いや、行くあてなんてないんですよ。 
一週間。いや3日でいいんで待って下さいよ。」 

泣き叫ぶハルを抱えながら、必死に交渉した。 
だけど交渉虚しく、
解約にサインさせられ追い出されるはめになった。

 

105: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:45:47.52 ID:7FyMgNZmO
手持ちは600円。 
ハルの着替えを入れたリュックに、
サリナとハルの写真。 
後は全て家賃滞納分にあてると言うことで
置いていくことに。 

悲惨だ。 
父親になると決めたのにこんな事になるなんて。 
あー笑ってやってほしい。 
まさかのホームレス状態。家なき親子だ。 
救いようのないとはこのことだ。

 

106: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 03:48:43.82 ID:7FyMgNZmO
すまん。 
書き溜分はここまで。 
また続き書いていきます。 

見てくれてる人どうも。

 

110: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 04:05:34.97 ID:w2VXPPwk0
リアルならキツイ状況やな‥

 

111: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 04:35:51.80 ID:7WGGTDfE0
若い時の勉学は大事だよな

 

112: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:14:51.19 ID:7FyMgNZmO
いつもの時間に保育園にはハルを連れて行った。 


「今日もハルをよろしくお願いします」 
覇気のない声でお願いした。 
重い足取りで園を出ようとした。

 

113: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:20:45.86 ID:7FyMgNZmO
佐々木
「ハルちゃんのお父さん大丈夫ですか?」 
振り返ると佐々木先生が園内を掃除していた。 


「はぁ…まあ」 
佐々木
「今日は元気ないですね? 
お母さんとはまだ連絡とれませんか?」 

「はい…」 
まあ元気はいつもないんだが。 

やっぱこう言う仕事してる人って、
異変とかすぐ気付くんだな。

 

114: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:22:46.54 ID:7FyMgNZmO
佐々木
「元気だしてくださいw 
ハルちゃんにはお父さんしかいないんですよ。 
元気ない姿って子供はすぐ気付くから。 
特にこれからが成長期です。
お父さんの背中はちゃんと子供は見てますよ。 
何か悩み事があるなら相談して下さいw
お父さんの悩みはハルちゃんの悩みですよ。」 


「はい…」 

先生には家を追い出されたことを相談するか悩んだ。 
だけど他人にこんな話しされるなんて
あまりにも気の毒だ。

 

115: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:24:09.67 ID:7FyMgNZmO
黙って園を出て公園のベンチに腰を下ろした。 

俺「はあー」 
ため息しか出てこない。 
仕事を探すのに困難しているのに、
住むところまで探さなきゃならない。 
絶望的だ。

 
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116: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:25:27.76 ID:7FyMgNZmO
住み込みのバイトなんかも探しては見た。
でも子供連れじゃあ話しにならんだろ。 

時間だけが刻一刻と過ぎていく。 
直ぐにハルの迎えの時間はやってきた。

 

117: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:29:41.78 ID:7FyMgNZmO
ハルの手を引っ張りただただ街を徘徊する。 

そうだ、クラブでナンパした女の家に泊めてもらおう。 
1日くらい大丈夫だろ。
そんな軽い気持ちで向かってはみたものの。 


「はあ? 無理無理。 あんた子持ちなの?最低。」 

「頼むよ。 1日でいいからさ」 

「いやよ」 
「誰か来たのかー?」 

部屋の中から男の声がした。 

「分かったでしょ? さっさとどっか行ってよ」 

そんな感じで追い返されたんだ。

 

119: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:30:43.92 ID:7FyMgNZmO
まあこんなのあてにした俺がバカなんだけど。 
数人のツレにも電話したけどなんなく断られる。 

辺りはもう真っ暗だ。 
路頭に迷う俺とハル。 
世間が妙に冷たく感じた。 

ハルも疲れたのか。 
両手を俺に向け。 
ハル
「ダットー。ダットー。」 
と言う。

 

120: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:31:48.46 ID:7FyMgNZmO
とりあえず寝る場所を探さないと。 

俺はハルを抱っこし、
大きなリュックを背負った。 
ようやく繁華街にある
広場の階段に腰を下ろした。 
せめて明るい場所の方が、
ハルも落ち着けるだろうと思ったからだ。 

ただボーっと座っていたんだ。
正直今何も考えられない状況。

 

121: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:33:24.67 ID:7FyMgNZmO
「すいませんが、ここに座らないでもらえますか?」 
警備員服を来た初老の男に注意された。 
ここに座られては、
客が入らないと言うことらしい。 


「ここはおめーの土地か?」 
いつもならつかかって行くとこだが、
今そんな元気もない。 
俺は黙ってまた歩き出した。

 

122: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:34:55.92 ID:7FyMgNZmO
コンビニでお茶とおにぎりを買って、
朝来た公園までやって来た。 

ハルは俺から降りて喜んで走り回っていた。 
状況を理解できる年齢じゃないから当然だ。
公園に遊びに来たとでも思っているんだろう。
むしろそっちの方がありがたいか。
何も考えてない方が。

 

123: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:35:56.65 ID:7FyMgNZmO
遊び疲れたのか、
汗だくで少しグズったのでおにぎりを食べさせた。 
風呂に入れないので、
公園の蛇口で水を借りた。 

タオルで体を拭いてあげると、
冷たくて気持ちいいのかすごく嬉しそうだ。 

目を擦って眠たそうにしてる。 
俺はハルを抱っこして、
大きな滑り台の下が
トンネルみたいになっていたのでそこに入った。

 

124: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:44:35.72 ID:7FyMgNZmO
夏も終わりかけ、少し肌寒くなってきたな。 
月明かりがトンネルの中まで入ってきている。 

ハルを横向に抱え座り込む。 
ハルは俺を見つめ、
宇宙人みたいにわけの分からない言葉を話している。 
きっと俺に話しかけてるんだろう。

 

125: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 05:45:04.60 ID:k94fDNAni
市役所(区役所)いって相談しろよort
 
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126: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:46:03.32 ID:7FyMgNZmO
虚しくなる。 
寂しさも込み上げてきた。
何でだろうか?
こんな気持ちも、
きっとハルと会話が出来ればましだったんだろうか? 
俺は一人なんだと痛感する。 

そう思いながらハルの言葉に耳を傾けていた。

 

127: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:47:16.23 ID:7FyMgNZmO
ハル「パッパ?」 

え?聞き違いか? 

ハル「パッパ」 
今度は俺を指差して言った。 


「パパ? 今パパって言ったか? うんパパ。」 
急に何かが込み上げてきた。

 

128: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:49:55.26 ID:7FyMgNZmO
ハルはニッコリ微笑んで 
ハル「パッパーw」 

俺「うんうん。 パパ。パパだよw」 

俺のことを初めてパパって言ってくれたんだ。 
ハルをギュッと強く抱きしめた。 
苦しそうにしていたけど、そんなのお構いなしだ。 
俺の瞳からは溢れんばかりに涙がこぼれた。

 

129: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:51:10.82 ID:7FyMgNZmO

「ごめんなー。 本当ごめんなー。」 
俺は大泣きしながらハルに謝った。 
こんな情けない父親で。
こんなひもじい想いをさせてることに、
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 

いつぶりだろうか。
いや、こんなに泣いたのは初めてかもしれない。 
こんな気持ちになったのわ。 

俺は一人じゃなかったんだ。 
こんな俺でも父親と思ってくれてるんだな。
子供の笑顔ってすごいなって実感させられたよ。

 

130: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:55:03.88 ID:7FyMgNZmO
いつの間にかハルは眠っていけど、
俺は眠ることができなかった。 
眠れる場所じゃないからとかじゃない。 

自分の不甲斐なさと
今までの腐った自分を思い返してだ。 

佐々木先生の言葉が耳に残っていた。 

「ちゃんと子供はお父さんの背中を見てますよ」 

そうなんだ。 俺もそうだったし。 
ハルは俺の背中を見て育つんだ。 
もっとしかりしないとダメだ。

 

132: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:57:54.28 ID:7FyMgNZmO
この瞬間まで俺は、いつでも人の責任にしてきた。 
こうなったのは親のせい、学校のせい、大人のせい。 
今だってそうだ。
社会や世の中のせい、嫁のせい、いつだってそうなんだ。 
自分の否を認めず誰かれ構わず
他人に責任を押し付けてきた。 
全て自分の責任なのにな。
自分がこうしてしまったんだ。 

きっとサリナもそんな俺に愛想が尽きたんだな。

 

133: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/13(日) 05:58:55.96 ID:7FyMgNZmO
続きはまた夜にでも書きます。

 

134: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 06:03:20.06 ID:yRXBB3Xg0
楽しみにしてる

 

140: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 10:24:37.43 ID:Xu/i+Pf0i
片言でも話せるなら1歳半~2歳半ってとこだな 
1番しんどい時期は奥さんが育てたわけか 

よかったな、わがまま放題の>>1
その月齢の子供育てたら虐待で殺してるところだったぞ

 

145: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 13:22:04.51 ID:gv9F+3Ol0
ここからが正念場だな 
頑張れ。

 

151: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 14:38:47.75 ID:dsJZWg7Di
クズでも父親になれるんだな。 
羨ましい。

 

152: 名も無き被検体774号+ 2014/07/13(日) 14:59:40.15 ID:GnP5A1m+0
>>151
クズでも「頑張った」から父親になれたんだよ
 
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174: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 00:42:18.46 ID:cLHnL3TiO
すいまん。 
今から少し投下する。 

見てくれてる人結構いてくれてるんだな。 
頑張って書きます。 

続き 
外で朝をむかえたその日、
俺はハルを連れて隣町まで2時間かけて歩いていた。 
保育園には前もって連絡を入れ休ませた。 

唯一の頼りがそこにあったからだ。 
死んだ親父の姉貴に会いにいったんだ。
俺の叔母にあたる人。 
小さい頃の記憶だけが頼りだった。 
親父に2、3回連れてこられたことがある。

 

175: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 00:44:58.27 ID:cLHnL3TiO
町の雰囲気はガラッと変わっていたけど、
どうにかたどりついた。 
リフォームして新しく建て替えられていたけど、
表札を見てここで間違いないと思った。 

チャイムを鳴らすと、
四十歳過ぎのおばさんが出てきた。 
おばさん
「はい、どちらさまですか?」 


「あの…、カズエおばさん(親父の姉貴)はいてますか? 
俺っていいます。」 
おばさん
「えー、あっ、母さーん」 
どうやらカズエおばさんの娘のようだ。 

おばさんは俺とハルの全身を舐めるように見、
家の中に向かって叫んだ。 

おばさん
「ごめんなさいね。俺さんってどちらの俺さん。
母とはどういった関係?」 
無理もない不審者に見られてるんだろう。

 

176: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 00:47:23.98 ID:cLHnL3TiO
答えようとすると、 
「はいはい。どうしたの?お客さん?」 

ガリガリのおばあちゃんが中から出てきた。
この人がカズエおばさんなのか? 
正直顔まで覚えていないから分からない。
でもきっとこの人で間違いないだろう。

 

177: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 00:48:41.34 ID:cLHnL3TiO
おばさん
「俺さんって方よ。お母さん知り合い?」 
カズエ
「俺さん?」 
カズエおばさんは俺をジッと見つめた。 
カズエ
「もしかして、俺父の息子の俺ちゃん?」 

長い月日が経っていたが、
どうやら俺のことを覚えてくれていたらしい。 


「はい。。」 
目を潤ませながら俺に近づいてきた。 
大きくなったねと言われ再会を喜んでくれた。

 
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178: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 00:55:05.51 ID:cLHnL3TiO
俺とハルは家の中に通されお茶を出してもらった。 

ハルは広い家が初めてだったので、
すごく挙動不審だったのを覚えている。

 

179: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:02:02.52 ID:cLHnL3TiO
カズエ
「わざわざここまで会いにきてくれたの? 
ありがとうね。 よくこの家が分かったねw」 

カズエおばさんは俺が赤ちゃんの頃、
よくオムツを変えてあげたと言っていた。
子供の頃の俺や親父の話しを嬉しそうに語ってくれた。

 

180: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:03:40.44 ID:cLHnL3TiO
カズエ
「ところでいったいまた、どうしたの急に?」 

本題はここからだ、
今どうしても寝泊まりするところが欲しかった。 
ハルをずっと外で寝かすなんて出来ない。
 
迷惑は重々承知だけど、
仕事と住む場所が決まるまで
どうにか居候さしてもらえないかと頼んだ。 
勿論今日までの経緯を話してだ。

 

182: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:04:43.78 ID:cLHnL3TiO
カズエ
「そうか、うんうんそれは大変だったね。 
いいのよ。おばちゃんに甘えなさい。」 
目を真っ赤にし、
俺の話しを納得した上で優しく応えてくれた。 

少しホッとした。 
膝の上に座らせていたハルは、
どうやらオネムのようだ。 
コクリとコクリと眠りに入ろうとしている。

 

184: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:06:37.61 ID:cLHnL3TiO
 おばさん
「ちょっとお母さんいい?」 
リビングの扉を少し開けて手招きする娘。 
それに気づいて
カズエおばさんがリビングから出ていった。 

俺は出されたお茶を一気に飲み干した。

 

187: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:08:26.29 ID:cLHnL3TiO
おばさん
「お母さんどう言うことですか? 
あの子達を泊めるなんて勝手に決めないで下さい。 
うちには受験を控えた娘がいるんですよ。」 
隣の部屋から会話がまる聞こえだ。 

カズエおばさん
「せっかく頼って来てくれたんだよ。」 

おばさん
「駄目に決まってるでしょ。 
どこの誰かも分からないのに。」 

カズエおばさん
「他人じゃないの。 ヒロシ(息子さん)には
私からちゃんと話しておくから。」 

おばさん
「私には他人です。私は反対ですから。」

 

191: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:15:59.32 ID:cLHnL3TiO
激しく言い合いをしているようだ。 

俺は眠っているハルを抱きかかえ、
黙っておばさんの家を後にした。 

そりゃそうだよな。無理もない。 
いきなり見ず知らずの人間がきて泊めてくれなんて。 
他人にそんな優しくする義理なんてないよ。 

それに俺のせいで、
カズエおばさんに迷惑をかけるわけにはいかないしな。 
何故か悲しい気持ちや辛い気持ちにならなかった。 
だってさ、久しぶりに会ってハルを見て、
あんなにも喜んでくれたんだ。 
それだけで十分じゃないか? 

