サンサーラ速報❗️

【クレヨンしんちゃん】【幻の最終回】ひろし「余命2か月・・・か・・・ゴホッ」 ⇒ 残されたしんのすけ達に、ひろしが取った最後の行動とは…?

1:名無しVIP2012/04/21(土) 17:20:16.23 ID:DoBsko1C0

 

みさえ「あなた~時間よ~起きて」

 

ひろし「ううっ・・・ごほっ・・ごほっ」

 

みさえ「調子悪いの?」

 

ひろし「超調子悪い」

 

しんのすけ「父ちゃんつまらない」

 

ひろし「ダジャレじゃねーよ!うっ・・・ごほごほ」

 

ひろし(きもちわりぃ・・・頭いてぇ・・・だるい・・・)

 

ひろし「ま・・まぁ別にそこまでひどくねーから心配はいらないよ」

 

みさえ「そう?無理しちゃだめよあなた」

 

ひろし「いってきまーす」

 

4:名無しVIP2012/04/21(土) 17:21:06.91 ID:uhsmU4p80

 

勘弁してくれ

 

8:名無しVIP2012/04/21(土) 17:23:31.63 ID:t0/cCxgWi

 

しろだったら泣いた

 

10:名無しVIP2012/04/21(土) 17:23:46.17 ID:DoBsko1C0

 

会社にて~

 

ひろし「でここがこうあるからしてこのような経済効果が生まれてですね・・・」

 

ひろし「ごほっごほっ・・・ごはぁああ!!」

 

河口「うわっ・・・血が出てるじゃないですか!!大丈夫ですか係長!」

 

ざわざわ

 

ひろし「大事なプレゼンなのに・・・。」

 

ひろし「河口…頼んだ・・・」

 

11:名無しVIP2012/04/21(土) 17:24:14.06 ID:x3+UXRi/i

 

会社休めよ

 

16:名無しVIP2012/04/21(土) 17:27:38.00 ID:DoBsko1C0

 

病院にて~

 

看護婦「野原さ~ん 野原ひろしさ~ん」

 

ひろし「はい・・・」

 

看護婦「3番診察室へどうぞ~」

 

ひろし「失礼します」

 

医者「あ~、うん・・・あ~」

 

ひろし「で、どうなんですか?」

 

医者「肺に白い影移ってますね…これです」ピラッ

 

ひろし「(ま・・さか?)あの、それって?」

 

医者「はい。野原さんは肺がんです」

 

19:名無しVIP2012/04/21(土) 17:31:10.77 ID:tMT3tb1V0

 

タバコ吸わなくても肺がんになる人はなる

 

20:名無しVIP2012/04/21(土) 17:32:39.61 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「どうして・・・ど、どうしてですかっ!!

 

ひろし「しん、長男が生まれてから・・5年前からタバコはやめました!なのにっ!」

 

医者「落ち着いてください野原さん。タバコを吸っているとがんのリスク

 

が高まるだけです。」

 

ひろしです「先生…なおるんですか?」

 

医者「野原さんの癌のレベルはステージ4。切除は不可能でしょう。」

 

23:名無しVIP2012/04/21(土) 17:34:20.89 ID:qucVHRF70

 

末期レベルじゃねーかww

 

25:名無しVIP2012/04/21(土) 17:37:12.49 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「どうすれば・・・どうすればっ!!」

 

医者「抗がん剤で治療しても、40・・いや30%か・・・」

 

ひろし「ううっ・・・・」

 

医者「野原さんの癌は肺の数か所に転移しています。完全に治すのは不可能かと。」

 

ひろし「・・・。」

 

いしゃ「持って余命は3か月です。」

 

ひろし「!!!!!!!!!!」

 

30:名無しVIP2012/04/21(土) 17:40:39.54 ID:DoBsko1C0

 

医者「なぜ吐血するまでほっておいたんです?」

 

ひろし「時間が…なくて・・。健康体でしたし・・・。」

 

医者「ともかく今日の時点では何もできません。」

 

医者「今後どうするのかを家族の皆さんと話し合ってきてください。」

 

医者「残された時間は限りなく少ない。1日1日を大切に過ごしてください。」

 

31:名無しVIP2012/04/21(土) 17:41:33.06 ID:YY3H1xC/0

 

トーチャン…

 

32:名無しVIP2012/04/21(土) 17:45:00.80 ID:DoBsko1C0

 

河口「先輩どうでした!!?」ガタッ

 

ひろし「おう、来てくれてたのか!肺が炎症を起こしてたんだってさ」

 

河口「そうなんですか!?よかったぁ…いきなり吐血するもんですから肺

 

がんとか重い病気を想像しちゃいましたよ~」ヘラヘラ

 

河口「癌なんて悪化したらホント治りにくいらしいですね!うちのおばあ

 

さんはすい臓がんで」ヘラヘラ

 

ひろし「すまない。ちょっと今日用事あるから。先帰るわ。わざわざ来て

 

くれたのに悪いな。」

 

河口「あッ??はいわかりました。」

 

ひろし「(くそっくそっ)」ガタガタ

 

34:名無しVIP2012/04/21(土) 17:48:04.56 ID:DoBsko1C0

 

みさえ「おかえり~あなた。今日はみさえ特性ハンバーグよ!!」

 

 

 

↓ひろしは、もう長く無い……続きはコチラ↓

ひろし「ああ・・・そうか・・・。」トボトボ

 

ミッサエ「??なにかあったの?」

 

ヒッロシ「・・・いや、なんでもない」

 

しんのしけ「おっかえり~父ちゃん!!今日はあいちゃんちに行ったんだゾ」

 

ひろし「そうか…よかったなぁ・・」トボトボ

 

みさえ、しんのすけ「??」

 

37:名無しVIP2012/04/21(土) 17:51:06.27 ID:9AnqU55s0

 

時々名前おかしいぞ

 

38:名無しVIP2012/04/21(土) 17:51:32.91 ID:+rnlW3Df0

 

ミッサエ

 

39:名無しVIP2012/04/21(土) 17:51:53.00 ID:6qP3ae5J0

 

名前ワロタ

 

40:名無しVIP2012/04/21(土) 17:52:02.58 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「’(いつきりだそう・・・。)」

 

しんのすけ「ピーマンさんはおらになんかたべられてくないだろぉなぁ~」コソコソ

 

みさえ「こらっ!!ピーマン残しちゃいけませんって何回言ったらわかるの!!」

 

しんのすけ「んとね~一万回!」

 

ひろし「好き嫌いするなっていってるだろうが!!」ガンッ 

 

しんのすけ・みさえ「!!・・・」ビクッ

 

みさえ「そんなに強く言わなくたって・・・」

 

ひろし「もういい!!」スクッ ドンドンピシャ

 

しんのすけ「今日の父ちゃんなんか変だぞ・・・」ブルブル

 

50:名無しVIP2012/04/21(土) 18:02:56.79 ID:R0nwbD0o0

 

ひ、ひろし…

 

72:名無しVIP2012/04/21(土) 18:17:56.04 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「まだひまだってしんのすけだってちいさいじゃねぇかよ」

 

ひろし「俺のこと大きくなっても覚えててくれるかな・・・」

 

ひろし「ううっ・・・くそっ・・・くそっ・・・。」

 

ひろし「俺が悪いことしたのかよ!!グッス・・・ヒッグ」

 

ひろし「まだまだ一緒にいたい」

 

ひろし「おおきくなったらみんなで海いってばかやったり・・・入学式だって…ヒグ・・」

 

ひろし「みさえぇ・・・しんのすけ・・・ひまわりぃ・・・シロォ・・・」ポロポロ

 

79:名無しVIP2012/04/21(土) 18:22:10.40 ID:DoBsko1C0

 

シロォの時点であったかいナリィ・・・思い出したwwww

 

みさえ「あなた」コンコン

 

ひろし「!!はいってくんあ!」ダラダラ

 

みさえ「な、なんかあったの?」

 

ひろし「なんでもぉ、ねぇよおお」ジュルジュル!

