むかしむかし…
突然の病気で若くして入院手術をすることになった友人がいた
入院費まではよかったがその後しばらくの生活費がどうにもならないと、少額だが借金を申し込まれた
入院が思いの外長期になってしまったため仕事も切られてしまったようだった
俺にとって恩もあった人物だったので、少額だったこともあって「返すのは100年後でもいいから」と言い添えて貸した
友人はその後苦労に苦労を重ねた
持病もちとなったことが災いし、再就職にも数年を要した
その間にも俺のほうにもお金に関して困ったことが数度あった
その度「あのとき貸したお金があったらば」と考えたりもしたが、
「100年後」と言った手前こちらからは催促できずにいた
あわよくば察してくれないものかと考えていたと思う
そのうち俺の中で友人は次第に「貸した金を返さないやつ」になっていった
まあ、実際そうなんだけど
書き忘れたが、この友人は人あたりもよくコミュニケーションの化け物みたいな人物なのだが、
自分から誰かに連絡をとると言うことを滅多にしない人
そうしなくても相手のほうから歩み寄ってくるという人のほうが多かったのだろう
不思議な魅力と人望のある人物だから
そんなだから、俺が連絡をしないと1ヶ月でも2ヶ月でも、
簡単に疎遠になってしまう
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結局、前記みたいな感情もあって本当に次第に疎遠になってしまった
何だよとも思いつつ、なぜか意地にもなってしまってそのまま数年の時間が過ぎてしまった
さて数年後、本当にフとした思いつきで彼に連絡をとることにした
いつもの店にいつもの時間で
まるで昨日別れた友人のように自然に約束をとりつけた
本当に自然に
「よう!久しぶり!」「お前どうしてたんだよ!」と言う反応もなく、
「うん。どうした?○○に○時でいい?OK」
こんな感じ
勢いとしか言いようがない。その席でついに言ってしまった
「あのときのお金を返してくれないか。どうしてもかつ緊急に必要なんだ(嘘)」
返ってきたのは「ああ、わかった」と二つ返事
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その翌日には色付きでお金は返ってきた
さすがに色は受け取れぬと言うも、それは利息のようなものだと
結局受け取ってしまう
謝られてしまったよ
実は返す用意はコツコツと整えていた
いつ返せと言われてもいいようにと封筒に入れて、貧しい生活で困っても使ってしまわないようにと管理して
でも本当は待たずに申し出るべきだった、100年後という言葉に甘えてしまったな、と
確かに、受け取った袋は少しヨレヨレだった
俺はと言うと感情の整理がつかないでいた
もとはと言えば手放すつもりで人助けのつもりで差し出したお金
それに後ろ髪ひかれるみたいにまるで拗ねたように何年も連絡を断っていたこと
いや、特に俺が間違っていたとは思わない
貸したものが返されないのはふつうに腹がたって然るべきことだと思う
彼の言った「100年後と言う言葉に甘えた」と言うのもそれはふつうに落ち度だろうと
でも言うなればお互い様だと思った
だから何も問わないことにした
連絡を断っていたことの理由も話さず
と言っても今日まで追求されることもなかったけど
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友人との交流はそれから何事もなかったようにふつうに再開され、それからさらに数年後の今
お互いすっかりオジサンになってしまい
持病をもった友人も既に早過ぎるリタイア生活となった
でもいろんな人に友人は支えられていて、独身ながら幸せそうだ
●コメント
お金の貸し借りは難しいですね。
催促するのも気が引けるし。
●コメント
世間でよく言われてるように、自分は、お金を貸す時はあげる心算で渡す。
金額の上限は、その人に対する恩等を考えて、香典として最大に出せる金額まで。
(この場合の香典金額は、世間の相場ではなく、自分の気持ちとして出せる金額)
返ってこなくても、将来亡くなった時の香典の先渡しなので、気持ち的には平気。
葬儀に手ぶらで行って、何か言われたら、「生前に幾ら貸していたので、それと相殺で」って言ってしまえばいいし。
●コメント
なるほど。いい手だ。真似させてもらうよ
何を書いても構いませんので@生活板 38
http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1483282488/