夕焼け空が真っ赤に染まる。 
ハルをおぶった自分の影お見ながら、
二時間かけてきた元の道をゆっくり帰った。

 

192: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:32:06.27 ID:cLHnL3TiO
また結局この公園に戻っててしまった。 

途中コンビニでおにぎりを一個買って、
それをハルに食べさせた。 
ハルも大分疲れていたみたいだ。 
すぐに眠ってしまった。 

財布の中身を見て憂鬱になる。 
本当の無一文だ。 
下を向き目を閉じて、
明日からどうするかを考えた。

 
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193: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 01:33:35.70 ID:cLHnL3TiO
ハルは保育園に連れていけばいいだろう。
給食とおやつが出るからな。 
とりあえず日雇いで働ければ、
温かいお風呂にも入れてやれる。
お腹一杯ご飯だって食べさせてやれるんだ。 
そんなことを考えながらウトウトしていた。 

「俺くん? 俺くんだね?」 
急に目の前が眩しくなる。 
懐中電灯で照らされているんだ。 

そこには眼鏡をかけた、
中年のおじさんが立っていた。

 

195: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:07:57.43 ID:cLHnL3TiO
おじさん
「母さんからこの辺りの公園だって聞いたんだ。 
だいぶ探したよ。 
こんな所で寝たら駄目だ。小さい子供がいるんだから。 
とりあえずうちにおいで」 

すぐにカズエおばさんの息子の
ヒロシおじさんだと分かった。

 

196: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:08:58.70 ID:cLHnL3TiO
俺「いや、でも…」 

おじさん
「いいからおいで。母さんも心配して待ってるんだよ」 


「すんません。迷惑かけます…」 
俺とハルを車に乗せてくれ、
家まで連れて行ってくれた。 

途中車の中で、 
妻のことは気にするな。
娘が受験前で気がったっているんだ。と
わざわざ気を使ってくれた。

 

198: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:09:57.34 ID:cLHnL3TiO
おばさんの家につくともう深夜1時前だった。 

カズエおばさん
「追い返したりしてごめんね。本当にごめんね。」 
と泣きながら謝るおばさんに、
申し訳ないことをしたと思った。 

ヨシノおばさん(カズエおばさんの娘)に
「お世話になります」とだけ言ったけどシカトされた。 
心良く思っていないのは分かっていたことだ。

 

199: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:11:35.15 ID:cLHnL3TiO
久しぶりの温かい風呂に、
ハルは大はしゃぎだった。 
新しい布団が気持ち良かったんだろう。
すぐにハルは眠ってしまった。 

ヒロシおじさんが、
また明日ゆっくり話そうと言って
二階の寝室に上がっていった。 

俺が眠りにつこうとすると、
カズエおばさんにリビングに来るように言われた。

 

200: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:12:48.90 ID:cLHnL3TiO
カズエおばさん
「残り物しかないけどお食べ」 

テーブルに、
大きなおにぎり2つとお味噌汁が置いてあった。 

俺は黙って座りそれを口にした。 
急に胸が締め付けられる。 


「うまい…」 
カズエおばさん
「良かったw」

 

201: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:15:18.96 ID:cLHnL3TiO
俺はおにぎりにガッツいた。 
また泣いてしまったんだよ。 
泣きながらおにぎりを頬張った。 

口いっぱいに詰め込んで。 
俺「おばふぁん…エグッ 
あじがと(ありがとう)エグッ…」 

カズエおばさんの優しさがすごく辛かった。 
こんな俺なんかにここまでしてくれて、
すごく感謝したんだ。 
人の優しさに感謝したのは初めてかもしれない。

 

202: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:16:50.24 ID:cLHnL3TiO
そう言えばこの何日間、
殆ど何も口にしていなかったな。 
だからかもしれないけど、
今まで食べたおにぎりで一番うまかったと思う。 
今でも、忘れることはない。 

俺って結構泣き虫なんだなw 
そう思った。 

カズエおばさんは、
黙ったまま笑顔で俺が食べているのを見てた。

 
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203: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 02:18:13.13 ID:cLHnL3TiO
すまん。 
明日は仕事早いのでもう寝ます。 

見てくれてる人申し訳ない。

 

206: 名も無き被検体774号+ 2014/07/14(月) 02:33:24.85 ID:Pxe4EwVLO
ありがとう 
続き待ってます

 

213: 名も無き被検体774号+ 2014/07/14(月) 03:31:07.71 ID:q0thH6390
子供嫌いな俺でも
結婚して子供出来たら可愛いと思えるのかな……

 

218: 名も無き被検体774号+ 2014/07/14(月) 06:49:56.50 ID:+j6uL5jx0
俺もこんなクズにならないように
今のうちに頑張らないとね

 

223: 名も無き被検体774号+ 2014/07/14(月) 13:28:25.39 ID:VUZXGaAB0
読みやすいし面白いんだが1つ質問が 
オムツってどうしてたんだ?
1歳半~2歳ぐらいで保育園に預けてる子なら
オムツ離れさせてるのは考えられるけど
その頃はしょっちゅう漏らす特にうんこ 

今まで子育てに一切参加してなかった男が
対処できるとは思えない
服だって汚れまくるだろうしやはり創作だな 
まぁ面白いから続き待ってます

 

224: 名も無き被検体774号+ 2014/07/14(月) 15:23:18.96 ID:BxF4LsXw0
>>223 
うちは、オムツ外してから一切漏らさなかったぞ 
みんながみんなオムツが必要ってわけじゃないだろ 
自分ちの子がそうだからって、
人んちの子も同じだと思うなよ

 

226: 名も無き被検体774号+ 2014/07/14(月) 16:08:06.98 ID:dUEmvImN0
自分は3~4歳を想像してるが? 
言葉がたどたどしいのにも訳がありそう 

とりあえず質問には答えなくて良いよ 
先が気になる

 
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247: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:31:26.94 ID:cLHnL3TiO
すまん。 
仕事でようやく帰宅できた。 

今から休憩中に書いた分は投下します。 

後、いろんな意見や指摘ありがとう。 
他にも細かい疑問とかあるだろうけど、
結構端折るし忘れてることもあります。
これから書いて行くこともあるから
スルーしててくれると助かる。 

ちなみにこの時はオムツはまだ取れてないんだ。 
保育園では貸し出しの紙オムツ使ってたし、
常備布オムツだったからループ使用してた。 
生まれてすぐはしょっちゅう変えてたか
らうまいもんだったよ。

 

249: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:33:05.90 ID:cLHnL3TiO
続き 
次の日朝早く起きて、ヨシノさんに
何か手伝いすることがあれば何でもすると言った。 

が、空気のように無視された。 
俺は玄関前やら家の中を勝手に掃除した。 
居候の身だし、 
何もしないわけにもいかないしな。

 

250: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:35:43.03 ID:cLHnL3TiO
目を覚ましたのか、ハルの泣き声が聞こえる。 

保育園に連絡して、 
理由は言わずに当分休むとだけ伝えた。 
ハルはカズエおばさんが見てくれると言うので、
頼んで家を出た。 
現場作業の面接があったからだ。 

おばさんは落ち着くまでは家にいていいと言ったけど、
そう言うわけにもいかない。

 

252: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:36:56.87 ID:cLHnL3TiO
これ以上迷惑をかけれなかったし、
何よりハルを育てる環境を少しでも良くしたかった。 
早く住む家を探す必要があったけど、
まずは仕事が優先だと考えたんだ。

 

253: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:39:36.88 ID:cLHnL3TiO
社長
「現場仕事は初めてか? 
かなりきつい仕事だけど大丈夫か?」 

建設会社の社長が、
履歴書をサッと目だけ通して机に置いた。 


「いいよ。うちで働いてみな」 


「えっ、大丈夫なんすか? 
俺職歴も学歴もないっすよ」

 

254: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:41:48.56 ID:cLHnL3TiO
社長
「ハハw うちはそんなの関係ねーよw 
やる気があればそれで十分だw」 

どうせ無理だと思っていたのに、
あっさり雇ってくれた。 
住所不定で職歴のない俺をだ。 
ちょっと拍子抜けする俺。 


「あ、あ、ありがとうございます。 頑張ります」 
社長
「おう。いつから働ける? なんなら今から働くか?」 

「是非。お願いします。」 

この社長、本当に優しかった。人当たりもいいし。 
めちゃくちゃ嬉しかった。
久しぶりの労働で少し不安もあったけど。 
でも頑張ろうって思ったんだ。

 
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256: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:46:59.73 ID:cLHnL3TiO
社長の古い作業服を借り、
トラックで作業現場まで連れて行ってもらった。 
作業員みんなが集められ、簡単な紹介で作業が始まる。 
重機で解体した廃材を指定の位置に置き仕分ける。
それを運んでトラックに積むと言う作業だ。 

肉体労働は始めてで、
つってもまともに働くのも久しぶりなんだけど
とにかくきつかった。 
体中汗でびっしょり、廃材を持つ腕が痺れる。 
それでも一生懸命作業した。

 

259: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:49:10.22 ID:cLHnL3TiO
みんな強面だったけど、優しく仕事を教えてくれた。 
今まで働いていた職場とは全然雰囲気が違い驚いた。 
みんな楽しそうに仕事してんだよな。 

現場監督
「おい新人!休憩するぞー。」 
そう言ってミネラルウォーターを渡された。 
キンキンに冷えてる。 
喉を潤わす為一気にそれを飲み干した。 
めちゃくちゃうまかった。 
体中に染み渡るのが分かる。 

ちょっと前まで汗を流して働くことなんて
考えられなかった俺。 
こんなに水がうまいと感じたことなんてあっただろうか?

 

261: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:50:46.48 ID:cLHnL3TiO
建物の影に腰掛けると、 
「兄ちゃん今日からやろ?」 
初老のおじさんが関西弁で話しかけてきた。 

おじさん
「兄ちゃん若いのにw 
何でこんな仕事しようと思ったん? 
さてはわけありやな?w」 
ぶっきらぼうな人だ。 

俺「まー、はい。」

 

262: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:52:55.19 ID:cLHnL3TiO
山下(おじさん)さんは、
初対面の俺に色々話てくれた。 
俺も昔は社長だった。
だけど倒産して借金かかえて、妻と子供に逃げられたと。 

山下
「それでもこうやって何とか生きてけてんねんw 
オレももうすぐ60やけど、人生やり直しは聞くw 
兄ちゃん若いねんからなおさらや。 
どんなわけありでも頑張りやw 
生きてたらそのうちいいことあるからなw」 

笑いながら話している山下さんに何故か好感を持てた。

 

264: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/14(月) 23:55:00.08 ID:cLHnL3TiO
あっというまに時間は過ぎ、今日の作業が終了した。 
疲れた。でも仕事見つかってよかった。 
きついけど作業場の人達は良い人そうだし
なんとかやっていけそうだ。 

社長から日当を日払いで手渡された。 
茶封筒には6000円入っていた。
途中から働かせてもらったのにな。 
思わず「こんなにいいんすか?」って言ってしまったよ。 

帰宅までの道のり、
疲れているのにいつもより足取りが軽かった。 
真っ暗だった道筋に少し光が差したような気分だ。

 

268: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:01:28.33 ID:5+fbzMw2O
おばさん家に着くなり、 
ハル
「キャハッw あーーーうw」 
ハルが大喜びで駆け寄ってきた。 

俺は高い高いして、 
俺「ただいまw」 
て言うと 
ハル「たらいまーw」 
って満面の笑みで返してきた。 

すごく癒されるな。 
ハルの笑顔で1日の疲れもぶっ飛ぶ。 
明日も頑張ろうって気持ちになった。

 

269: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:02:38.89 ID:5+fbzMw2O
カズエおばさん
「ハルちゃん、ずっと泣いてたのよー。 
キョロキョロして俺ちゃんのこと
ずっと探してたんだと思うわ。 
パパ帰ってきて嬉しいねw」 


「すいません。迷惑かけました。 
面接ですぐ働けるか?って言われたんすよ。」 

カズエおばさん
「そうよかった。仕事決まって本当に良かったねw」 

ヒロシおじさんに呼ばれて、
一緒にご飯を食べさせてもらった。

 
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270: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:04:26.34 ID:5+fbzMw2O
これからのことをどうするか話した。 
俺は早く住む家を探すとだけ言った。 


「あのこれ。」 
俺は今日の日当分6000円の
茶封筒テーブルに置いた。 


「本当に少ないっすけど。 
とりあえず当面の食費や、迷惑かける分。 
また少しでもお金が貯まったら渡します。」 

本当は酒や煙草、
ハルのお菓子なんかを買ってあげたかった。 
でも今はっきりしてるのは、
この人達に迷惑かけてることだけだ。

 

271: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:05:26.94 ID:5+fbzMw2O
カズエおばさん
「何よこれ? そんなの受け取れないわよ。 
ハルちゃんのために使ってあげなさい」 

ヒロシおじさん
「分かった。 これは受け取る。」 
そう言ってお金をポケットにしまった。 

ヒロシおじさんは、
ちゃんと俺の気持ちを汲み取ってくれたんだ。

 

274: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:09:33.31 ID:5+fbzMw2O
それから数日が経ち、
俺はなんとか現場仕事を続けてた。 
あのクズな俺がだ。 
何よりハルの存在が大きかったと思う。
どんなにきつい現場作業も
ハルのことを想い出せば頑張れたんだ。 

俺自身、自分の変化に気づきはじめてきた。 
ハルが成長するように、
俺も少しずつ成長しているのかもしれないって。

 

273: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 00:08:37.85 ID:H70HxBXV0
ヒロシおじさんはクズのいとこになるの?

 

277: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:11:59.93 ID:5+fbzMw2O
ヒロシおじさんは従兄弟だな。 
でもこの時が初対面だよ。 

続き 
そんな時だった。 
その日は大雨で仕事が中止になり、
昼過ぎに帰えることになった。 

帰宅すると、 
ハル「ギャーーッ!」 
リビングからハルの泣き声が聞こえる。 

あちゃーまた俺のこと探して泣いてんのか? 
なんて思いながら上がりこんだ。 
それと同時に、 
「うるさーい。黙れー!」 
と大きな怒鳴り声が聞こえた。

 

280: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 00:14:36.33 ID:3hQk8/G30
なんか嫌な展開
 
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282: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:14:38.02 ID:5+fbzMw2O
みんなありがとう。 

リビングを開けると、
ハルが泣きながら座りこみ。
ヨシノおばさんが目の前に立っていた。 


「何してんすか?」 
俺はヨシノおばさんを睨みつけて、
ハルを抱きかかえた。 


「どうした? 何で泣いてる? カズエおばさんは?」 
一瞬テンパってハルに質問攻めしてしまった。 

ハルは俺にしがみついて、 
ハル
「パッパー、エグッ。パッパー、ヒック。エーーン」 
大泣きしている。 

最初は虐待でもされているのかと思ったけど、
そうではなかった。

 

283: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 00:15:59.01 ID:3hQk8/G30
虐待じゃなかったのか、
良かったホッとした

 

292: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:40:04.46 ID:5+fbzMw2O
ヨシノおばさん
「この子がサキ(ヨシノの娘)の
教科書に悪戯したの。 これ見なさいよ。」 
ヨシノおばさんがビリビリに破けた、
哀れな姿になった教科書を見せてきた。 

俺はハルを立たせて、 
「本当か? お前がやったのか?」 
強い口調で問いただした。 

俺の言葉なんて理解できてるわけないけど、
せっかく居候させてもらっているのに
何てことしてくれたんだって思った。

 

294: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:42:11.50 ID:5+fbzMw2O

「駄目だろ?こんなことしてどうすんだ! 
迷惑かけんなバカヤロー!」 
カッとなって怒りのまま俺はハルを叱った。 

ハル
「あーーっ! ギギギギーっ! いやーーー!」 
ハルは泣きながら俺に怒った。 
きっと俺が怒っているのを見てテンパったんだろう。 


「あの、本当にすいません。 
教科書は弁償しますから。 本当すいません」 

ヨシノおばさん
「当たり前でしょ。 
それに夜この子の泣き声うるさいのよ。 
サキは受験生なの。
ちょっとは気をつかいなさいよ。 
もぅまったく」

 

295: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 00:45:30.28 ID:O0vnThum0
うわー 
ハルかわいそう

 

296: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 00:45:43.57 ID:3hQk8/G30
これは辛いな、
幼児は怒りつけても効果無いけど
>>1はそんなのわかんないし、
精神的にも余裕ないし怒っちゃうし、
怒ったあと後悔しちゃうし負のループだな

 

297: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:47:16.03 ID:5+fbzMw2O
俺はただただ謝るしかなかった。 

カズエおばさんは体
の調子が悪いみたいで横になっていたらしい。 

カズエおばさん
「ちょっとだけ一人で遊んでもらってたの。 
俺ちゃんごめんなさいねー」 


「俺の方こそいつもハルを見てもらってすいません。」 

ハルは呑気に、
買って帰った好物のラムネを食べていた。 
ハル
「ラムネーw。ラムネーw」 
機嫌よくしている姿を見て少しイライラした。 

本当は分かってるんだ。 
この子は何も分からないし知らない。 
ただ遊んでいただけなんだよ。きっと。 
でも今のこの状況で俺は、
お前を叱ることしかできないんだ。