 

みさえ「なんかあるんなら私に話してみて?・・・」

 

ひろし「ほんとぉに・・グスッ・・・なんもないからぁ」ズビズバッ!

 

みさえ「落ち着いたらでいいから…話に来て観て?・・・。」

 

80:名無しVIP2012/04/21(土) 18:23:10.51 ID:jXh2Qh7I0

 

涙腺が

 

81:名無しVIP2012/04/21(土) 18:23:53.99 ID:ul0jLiZT0

 

。・゜・(ノД`)・゜・。

 

87:名無しVIP2012/04/21(土) 18:29:37.62 ID:DoBsko1C0

 

しんのすけ「zzz・・・zzz」

 

ひろし「(ここは心配させないよう…なくな俺!!)」

 

ひろし「さっきは悪かったな・・・。」

 

みさえ「ううん・・・何か・・・あったの??」

 

ひろし「実は俺、肺がんであど3か月しかいきられないんだってさ」

 

みさえ「!!」

 

ひろし「いやいや、そこまで心配することじゃないだろ?だってほら、俺

 

がいなくてもあんまかわらんだろ?金のことは死んだときはいるしな」

 

ひろし「しんのすけたちも大きくなれば俺のことなんかすぐにわs!!・・・」

 

みさえ「ううぐ・・・うう」ポロポロ

 

みさえ「どうしてそんなこというの?あなたはあなたで一人しかいないの

 

!!代わりなんていないの!!」バンッ

 

みさえ「しんのすけたちは忘れないわ!もちろん私だって!!」

 

みさえ「自分のことをいらない存在みたいに言わないで!!」

 

90:名無しVIP2012/04/21(土) 18:31:29.32 ID:olCeCI7g0

 

これは近年稀に見る良SS

 

97:名無しVIP2012/04/21(土) 18:36:47.00 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「スマン・・・・。」

 

みさえ「ううっ・・・ぐぅうう・・・うぇええ」ポロポロ

 

ひろし「・・・今考えることは今後どうするか・・・だ。」

 

ひろし「・・・さっきいったとおりあと3か月だ。治療も無理だ。ほんと

 

に低い確率なんだ。」

 

みさえ「!!・・・」

 

ひろし「俺ははっきり言ってこの3か月を家族みんなで過ごしたい。思い

 

出を・・・たくさん作りたい。」

 

みさえ「なんで死ぬこと前提なのよ!!あたしはみんなでずっと一緒にいたい!!」グッスウ

 

ひろし「確率が低いんだ!治らないかもしれないのにしんのすけたちにお

 

 

 

↓涙なしではこの先は読めない…続きはコチラ↓

れの苦しんでる姿を見せるのか!?俺の記憶が苦しんでた記憶になっちま

 

うじゃねえか!!」

 

ひろし「それなら俺はすこしでもそばにいたい。目に焼き尽くしておきたい。」

 

みさえ「でも・・・でも・・・!」ボロボロ

 

107:名無しVIP2012/04/21(土) 18:40:40.93 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「俺は…やっぱり家族で大切な時間を過ごしたい。」

 

ひろし「治る確率があがったとしても・・・苦しい姿は見せたくない。」

 

 

みさえ「うぐ・・・。」ポロポロ

 

みさえ「わがった・・・そうじましょう・・・」

 

ひろし「会社を辞めるかな」

 

110:名無しVIP2012/04/21(土) 18:44:14.00 ID:DoBsko1C0

 

チュンチュン

 

ひろし「(全然寝れなかった・・・)」

 

しんのすけ「おはようとおちゃん!かいしゃはいいのぉ??」

 

ひろし「ちょっくら有給休暇もらったんだよ!遊びたくてな!1」

 

しんのすけ「ゆーきゅーきゅーか?機関車みたいな名前だゾ」

 

ひろし「てなわけで^明日から車でじいちゃんとこにいくぞ!」

 

しんのすけ「やったあやったあ じいちゃんちだゾ!!おら楽しみ~!!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

 

ひろし「・・・それはよかったな・・」シミジミ

 

124:名無しVIP2012/04/21(土) 19:13:05.91 ID:4fxNebNw0

 

はよ

 

149:名無しVIP2012/04/21(土) 19:39:11.62 ID:DoBsko1C0

 

銀之助「ようきたのお。たっぷり遊んで行けよ!はっはっは!」

 

しんのすけ「わ~いじいちゃんふとももぉ~!」

 

ばあさん「ほれしんのすけ、あいすいらんかのぅ?」

 

しんのすけ「うぉおおおお!ばあちゃんふとももぉ!!」

 

銀之助「くそう・・・。それよりどうして突然来ると言い出したんじゃ?

 

 

ひろし「すこしわけがあってな・・・またそれは後でいうよ」

 

銀之助「そうか。もうこんなにおそいししんのすけたちとふろに入ってく

 

るわいww」

 

みさえ「よろしくおねがいしますねお義父さん。」

 

ひろし「ここに来られるのはもうさいごかなぁ・・・」

 

ひろし「柱のこの傷俺がつけたんだっけ・・・」

 

ひろし「まだちいさかったなぁ」シミジミ

 

150:名無しVIP2012/04/21(土) 19:40:18.80 ID:VgzfF1iX0

 

ただでさえきてるのにこれラストになったらやばい

 

 

 

↓続きはコチラ↓

153:名無しVIP2012/04/21(土) 19:44:26.48 ID:DoBsko1C0

 

た・・・なた・・・あなた!!

 

ひろし「はっ!!」

 

みさえ「よかった・・・寝てただけか・・・心配させないでよね」

 

ひろし「すまなかった・・・それよりオヤジは?」

 

ぎんのすけ「ここにおるべよ」

 

ひろし「おふくろも・・・。じゃあ話すか。」

 

かくかくしかじか

 

ぎんのすけ「・・・嘘はついてないのう」

 

ぎんのすけ「3か月か・・・もうこの家にはこれなさそうだのぉ」

 

ひろし「・・・」コク

 

ばあさん「・・・すこしトイレに行ってくるわい・・」

 

クゥウ・・・ウゥウ・・・

 

ひろし「ごめんよおやじ・・・おふくろ・・・」

 

ぎんのすけ「ばあさんは泣き虫じゃのお・・・一番つらいのはみさえさん

 

だというのに」

 

157:名無しVIP2012/04/21(土) 19:47:17.25 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「おやじ・・・いままで世話になった。もうつぎにこの家をおれが

 

来ることはないと思う。そのときはしんのすけたちのようすをちょくちょ

 

く見てほしい。」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ひろし「みさえだけじゃ不安だからなww」

 

ひろし「というわけで、俺からの話は以上だ」

 

ひろし「もうねようか」

 

159:名無しVIP2012/04/21(土) 19:52:49.44 ID:DoBsko1C0

 

しんのすけ「とうちゃん死んじゃうの?」

 

ひろしたち「!!」

 

しんのすけ「父ちゃん死んじゃうの?おらが・・・おらが悪い子だから

 

・・・」

 

ひろし「しんのすけ。それは違う。お前はいい子だよ。とうちゃんはな天

 

国を守る仕事に昇進したんだ。3か月後からな。」

 

ひろし「おっと、もちろんまたあえるぞ?お前がいい子にしてママの言う

 

こと聞いてればな」

 

ひろし「おにいちゃんだもんな。出張ぐらい耐えれるよな?」

 

しんのすけ「おら・・・お、おらは平気だゾ・・・でもひまとかシロがさ

 

びしがると思う・・・ゾ」

 

ひろし「はっぁはっは!!そうかもな!でも新之助がいれば大丈夫だ。俺も

 

安心安心」

 

162:名無しVIP2012/04/21(土) 19:55:52.48 ID:DoBsko1C0

 

ひろし「大丈夫だ。お前を信じてる。男同士のお約束だ。ほら」クイッ

 

しんのすけ「うん・・・男同士のお約束!!」クイッ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ひろし「よっしゃ!!じゃああしたは虫取り行くから早く寝なきゃな!!

 

 

しんのすけ「うん!おやすみ!」

 

ひろし「みさえたちも寝てて。俺はちょっくら夜風にあたってくるわw」

 

 

ぎんのすけ「ひろし・・・」

 

167:名無しVIP2012/04/21(土) 20:01:15.77 ID:iiPW9DxE0

 

後一カ月の間に何があるのか

 

197:名無しVIP2012/04/21(土) 20:31:14.89 ID:NWmGr60T0

 

───

 

 リーンリーン

 

ひろし「……」

 

ひろし(……俺が逝く頃には、)

 

ひろし(この虫の声も、庭からは消えてるよなぁ……)

 

ひろし「………」

 

 ギシ…

 

ひろし「?」

 

しんのすけ「……」

 

ひろし「しんのすけ……?」

 

しんのすけ「……とーちゃん」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ひろし「……」

 

ひろし「こっち来い」ニコ

 

しんのすけ「……」コクリ

 

  リーンリーン… リーンリーン…

 

201:名無しVIP2012/04/21(土) 20:38:06.88 ID:4fxNebNw0

 

がんばれ

 

202:名無しVIP2012/04/21(土) 20:39:37.84 ID:NWmGr60T0

 

「とうちゃんのヒザの上、あったかいゾ」

 

「ははっ、しんのすけぇ、お前いつの間にか重くなったなぁ」

 

「そ~う~?」

 

「ああ、……いつの間にか、お前も大きくなってたんだなぁ」ナデナデ

 

「………」

 

「……」ナデナデ

 

「とうちゃん、しなないでよ」

 

「……そりゃ、ちょっと難しいかもな」

 

「……ひどいゾ オラとかーちゃんとシロとひまわりを置いてどっかいっ

 

ちゃうなんて ずるいゾ」

 

「……」

 

「………」

 

「しんのすけ」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「……?」

 

「父ちゃんな……」

 

「……」

 

209:名無しVIP2012/04/21(土) 20:49:59.79 ID:NWmGr60T0

 

「父ちゃんだって、お前たちと離れるのはさびしいよ……」

 

「……」

 

「ひまも、まだちっちゃいし……家のローンも残ってる……。 みさえも

 

、これから色々苦労するだろう……」ナデナデ

 

「……」

 

「だから、しんのすけ」

 

「……」

 

「お前が、母さんをまもってやってくれ」ナデナデ

 

「……オラ、できないゾ」

 

「……」ナデナデ

 

「おら……おら、父ちゃんみたいに、父ちゃんみたいにつよくないゾ……

 

 

「……できるよ、お前なら」

 

「ホントに?」

 

210:名無しVIP2012/04/21(土) 20:52:09.95 ID:NWmGr60T0

 

「ああ、約束だ」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「やくそく」

 

「そう。 男同士の……」

 

「「おやくそく!」」 ビシッ

 

「……ははっ、そうだ、約束だ」

 

「わかったゾ……おら、がんばる」

 

「……しんのすけ」ギュッ

 

「……とうちゃん……くるしいぞ。 ギュッてされるならナナコおねいさ

 

んがいいな~」

 

「……」ギュゥ…

 

「……とうちゃん」

 

「……」

 

「だいすき、だゾ」

 

────

 

──

 

 

217:名無しVIP2012/04/21(土) 20:59:17.67 ID:NWmGr60T0

 

───

 

 ……ちゃん!

 

  お兄ちゃん!……

 

「お兄ちゃん!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「んおっ!?」ガバッ

 

「お兄ちゃん! 初日から遅刻するつもりっ? 早く起きて!」

 

「分かった分かった」

 

「もう! 入社式遅れちゃうよ!?」

 

「だいじょーぶだって」ゴソゴソ

 

218:名無しVIP2012/04/21(土) 20:59:42.25 ID:NWmGr60T0

 

 ゴソゴソ

 

  バタバタ

 

「よし」

 

「準備できた? あ……」

 

「ん?何?」

 

「あ、いや…スーツ着ると……なんだろ、いつもと違うね」

 

「そうか?」

 

「うん……なんだろ……   お父さん、思い出しちゃった……うっすら

 

としか、覚えてないはずなのに」

 

「………」

 

「お兄ちゃん……  行ってらっしゃい!」

 

「おう、お前も学校遅れんなよーじゃ、」

 

「  行ってくるゾ!   」  

 

     完

 

 

 

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219:名無しVIP2012/04/21(土) 21:00:35.14 ID:sE0clfR60

 

なんか良い感じに終わったなw

 

222:名無しVIP2012/04/21(土) 21:02:08.79 ID:4fxNebNw0

 

綺麗に終わらせてくれたな

 

ありが乙

 

224:名無しVIP2012/04/21(土) 21:03:36.80 ID:VgzfF1iX0

 

>>218

 

 

なんか泣きそう

 

しんのすけ「あと……どのくらい生きられるのかな?」

 

1:名無しVIP2008/08/03(日) 18:28:53.84 ID:POpkLing0

 

………

 

しんのすけ「な~んちゃって////」

 

みさえ「このおバカッ!!」

 

みさえのゲンコツが繰り出される。

 

それはしんのすけが入院してから一週間目の話だった。

 

3:名無しVIP2008/08/03(日) 18:29:35.44 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「だってぇ~ん…早くお外で遊びたいゾ!」

 

みさえ「我慢なさい! 更に具合悪くなったらどうするの!」

 

しんのすけ「オラ大丈夫だゾ!…………ゲホッゲホッ」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

みさえ「ほらー…まだ良くなってないんだからおとなしくなさい!」

 

いつも元気なしんのすけには、病院のベッドで寝てばっかりの生活にはも

 

うウンザリなのだろう……

 

私だってなんとかしてあげられるならなんとかしてあげたい……

 

してあげたいけど………

 

5:名無しVIP2008/08/03(日) 18:30:17.09 ID:POpkLing0

 

みさえ「脊髄小脳変性症………?」

 

医者「はい……」

 

ひろし「それって治るんですよね!? ね!?」

 

ひろしの言葉に医者は首を縦に振らなかった

 

7:名無しVIP2008/08/03(日) 18:31:24.11 ID:POpkLing0

 

医者のそぶりに顔が青ざめる二人

 

みさえ「…それってどういう病気なんですか!? 治療法は無いんですか!?」

 

医者「最初は[よく転ぶ]と言った症状がよくあらわれます。進行するにつ

 

れて歩けなくなったり

 

手が自由に動かせなくなったり…… 最終的には言葉が話せなくなり、寝

 

たきりになります。

 

最悪死に至ります……」

 

ひろし「そ…そんな……」

 