 

298: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 00:48:57.37 ID:5+fbzMw2O
カズエおばさんは70過ぎて体調も良くない。
このまま見ててもらって良いものか。 
またあんな悪戯をしたらどうしよ? 
保育園とは違うんだから。 
ハルがしたことは全て俺の責任になるんだ。 
やっぱりすぐにでも家を探すべきか。 

そう思いながらハルの寝顔を見つめた。
俺はグッタリして眠りについた。

 
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300: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 00:51:36.69 ID:O0vnThum0
てか小さい子が家にいて
教科書触れるとこに置いといたやつが悪いでしょ 
黙って保育園行かせとけば良かったのに 

胸糞過ぎて吐きそう

 

304: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 01:15:43.42 ID:5+fbzMw2O
朝になり、 
いつも通りハルをカズエおばさんに預けた。 
今日のハルはグズっていた。 
俺の足にしがみついて離れない。 


「すぐ帰ってくるからな。 
またラムネ買って帰るから」 

ハル
「ラムネー? ちょだーい。」 
俺はハルに残っていたラムネを渡した。

 

305: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 01:17:09.02 ID:5+fbzMw2O

「おりこうにしてるんだぞ。 パパ早く帰るから」 
そう言って泣き出すハルを置いて家を出た。 

仕事中ハルのことが心配で仕方なかった。 
また悪戯してないかってこともあったけど、
何よりハルに怒鳴るヨシノおばさんの姿が頭から離れない。 
他人に息子を泣かされるなんていい気はしないよな。

 

306: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 01:19:16.30 ID:5+fbzMw2O
ようやく終わって帰ると、 
ハルは嬉しそうに俺に抱きついてきた。 

どうやら何もなかったようだ。 
少しホッとしながら
スーパーで買ってきた惣菜を出して、ハルに食べさせた。 

すると、 
ヨシノおばさん「ちょっと来てくれる?」 
とリビングに来るよう言われた。

 

309: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 01:21:13.01 ID:5+fbzMw2O
ヨシノおばさん
「これどうしてくれるの?」
 
ヨシノおばさんが
べっとりとシミのついた服を見せてきた。 


「どうしてくれるって言うのは?」 

ヨシノおばさん
「これその子がやったのよ。」 

俺はハルを見た。 
ハルはヨシノおばさんから顔を背け、
俺の胸にうずくまっている。 
どうやらハルはこの人が嫌いなようだ。
俺も嫌いだ。

 

312: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 01:24:29.88 ID:5+fbzMw2O

「うちの子がやったって、見たんですか?」 

ヨシノおばさん
「見てないわよ。でもその子以外に
誰がこんなことするのよ 
あんた達がこの家に来てからろくな事がないの。」 

俺「……」 
もしそれが本当なら言い返す言葉もない。 

どうやら今日もカズエおばさんが体調が悪いから、
少しの時間一人で遊ばせていたらしい。 
その間葡萄ジュースをハルに持たせていたとのこと。

 

313: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 01:24:48.94 ID:GMxGuATc0
冤罪の臭いがしてきましたぞ
 
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315: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 01:26:45.34 ID:5+fbzMw2O
信じられなかった。 
親バカで、ただハルが犯人じゃないと
思いたかっただけなのかもしれない。 
証拠があるのにだ。 

それでも俺はハルが犯人じゃないと言い張った。 

エゴかもしれないが、
どうしてもハルがそんなことするとは思えなかったんだよ。 

結局カズエおばさんが起きてきて、その場は収まった。

 

317: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 01:31:51.21 ID:5+fbzMw2O
続きはまた明日書きます。 
明日も早いので。 

せっかく見てくれているのに、勝手をどうか許してくれ。

 

318: 名も無き被検体774号+ 2014/07/15(火) 01:32:34.20 ID:hkNsp7yE0
幼児に葡萄ジュースとかww 
やってくださいと言ってるようなもんだよね

 

352: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 22:37:52.30 ID:5+fbzMw2O
遅くなった。 
今からシャワーを浴びたら書きます。

 

360: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:23:31.62 ID:5+fbzMw2O
みんなありがとう。 

続き 
こんな時って眠れないもんなんだな。 
体は仕事で疲れてるんだけどさ。 

俺さ小学の時はいじめられてたんだよ。 
て言っても悪質なやつじゃないんだけどな。 

とりあえずクラス全員から嫌われてた。 
家が貧乏で母ちゃんがいなかったから。 
親父が爺ちゃんぐらいの年ってこともあったんだと思う。

 

361: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:24:32.49 ID:5+fbzMw2O
それである日、クラスの女子が
買ってもらったばかりの
手提げカバンがなくなったってなった。 

校庭のドブで見つかったんだけど、 
クラスの奴等は俺を非難したんだ。 
「お前んち貧乏だからだろ?」 
「最低ー」 
みたいな感じで。

 
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362: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:25:45.36 ID:5+fbzMw2O
誰かが先生にチクって、職員室で説教された。 
当然親父も呼び出されたわけだけど。 

親父は俺に
「お前が本当にやったのか?」 
って聞いてきた。 


「してないよ」 
俺の目をしっかり見て、 

親父
「そんなことうちの息子がやるわけない。 
あんたら教師まで疑うのか?ふざけるな」 

っていつも穏やかで温厚な親父が、
ムキになって怒りだしたんだ。

 

363: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:27:08.85 ID:5+fbzMw2O
だからその時、
親父が職員室で暴れて警察が来たことは、
本当に自分が生きてて申し訳ないって気持ちになった。 
子供ながらにな。 

帰り道親父が俺の手を引っ張って言ったんだ。 
親父
「俺!! 父ちゃんはお前のこと信じてるからな。 
父ちゃんは絶対にお前がやってないって分かってるんだ。 
あんな恥ずかしい姿見せてごめんな」

 

364: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:28:47.63 ID:5+fbzMw2O
そんな親父を見たの初めてだったよ。 
正直驚いた。 

でも俺は疑われても仕方なかった。 
すぐむかついたら、
クラスのやつをぶん殴って泣かしてたし。 

クラスで買ってたカメを、
勝手に池に逃がしたりしたことがあって、
それをクラス全員に責められて暴れたこともあった。 

本当に問題児だったんだ。

 

365: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:32:09.03 ID:5+fbzMw2O

「オレ悪いことしてばっかだよ。 
みんなに疑われてもしかたないんだ。 
何で父ちゃんは俺のこと信じるの? 
本当に俺がやってたらどうすんの?」 

親父
「父親が息子信じなくてどうする!」 

いつも強がってた。
悪ガキぶって泣いたら負けだと思っていた俺も、
さすがに泣いてしまった。 
その言葉で十分救われたんだ。 
親父は俺の頭をクシャクシャして。

 

366: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:33:25.77 ID:5+fbzMw2O
親父
「泣きたい時は泣けばい。 
悔しいだろうけど、
悪くないなら悪くないって言い続けろ。
悪いことしたらちゃんと謝れ。」 

昔の記憶がよみがえる。 
俺は眠るハルの髪をクシャクシャしながら、 
父親の俺が息子を信じなくてどうすんだって、
独り言を呟いた。 

朝がきて、俺はハルをおぶって仕事場に向かった。 
ハルを置いて仕事に行くのが不安だったからだ。

 

367: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:35:19.44 ID:5+fbzMw2O
アルバイトが会社に子供を連れてくるなんて、
前代未聞なのは分かってる。 
社長に事情を説明すると、 
現場は駄目だから
事務に置いていくならいいと言われた。 
理解がある人で本当に助かったよ。

 

368: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:36:48.51 ID:5+fbzMw2O
事務員さんによろしく言って現場作業に出た。 

昼は会社に戻ってハルとコンビニ弁当を食べた。 
ハルは嬉しそうに食べてた。 
俺もハルのそばにいて安心できた。 
お利口にしてたみたいだし。 

事務員
「この子めちゃくちゃ可愛いね。 将来イケメンだわw」 
息子を誉められて悪い気はしないもんだ。 

作業が終了すると、
社長がみんなでご飯に行こうと誘ってくれたので、
その言葉に甘えることにした。

 
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369: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:39:46.00 ID:5+fbzMw2O
社長行き着けの居酒屋に入り
「好きなもん食え」と言われた。 

ハルは人が多いせいか少しグズっていた。 
社長に酒をすすめられたけど、
ハルもいるので断った。 

帰宅したのは少し遅い時間になった。 
ハルは俺の背中でぐっすり眠っている。 
ハルを起こさないよう、静かに家に入る。

 

371: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:40:45.63 ID:5+fbzMw2O
リビングに灯りがついていたので、 
遅くなりました。とだけ伝え部屋に入った。 

ヒロシおじさん
「俺くんちょっといいかな?」 
戸を少し開けヒロシおじさんが顔を出した。 
少し険しい表情に、何かあるなと感じた。

 

372: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:42:13.22 ID:5+fbzMw2O
リビングのソファーに腰を掛け対面するも
少し沈黙が続いた。 

何か言い出しにくそうにしていたので、 

「あの…昨日はすいません。 
奥さんの服汚れちゃったみたいで。」 
俺から話しをふった。 

ヒロシおじさん
「いや…いいんだよ。 そんなこと気にしなくても」 
相変わらず気まずい雰囲気だ。

 

373: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:43:14.83 ID:5+fbzMw2O
ヒロシおじさんは仕事用の鞄から、
パンフレットのようなものを出してテーブルに置いた。 

ヒロシおじさん
「これなんだけど…」 

俺に見やすいように、そばに近づける。 

自立支援相談? サッと目を通した。

 

374: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:45:29.44 ID:5+fbzMw2O

「すいません。 
迷惑かけますがもう少しだけ待って下さい。 
すぐ家を探して出ていきますんで。」 

思い出したくない過去が脳裏をよぎる。 

ヒロシおじさん
「いや、そんなつもりで言っているんじゃないよ。 
本当に心配なんだ。」 

見え見えだ。 
早く出ていけ、面倒はごめんだと顔に書いてある。

 

377: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:49:43.29 ID:5+fbzMw2O

「本当に迷惑かけてすいません…」 
部屋に戻って先程のパンフレットをもう一度見た。 
少し手が震えている。 

俺にはトラウマがあった。

 

378: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:52:36.51 ID:5+fbzMw2O
俺がガキの頃、 
親父が現場仕事で大怪我をした。 

入院した親父と俺に残されたのは借金だけだ。 
勿論家賃が払えず今にも追い出されそうな勢い。 

毎日借金取りが家に来ていたのは言うまでもない。

 

379: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:53:37.18 ID:5+fbzMw2O
一人家で留守番状態の俺は、
布団を被り嵐(借金取り)が過ぎ去るのを
ずっと待っていた。 
そしてとうとう奴等が来た。 

児童相談所の職員だ。 
俺はすぐ養護施設に入れられた。 
親父が迎えに来るまでの1年間
すごく辛かったのを覚えている。 
当時6歳だった。

 
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380: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/15(火) 23:59:24.81 ID:5+fbzMw2O
あの日ハルを保育園に迎えに行った俺なら、
迷わず施設に入れていかもしれない。 
育てていく自信なんてなかったからな。 

でも今は違うんだ。父親になるって決意した。 
何があってもこいつを守るって決めた。 
それはもう揺るがないものになってる。 

短い時間だけど、
ハルと過ごして沢山何かをもらった。 
何かを感じた。 
今ハルは、俺にとって掛け替えのない宝物なんだ。 
どんなことがあっても手放さない。 
どんなことがあっても。。。 

俺はパンフレットを丸めてゴミ箱に捨てた。

 

381: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:00:24.45 ID:7uhA5R94O
次の日、 同じようにハルを連れて仕事に出た。 
お金は少しはできたけど十分とは言えない。 
とりあえず働かなきゃな。 

作業中何度も携帯が鳴った。 
気になったので不在着信を確認。 
カズエおばさんからだ。 

俺はすぐに電話をかけ直した。

 

382: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:03:33.88 ID:7uhA5R94O

「もしもしおばさん。どうした?」 
「あの… 私サキです」 

電話に出たのはヒロシおじさんの娘のサキだ。 

俺「どうしたんすか?」 
サキとは家で顔合わすだけで話したことはなかった。 

サキ
「おばあちゃん昨日入院したんですけど…」 
昨日は遅く帰ったし、
ヒロシおじさんから何も言われてないので
知らなかった。 

サキ
「おばあちゃんが俺さんに会いたいって。 
今から病院にこれますか?」

 

383: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:04:37.09 ID:7uhA5R94O
電話を切ると、社長に理由を話し
少しの時間抜けさせてもらうように頼んだ。 
俺はハルを連れ病院に向かった。 

病室に入ると、
カズエおばさんと横にはサキが座っている。 
俺が会釈すると、 

サキ
「ハルちゃん。 私が見てます。」 
と言ってハルの手を引き病室を出ていった。

 

384: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:06:00.97 ID:7uhA5R94O

「おばさん大丈夫?」 
カズエおばさん
「大丈夫よw ただどうも胸が苦しくてねw」 

カズエおばさんは思っていたより元気そうだった。 

カズエおばさん
「わざわざ呼び出してごめんねw 
当分家には帰れそうにないんだ。」 

「うん」

 

387: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:07:07.24 ID:7uhA5R94O
カズエおばさん
「サキちゃんいい子でしょ? 
昔からおばあちゃん子でねw 
お見舞いにきてくれるのはあの子だけよ。」 

今日電話で話したのが初めてなんだが、
想像してたのとは違ったのは確かだ。 
世間話を簡単に済ます。

 

388: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:08:19.71 ID:7uhA5R94O
カズエおばさん
「ごめんなさいね。 
私のせいでハルちゃんに辛い想いさせて。 
俺ちゃんにも心配させた。 
どうしても謝りたかったの。」 

カズエおばさんは涙を流しながら俺に謝ってきた。 
俺に謝ることなんて何一つないのにだ。 

とてつもない迷惑かけてる、
本当は俺の方が謝らないといけない。

 

389: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:10:24.24 ID:7uhA5R94O

「おばさん。 俺のことは心配しなくていいから。 
早く元気になってよ。」 

おばさんがありがとうと言いながら
枕元から封筒を出した。 

カズエおばさん
「これ使って。 これで家を借りて
ハルちゃんと二人で暮らしなさい。 
今の状態では何もしてあげられないからね。」 

そう言って現金の入った封筒を俺に渡した。 
中味は確認してないけど、かなりの金額だった。 


「おばさんありがとう。でも俺大丈夫だからw 
もう家も見つけたよ。 
おばさんのおかげでハルとやっていけそうだ。 
だからこれはいらないよ。」 

俺はその封筒をおばさんに返した。

 

390: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:15:06.99 ID:J3diCumJ0
強がるなよぉ‥
 
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393: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:16:52.52 ID:7uhA5R94O
嘘をついたけどこれで良かったんだ。 
本当に助けてもらってばかりだ。 
気持ちだけで十分。胸がいっぱいになった。 
これ以上何かしてもらうなんて罰が当たると思った。 

病室を出てサキからハルを預かった。 
俺「迷惑かけたっすね」 

サキ
「ハルちゃん本当に可愛いw 弟にしたいw」 

「ありがとう」

 

394: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:17:56.91 ID:7uhA5R94O
そう言って帰ろうとすると、 

サキ
「あの、すいません。 母がごめんなさい」 
と言ってきた。 

サキ
「ハルちゃん悪戯なんてしてませんから。 
私知ってるんです。
教科書も服も母が自分でやったんです。 
本当にごめんなさい。」 

教科書は部屋に置いていて、
ハルが手に届くはずがない。 
服もヨシノおばさんのお気に入りだったらしい。
そんなものをハルが悪戯できるような場所に
置いているはずがにいと言うことだった。

 

395: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:19:35.85 ID:7uhA5R94O

「はい。 こっちも。 受験で大変な時期に迷惑かけて。」 
そう言って病院を出た。 

何故ヨシノおばさんがそんなことするのか理解に苦しんだ。 
まあ俺とハルが邪魔で仕方なかったんだろう。 

俺の腹は今にも煮えくり返りそうだった。 
俺はその脚でカズエおばさんの家に向かった。 
黙って家に入り荷物をまとめた。

 

396: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:24:51.83 ID:7uhA5R94O
ヨシノおばさんがリビングにいるのが見えたので、
勢い良く扉を開いた。 
おばさんはびっくりした顔でこちらを見ている。 


「お世話になりました。 もう出て行くので。 
ヒロシおじさんにもお伝え下さい」 
強い口調で言って深々と頭を下げた。

 

398: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:26:39.38 ID:7uhA5R94O
ヨシノおばさん
「えっ?あ? そうなの。 
愛想なくてごめんなさいね。 
何もしてあげられなかったけど元気でね。」 
白々しいやつだ。 


「もし… もしこれから外であんたと出会って、
もしハルが悲しむようなことがあったら。 
何が何でも絶対に許さないっすから。」 
と捨て台詞を吐いて家を飛び出した。 

その時の俺どんな顔してたんだろうな。 
相当怒ってたし恐かったと思う。

 

401: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:31:23.08 ID:ebHINzt60
>>398
気持ちは凄い分かるが
ヨシノおばはんには娘と家庭が一番大切であって、 
まわりに押されて嫌々だが住ませてくれた相手に
言うべき捨て台詞ではないわな 

相手の気持ちを考えて会話出来れば
1ランク成長するんだろーな

 
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400: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:28:49.83 ID:7uhA5R94O
いつの間にかあの時の公園に来ていた。 
辺りは暗がり始めてる。 
ハルは公園に入るなりハシャいで滑り台を滑り始めた。 

その姿を目で追いながら茫然として立ち尽くしていた。 
針でチクチク刺さるように胸が痛くて苦しくなった。 
病気とかじゃなくてな。 
何でかって? 
それはハルを少しでも疑ったからだ。 
すぐに信じてやらなかった。 

本当はヨシノおばさんが悪いとかじゃないんだ。
文句垂れられながらも住まわせてくれていたんだし。 
ただの八つ当たりじゃないか。

 

402: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:35:31.64 ID:7uhA5R94O
何よりも悪いのは、
父親である俺がハルを信じなかったことだ。 

俺はハルを怒りのまま怒鳴ってしまった。
ハルは怒ってたけど、
あの時ハルは本当に俺に怒っていたのかもしれない。 
何で信じてくれないのって。 

俺は本当にグズだよな。ハルごめん。本当にごめん。 
自分の不甲斐なさに嫌気がさす。 

砂場で遊ぶハルに詰め寄り強く抱きしめた。 
今にも涙がこぼれ落ちそうだったけど、
グッと我慢してこらえた。 

ハル
「パッパーもうイタいー?」 

「痛くないよ。 悲しいだけ」 
ハル
「いたくないにょー?」 

「うんうん」 

ハルはまた嬉しそうに滑り台によじ登った。

 

405: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:37:53.74 ID:7uhA5R94O
すまん。 
レス少ないけど今日はこれぐらいで寝ます

 

411: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:49:41.64 ID:qR0VnUSp0
君の事を思ってくれてる人の言う事は
ちゃんと聞いたほうがいいよ支援

 

409: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:43:50.75 ID:nQoOW5Ot0
>>405 
おつ 
さっさと終わらせてほしい 

社長には少しの時間って言ってるのに
ばっくれてんじゃん

 

412: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/16(水) 00:53:30.73 ID:7uhA5R94O
みんなありがとう。 
色々な意見、指摘もな。 

>>409
続きに経緯を書くからスルーしてくれ。 

ハルのこの時の年も気になってると思うが、
追々書くんで見ててくれると助かる。 

すまん。 
ではおやすみ

 
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442: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 21:30:45.14 ID:kO2CKzK60
何年前の話しかにもよるが
ハルが幸せになってればいいな!

 

443: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 21:46:56.20 ID:awaT2shY0
お前ら知ってるか? 

お前らもハルみたいに可愛い時期があったんだんよ

 

444: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 21:49:17.95 ID:QjssNvub0
>>443 
おいやめろ

 

445: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 21:57:58.06 ID:CMBxJM1RI
>>443 
やめてくれ、何故こうなった

 

467: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:43:06.24 ID:x6B3BH20O
今日は少しで申し訳ないが書きます 

続き 
携帯の振動で
仕事を途中で抜け出していたのを思い出した。 
しまった。 
やはり社長からだ。 


「すいません。連絡せずサボっちゃいました。」 

クビになることは間違いない。社会人失格だよな。

 

469: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:46:58.44 ID:x6B3BH20O
社長
「おい俺! 心配したぞ。 何やってたんだ?」 

俺は社長に今日の出来事を全て話した。 

社長に今すぐ会社に来るよう言われた。 
会社にはもう社長以外誰もいない。 
当然なんだが。 

ソファーに恐い顔で座る社長。

 

470: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:48:59.80 ID:x6B3BH20O

「本当にすいません。 申し訳ありませんでした」 

怒られても仕方ない状況。 
謝るしかない。 
せっかく雇ってもらったのに、
いい加減な自分を呪った。 

社長
「おい俺? 飯食ったか?」 

「いやまだ。」 
社長
「よし。 なら飯行くぞ」 

何も言ってこなかったが、
この状況と社長の太い声がマッチして妙に凄みを感じた。 

そして俺とハルは社長に連れられ定食屋に入った。

 
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472: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:50:36.76 ID:x6B3BH20O
最近は不景気だとか、
奥さんがうるさくてかなわないって話を
社長は淡々としてきた。 
まるで何もなかったように、 
仕事をサボった事には何もふれてこなかった。 
その時は変に緊張したよ。 


「すいません。 やっぱり俺クビですよね?」 

社長
「ん? バカか。 クビにはしねーよ。 
さっさと食って行くぞ。」 


「はい…」 
クビにならないと聞いて少し安心した。 

ハルにご飯を食べさせて店を出た。

 

473: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:52:47.40 ID:x6B3BH20O
社長に車に乗るよう言われたので車に乗った。 
社長は何も話さない。 
車内は無音で、
シーシーと社長が口に入れた爪楊枝の音だけが聞こえた。 
ハルはウトウトしている。 


「あの…どこ行くんすか?」 
口を開かない社長に、黙ってついていくことにした。

 

474: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:53:56.42 ID:x6B3BH20O
車が来たことないアパートの前に停まると、
付いて来るように言われた。 
そのアパートの一室を開けると、 
社長「ここ使え」 
と社長が言ったんだ。 


「どう言うことっすか?」 

社長
「ここは俺が嫁と喧嘩した時に使う別宅だ。 
お前に貸してやる。」

 

475: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:55:22.52 ID:x6B3BH20O
最初は社長の言葉を理解出来ず、
いまいち状況が掴めなかった。 
でもそう言うことなんだ。 
俺は社長の親切に思わず泣いてしまった。
 

「クッ… 本当にいいんすか…?」 

社長
「あーいいよ。 家具も使っていい。 
その代わり家賃はもらうぞ。」

 

478: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 00:56:23.73 ID:x6B3BH20O

「すいません…エグッ 
本当に…ありがとうございます…エグッ」 
本当に嬉しかったんだ。 
やっと住む家が出来たってこともなんだけど、
何より社長の優しさが痛い程伝わった。 

社長
「バカ野郎。大の男が泣くな。 
そんな泣き虫で子供なんて育てられねーぞ」 

「はい…エグッ」

 

481: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:01:59.43 ID:x6B3BH20O

「何で他人の俺なんかに…ここまでしてくれるんすか…?」 

だってそうだろ? 
まだ一月も働いてないバイトなんだぞ俺は。 
信じられなかった。

 

482: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:05:12.28 ID:x6B3BH20O
社長
「アホ。 他人じゃねーだろ?お前はうちの従業員だ。 
お前は若いのに根性もあるしよ。俺は買ってるんだよ。 
それに、一緒に汗かいて一緒に飯食ってんだろ? 
もう俺の家族みたいなもんなんだから
面倒みてやるのは当たり前じゃねーか。 

それと礼なら山下に言え。 
あいつお前のことも、
お前のガキのことも心配してたからな。 
クビにしないでくれーって頼んできやがってよw 
最初からクビにするつもりもなかったけどなw」

 

483: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:06:11.63 ID:x6B3BH20O
何から何までお世話してもらった。 
せっかくもう泣かないって決めてたのにな。 

社長に礼はいらないから仕事で返せと言われ、
明日はゆっくりしろと言われ1日休みをもらった。

 
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484: 名も無き被検体774号+ 2014/07/17(木) 01:07:45.96 ID:bAJfMx+A0
「礼なら○○に言え」とか人生で一度は言ってみてえww

 

485: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:08:19.47 ID:x6B3BH20O
俺は今まで大人が嫌いだった。
まあ俺も大人なんだけどな。 
信用できるやつもいなかったし、
他人からこんなに優しくされたことなんてなかった。 

佐々木先生やカズエおばさん。
社長や山下さん、みんなが俺なんかに優しくしてくれる。 
今まで人生を損して生きてきたんだなって思った。 

この人達は見返りも求めずに俺に優しくしてくれた。 
本当に信用できる人達だ。出会えたことに感謝したい。 

グズな俺は、こう言う人達との出会いのおかげで、
少しずつ成長できたんだと今は思う。

 

486: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:09:45.26 ID:x6B3BH20O
俺は一人で生きていけるなんてずっと強がってたんだよ。 
でもそうじゃないって分かった。 
まわりに助けられ、支えられ、
こうやって生きていけてるんだと気付かされた。 

それとハル。 
ハルが何よりも俺を強く支えてくれてるんだって思うんだ。 
もう一人じゃない。 
ハルの存在は大きい。 
こいつがいるんだから生きていける。 
そう思った。 

少しボロでワンルームの小さな部屋だったけど、
俺とハルには十分すぎる部屋だった。

 

487: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:13:23.72 ID:x6B3BH20O
翌日、俺とハルは電車に乗って買い物に行った。 
天気も良く朝からハルは上機嫌だ。 

ハル
「でんさー?」 

「うん電車。 次のに乗ろうな」 
ハル
「でんさーのるーwキャッキャッ」 
楽しそうにするハルを見て少し幸せな気分になった。

 

488: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:18:07.40 ID:x6B3BH20O
生活用品を買おうと色々見ていると、
いつの間にかハルが何かを抱きかかえて歩いていた。 


「どうしたそれ??」 
ハル
「でんさー?」 

どこで見つけたのか、
ハルはおもちゃを持っているようだ。
でも、電車のおもちゃと思って
バスのおもちゃを間違って持っているようだ。 


「それバスだw」 
ハル
「ばすー?」 

「うん。電車はこっちな?」 
と言っておもちゃ売り場にある電車のおもちゃを見せた。

 

489: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:20:10.17 ID:x6B3BH20O
ハル
「いやーー」 
大きな声。 
どうやら電車より大きなバスのおもちゃを
気に入ったみたいだ。 

そう言えばハルに
おもちゃなんて買ってやったことないな。 
普通の父親らしいこともしてあげたことない。 

そのバスのおもちゃを買ってあげることにした。

 

490: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:21:33.33 ID:x6B3BH20O
帰りの電車、
ずっとバスのおもちゃを大事そうに抱えるハル。 

ハル
「でんさーw でんさーwフンフンフンフン♪」 

家に帰る前公園の砂場で一緒に遊んだ。 
山作ったり、穴掘ったり。
ハルはバス走らせたりして。 

ハル
「でんさーw でんさーのるーwキャハ」 

まだバスを電車だと思ってるんだ。 
その笑顔がたまらなく愛おしかった。

 
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492: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:22:57.47 ID:x6B3BH20O
なんだかこうやって、
何も考えず二人でゆっくりしたのは初めてかもしれない。 
満たされた気持ちになった。 

俺もハルも泥だらけだ。 


「ハル?風呂行くか?」 

ハル
「おぷろいやー」 
ちょっと怒るハル。 

部屋に風呂がなかったので、
ハルと近くの銭湯に行った。 
ハルはすごく風呂嫌いなんだけど、
初めての銭湯にはしゃいでた。

 

493: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:24:37.67 ID:x6B3BH20O
二人で一つの布団に横になる。 
ハルは今日買ったバスをしっかり抱いて寝てた。 
遊び疲れたんだろう。 
穏やかな寝顔だ。 
初めて買ってあげたおもちゃ。
相当気に入ったみたいで俺も嬉しかった。 

ここはもう俺とハルの家なんだ。 
ようやく落ち着けたことに安堵した。 
これからは少しずつだけど、
家庭らしい家庭を作ってやろう。ハルのために。

 

495: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:26:28.92 ID:x6B3BH20O
今日まで色んな出来事があった。 
何度も挫けそうだったけど、
ハルの存在がいつも俺を助けてくれた。 
なんとかやってこれたんだな。
これ以上下はないだろうってくらいの底辺を味わったけど、 
でももう大丈夫だ。 
そうだよな? 