みさえ「嘘でしょっ!?」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

医者「現在治療法が確定されておらず、難病の一つと言えます……」

 

9:名無しVIP2008/08/03(日) 18:32:03.18 ID:POpkLing0

 

医者とこれからの治療について話し終わり、しんのすけが待つ病室へ向か

 

う途中

 

散々泣いた二人は途方に暮れていた。

 

みさえ「どうしよう……あの子にどんな顔して会えばいいの……」

 

ひろし「……………」

 

みさえ「あの子にちゃんと教えなきゃいけないのかしら……」

 

ひろし「……………」

 

みさえ「ねぇアナタってば!!」

 

ひろし「うるせぇな!! オレだってどうしていいのかわかんないんだよ!!」

 

みさえ「なによっ!!」

 

ひろし「……すまん」

 

みさえ「…………」

 

11:名無しVIP2008/08/03(日) 18:32:35.19 ID:POpkLing0

 

……しんのすけの待つ部屋についてしまった。

 

ひろし「なぁ……」

 

みさえ「…なに?」

 

ひろし「しんのすけには…黙っていよう。今アイツに言っても アイツには

 

よくない。」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

みさえ「そうね…… あの子にはまだ……」

 

ひろし「みさえ、アイツ勘がいいから少しでも様子が違うと気付かれるぞ

 

。 普段通りにいこう……な?」

 

みさえ「あなたこそ…… さ、行きましょう。しんのすけが待ってるわ」

 

12:名無しVIP2008/08/03(日) 18:32:50.29 ID:Tmg7wkuA0

 

重すぎワロタ

 

14:名無しVIP2008/08/03(日) 18:33:09.20 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「お! 待ちくたびれたゾ!!」

 

ひろし「あぁ~!!わりぃわりぃ!!」

 

みさえ「ちゃんとおとなしくしてた?」

 

しんのすけ「もっちろん! …ねーねーとうちゃん! スッゴく美人の看護婦

 

さんがいたゾ!!」

 

ひろし「おぉ~いいねぇ! うひひ……」

 

みさえ「このおバカ!」

 

みさえは二人の頭を叩く。

 

しんのすけ「も~!! 痛いゾかあちゃん!! ………あれ?」

 

みさえ「な……なによ!」

 

しんのすけ「かあちゃん……目が赤いゾ?」

 

19:名無しVIP2008/08/03(日) 18:34:15.96 ID:POpkLing0

 

前回と前々回は惨劇だったので今回は感動系ってやつです。

 

 

 

↓続きはコチラ↓

みさえ「え………?」

 

しんのすけ「かあちゃんだけじゃなくて とうちゃんもだゾ!」

 

ひろし「……あぁ~!! さっきスッゴク臭い部屋があってな! 目が痛くなっ

 

て赤くなってるんだよ!!」

 

みさえ「そ……そーよ!!」

 

しんのすけ「ふ~ん……臭いのは嫌だゾ! ところでオラどんな病気なの?

 

まさか不治の病!? いや~ん///」

 

みさえ「た…ただの食中毒よ!! 心配ないわよ!」

 

しんのすけ「昨日隠れて食べたプリンのせいかなぁ~?」

 

みさえ「アンタあれ賞味期限過ぎてたじゃない!!おバカ!!」

 

しんのすけ「いやぁ~///」

 

ひろし・みさえ「ほめてない!」

 

……本当にただの食中毒ならよかったのに……

 

22:名無しVIP2008/08/03(日) 18:34:52.80 ID:POpkLing0

 

みさえ「それじゃ、いい子にしてるのよ!! また明日来るからね!」

 

ひろし「もっと美人な看護婦さんがいたら教えてくれよなっ!」

 

しんのすけ「えぇ~!! もう帰っちゃうのぉ~? オラも帰りたい帰りたい帰

 

りたいぃ~!!」

 

しんのすけの言葉に心を打たれる二人

 

しかし今はまだ……

 

 

 

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みさえ「よくなったらすぐ帰れるわよ……ね?アナタ」

 

ひろし「あぁ……じゃあ、また明日な!」

 

しんのすけ「ふーんだ! 明日お土産待ってるから~!! んじゃ!」

 

部屋を後にした二人の顔は今にも泣きだしそうてあった

 

24:名無しVIP2008/08/03(日) 18:35:14.06 ID:POpkLing0

 

家に帰宅した二人

 

いつも賑やかな我が家は

 

何も会話の無い暗い家庭へと変化しつつあった。

 

こんな静かな夜は

 

しんのすけが幼稚園のお泊り会以来である。

 

みさえは一人居間で泣き崩れている。

 

ひろしは何も言わず黙って座りこんでいる。

 

その空気を感じ取ったのか、ひまわりも泣き出してしまった……

 

気が付くと夜が明けていた

 

28:名無しVIP2008/08/03(日) 18:35:49.53 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「ねぇ~オラいつになったら退院できるのかな?」

 

みさえ「プリン食べた罰よ! しばらく入院してなさい!」

 

しんのすけ「あ~あ……早く幼稚園に行ってみんなと遊びたいゾ!」

 

みさえ「早く遊びたいんだったら あんまり動き回らないでおとなしくして

 

るのねっ!」

 

 

 

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しんのすけ「ほ~い」

 

………

 

私はこの子の前で いつもと同じ母親を演じていられているだろうか?

 

この子の笑顔を見ていると、本当に難病にかかっているかわからなくなる

 

……

 

もしかしたら医者の診断ミスなのではないか?

 

そういう期待すら持ってしまう……

 

30:名無しVIP2008/08/03(日) 18:36:19.78 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「ふぁあ~あ……退屈だゾ!!」

 

ひろし「お! しんのすけ!! お土産買ってきてやったぞ!」

 

しんのすけ「おぉ!! なんだなんだ~!?」

 

ひろしの持って来た袋の中を必死に覗き込むしんのすけ

 

しんのすけ「まさかこれは……… アクション仮面秘密基地セットDX!?」

 

ひろし「おまえずっと欲しがってたヤツだろ? 入院してる間暇だろうから

 

さ、俺の小遣いはたいて買ってやったんだから… 大切にしろよなっ!」

 

しんのすけ「うぉ~!! 父ちゃん フ・ト・モ・モ~!」

 

ひろし「それを言うなら太っ腹! だろ? まぁ暇だろうけど頑張るんだぞ!」

 

しんのすけ「こうなると入院生活も悪く無いですなぁ~!」

 

ひろし「コラコラ! それじゃ、また明日来るからなぁ~」

 

しんのすけ「じゃっ!」

 

 

 

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病室を後にするひろし

 

ひろし(…アイツ本当に病気にかかってるのかって位元気だなー…………

 

……)

 

深いため息をつく。

 

34:名無しVIP2008/08/03(日) 18:37:40.11 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「かあちゃん! オラおトイレ行ってくるぞ!」

 

みさえ「あ! あたしも自販機で何かジュース買ってこようかしら?」

 

しんのすけ「ずる~い! オラもオラも!」

 

みさえ「はいはい。 じゃあ行きましょう。」

 

しんのすけ「ほっほ~い!」

 

ベッドから降りたしんのすけはスリッパを履き、歩きだした。

 

しんのすけ「かあちゃん! おトイレってどっちだっけ?」

 

みさえ「ほら~ そこの右にあるでしょ!」

 

しんのすけ「お! あったあった!」

 

しんのすけが歩き始めたその時だった。

 

ベチン

 

しんのすけ「お?」

 

しんのすけは転んでしまった。しんのすけ自身何が起こってるかわからな

 

い状況だった

 

35:名無しVIP2008/08/03(日) 18:38:01.16 ID:POpkLing0

 

 

 

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「最初は[よく転ぶ]と言った症状から始まります。」

 

みさえ(……まさかね?)