俺は自分に言い聞かせるようにして目を閉じた。 

こんな小さなことが、こんなに幸せに思えるなんてな。 
ずっとこの幸せが続いたらいいなと切に願った。 

でも、これからが俺にとってもハルにとっても
本当に大変になることを、この時はまだ知る由もなかった。

 

497: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/17(木) 01:28:38.39 ID:x6B3BH20O
今日はここまでにします。 
遅くまで待っててくれた人達ありがとう。 
そして本当にすまん。 
もう休ませてもらいます。

 

521: 名も無き被検体774号+ 2014/07/17(木) 10:26:59.53 ID:8z1rOFrY0
オムツ取れてない子は銭湯入れないだろ

 

524: 名も無き被検体774号+ 2014/07/17(木) 10:49:37.71 ID:K0u/a0m70
>>521
昔は風呂がある家の方が少数で子連れだろうが
銭湯に行くなんて当たり前だったじゃないか 
今でも風呂なしの古い団地の近くの銭湯なんかは
新生児連れて来てる人もいる
 
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552: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 00:53:00.89 ID:+vWUIxCFO
すまん書きながらいつの間にか眠ってしまってた。 
ずっと一緒さって歌聞いてたら
ついつい泣いてしまうんだ。 
で寝るパターン。 

とりあえず中途半端ですまんが少し書く。

 

553: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 00:53:56.62 ID:+vWUIxCFO
「中度の自閉症ね。」 
そう告げられた。 

新生活を始めて、2ヶ月が過ぎようとしていた。 

今俺は児童精神科のある、医療機関に来ている。 


「すいません。 俺バカなんでよく分かりません。 
ちゃんと説明してもらえますか?」 

話しは1ヶ月前にさかのぼる。

 

555: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 00:54:56.10 ID:+vWUIxCFO
佐々木先生
「ハルちゃんのお父さん。 
明日は参観日ですが、来れそうですか?」 


「はい。 大丈夫です。休みもとってあるんで」 

仕事も順調で、ハルも保育園に通い始めた。 
明日は参観日と言うことで、
前もって仕事も休みをもらっていた。 

佐々木先生
「ハルちゃん良かったねーw パパ来るってw」 
ハル
「パッパーw パッパーw」

 

556: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 00:56:01.66 ID:+vWUIxCFO
1日保育園でのハルを見れると言うことで
楽しみにしてた。 

参観日の日、 
ハルは俺がいることでもあって
少し落ち着きがなかった。 

朝の挨拶から始まり、
散歩、給食、お昼寝、お遊戯と言う感じで進行していく。 

ハルは俺のところに何度も来て。 
ハル「かえどー。 かえどー。」 
と言って手を引っ張ってきてた。 

その度先生が来て連れ戻していく。 
佐々木先生
「ハルちゃんまだ帰らないよーw 
みんなでお歌唄おうねw」

 

557: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 00:57:18.19 ID:+vWUIxCFO
俺が保育園に来るのは、
送り迎えの時だけだから仕方ないことなんだけど。 

1日があっという間に終わった。 
けど俺は何かモヤモヤしたものが残ったんだ。 

まわりが帰宅準備をする中、
俺は佐々木先生に声をかけた。 


「先生ちょっとお話出来ますか? ハルのことで」

 

558: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 00:59:49.91 ID:+vWUIxCFO
園児全員が帰宅した後、
教室で佐々木先生と話すことになった。 
ハルは楽しそうに積み木で遊んでいる。 

佐々木先生
「すみません。遅くなって。 で、お話ってなんですか?」 


「あの?その? ハルなんですが…」 
何て聞けばいいのか考えながら、 


「みんなハルと同い年ですよね? 
ハルってまわりの子達と比べて、 
ちょっと違うような気がするんす。 
見た目とかじゃなくて…」 
何て言っていいのか分からない。

 

559: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:00:47.57 ID:+vWUIxCFO
佐々木先生
「成長がですか?」 
そうだ。それだ。 

「そ、そうです」 

佐々木先生
「お母さんから何も聞いてないんですか?」 

「えっ?はい…」 

サリナが知っていたこと。
俺は殆ど家に帰ってなかった。
知らないことなんて山ほどある。 


「聞いてないって言うのは?」 
佐々木先生
「お母さんがお家からいなくなる前に、 
そう言う話ししなかったですか?」

 

561: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:03:22.58 ID:+vWUIxCFO
俺は佐々木先生に、サリナがいなくなるまでの期間、
ずっと家に帰ってなかったことを話した。 

佐々木先生
「そうだったんですね…」 

「ちょっと引きますよね。 本当すんません」 

佐々木先生
「謝らなくていいです。 
ハルちゃんは、確かにまわりの子より
成長は遅いですよ…あっ!」

 

562: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:04:51.49 ID:+vWUIxCFO
佐々木先生は何か思い出したように、
手帳を机に出した。 

佐々木先生
「たしか… 
あっ来月の4日に児童精神科の検診がありますよ。 
ハルちゃんの。 
私も同伴するつもりだったから、
その時にきちんと話しましょう。」

 
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563: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:09:24.09 ID:+vWUIxCFO
この時のハルは3歳だった。 

今までハルが普通で
当たり前に成長してると思てったんだよ。 

でも、参観日で見た回りの子達は、
ある程度言葉を理解し、ある程度会話が出来てた。 
オムツも取れ、当たり前のことを当たり前にしてたんだ。 
でもハルはそれとは違う。 
同じ3歳の子達と比べてあきらかに成長が遅れてた。

 

565: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:10:27.08 ID:+vWUIxCFO
俺はハルのために頑張ってたつもりだ。 
でも本当にそうなんだろうか? 
結局自分の為だったのかもしれない。 

だって息子の成長が遅いことに
気付かない親なんていないだろ。 
どんだけ無関心なんだって言われてもおかしくない。

 

567: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:11:28.43 ID:+vWUIxCFO
佐々木先生は誤解をまねくといけないから、
きちんと専門家に説明してもらってほしいと言ったけど、
毎日モヤモヤしていた。 

男の子は女の子に比べて成長が遅いと聞いことがある。
そんな感じなのかなと少し軽く考えてた部分もあった。 

それでももし何か大きな病気で、
今後ハルの将来に障害があるのならと、
考えるだけでやりきれない気持ちになる。 

それなりの覚悟は必要だと思った。

 

568: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:12:42.75 ID:+vWUIxCFO
当日、地域にある医療機関にハルを連れて行くとに。 
佐々木先生とは現地で合流した。 

そして検診が始まる。 
ハルをおもちゃで遊ばせたり、身体検査などをした。 
その後専門の先生が 、
俺と佐々木先生に普段のハルの様子を質問してきた。

 

570: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:14:12.85 ID:+vWUIxCFO
先生「中度の自閉症ね」 

先生は50前後の眼鏡をかけたおばさんだが、
どうやらこの分野では名のある人らしい。 


「すいません。 俺バカなんでよく分かりません。 
ちゃんと説明してもらえますか?」 

一言自閉症と言われても、
俺の頭じゃ理解できない。 

先生
「発達障害よ。」 

「発達障害?」 

前回サリナが来ていたらしく、 
その時に自閉症と診断されたらしい。 
先生は俺がハルの自閉症を初めて知ったことを知り、
1から説明してくれた。

 

572: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:16:03.25 ID:+vWUIxCFO

「でも、 だからって
普通の子じゃないわけじゃないっすよね?」 

先生
「これから先、どう成長するかはまだ分からないの。 
でもね、これからもっと周りの子達と差は離れて行くわよ。 
それがどう言うことか、
お父さんも理解していかないといけないわ」 

途中から、先生の話しが耳に入ってこなかった。

 

573: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:17:01.88 ID:+vWUIxCFO
俺は放心状態だった。 

先生
「次は半年後ね。 
その時のハルちゃんの様子を見て、
これからの進路を決めていきましょ」 

佐々木先生
「お父さん大丈夫ですか? 元気だして下さい。」 
検診が終わると、
そう言って佐々木先生は保育園に戻っていった。 

帰り、院のそばの公園でハルを遊ばせ、
まだボーっとする頭を整理する為ベンチに座り込んだ。

 

574: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:18:17.59 ID:+vWUIxCFO
俺「ふぅー」 
何ヶ月ぶりだろう。辞めていた煙草で一服する。 

ハルは楽しそうに滑り台で遊んでいる。 

先生の言葉を思い出していた。 
先生
「ハルちゃんを叱ったり否定したりしちゃ絶対に駄目よ。 
ハルちゃんはそれだけで傷つくの。」 

俺は何度もハルを怒鳴ってきた。 
初めて二人で過ごした夜も、
カズエおばさんの家で悪戯したと思った時もだ。 
ハルにはそれが何でか分かってないのにな。 
ただ傷つけただけ。 
きっと辛かっただろう。

 
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575: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:20:44.75 ID:+vWUIxCFO
先生
「あまり遠くに行ったり、
知らない場所に連れて行くのも駄目よ。 
不安でパニックになって辛いだけだから。」 

先生の一言一言が胸に突き刺さる。 

ずっとずっと連れ回してた。 
その度泣いたり叫んだりしてたのを覚えている。 

ハルのそ時の気持ちを少しでも気づいてやれなかった。 
俺はハルにただ辛い想いばかりさせていたんだ。 
本当にグズだ。 

俺は下を向き、
頭の中で何度も何度も先生の言葉を思い出した。 

最低な父親だ。

 

577: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:25:20.38 ID:+vWUIxCFO
自分を責めるしかなかった。 
どれだけハルを苦しめてきたかを考えると、
胸が張り裂けそうだった。 

「お父さん大丈夫ですか?」 
誰かが優しく背中をさすってくれた。 
佐々木先生だ。 

佐々木先生
「やっぱり心配になって、 戻ってきちゃいましたw」 
優しい笑顔で俺に話しかけてくれた。

 

578: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:27:44.68 ID:+vWUIxCFO

「大丈夫です…」 

するとハルが近づいてきた。 
ハル
「パッパー、イタイの?」 
俺の事心配してくれてるのかな。 
その純粋な瞳に心は打ち砕かれた。 

俺はボロボロ涙を流した。 
人前なのに恥ずかしさなんてぶっ飛んでた。 


「ハルーごめんな。 パパ最低だなー。」 

俺はハルを強く抱きしめる。

 

579: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:29:54.71 ID:+vWUIxCFO
佐々木先生
「落ち着いて下さい。 ハルちゃん苦しいですよ」 


「俺のせいなんす。 俺が全部悪いんす」 
俺はただただ泣いた。叫んで。 

何もかも俺のせいなんだ。 
ハルがこうなったのも、
ハルが辛い想いしてきたことも。 

これからだってそうだ。 
大きくなって自分がまわりと違うことに気づいた時に、
きっとハルは傷つく。 

俺がグズでロクなやつじゃないから、 
ハルがこうなってしまったと思ったんだ。 

ハルがあまりにも可哀想じゃないか…

 

580: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:31:52.81 ID:+vWUIxCFO
俺は一生分泣いたんじゃないかってくらい泣いた。 

その時は、自分への怒りとか後悔とかで
泣くしかなかったんだよ。 

先生は何も言わず、
落ち着くまでずっと背中をさすってくれていた。 
ハルは俺の横にちょこんと座り
頭をヨシヨシしてくれていた。

 

582: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:32:48.37 ID:+vWUIxCFO

「恥ずかしいとこ見せてすいません…」 
ようやく落ちついた。 
泣きすぎたってのもあるけど、
何だか少しスッキリしてた。 

佐々木先生
「いいえ。 
男の人がこんなに泣くの見るの初めてかもですw 
ハルちゃんもだよねー?w」 
ハル
「ねーw」 

佐々木先生
「お父さんのせいじゃないですよ。 
先生も言ってたでしょ? 生まれ持った性格だって。 
それにハルちゃんにはお父さんしかいないんですよ。」

 

583: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:33:59.32 ID:+vWUIxCFO

「分かってます。
こんな駄目な奴が父親で大丈夫なんすかね?」 

佐々木先生
「わたし初めてお父さんと会った時、
正直本当にお父さん? って思ったんですw 
なんかチャラいなーって。 
他の園児のパパって、
雰囲気とか面構えとかでパパって分かるんですけどね。 
お父さんは全然そう見えなかったです。」

 
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585: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:35:30.41 ID:+vWUIxCFO
俺「……」 

佐々木先生
「でも、今のお父さんはパパですよw 
パパの顔してますw
あの時のお父さんとは全然違う。 
見違えましたよ」 


「ありがとうございます…」 

佐々木先生
「それにハルちゃんだってきっと幸せですよ。 
お父さんが守ってくれてるから。 
お迎えに来る時に見せる笑顔なんか、
本当に幸せそうに見えます。」

 

586: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:37:17.12 ID:+vWUIxCFO

「はい…」 

佐々木先生
「だから頑張りましょ。 わたしも協力します。 
ずっとハルちゃんが笑顔でいられるだけで
十分じゃないですか? 
ハルちゃんはハルちゃんです。 
今まで通り愛してあげたらいいじゃないですか?」 

そう言われハルを見た。 
ハルは大好きなラムネを頬張り満面の笑みだ。 

また涙が零れた。 
佐々木先生の言葉に救われた。
ハルの笑顔に救われた。 

先生が言ってたな、
ハルちゃんを可哀想なんて思っちゃいけないって。

 

587: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:41:02.61 ID:+vWUIxCFO
本当そうだ。 
可哀想なんて思う俺は父親失格だ。 

どんな障害があってもハルはハルだ。 

俺はハルには俺みたいな大人に
なってほしくないと思っていた。 
将来自分の夢を持って、
それを叶えてほしいと考えていた。 

でもそんな先のことどうだっていいじゃないか。 

どんな未来でも、ハルがただ笑顔で過ごせれば。 

今のこの笑顔を失わないために俺が頑張ればいいんだ。 
今以上に愛情をそそげばいいんだ。 

何があっても、 
絶対にこの笑顔を守ろう。 
そう誓った。

 

588: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:49:03.39 ID:+vWUIxCFO
それから少しずつだけど、俺も変わっていった。 

料理を始めた。 
料理なんかしたことなかったけど、 
ハルの為にちゃんとした物を食べさせたかった。 

サリナの親に会いに行き、
 今までの事を含め謝罪しに行った。 
最初はすぐ追い返されてたけどな。 

何度も土下座した。 
許してくれるまで何度も通った。 

ハルのおじいちゃんおばあちゃんなんだ。 
少しずつだけど心を開いてもらえるようになった。 

ハルが可愛くて仕方ないらしい。 
和解とまではいかないが、
これからはハルのために協力すると言ってくれた。

 

589: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/18(金) 01:49:54.58 ID:+vWUIxCFO
すまん。 
限界がきたので寝ます。 
いつもみんなありがとう。

 

590: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 01:51:14.62 ID:vthVu/lh0
1かっこいいな。ありがと、ゆっくり休んでな
 
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613: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 10:58:21.40 ID:IcjtXhDSi
自閉症の宣告された時の親のショックは
なんとも言い難い 
自分が生きているうちに
こんなにショックな事があるなんて
考えたことも無かった。

 

616: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 12:16:33.89 ID:9E4H6xsO0
この子は発達遅滞ではあるんだろうが
全然自閉症っぽくないんだよな

 

622: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 19:33:14.69 ID:1WW3Tm+D0
>>616 
そうそう 
よく喋ってるんだよね 
うちには軽度の自閉症と言われた息子がいるけど、 
もうすぐ5才なのにハルより喋らないよ

 

623: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 19:36:38.45 ID:HH5ZkWjki
自閉症だからって話せないわけではないよ

 

625: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 19:49:59.30 ID:1WW3Tm+D0
>>623 
それは分かるんだけど、 
泣いたり喚いたりってのは自閉症じゃない子でも、 
普通にするからな 

自閉症で大人になっても
全く喋れない人はほぼ居ないし 
中度の自閉症と言われて
よく喋ってるように見えるハルは、 
よくがんばってんだなーって思うよ

 

646: 名も無き被検体774号+ 2014/07/19(土) 15:45:26.98 ID:S2Wfd9r80
>>622 
喋るのが早いとか遅いとかは個人差だけれど 
明確な自閉症のサインって言葉以外に幾つもあるから 
早い段階で発達遅滞じゃなく自閉症と断定するのなら 
医者や心理士なら
そっちの方で診断してると思うんだよね 

でも、それがハルって子には全くなさそうだから 
余計に診断した側の言動が
不思議なものに見えてしまうかな

 

620: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 16:39:30.28 ID:YVCfuuDW0
そういえば
>>1
は今何歳なんだ?
そしてハルはもう大人なのかな…
(´・ω・`)<気になる!!!!!!!!!!!

 

624: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 19:44:10.22 ID:3TRrZEly0
>>620 
たぶんこれから順に明らかになってくると思うよ 
>>247
>これから書いて行くこともあるから
>スルーしててくれると助かる。

それっぽい発言がある

 

650: 名も無き被検体774号+ 2014/07/19(土) 19:36:45.82 ID:Y30XdY9di
保育所の先生とフラグ立ってるんだよなぁ

 

651: 名も無き被検体774号+ 2014/07/19(土) 19:40:14.57 ID:pB0Lt/Vu0
>>650
私もそう思った
 
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652: 名も無き被検体774号+ 2014/07/19(土) 19:45:51.51 ID:dIeSGLnA0
お前ら素人だな 
実はヨシノおばさんとフラグ立ってんだよ

 

653: 名も無き被検体774号+ 2014/07/19(土) 19:55:05.29 ID:JP1Tz9JY0
お前ら社長とのフラグには気づいてないんだな

 

669: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:37:11.78 ID:LwQCgtEKO
すまん昨日はこれなかった。 
みんな色々レスありがとう。 
変な時間に目が冷めちまったので
続きを書いて行きます。

 

670: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:40:18.99 ID:LwQCgtEKO
ハルと過ごす初めてのクリスマス、 
小さなツリーにショートケーキにロウソク。 

ハル
「おたんじょーび?おたんじょーび?」 
と言って喜んでいたハル。 

クリスマスだけど、
ハッピーバースデーの歌を唄ったのを覚えている。 

すごい喜んでたよ。本当。

 

671: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:41:33.71 ID:LwQCgtEKO
正月にはサリナの実家や
カズエおばさんに挨拶に行った。 
カズエおばさんは退院して元気そうだった。 

ハル
「こににちわ」 
義母
「こんにちわねw 上手ねーw」 

ハルは元気に挨拶出来て誉められてた。 
ずっと練習してたんだ。 
出来て良かった。

 

672: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:42:51.54 ID:LwQCgtEKO
進級すると、ハルの為に園が
個別で一人先生をつけてくれる事になった。 
その際には佐々木先生が名乗り出てくれたらしく、
担当が佐々木先生になった。 

ハルも佐々木先生に懐いてたし、本当に良かった。 
で、感謝もした。 

休みの日が合えば、佐々木先生の勧めで
発達障害などのサークルや集会に行くようになった。 

色んな問題を抱えた親子さん達が集まり、情報交換をする。 
本当に勉強になったし、勇気を貰えて支えにもなった。

 

673: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:43:55.93 ID:LwQCgtEKO
初めて尽くしの一年だったな。 

ハルは4歳になった。 
いつもと違う道を通ったり、 
自分のうまくいかないことがあれば
すぐ奇声をあげ発狂してたけど、
抱きしめてあげて背中をトントン。 

先生
「ハルちゃんの中ではちゃんとした計画があるの。 
それを崩さないように。 
コツコツゆっくりでいいのよ」 
と児童精神科の先生。 

ハルにはハルの中で強いこだわりがあるんだ。 
だからこだわりを否定してはいけない。 
ハルの気持ちを尊重することが大切なんだ。

 
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674: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:44:54.18 ID:LwQCgtEKO
毎日仕事を終わってハルを寝かせたら、
少しでも育児に生かせたらと思い
専門の本なんかを読んで勉強した。 

ハルは耳で聞くより目で見たものを判断する。 
だから絵のカードを作って教えてあげたんだ。 


「電車だよ」 
ハル
「でんさー?」 

「そうそう じゃこれはりんごね」 
ハル
「じんごー?」 

「そうそう賢いねハルは。 上手ーw」 
ハル
「じょずーw」 

あくまで真似してるだけだけど、
それでもうんと褒めてあげるんだ。 
ハルはすごく喜んで手をパチパチさせる。

 

675: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:45:54.01 ID:LwQCgtEKO
これをずっと続けていくようにした。 

最近は少しずつだけど
俺の言葉にちゃんと反応し理解してくれ、
ままならない口調で返事してくれるようになったんだ。 
すごい進歩だ。 

毎週日曜日に行く、日課の散歩のおかげでもあった。 
散歩に行くと子供達が良く集まる公園がある。

 

676: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:47:01.58 ID:LwQCgtEKO
ハルは人見知りをしないが、やはりおかしな行動をする。 
一緒に遊びたくて近づいてるんだけど、
まわりのお父さんお母さんなんかが、
気味悪がってわざとハルから遠ざけるんだ。 

ただ仲良くしたいだけなんだよな。 
少し悲しい気持ちになったけど、
それは仕方のないことだと割り切った。
 
その時に、ハルと良く遊んでくれた女の子がいたんだ。

 

678: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:48:09.15 ID:LwQCgtEKO
まいちゃん。 
ハルより二つ上なんだけど、とてもしっかりしてた。 
ハルは小さい子のマネをすぐするので、 
まいちゃんはすごく頼りになった。 

まい
「ハルちゃんまいと遊ぼうねw 
まいのお菓子半分あげるねー」 
って。ハルもまいちゃんにすごく懐いてた。

 

679: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:49:07.06 ID:LwQCgtEKO
毎日悪戦苦闘はしてたけどさ、本当に幸せだった。 
我が子の成長を肌で感じながら、
自分も成長出来てるみたいで。 

1日1日を大切に過ごした。 
ハルにとってかけがえのない1日であるよう一生懸命に。 

あっという間にハルは5歳になった。 

そんなある日、事件は起きた。

 

680: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:52:27.04 ID:LwQCgtEKO

「ハルが帰ったってどう言うことですか?」 

今日は佐々木先生が風邪で休みってこともあり、
臨時で別の先生がハルについていた。 

先生
「ハルちゃんお母さんが迎えに来ましたよ。」 

1時間も前に帰ったとのこと。 
サリナが? 心拍数が上がる。 
俺はすぐ携帯で義母に連絡した。

 

681: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:54:09.05 ID:LwQCgtEKO

「ハルが保育園にいないんす。 
もう帰ったと言われました。 
サリナだと思う。 
連絡ありませんでしたか?」 

半年前からサリナの携帯番号が変わっていた。 
そのせいでこちらから連絡は出来ない。

 

682: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 04:55:15.10 ID:LwQCgtEKO
義母
「あの子から連絡ないわよ。 
わたしも探すわね。すぐお父さんにも連絡いれる」 

俺「すんません。 助かります。 
俺も心あたりのある場所を探しますんで」 

何故今。 何故このタイミングなんだろう。 
俺はサリナが行きそうな場所を探した。 
前住んでいたアパート。公園。スーパー。 
不安が募る。

 

683: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:00:00.63 ID:LwQCgtEKO
もしかしてもうこの街にはいないかもしれない。 
ハルにもう会えない。 

最悪の状況が頭をよぎる。 
俺はその不安を振り祓うように探し続けた。 

サリナがいなくなって2年が経つ。 

ハルを返してくれ。 
そして、 サリナに会ってもう一度話したい。 

サリナも人の親なんだ。 
ハルを置いていなくったとは言え、
こうしてまた会いにきた。 
きっと思うところもある。 

複雑な気持ちが入り交じる中、
俺は駅やショッピングモールなんかを虱潰しに探した。

 
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684: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:02:59.78 ID:LwQCgtEKO
途方に暮れる俺。 

いつかこんな日がくるかも。 
そう心の中で少しは思ってたじゃないか。 
でもこんなに早くその日がくるなんて。 

サリナ
「ハルが大きくなったら、また3人でこようね?w」 
昔のサリナの言葉を思い出した。

685: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:05:12.83 ID:LwQCgtEKO
春は桜が満開。 
秋は紅葉で彩る。 
地域にある記念公園。 
あそこかもしれない。 

時間が経ちすぎてあたりは暗くなっていた。 
最後の希望はそこしかない。
と、そう思い夢中で走った。

686: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:07:16.02 ID:LwQCgtEKO
俺「ハァ… ハァハァ…」 
汗だくで酸欠状態だ。 

ギィーコ…ギィーコ。 
「キャハハハハw キャハハハハw」 
ハルの笑い声が聞こえる。 

街灯に照らされた二人の姿を見つけた。 
ブランコに乗るハル。 
それを押していたのはサリナだ。

688: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:08:53.26 ID:LwQCgtEKO
俺「ハァ…ハァ…」 
ゆっくりと近づく俺。 

サリナ「久しぶり。」 
そこには優しい笑顔で
ハルと遊ぶお母親の姿があった。 
俺に気付いたサリナはすごく冷静だった。 


「ハァ… もう…会えないかと思った…ハァ 
ハルにも…お前にも…ハァハァ」 

サリナ
「ハル、随分大きくなったね。本当に大きくなった。」 
サリナはハルの頭を撫でながら俺とは目を合わせない。

689: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:10:27.28 ID:LwQCgtEKO
ハル「パパァー」 
ハルが俺に気付いて笑顔で走り寄ってきた。 

俺は、またハルを
この手で抱きしめれた事に少し安心した。 


「ずっと… ずっと待ってた… 
お前ともう一度会って話したかった… 
あの日記ですごく救われたんだ…」

690: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:13:02.97 ID:LwQCgtEKO
ハルが自閉症だと診断を受けてすぐ、
佐々木先生からサリナが
毎日日記をつけていた事を教えてもらった。 

俺は前のアパートにそれを取りに行ったんだ。 
家財は全てなくなっていたんだけど、
大家さんが処分に困っていたと、
日記や母子手帳なんかを入れた箱を
とっておいてくれたんだ。

691: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:14:17.66 ID:LwQCgtEKO
その日記には、 
ハルが産まれてサリナがいなくなる一週間前までが
記されていた。 

そこには、俺の知らないハルの成長と、
サリナの気持ちがたくさん書かれていた。 

ハルが離乳食を食べた日。 
ハイハイからつかまり立ちをした日。 
健康診断にひっかかた日。 
自閉症の疑いがあると告げられた日。 

俺が会社をクビになったこと。 
俺が帰らなくてなったこと。 
連絡すらとれなくなったことまで全部だ。

692: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:16:15.44 ID:LwQCgtEKO
でもその日記には、
喜びや不安は書いてあったけど、
微塵も不満や嫌みは書いてなかった。 
そこには優しくてたくましい、
ただ息子を愛する母親の姿を感じた。 

なのにだ。 
なのに何故ハルを置いていったのか。 

ずっと疑問だった。

 
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693: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:18:59.98 ID:LwQCgtEKO
申し訳ないが今日はここまで。 
続き今日書けたら書きます。 

後書く必要はないかもなんだけど、 
ハルは道路の白線をずっと睨み付け行き来したり、
戸を開け閉めするのが好きだったよ。 
電気を付けたり消したりね。 
後はつま先だけで走ったり気になった物があれば、
ずっとそれとにらめっこしてたり。

 

695: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:20:26.48 ID:LwQCgtEKO
散歩が好きだったから、
2時間3時間歩くのは当たり前だったな。 
こだわりの強い子だったのに
俺がその時は気づかなかった。 
それが普通の子供だと思ってたし。 
結構クセはあったけどそこは端折らしてもらったよ。 

最初は思い出したかったのと
整理したかったってので書き始めたんだよ。 
後誰かに聞いて欲しかったってのもある。 

今はこうやって見てくれて共感してくれる人もいて、
また親になってる人も見てくれてて。 
本当に感謝。 
だから最後まで書こうと思ってる。

 

698: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:23:05.22 ID:LwQCgtEKO
生意気言うが、 
あったことを思い出して書いてるんだが、
多少美化してるところは否定しない。 

後は実話かどうかってのは個人で判断してくれ。

 

701: 名も無き被検体774号+ 2014/07/20(日) 05:42:14.64 ID:59GixyUZ0
端折ったり美化したりは承知の上だよ~ 
ダラダラ書きになって読みづらいよりは
心に入りやすいしね 

ゆっくりで良いから最後まで頼むね!

 

702: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/20(日) 05:49:39.11 ID:LwQCgtEKO
みんなありがとう。 
またきます

 

697: 名も無き被検体774号+ 2014/07/20(日) 05:22:15.27 ID:D5zLQRTe0
「だったよ」…過去形………

 

712: 名も無き被検体774号+ 2014/07/20(日) 11:22:02.19 ID:nBOiF3lA0
「だった」にどんな意味が込められているのか
 
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713: 名も無き被検体774号+ 2014/07/20(日) 12:21:52.89 ID:u4UT68e/0
>最初は思い出したかったのと
>整理したかったってので書き始めたんだよ。 

思い出整理って嫌な予感がするなぁ…

 

714: 名も無き被検体774号+ 2014/07/20(日) 12:26:17.21 ID:/QWr1GQV0
実はこの話、十数年前の話しで
ハルはいい人と巡り会えてめでたく結婚したので、
今までの事を振り返りたい! 

…て事だと私は信じたい

 

765: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/22(火) 22:13:15.73 ID:u6YGH+CJO
放置して本当にすまん。 

今日書きため分投下します。 
用事済ませてからになるけどまた来ます。

 

775: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:14:28.46 ID:9O7549PaO
すまん。 

続きです。 
サリナ
「よく分かったね。ここにいるって。」 


「あー… 勘だよ。もしかしたらって…」 
来ると思ってここで待っていたんだろう。 
ここが最後だ。本当に来て良かった。 

サリナ
「ごめんね。 勝手なことして。 
心配したよね? 本当にごめん。」 


「いいよ。 元気だったか…」 
言葉が詰まる。

 

776: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:15:31.79 ID:9O7549PaO
いったい今まで何処で何をしてたのか。 
何故連絡がとれなかったのか。 
今は何処に住んでいるのか。 
他に男ができたのか。 

聞きたい事は山ほどあった。 
でも、それを言葉にすることが出来なかった。 
何故なら俺自身、
ずっと自由にやりたい放題してきたんだ。 
今更サリナを責める資格はない。 

ただこうして目の前にいる。 
それが何故か嬉しかった。

 

777: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:16:49.91 ID:9O7549PaO

「ずっと謝りたかった… 駄目なやつだよ俺… 
サリナが出ていって、ハルを一人で育てて。 
初めて子育ての大変さを理解した。 

毎晩思うんだ。 
一人でハルを育て、
サリナはきっと不安でしかたなかっただろうなって。 
辛い想いをさせたこと、申し訳ないと思ってる。 
本当にすまん…」

 

778: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:18:28.89 ID:9O7549PaO
サリナ
「いいの。 わたしが悪いの。 
自分が母親として未熟だったから。 
ハルを連れて行かなかったのは、
わたしの身勝手だから…」 

俺「なぁ…」 
もう一度戻って一緒に暮らそう。 
ハルのために、俺達家族のために。 
そう言いたかった。 
でも、 
言い出せなかった。。。 

俺の続きの言葉を待つサリナ。 
一瞬時が止まったように、ただ無言が続く。

 

779: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:20:50.46 ID:9O7549PaO
サリナ
「今までありがとう。 
わたし出ていってすぐ、
ハルを置いてきたこと後悔したの。だからね…」 
言葉を止めるサリナ。 

この後何を言われるのか分かっている。 
この先は聞きたくない。 
頼む。 
言わないでくれ。 

サリナ
「だから、ハルを返してほしいの… 
勝手だって分かってる。 
でも、わたしにはハルが必要なの…」 
と言って後ろからハルを抱きしめた。 

サリナ
「お願い… お願い…」

 

780: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:21:49.39 ID:9O7549PaO
頭を下げ肩を震わせるサリナ。 

昔の俺なら即答でOKしたと思う。 
その時の俺には子育てなんて無理だったからな。 

俺「すまん…」 
それしか言えなかった。 
俺は自分の行いを後悔している。 
勝手きままをしてきたんだ。 
どの口で 
「駄目だ。今更現れて
ふざけたことぬかしてんじゃねー。」 
なんて言えるワケがない。

 
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781: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:23:26.01 ID:9O7549PaO
もう一度やり直そうなんて、
単細胞の俺はまだ変な期待を持ってた。 
バカだよな俺。 
そんな気持ちサリナには
これっぽちもないはずなのに。当然だよ。 

サリナ
「今ならハルと二人でもやっていけるから… 
本当に今日までありがとう。
ハルを面倒見てくれて…」

 

782: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:30:00.45 ID:9O7549PaO
もし俺が何か言っても、
きっとサリナはハルを連れていくだろう。 
サリナの言葉には、そんな決意や重みが感じ取られた。 

それにサリナを見つめるハルの眼差しは、
ようやく母親と会えた嬉しさが滲み出ていた。 
その瞳は決してサリナのことを忘れていない。

 

783: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:31:11.26 ID:9O7549PaO
だから余計切なくなる。 
ハルにどちらを選ぶかなんて聞ける訳もなく。 
だいたい、ハルには理解できる状況じゃない。 
親の身勝手だ。 

なにより、子供にとって母親がいないことが、
どれだけ辛いかを俺自身よく理解しているつもりだ。 
ハルにそんな想いはさせたくないよな。 
そう思った。

 

784: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:33:17.61 ID:9O7549PaO

「ウィンナー… 後オムライスが好きなんだ… 
たまに作ってやってほしい」 

サリナ
「うん…」 

俺「日曜日は… 弁当持って、散歩してあげてくれ… 
日課だから…」 

サリナ
「うん…」 


「寝る時泣いたら… 
ゆりかごの歌唄って、トントンしてあげてくれ… 
ぐっすり眠るんだよ」 

サリナ「うん…」 
強がるしかなかった。

 

785: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:34:51.68 ID:9O7549PaO
俺は父親失格なんだ。
どれだけ2年間頑張っても、
家族を無視し続けたと言う事実は変わらない。 
どんだけ努力しても。
そう簡単に溝が埋まるはずがないんだ。 


「後親父さん達、すげー心配してたから。 
連絡は入れた方がいい…」 

サリナ「うん…」 
そう言うとサリナが携帯を取り出した。

 

787: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:35:53.56 ID:9O7549PaO
サリナ
「もしもしママ。 久しぶり…」 
母親に電話をしたようだ。 

サリナ
「分かってる… 本当にごめんなさい。 
今俺君とハルも一緒… うん…分かってる。」 

電話を切ると俺の方を見た。

 

789: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:37:15.18 ID:9O7549PaO
サリナ
「本当に今までハルのことありがとうね… 
また色んな手続きとかもあるし、
ハルの荷物もあるし。また連絡します…」 
そう言ってハルの手を握り、後ろを向いた。

 

791: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:38:43.01 ID:9O7549PaO
歩き出すハルとサリナ。 
その背中を見て、
心臓がギュッと押し潰されそうで、胸が苦しくなる。 

これでいいんだ。 これで。 
ハルの幸せが一番なんだから。 

ハルは何度も振り返って俺を見た。 

本当にこれでいいのか?