 

立ち上がったしんのすけはゆっくりと前に歩き出した。

 

トイレまであと3mといった所で

 

ベチン

 

しんのすけ「あれっ?」

 

しんのすけはまた転んでしまった。

 

しんのすけ「おかしーなー?」

 

みさえ(……まさか!!)

 

37:名無しVIP2008/08/03(日) 18:38:27.02 ID:POpkLing0

 

医者「症状が出始めたようですね……」

 

みさえ「………。」

 

みさえの顔がみるみるうちに青ざめていく。

 

本当は病気にかかっていないんじゃないか?

 

そんな期待も打ち砕かれたショックも大きい。

 

医者「しんのすけ君にはやはり内密に……?」

 

みさえ「はい…」

 

医者「では、我々も十分注意したいと思います…」

 

みさえ「よろしくお願いします」

 

このまましんのすけには伝えないほうが、しんのすけのタメよね?

 

 

 

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そう……よね。

 

39:名無しVIP2008/08/03(日) 18:38:50.37 ID:odiCH/320

 

もうやめて

 

40:名無しVIP2008/08/03(日) 18:38:51.37 ID:POpkLing0

 

そしてしんのすけが入院して10日が経った。

 

医者「今の所目立った症状も無いようですし、一度退院しましょう。なに

 

かあった場合すぐに知らせて下さいね。」

 

みさえ「はい。ありがとうございました…」

 

ひろし「本当にお世話になりました。」

 

みさえ「さ、しんのすけの所へ行きましょう。」

 

ようやくベッドの上の生活とさよなら出来るせいか、しんのすけは上機嫌

 

だった。

 

しんのすけ「わぁ~いわぁ~い!! たいいんたいいん!!」

 

みさえ「よかったわね! しんのすけ」

 

ひろし「よぉ~し!帰ったら何して遊ぼうか?」

 

しんのすけ「ん~…… まずシロにご挨拶して~ アクション仮面見て~…

 

…あと……」

 

43:名無しVIP2008/08/03(日) 18:39:28.00 ID:POpkLing0

 

ひろし「なんだ? どこでも連れて行ってやるぞ!」

 

しんのすけ「みんなでご飯が食べたいゾ!」

 

 

 

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ひろし・みさえ「しんのすけ……」

 

よっぽど入院していて淋しかったのだろう。

 

なんだかんだ言ってしんのすけはまだ5歳の子供だ。

 

俺達が恋しかったんだな……

 

ひろし「よぉ~っし!! 今日は寿司食いに行くぞ!!」

 

しんのすけ「うわぁ~い!! お寿司お寿司!!」

 

みさえ「もぉ~… 仕方ないわね! 行きましょう!」

 

45:名無しVIP2008/08/03(日) 18:39:52.76 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「オラなっとまき食べるゾ!!」

 

みさえ「私はやっぱりイクラかしら~」

 

ひろし「いやいやここは定番のマグロだろ!」

 

寿司の話題で盛り上がる車内。

 

久しぶりの一家団欒に笑顔が溢れ出す。

 

せめて今は…

 

せめて今は楽しませてあげたい。

 

ひろし「よし!着いたぞ!」

 

46:名無しVIP2008/08/03(日) 18:39:59.35 ID:eTm6MKQT0

 

ひまわり空気だな。

 

47:名無しVIP2008/08/03(日) 18:40:01.24 ID:C3rqFD4i0

 

(´;ω;`)

 

 

 

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49:名無しVIP2008/08/03(日) 18:40:22.12 ID:POpkLing0

 

店員「へいいらっしゃい!4名様で?」

 

みさえ「はい」

 

店員「ボックス席にご案内になりま~す!」

 

しんのすけ「おぉ~! くるくる~!」

 

みさえ「好きなの食べなさーい!」

 

ひろし「おうっ! たくさん食え食え!」

 

しんのすけ「やっぱりまずはなっとまきだゾ!」

 

納豆巻きの皿を取るしんのすけ。

 

しんのすけ「いただきまーす!」

 

箸で納豆巻きを取ろうとした時だった。

 

しんのすけ「………んー?」

 

みさえ「どうしたの?しんちゃん」

 

しんのすけ「箸が上手く使えないゾ……」

 

……しんのすけの手がプルプルと震えていた。

 

50:名無しVIP2008/08/03(日) 18:40:47.93 ID:POpkLing0

 

みさえ「アンタいつも変な持ち方してるからでしょ!」

 

しんのすけ「ん~……じゃ、手で食べよっと!!」

 

モグモグと食べ始めるしんのすけ

 

事無きを経て安心するみさえ

 

 

 

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……この病気はゆっくりと進行するハズなのに…

 

大丈夫…よね?

 

何事も無くどんどん食べるしんのすけ

 

その様子を見て少し安心した。

 

53:名無しVIP2008/08/03(日) 18:41:11.08 ID:POpkLing0

 

翌日の朝…

 

ジリリリリリ…と、目覚ましが鳴る。

 

いち早く起きたのはいつも寝坊するしんのすけだった。

 

しんのすけ「みんなー!起きるんだゾ!!」

 

みさえ「……? しんちゃん早いわねー どうしたの?」

 

ひろし「俺久しぶりの休みなんだから静かにしてくれよぉ~…」

 

しんのすけ「久しぶりの幼稚園だゾ!!」

 

みさえ「……」

 

しんのすけの病気の事はまだよしなが先生達には説明していない。

 

「風邪が酷くなり入院した」と伝えていたんだけど…

 

もしもの事を考えたら…

 

みさえ「しんのすけ!」

 

しんのすけ「かあちゃん!早くあさごはん!」

 

みさえ「あんた今日はおやすみしなさい。」

 

54:名無しVIP2008/08/03(日) 18:41:11.95 ID:op3F30Z90

 

 

 

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しんのすけえええええええええええええええ

 

56:名無しVIP2008/08/03(日) 18:41:55.46 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「え~? なんで!!」

 

私が病気の事を知らせに行く……とは言えない。

 

この子は油断できないから電話も危ないし、一緒に行っても盗み聞きする

 

かもしれない……

 

まだ…この子に知られちゃいけないの。

 

みさえ「…お医者さんに言われてるからよ!」

 

しんのすけ「え~!! オラ大丈夫だゾ! 行きたい行きたい行きたい~!! み

 

んな待ってるんだゾ!」

 

みさえ「……うるさいわねっ!! ダメって言ってるでしょ!!」

 

しんのすけ「………!」

 

しまった…つい声を荒くしてしまった…

 

しんのすけ「かあちゃん…なんか変だゾ…」

 

57:名無しVIP2008/08/03(日) 18:42:14.94 ID:POpkLing0

 

みさえ「退院明けなんだからあたりまえでしょ!」

 

しんのすけ「……わかったゾ……」

 

ひろし「ほら、俺も今日休みだからさ、俺と遊ぼうぜ!」

 

しんのすけ「え~……とうちゃんとぉ~? 仕方ないなぁ~」

 

ひろし「おまえなぁ~;」

 

 

 

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みさえ「さ、もう少し寝てなさい。しんのすけ」

 

しんのすけ「ほ~い……」

 

肩を落とし布団に戻るしんのすけ

 

ごめんね…明日から行かせてあげるから。

 

58:名無しVIP2008/08/03(日) 18:42:44.31 ID:POpkLing0

 