 
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795: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:46:13.96 ID:9O7549PaO
俺「サリナ!!」 
俺は大声で呼び止めた。 

サリナが振り向く。 

俺「遅いし… 泊まってけよ…」 

サリナはハルの表情を伺った。

 

796: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:47:16.72 ID:9O7549PaO
サリナ「そうだね。一晩泊めてもらおうかな。。」 

サリナが家に来ることになった。 

もう少し。 
もう少しだけでいいんだ。 
ハルのそばにいたい。

 

797: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:49:44.47 ID:9O7549PaO
サリナ
「綺麗に片づけてるんだね。」 


「あーうん。 
今すぐなんか作るからくつろいどいて。」 

俺は冷蔵庫の中のもので適当に作った。 
なんだか緊張する。 
いつもハルと二人だったから。

 

798: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:51:33.31 ID:9O7549PaO
その間サリナはハルとおもちゃで遊んでた。 


「それ、ハルのお気に入りのおもちゃなんだ。 
持っていってあげてくれw」 
空元気って言うのかな?
俺は無理して笑顔を作った。 

今日はずっと笑顔でいるんだ。
絶対悲しい顔をしないと決めた。 
ハルに気づかれないように、お別れしたかったんだ。

 

800: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:53:49.88 ID:9O7549PaO
野菜炒めと味噌汁だけだけど、テーブルに置く。 

俺「さー食べよ。 腹減ってるだろ?」 

サリナ「いただきます」 
そう言って味噌汁を一口飲んだ。 

サリナ「おいしい。」 
サリナがビックリした表情で俺を見た。 

俺「そうかw 良かったw」

 

802: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:54:55.35 ID:9O7549PaO
サリナ
「料理出来るようになったんだね?」 


「そりゃコンビニ弁当ばっかじゃ体に悪いだろw 
最初は苦労したんだ。 
ハルも全然食べてくれなかったしなw 
食えたもんじゃなかったよw」 

サリナ
「そっか。 すごいね。 
ハルもすごく賢くなったし。 
俺君頑張ってくれたんだね。」

 

803: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:57:13.72 ID:9O7549PaO
ハル
「ちーまん。ちらい。」 
ハルはピーマンをフォークでよけている。 


「ハル。ピーマン食べないと大きくならないよ。 
ずっと小ささいままだぞ」 
ハル
「ちいさい。やー」 

サリナ
「俺君。本当にパパみたいだねw」 
サリナが笑って俺を見た。 

サリナの笑顔。
今日始めて見たような気がする。 
いや、ずっと見てなかったな。 

こうやって家族三人で食卓を囲むのは初めてだ。 
だけど、これが最初で最後なんだ。

 

805: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 00:58:43.54 ID:9O7549PaO
ハルを寝かせて、電気を消し俺は畳に寝転ぶ。 
サリナはハルと一緒に布団に入った。 

全然眠れる気がしなかった。 
ハルと過ごした1日1日を思い返していた。 
ハルの寝顔を見るとまた泣きそうだ。 

サリナ
「寝れないの?」 
背中を向けたサリナが言った。
もう寝たと思っていた。 

俺「すまん…」 
何で謝ってんだ俺は。

 
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807: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:00:06.01 ID:9O7549PaO
サリナ
「俺君変わったね。 
大人になった。 パパだよ本当。 
ハルのこと本当に理解してるみたいだし。 
ハルもすごくパパに懐いて。パパっ子だね」 


「そりゃずっと一緒だったからなw 
それにハルのおかげで、
少しだけど成長できたんだよ俺も。 
良い父親じゃなかっただろうけど。」

 

809: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:03:54.26 ID:9O7549PaO

「俺みたいな最低なクズ男でもさ。 
こうやって父親できるんだ。 

子供ってすげーよな。 
どんな辛いことがあってもさ、 
その笑顔を見るだけで、
よし頑張ろって思えるんだよ。 
子供の成長だけじゃない。
それで親も成長していくんだなw」 

ハルが初めてパパって呼んでくれた日。 
俺は変わろうと思った。 

ハルが自閉だと分かった時、
父親としての自覚が出来た。 
本当にハルのおかげなんだ。

 

812: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:06:21.86 ID:9O7549PaO
それから少し話した。 

俺が帰らなかった頃のハルの話。 
サリナが出て行ってからの俺とハルの話。 
サリナが出て行った理由。 
今は地方の友達のところで
介護の仕事をしていると言ってた。 

初めてサリナと向き合って話したような気がする。 
本当に何もかもが遅すぎたと後悔した。

 

814: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:07:25.07 ID:9O7549PaO
サリナ
「わたしね。後悔してるんだ… 
あの日ハルを置いていったこと… 
何もかもから逃げ出したくなって… 
気づいたら電車に乗ってた…」 

サリナは何度もハルに会いに
保育園まで来ていたらしい。 
何度か顔を見たけど、
足が竦んでそばにいけなかったと言っていた。

 

815: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:09:11.48 ID:9O7549PaO

「これからは一緒だよ。 
いっぱいママができるだろ? 
2年間ハルも頑張ったし、
サリナも頑張ったんだ。 
ハルを大事にしてくれな。 
こんな俺が言うのもなんだけど。」 

サリナ
「ありがとう… でも俺君はそれでいいの…?」

 

816: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:10:41.62 ID:9O7549PaO
本当は駄目だと言いたい。 
それでもハルの幸せはサリナと暮らすことなんだと
自分に言い聞かせた。 


「ハルにはママが必要だよ。 
俺は大丈夫だ。 ハルにまた会いにいくし… 
何か困ったことがあったら
いつでも頼ってくれたらいい…」 

サリナ
「ありがとう… ごめんね…」 

その言葉がすごく心に響いた。 
辛くてしかたなかった。 

サリナは泣いているのか背中が震えていた。

 
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807: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:00:06.01 ID:9O7549PaO
サリナ
「俺君変わったね。 
大人になった。 パパだよ本当。 
ハルのこと本当に理解してるみたいだし。 
ハルもすごくパパに懐いて。パパっ子だね」 


「そりゃずっと一緒だったからなw 
それにハルのおかげで、
少しだけど成長できたんだよ俺も。 
良い父親じゃなかっただろうけど。」

 

809: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:03:54.26 ID:9O7549PaO

「俺みたいな最低なクズ男でもさ。 
こうやって父親できるんだ。 

子供ってすげーよな。 
どんな辛いことがあってもさ、 
その笑顔を見るだけで、
よし頑張ろって思えるんだよ。 
子供の成長だけじゃない。
それで親も成長していくんだなw」 

ハルが初めてパパって呼んでくれた日。 
俺は変わろうと思った。 

ハルが自閉だと分かった時、
父親としての自覚が出来た。 
本当にハルのおかげなんだ。

 

812: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:06:21.86 ID:9O7549PaO
それから少し話した。 

俺が帰らなかった頃のハルの話。 
サリナが出て行ってからの俺とハルの話。 
サリナが出て行った理由。 
今は地方の友達のところで
介護の仕事をしていると言ってた。 

初めてサリナと向き合って話したような気がする。 
本当に何もかもが遅すぎたと後悔した。

 

814: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:07:25.07 ID:9O7549PaO
サリナ
「わたしね。後悔してるんだ… 
あの日ハルを置いていったこと… 
何もかもから逃げ出したくなって… 
気づいたら電車に乗ってた…」 

サリナは何度もハルに会いに
保育園まで来ていたらしい。 
何度か顔を見たけど、
足が竦んでそばにいけなかったと言っていた。

 

815: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:09:11.48 ID:9O7549PaO

「これからは一緒だよ。 
いっぱいママができるだろ? 
2年間ハルも頑張ったし、
サリナも頑張ったんだ。 
ハルを大事にしてくれな。 
こんな俺が言うのもなんだけど。」 

サリナ
「ありがとう… でも俺君はそれでいいの…?」

 

816: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:10:41.62 ID:9O7549PaO
本当は駄目だと言いたい。 
それでもハルの幸せはサリナと暮らすことなんだと
自分に言い聞かせた。 


「ハルにはママが必要だよ。 
俺は大丈夫だ。 ハルにまた会いにいくし… 
何か困ったことがあったら
いつでも頼ってくれたらいい…」 

サリナ
「ありがとう… ごめんね…」 

その言葉がすごく心に響いた。 
辛くてしかたなかった。 

サリナは泣いているのか背中が震えていた。

 
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817: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:15:28.65 ID:9O7549PaO
カーテンの隙間から、
朝の日差しが差し込んだ。 
ハッと目が覚める。 
いつの間にか眠ってしまったらしい。 

まわりを見渡す。 
布団が畳まれていた。 
どうやら俺が眠っている間に出ていったらしい。 

俺「はぁ…」 
ため息と共に全身の力が抜けた。

 

818: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:17:05.74 ID:9O7549PaO
「パパー。ごぱんするの」 
えっ?ハルの声。 

驚いて振り向くと、
俺のそばでハルが目を擦っている。 

俺「ママは?」 

ハル「しなない…」

 

821: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:18:14.45 ID:9O7549PaO
テーブルを見ると封筒が置いてある。 
慌てそれを取り出した。 
中には手紙があった。 
そして判のついた離婚届。 

顔も洗わずそのまま手紙に目を通した。

 

822: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:19:09.97 ID:9O7549PaO
「俺くんへ 
朝早いけど始発があるので、
起こさないでそのまま出ます。 
おじゃましました。 
御飯おいしかった。ご馳走さま。 

ハルは置いていくね。 
夜中に起き上がって、
俺君にくっついていったの。 
俺君のそばじゃなきゃ安心して眠れないのかな。 

ハルは俺君が本当に大好きみたい。 
そんなハルの気持ち無視できないよ。

 

823: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:20:06.13 ID:9O7549PaO
離婚届は判を押して出して下さい。 
今さらだけど、
もし今の俺君となら幸せになれたかもね。 
わたし本当に最低な妻で母親でした。 
許して下さい。 

本当に勝手ばかり言ってごめんなさい。 
もう少し落ち着いたら必ず連絡します。 

ハル 一度もママって言ってくれなかったな。 
当然なんだけど、すごく寂しく感じた。 
これから大変かもだけど、
どうかハルをよろしくお願いします。 

サリナ」

 

824: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:21:10.59 ID:9O7549PaO
手紙を置くとハルを強く抱きしめた。 
自然に涙が溢れる。 

俺「ハル。 ママ好きか?」 

ハル「しゅきー」 

俺「そっか。 ママまた会いにくるからな。 
それまでおりこうにしてような。」 

ハル「ハルおりこーよw」 

俺「うん」

 
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825: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:23:02.06 ID:9O7549PaO
サリナがハルを置いていったのは、
きっと俺と同じ気持ちだったんだと思う。 
もし、もう一度一緒に住もうと言っていたら、
違う結果になってたのかな。 

こうしてまた、 父親としての生活が始まる。 
それが嬉しくて仕方なかった。 

ずっと前は、家族なんかで
俺の人生犠牲にしてたまるかって思ったりしたこともあった。 
でもさ、 誰かの為に生きるって大事だよな。 

家族がいる。 
守るモノがある。 
それだけで幸せなんだ。

 

826: 名も無き被検体774号+ 2014/07/23(水) 01:24:49.41 ID:immTBOLg0
いい父さんになったな…

 

829: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:27:25.35 ID:9O7549PaO
とりあえずここまでにしときます。 
続きはまだあるんだけど、
スレも後少しなんで簡潔に書くべきならそうします。 

とりあえずみんな本当にありがとう。 
こんな時間まで付き合ってくれて。

 

832: 名も無き被検体774号+ 2014/07/23(水) 01:30:20.39 ID:H9tMJjGF0
いや、自分のペースで書いてくれればいいよー 
スレは立てればいいいんだから 
最近人気になってきたからすぐいっぱいになる

 

835: 名も無き被検体774号+ 2014/07/23(水) 01:32:46.72 ID:ky9+RSwr0
昔別れた嫁と娘を思い出した。 
>>1 は本当に凄いと思う。俺の方が屑のままだ… 
この後も期待しています。

 

837: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 01:36:28.99 ID:9O7549PaO
みんなありがとう。 
続きはまた明日来ます。 
おやすみ

 

840: 名も無き被検体774号+ 2014/07/23(水) 01:41:51.34 ID:l3zSVSk50
それでも子供を二度も置いていくなんて、理解できない 
何か事情はあるだろうけど 
子供にとったらママもパパも必要だよ 
できたら三人で暮らしてほしい 
今がどういう状況かはわからないけど 
公園から家にいって朝離婚届ってことは
既に離婚届は準備してあったんだよね 
なんだかな…

 

848: 名も無き被検体774号+ 2014/07/23(水) 10:11:38.81 ID:ZXga5i5O0
ハルの為にもう一度夫婦やり直してくれ 
>>1だってサリナだってそれが最善だって分かってんだろ
お互いハルのことを1番に考えてるんだし 

って言っても現在の状況分からない

 

856: 名も無き被検体774号+ 2014/07/23(水) 15:44:29.56 ID:piFfMG560
何年前の話か分からんが
>>1とハルが今も幸せに生活していることを願う
 
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874: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 23:38:13.52 ID:9O7549PaO
みんないつもレスありがとう。 

サリナとのことはまだこれで終わってないんだ。 
後次スレは考えてなかったw 

ダラダラでいいなら、まだ書きます。

 

878: 名も無き被検体774号+ 2014/07/23(水) 23:48:16.07 ID:BU96+GhO0
ダラダラばっちこーい

 

879: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 23:51:03.49 ID:9O7549PaO
ありがとう。 
とりあえずグダグダになってきて申し訳ないが、
続き書きます。

 

882: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 23:52:26.53 ID:9O7549PaO
続き 
「見つけたぞ。 お前が探してるやつ。」 

仕事中にツレからの電話だ。 
サリナとの事があって数週間が経った。 
あれから俺は人を探してた。

 

883: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 23:54:21.99 ID:9O7549PaO

「今どこにいんの?」 
ツレ
「ホストは辞めて、
○○ってBARでバーテンしてんだと。」 

「そっか。 分かった。ありがとう。」 

電話を切るとすぐ保育園に連絡した。 
用事で遅れるって。 

仕事が終わると、
その足で電車に乗り込み繁華街へと向かった。

 

885: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 23:56:41.97 ID:9O7549PaO
俺がサリナと喧嘩ばかりで、
たまにしか家に帰らなかった頃のことだ。 

毎晩クラブに行ってはナンパばかりしてた。 
その時もツレと二人でナンパしてた。 


「ここ初めて?」 

「うんw」 
ツレ(洋介)
「良かったら、
俺ここのオーナー顔きくからVIPいかない? 
おごるよw」 

ちょうど良さそうな女二人をタゲにした。

 

886: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/23(水) 23:59:17.60 ID:9O7549PaO

「行く行くーw」 

きつい酒飲まして、
いい感じになったらカラオケなどに誘う。 
お決まりのパターン。 


「ねぇ、2人きりになれるとこいかね?」 
女A
「いいよーw」 


「俺ら今から外出るけど、 洋ちゃんはどうする?」 

洋介
「じゃ俺らも行くか?」 
女B
「うんw」 

そう言って出ようとしたとこで
どうやらホストらしい。

 
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887: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:01:05.30 ID:9O7549PaO
ホスト1(リョウ)
「おいクソ。 お前俺ってやつか?」 
俺にわざと体をぶつけてきた。 
カチンときたけどとりあえず我慢。 


「ん? そうだけど何か?」 
ホスト2
「ユミって女知ってんだろ?」 

ユミ?ユミ?んー知らない。 

俺「いや知らね。」

 

889: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:04:12.75 ID:88SZrFFHO
リョウ
「バカかてめー。 アホなの? 先週ナンパしただろ?」 


「ユミって女知ってる?」 
覚えがないので洋介に聞いた。 

ツレ
「あーたしか先週ナンパした女じゃね? 
たしかユミとかって… 
確か趣味ホストとか言ってたよなw」 


「そんなのいたかなw ごめん。 
毎日ナンパしてるから忘れたわ。 
そのユミって女が何?」

 

890: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:06:34.53 ID:88SZrFFHO
先週ナンパした女は、このホストの女だったらしい。 
でお冠なわけだ。 

リョウ
「おいカスが調子のんなよ。 
人の女に手出しやがって。 どう責任とんだ?あっ?」 

他の2人のホストはそれを見てニヤけてる。 


「でもあの女彼氏いねーって言ってたなw」 
リョウ
「ぶっ殺す」 
俺の胸ぐらを掴むホスト。 

リョウ
「頭ワリーの? なんなら恐い人呼ぼうか?」

 

892: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:08:50.30 ID:88SZrFFHO

「落ち着けよホスト君。 
まあ、話しならゆっくり外でしよw」 

ナンパしてたら、こんなトラブルはしょっちゅうだ。 
だから一応、毎回彼氏持ちかどうか確認するんだけど。 
まあナンパに付いてくるような女は、
たいがいいないって言うのは当たり前か。 

とりあえず女置いて
ツレとホスト3人と一緒に、表に出たわけだ。

 

893: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:10:15.94 ID:88SZrFFHO
ガキの頃から喧嘩ばかりだったし、
当然出た瞬間にボコボコにしたんだ。 

一番粋がってた、リョウってホストは
鼻をやっちまってた。 
泣いて許してくれって言ってたけど、
やる時はとことんやる性格だったから
歯止めが利かなかった。 

氏んだんじゃないか?ってとこで
ようやくブレーキがかかった。

 

897: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:12:09.83 ID:88SZrFFHO

「ごめんなー。 ちゃんと生きてる? 
お前の女かわいかったわw」 

覚えてないけど。 

ツレ
「ウホッ。 こいつ財布に10万入ってる。 
手が痛てーし、慰謝料代わりにもらっとくかw」

 

899: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:16:11.62 ID:88SZrFFHO
やりたい放題。本当無茶苦茶ばっかしてたんだよ。 

当然のようにその報いを受けた。 
ただし不幸はサリナに降りかかった。 

サリナが泊まったあの日、言ってたんだ。

 

900: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 00:16:16.70 ID:vA5ISy470
子育てだけ読んでるとすげーいい奴に思えるけど、
ヤンチャしてたんだな
 
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901: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:18:00.14 ID:88SZrFFHO
俺が家にいないのに、
リョウってホストと店のオーナーが来たと。 

リョウはすごい怪我をしてたらしい。 
俺にやられたから慰謝料払え。 
払わないなら刑事事件にすると言われたそうだ。 

夜中に何度もしつこく家に来たらしい。

 

902: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:21:32.19 ID:88SZrFFHO
俺が刑務所に入るのが嫌だったのと、
俺が少しでも変わってくれるならと思い、
渋々契約書にサインしたらしい。 

毎月10万の支払いはきつかった。 
俺とは連絡つかないし、 
貯金も底をついてた。 
パートだけじゃたかが知れてる。 

家賃も払えず支払いに追われ、
とうとう精神的に限界がきた。 
そして現実から逃げてしまったとサリナが言ってた。 

何より俺を裏切ってしまった自分が許せないと。 
もう母親でいられないと思ったらしい。 

結局サリナを追い詰めたのは俺なんだよな。 

俺はクズすぎだ。 
本当。 
分かってたことだけど、 
結局サリナが出て行ったのは全て俺が悪いんだよ。

 

905: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:27:39.38 ID:88SZrFFHO
ツレに教えてもらった○○って言うBARに到着した。 
ビルの二階で人気はなかった。 

【close】の表札がぶら下がっている。 
どうやらまだ店は閉まってるらしい。 

一つの覚悟をしてリョウに会いにきたんだ。 
ずっと自分の行いを後悔してきたんだよ。 
そして今回も。

 

906: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:29:16.42 ID:88SZrFFHO
入り口の横で座って待ってるうちに、
リョウがやってきた。 

リョウ
「すんません。 もうすぐ店開けますんで。」 

俺はすぐ気づいたけど向こうは気づいてない様子だ。 


「いや、 客じゃないんすよ。 
リョウさんすよね?ホストやってた」 

リョウ
「あーそうだけど。 
リョウは源氏名で本名は違うっすよ。 
あんた誰?」

 

908: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:30:36.13 ID:88SZrFFHO

「俺っていいます。 覚えてますか?」 

ハッとした顔をした。どうやら思い出したようだ。 

リョウ
「な、何だよ。 今さら? け、警察呼ぶぞ。コラッ」 
リョウの顔色が変わり動揺を見せる。

 

909: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:31:39.37 ID:88SZrFFHO

「あのずっと前。 
クラブで俺がしたこと覚えてますよね?」 
俺は息を飲み目をつぶった。 

リョウ
「わ、忘れるわけねーだろ。 だから何だよ今さら。」 

俺「どうもすいませんでしたー」 

俺は土下座し頭を床につけた。

 

910: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:32:36.59 ID:88SZrFFHO

「許してもらえるようなことではないのは
重々承知です。 
でも、 本当に本当にすいませんでしたー」 

俺は大声で謝った。 
何を今更って感じだけどな。 

それがリョウに火をつけたのは言うまでもない。

 
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911: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:33:36.78 ID:88SZrFFHO
リョウは立てかけてたモップで、
俺の顔に目掛けてフルスイング。 
目の上を怪我したのか床に滴り落ちる。 

俺「すいませんでしたー」 
俺はすぐに姿勢を戻して謝った。 

リョウ
「っざけんな。 このカス」 
今度は蹴りだ。 

それでも姿勢を戻して謝った。

 

912: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:38:48.98 ID:88SZrFFHO
リョウは完全にキレたのか、
何度も俺を攻撃した。 

リョウ
「おいお前の嫁バカだよなw 
きっちり100万払ってよ。 
しかも追加で50万請求したら、
もう金がねーって言うから、 
仕方なくちがうモンで払ってもらったわw 」 

いつもの俺だったら、我慢せずに反撃してた。 
でも歯を食いしばった。 

サリナはそれを裏切ったと後悔してたんだ。 
責任は全て俺にあるんだ。

 

914: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:41:50.28 ID:88SZrFFHO
叩かれすぎて感覚がなくなった頃、
リョウも疲れたのかようやく手が止まった。 

リョウ「ハア。ハア。 

バカかお前。ハアハア」 

俺「すい…ません…でした…」 
口の中を切ってうまく喋れない。 

リョウ
「チッきめー。もういいよ。ウゼーッ。 
その面二度と見せんな。」

 

916: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:43:53.29 ID:88SZrFFHO
そう言ってリョウは店へと入っていった。 
俺は気を失いそうだったけど、
どうにか持ちこたえて壁にもたれて座り込んだ。 

何故わざわざこんなことしたかって。 
自分への戒め。 
そして誠心誠意リョウに謝りたかった。 
ただの偽善だとか、
自分に酔ってるだとか言われるかもしれないけど。 
それでも俺はきちんと謝りたかったんだ。 

何よりサリナはもっと辛かったんだよ。

 

918: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:47:19.20 ID:88SZrFFHO
若気の至り? 
昔はやんちゃしてました? 
ダッサ。 
そんな父親嫌だよな。 

これから先、もしハルが誰かを傷つけたとして。 
俺はどんな顔でハルを叱ればいいのか。 
こんな俺がハルに何て教えたらいいんだ。 

怪我をさせて謝らない親が、
息子に謝れなんか言えるか? 

こうでもしないと、
俺自身納得がいかなかったんだ。 
これが良かったと言うわけじゃないんだけど。 
それでも、俺は誇りを持って
息子にいけないことはいけないって言いたい。 

少しでも良い父親になりたかった。

 
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920: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:51:48.45 ID:88SZrFFHO
うわー、しまった。 

保育園からの電話でハルの迎えを思い出した。 
俺はタクシーに乗り込んで急いで保育園に向かった。 
まあズタボロだったからゆっくりだったけど 。 

ボロボロな俺の姿を見て、
運転手さんがすごく心配してたのを覚えている。

 

921: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:52:57.26 ID:88SZrFFHO
ハルと佐々木先生が門の前で待っていた。 

ハル「パパーw おかえりー」 
ハルがよってきた。 

俺「おそくなって…ごめんな…」 

佐々木先生
「キャッ。どうしたんですか? その怪我…」

 

922: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:56:13.91 ID:88SZrFFHO

「すいま…せん…転んじゃって…」 

すぐに近くの病院で手当てをしてもらった。 
結構ひどかったけど、
体だけは丈夫だったんだよな俺。

 

923: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 00:58:16.81 ID:88SZrFFHO

「大した怪我じゃなくて良かったっす。 
本当迷惑かけてすいません…ッ」 

佐々木先生
「どこが大したことないんですか? 
大怪我じゃないですか?」 


「すいません…面目ない…」 

ハル
「パパー、イタいの?イタいの?」 
ハルが心配そうに俺を見る。

 

924: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 01:00:12.15 ID:88SZrFFHO

「心配かけてごめんなー。 もう大丈夫だよ」 
そう言ってハルの頭を撫でた。 

佐々木先生
「いったいどうしたんです? 
転んでこんな怪我…ありえないです」 

俺は佐々木先生に簡単にだけど理由を説明した。

 

925: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 01:01:44.17 ID:88SZrFFHO
佐々木先生「はぁ」 
佐々木先生が深く溜め息をついた。 

俺「本当にすいません。」 

佐々木先生
「駄目ですよ。 許せません。 
喧嘩なんて信じられない。 大の大人が。 
もしもお父さんに何かあったら、
ハルちゃんはどうなるんですか? 
ハルちゃんのこともっと考えてあげて下さい。」

 

926: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 01:02:49.22 ID:88SZrFFHO
ごもっともだ。 
単細胞すぎる俺。 
でも何だかすっきりしてる。 

佐々木
「お父さん?
昔にどれだけ間違いがあっても関係ないです。
父親なんだからハルちゃんが間違ってたら、
きちんと注意すればいいんですよ。 
それが親なんだし、誰だって子供には
正しく生きてほしいと思うのは当然なんですから。 
お父さんが間違いに気づいたってだけで
十分じゃないですか?」

 

927: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 01:05:05.07 ID:88SZrFFHO
俺「はい」 

佐々木先生
「父親なら、過去にどんな悪いことしてきても。 
子供のためなら手本になれるでしょ。 
大事なのは今ですよ。」 

俺「はい」 

正論だ。 

佐々木
「よろしーw
もう絶対にこんなことしないって、
ハルちゃんにもわたしにも約束して下さい。」 

俺「はい。約束します。」 

佐々木「明日はわたしが朝ハルちゃん迎えに行きますから。 

ちゃんと体を休めて下さいね。」

 

928: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 01:06:35.94 ID:88SZrFFHO
どうもこの先生といたら調子が狂う。 
でもこうやって、
真剣に間違いを正してくれる人がいるってことは
俺には大切なんだ。 

彼女の言葉はハルのためなんだ。 
本当に勉強になった。 

まだまだ父親としては未完成だと実感させられた。

 
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932: クズ ◆ZST.gXlq96 2014/07/24(木) 01:13:33.38 ID:88SZrFFHO
スンマセンとりあえずここまで。 

 

929: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 01:08:04.25 ID:smvnUu8z0
なんかオカシクね? 

お前はやりたい事やったあげくに 謝ってスッキリ 
リュウも痛い思いはしたが
金せしめて家族壊してスッキリ 

セリナ…預かり知らない事で大金払い
ひどい目にあって家族無くす。 

最初から読んでてファンなんだけど、
これは納得いかんわ

 

930: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 01:11:27.70 ID:twSuqGZR0
>>929 
気持ちはわかるが最後まで読もうぜ

 

931: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 01:13:22.13 ID:+3kzKEYD0
>>929 
言いたいことはわかるが 
まぁ最後まで聞こうよ

 

939: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 01:35:08.95 ID:smvnUu8z0
>>930 
>>931 
ごめん。ちょいイラついてた。 
主もぶったぎって悪かった。 
本当に最初から読んでて感情移入しすぎた 
俺も違う方向だけどかなりクズだったと思うけど
今は嫁と娘二人、
キツイけど適度に幸せに暮らせてる。 
ガンバレ!!

 

940: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 01:43:39.65 ID:Fm6U13l60
今更何言ってんの 
最初からクズだって言ってんじゃん 
確かに余りにもサリナが不憫なのは分かるけどさ 
気に入らないなら閉じればいいだけの話しだ
 
941: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 01:46:20.46 ID:CnReu2lPO
>>1叩いてるやつ何なの? 
昔はクズでも今変わろうとしてんだから
応援すればよくない。

しかも前科が傷害でまた傷害は実刑濃厚だろ。
金とって過剰防衛でもないし。 
もっと話の筋理解しろよ。
ホストにあいにいったのはハルのためだろーがよ

949: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 02:02:08.66 ID:H8DqjWly0
>>941
理解した上で納得できない人だって居るだろうよ 
ハルのためでも、じゃあセリナは?ってのはあるよ 
この先セリナに対して償いがあったとしても
しでかしたことは消えないわけだし 

>>1が更生して
ハルのために頑張ってるのを見るのは
引き込まれるし、続きも気になる 

でも、それまでのクズ行為も
許容するのかって言ったらそれは違うと思う

951: 名も無き被検体774号+ 2014/07/24(木) 02:06:29.19 ID:smvnUu8z0
悪かったぁぁぁぁぁぁぁ。 
本当に俺のレスに反応しないでくれ。 
次スレに期待してます。
 
 
 
 
 
※後編に続きます。
 
 
 
引用元:http://www.tanoshikoto.com/archives/50199719.html