みさえ「じゃあ買い物行ってくるからしんのすけとひまわり宜しくね~!」

 

ひろし「おう! 行ってらっしゃい」

 

しんのすけ「チョコビ忘れないでね~」

 

みさえ「はいはい! 行ってくるわね」

 

ドアを閉めて自転車に乗り込むみさえ。

 

みさえ「さて…幼稚園に行かなくちゃ」

 

60:名無しVIP2008/08/03(日) 18:43:16.72 ID:POpkLing0

 

よしなが先生「……そんな!! 嘘でしょ!? 野原さん!!」

 

園長「本当なんですか? 野原さん!!」

 

みさえ「私は冗談を言いにここに来たわけじゃありませんので……」

 

よしなが先生「だってしんちゃんは……」

 

園長「よしなが先生!!」

 

よしなが先生「……はい。」

 

園長「それはとてもお気の毒です。気をしっかり持ってくださいね。」

 

みさえ「それで……特によしなが先生にお願いなのですが… しんのすけの

 

 

 

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様子がおかしかったら教えて頂きたいのです。 そしてそれ以外はいつも

 

と同じように接していただけたら……」

 

園長「しんのすけ君には説明を…?」

 

みさえ「はい。 まだ知らない方がしんのすけのタメにもなると思うんです

 

……」

 

園長「わかりました。我々も全力を尽くしたいと思います」

 

みさえ「ありがとうございます。」

 

よしなが先生「私も全力でしんちゃんに気付かれないようにサポートしま

 

すので!!」

 

みさえ「よしなが先生…ご迷惑をおかけします…」

 

よしなが先生「そんな……」

 

62:名無しVIP2008/08/03(日) 18:43:22.00 ID:op3F30Z90

 

ボーちゃん「医者 に なる。何年 かかっても しんのすけ 治す。」

 

70:名無しVIP2008/08/03(日) 18:44:33.67 ID:wo2QWaLA0

 

>>62

 

素直に面白そうなんですけど。

 

63:名無しVIP2008/08/03(日) 18:43:42.14 ID:POpkLing0

 

ネネ「ねぇ……今の聞いた!?」

 

マサオ「しんちゃん…かわいそう」

 

ぼーちゃん「ぼ」

 

 

 

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風間「あいつ……」

 

67:名無しVIP2008/08/03(日) 18:44:10.18 ID:POpkLing0

 

ネネ「凄い事聞いちゃったわね……」

 

マサオ「しんちゃん……大丈夫かなぁ?」

 

風間「大丈夫なわけないだろっ!?」

 

ぼーちゃん「しんちゃんまだ知らない」

 

ネネ「自分の病気の事がわかったら 流石のしんちゃんだってパニックにな

 

るわよ…」

 

風間「僕もしんのすけの立場だったら聞きたくないな……」

 

69:名無しVIP2008/08/03(日) 18:44:32.08 ID:POpkLing0

 

マサオ「ねぇ……しんちゃん死んじゃうのかな?」

 

ネネ「マサオ!てめぇ今の言葉もう一回言ったらどうなるかわかってんのか

 

? このオニギリ!!」

 

マサオ「うぁあああああ!! ごめんなさいごめんなさい!!」

 

風間「ネネちゃん…怖いよ…」

 

ぼーちゃん「僕らも しんちゃんに ばれない ように きをつける!」

 

ネネ「そうよ! しんちゃんのタメだもん!」

 

風間「よぉ~し! 春日部防衛隊 ファイヤー!!」

 

ネネ・マサオ・ぼー「ファイヤー!!」

 

74:名無しVIP2008/08/03(日) 18:45:14.89 ID:7wxJ/TCvO

 

 

 

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前がみえねぇ

 

75:名無しVIP2008/08/03(日) 18:45:16.08 ID:POpkLing0

 

翌日

 

しんのすけ「んじゃ、行ってくるゾ!」

 

みさえ「行ってらっしゃーい!」

 

みさえ(フフフ…… あの子ったらあんなに張り切っちゃって…)

 

しんのすけ「久しぶりのバスだゾ!よしなが先生久しぶりぃいい~!」

 

よしなが先生「あらしんちゃん久しぶりね! お体大丈夫?」

 

しんのすけ「全然大丈夫だゾ! ウンチも沢山出たし!」

 

よしなが先生「はいはい…」

 

苦笑しながらみさえにお辞儀をするよしなが先生

 

風間「しんのすけ! 久しぶりじゃないか!」

 

しんのすけ「風間くぅうん! 会いたかったぁあん!」

 

風間に抱き着くしんのすけ

 

風間「やめろよ気持ち悪いな!」

 

しんのすけ「久しぶりだからって照れちゃって//」

 

風間「照れてなんかいない!!//」

 

バスの中が笑いに溢れる

 

82:名無しVIP2008/08/03(日) 18:45:54.92 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「や!」

 

 

 

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マサオ「あ……しんちゃん」

 

ネネ「おはよう…しんちゃん」

 

ぼーちゃん「ぼ……」

 

しんちゃん「あれー?どうしたんだ? みんな元気がないゾ!」

 

風間「そうだよみんな! せっかくしんのすけが久しぶりに幼稚園に来たの

 

に……」

 

ネネ「なんでもないわよ!ね?マサオ君!」

 

マサオ「う…うん!」

 

ぼーちゃん「しんちゃん 体 大丈夫?」

 

しんのすけ「だいじょぶだいじょぶー! さ、何してあそぼっか!? オラ病院

 

でずっと暇してたから いっぱい遊びたいゾ!」

 

ネネ「じゃあリアルおままごと!」

 

一同「えー!!」

 

ネネ「なによ?なんか文句ある?」

 

一同「ないです……」

 

ネネ「じゃあ決定ね!」

 

83:名無しVIP2008/08/03(日) 18:46:23.66 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「久しぶりのリアルおままごとは体にこたえたゾ……」

 

風間「お疲れ様……」

 

風間が苦笑いでしんのすけに同情するように言った。

 

 

 

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しんのすけ「でも……」

 

風間「でも?」

 

しんのすけ「やっぱりみんなで一緒に遊ぶのは楽しいゾ!」

 

風間「そうだな! やっぱりしんのすけが居ないと盛り上がらないもん!」

 

しんのすけ「あれ~? 風間君。 それって愛の コ・ク・ハ・ク?」

 

風間「んな訳ないだろっ!」

 

85:名無しVIP2008/08/03(日) 18:47:00.13 ID:POpkLing0

 

よしなが先生「みんなー! お昼の時間ですよー! 手を洗って入って来てね

 

ー!」

 

園児「ハァーイ!」

 

風間「ほら…変な事言ってないで行くぞ!」

 

しんのすけ「あぁん 待って風間くぅ~ん…… ってうわぁ!!」

 

ベチンッ

 

しんのすけは勢いよく転んでしまった

 

その様子を見たよしなが先生と風間達がしんのすけのもとに集まった

 

よしなが先生「大丈夫!? しんちゃん!!!」

 

風間「大丈夫かしんのすけ?」

 

しんのすけ「んも~……ちょっと転んだだけでおおげさだゾ!」

 

風間「お前なぁ! 心配してやってんのに……!」

 

しんのすけ「最近よく転ぶから慣れてるゾ!」

 

 

 

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一同「…………」

 

健気なしんのすけの言動に 心が痛んだ。

 

88:名無しVIP2008/08/03(日) 18:47:28.14 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「おかえりー!!」

 

みさえ「こら! 帰ったらただいまでしょ!」

 

しんのすけ「そうともいうー」

 

みさえ「あら……」

 

しんのすけの姿を見ると、膝に擦り傷がかなりついている…

 

みさえ「アンタそれどうしたの!!」

 

しんのすけ「なにが?」

 

みさえ「膝よ膝!!!」

 

しんのすけ「あぁ~!! って ぉお!? なんだこれー」

 

みさえ「どうしてそうなったのよ!!」

 

しんのすけ「なんか最近よく転んじゃうんだゾ!」

 

みさえ「…………」

 

おかしい、こんなになるまで転ぶなんておかしい。

 

みさえ「しんちゃん、ちょっと病院行きましょう!」

 

89:名無しVIP2008/08/03(日) 18:47:56.33 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「えぇ~!! もう嫌だゾ!」

 

みさえ「膝痛いでしょ? 治してもらいに行くよ!」

 

 

 

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しんのすけ「んもー……ワガママだなぁ。かあちゃんは。」

 

みさえ「あんたのために言ってるんでしょーが!!」

 

しんのすけ「ほ~い」

 

なんだろう……凄く嫌な予感がする。

 

92:名無しVIP2008/08/03(日) 18:48:16.88 ID:POpkLing0

 

医者「はぁ~い! きちんと消毒出来たからねー!」

 

しんのすけ「し・み・るぅううう////」

 

みさえ「変な声出さないの!」

 

医者「しんのすけ君、ちょっとあっち行って看護婦さんに絆創膏貼っても

 

らってねー」

 

しんのすけ「ほっほ~い!!」

 

しんのすけは喜んで隣の部屋へ行った。

 

どうやらここの看護婦さんがお気に入りみたいだ。

 

医者「野原さん………」

 

医者の表情が変わった。

 

みさえ「何でしょう………?」

 

嫌だ……聞きたくない。

 

医者「思ったより状況は深刻です。しんのすけ君の病気の進行は例に無く

 

、とても早く体を侵しています。……このまま行くと……」

 

ダメっ!!聞きたくない!!

 

 

 

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「そう長くは……持たないでしょう。」

 

みさえ「………!!」

 

93:名無しVIP2008/08/03(日) 18:48:45.56 ID:POpkLing0

 

みさえ「……あと、あの子はどれくらい生きられますか?」

 

医者「例が無い早さなのでなんとも…… 予測ですがこのままいくと、1年

 

…… 持って3年でしょう。」

 

みさえ「そんな!! 10年や20年単位で進行するはずじゃ!!」

 

医者「しんのすけ君が特異な体質なのか、症状が表れるのが早過ぎるので

 

す。

 

…何が起きるかまだわかりません。 気をしっかり持って下さい。」

 

みさえ「そんな……!!」

 

96:名無しVIP2008/08/03(日) 18:49:44.56 ID:PgeThyc4O

 

いちびっとるの涙

 

101:名無しVIP2008/08/03(日) 18:52:52.58 ID:i0n4k4YK0

 

 

103:名無しVIP2008/08/03(日) 18:53:56.81 ID:hNgYMi0q0

 

>>101

 

大ジョッキにしか見えない

 

192:名無しVIP2008/08/03(日) 20:59:40.41 ID:POpkLing0

 

夜11時頃………

 

しんのすけも寝静まった頃

 

 

 

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居間からひそひそとひろしとみさえの声がする。

 

みさえ「あなた……どうしましょう…」

 

涙声で話すみさえ

 

ひろし「どうするったって……俺達は全力でしんのすけのサポートするし

 

かできないんだよ……」

 

みさえ「このまましんのすけが死ぬのを待てって言うの!?」

 

ひろし「声が大きいぞ! しんのすけに聞こえたらどうするんだよ!?」

 

みさえ「……」

 

ひろし「こればっかりはどうしようも無いんだよ…… 俺がかわれるぐらい

 

ならかわってやりたいけど…!!」

 

みさえ「どうしてあの子が……どうして……!」

 

ひろし「とにかく…今はしんのすけのやりたい事、させてやろう。」

 

みさえは泣きながら頷く。

 

194:名無しVIP2008/08/03(日) 21:00:52.38 ID:POpkLing0

 

宣告されてから一ヶ月後の休日。

 

しんのすけの症状はよく転ぶだけで大きな変化はない。

 

ほっと胸を撫で下ろすひろしとみさえ。

 

正直毎日生きている心地がしない。

 

いつしんのすけの病気が進行するのか。

 

考えただけで眠れない日が続く。

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ひろし「なぁ! しんのすけ! どっか行くか?」

 

みさえ「あらー いいわねぇ! どこかでかけましょうか!」

 

しんのすけ「んー……オラ……」

 

しんのすけは悩みに悩んだ末こう言った

 

195:名無しVIP2008/08/03(日) 21:02:01.21 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「サトーココノカドーに行きたいゾ!」

 

意外な事に近所のデパートだった。

 

みさえ「し…しんちゃん?いっつも行ってるデパートじゃない?他に行き

 

たい所はないの?」

 

ひろし「そうだぞ! とうちゃんどこへでも連れていってやるぞ!」

 

しんのすけ「別にみんなで一緒にいられればどこでもいいんだゾ!」

 

ひろし・みさえ「しんのすけ……」

 

その言葉に重みを感じた。

 

しんのすけ「でもぉ~ どうしてもって 言うならぁ~・・ 暑いからなぁ~・

 

・」

 

「海に行きたいゾ!」

 

199:名無しVIP2008/08/03(日) 21:03:07.43 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「わぁ~いわぁ~い!! うみー!!」

 

みさえ「あんまりはしゃぐんじゃありません!! ブレーキが急にかかったら

 

どうするの!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

しんのすけ「んもー…… ワガママだなぁかあちゃんは」

 

ひろし「まぁまぁせっかく海に行くんだからさ、はしゃいでも仕方ないよ

 

なー? しんのすけ!」

 

しんのすけ「さっすがとうちゃん!」

 

みさえ「まったくもう……」

 

海に向かうにつれて賑やかになる車内

 

そんな中みさえはある事に気付く。

 

みさえ「ねぇあなた…なんか臭くない?」

 

201:名無しVIP2008/08/03(日) 21:03:53.24 ID:POpkLing0

 

ひろし「そうか? また俺の足の臭いが臭いとか言うんだろ!!」

 

みさえ「ちがうわよっ!」

 

しんのすけ「確かに臭いゾ……」

 

みさえ「でしょ?」

 

みさえが後ろを振り向いた時だった。

 

ひまわり「ビェエーンビェエーン!!」

 

ブチャァ

 

ひまわりがウンチをしていたのだ。

 

しんのすけ「あぁ!! 臭いのは、ひまのウンチだったんだー」

 

203:名無しVIP2008/08/03(日) 21:04:54.91 ID:p+65I5pZ0

 

ひまわりやっと出番来たなwww

 

 

 

↓続きはコチラ↓

202:名無しVIP2008/08/03(日) 21:04:42.68 ID:POpkLing0

 

みさえ「あらー…オムツ変えなきゃ。あなたー車とめてー!」

 

しんのすけ「んもー……仕方ないなぁー!オラが変えてやるゾ!」

 

テキパキとオムツをかえるしんのすけ

 

初めてひまわりのオムツを変えた時とは大違いだ。

 

嫌がらず、真剣にやってる。

 

しんのすけ「よしひま!出来たゾ!」

 

ひまわり「ウィーヒヒッ!!」

 

ひまわりも嬉しそうだ。

 

着々とお兄ちゃんとして成長しているんだな……

 

205:名無しVIP2008/08/03(日) 21:05:33.17 ID:NiCEiF+R0

 

うれしそうな馬ですね

 

204:名無しVIP2008/08/03(日) 21:05:28.60 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「うわぁー海だゾー!!」

 

白い砂浜。真っ青な海と空。

 

絶好の海水浴日和だった。

 

みさえ「きれーねー!!」

 

ひろし「あぁ……いいー景色だ。よし!泳ぐぞしんのすけ」

 

しんのすけ「ブ・ラジャー!!」

 

それからゆっくりと時間は過ぎ夕暮れ時に……

 

 

 

↓続きはコチラ↓

みさえ「見て……日が沈んで行くわ……綺麗ね……」

 

しんのすけ「お日様がいなくなっちゃうゾ!」

 

ひろし「あははっ また明日でてくるさ。」

 

みさえ「また来年も この海に皆で来たいわね……」

 

ひろし「あぁ……また来年も必ず来よう。」

 

しんのすけはただ、消えゆく夕日を淋しそうに見ていた。

 

ひろし「さぁ!帰るか!」

 

206:名無しVIP2008/08/03(日) 21:06:03.14 ID:POpkLing0

 

幸せな日々はそう長くは続かなかった。

 

しんのすけが病気を宣告されてから3ヶ月が経った。

 

みさえ「しんちゃーん 起きなさい!! バスが来ちゃうでしょっ!?」

 

返事が無い

 

みさえ「しんちゃーん!?」

 

210:名無しVIP2008/08/03(日) 21:06:47.29 ID:POpkLing0

 

急いでしんのすけの寝ている部屋に走るみさえ。

 

みさえ「しんちゃん!!しんちゃん!!」

 

しんのすけ「か…かあちゃん……」

 

みさえ「しんちゃん!!どうしたの!?」

 

しんのすけ「かあちゃん……足が……動かせないゾ…」

 

不思議そうに自分の足を見つめるしんのすけ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

そう、着々と病気がしんのすけの体を蝕み始めていたのだ。

 

213:名無しVIP2008/08/03(日) 21:07:12.44 ID:KlC2Hibf0

 

oh

 

214:名無しVIP2008/08/03(日) 21:07:22.30 ID:h7F9Y5SD0

 

><;

 

216:名無しVIP2008/08/03(日) 21:07:54.69 ID:p+65I5pZ0

 

なん・・・だと・・・・?

 

217:名無しVIP2008/08/03(日) 21:07:56.48 ID:POpkLing0

 

みるみる内に顔が青ざめてくみさえ

 

みさえ「あなた!! しんのすけが……!!」

 

ひろし「しんのすけがどうした!?」

 

いつもは寝起きの悪いひろしも、跳び起きる。

 

しんのすけ「足が動かないんだゾ……なんで?」

 

……そろそろ、すべてを伝えるべき時なのかも知れない。

 

ひろしは決意した。

 

ひろし「しんのすけ… いまから父ちゃんが言う事は嘘じゃ無い。

 

本当の事だ。 お前が信じられなくても、理解できなくてもよく聞いてく

 

れ……」

 

みさえ「あなた!!」

 

ひろし「もうこれ以上隠し通すのは無理だろ!?」

 

 

 

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218:名無しVIP2008/08/03(日) 21:08:15.50 ID:PZCUshkF0

 

しんのすけええええええええええ

 

220:名無しVIP2008/08/03(日) 21:09:06.39 ID:POpkLing0

 

ひろし「しんのすけ……お前は今不治の病に侵されている。足が動かない

 

のもその証拠だ。そのうち色んな所が動かなくなるだろう……」

 

しんのすけは黙ってひろしを見つめて話しを聞いている。

 

ひろし「お前の命はあと何年持つかわからない…… 今まで黙っていて悪か

 

った!」

 

しんのすけ「……やっぱり」

 

ひろし「………?」

 

しんのすけ「……やっぱり変だと思ったんだー! オラよく転ぶし たまに

 

オハシ持てなくなったり…… もう…とうちゃんとかあちゃん足臭いゾ!」

 

 

一見元気そうに返答するしんのすけだが、声が震えている。

 

223:名無しVIP2008/08/03(日) 21:10:14.21 ID:POpkLing0

 

みさえ「しんちゃん……」

 

ギュッとしんのすけを抱き抱えるみさえ

 

みさえ「ごめんね……ごめんねごめんね……」

 

泣きながら謝り続けるみさえ

 

しんのすけ「な……なんでかあちゃんが謝るんだゾ! ……なんで… う…

 

 

 

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…ウワァアアアァン!!」

 

大声で叫びながら、しんのすけは我慢していた涙を流し始めた。

 

ひろし「しんのすけ……父ちゃんと母ちゃん、それにひまわりとシロがつ

 

いている。心配するな……」

 

ひろしも涙を流し始めた。

 

…こうして、しんのすけは初めて自分の病気を知るのであった。

 

224:名無しVIP2008/08/03(日) 21:10:58.32 ID:POpkLing0

 

それからリハビリの日々だった。

 

辛くても 辛くてもしんのすけは諦めなかった。

 

リハビリのおかげもあって、少しずつ歩けるようになってきたが、ヨチヨ

 

チ歩く程度しか歩けない。

 

車椅子を使用する日々が続いた。

 

性格は相変わらずおちゃらけている。だがひろしやみさえから見たら空元

 

気にしか見えなかった……。

 

そして宣告されてから5ヶ月が経った。

 

229:名無しVIP2008/08/03(日) 21:11:52.73 ID:POpkLing0

 

よしなが先生「野原さーん! しんちゃん迎えに来ましたよー!」

 

みさえ「はぁーい!!」

 

しんのすけ「よっ! よしなが先生!」

 

みさえ「コラッ! おはようございますでしょ!!」

 

 

 

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しんのすけ「そーともゆー」

 

風間「よしなが先生! お手伝いします!!」

 

よしなが先生「あら、ありがとう!!じゃあ車椅子はいいからしんちゃん連

 

れて行ってくれるかしら?」

 

風間「はい! ほらしんのすけ!いくぞ!」

 

しんのすけ「会いたかったぁ~ん// 風間くぅ~ん//」

 

風間「こら! やめろよしんのすけ!!」

 

しんのすけ「じゃ! 行ってくるゾ!」

 

みさえ「はいはい… よしなが先生、よろしくお願いします…」

 

深く礼をするみさえ

 

よしなが先生「はい! それでは行ってきますね!」

 

みさえ(…本当に、いい友達と先生が居てしんのすけは幸せ者だわ……)

 

230:名無しVIP2008/08/03(日) 21:12:43.00 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「でねでね風間くぅ~ん!! オラ久しぶりに歩けるようになった

 

んだゾ!」

 

風間「へぇ~! そうなんだぁ~!! 凄いなしんのすけ! やったじゃないか!」

 

 

風間くんはいつもオラの話しをちゃんと聞いてくれる。

 

とうちゃんやかあちゃんに話し辛い話しも

 

風間くんなら話せるんだゾ!。

 

 

 

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そんな風間くんにはいつも感謝してるんだゾ…

 

風間「もしなんかあったら言えよ! しんのすけ!」

 

オラ、風間くんと友達になれてよかったゾ!

 

…でも直接お礼を言うのは恥ずかしいゾ……

 

よしなが先生「はーいみんなー!そろそろ幼稚園につきますよー!」

 

風間「よし、しんのすけ立てるか?」

 

しんのすけ「大丈夫だゾ!!」

 

二人は仲良くバスを降り教室に入っていった。

 

232:名無しVIP2008/08/03(日) 21:13:23.26 ID:POpkLing0

 

お昼休み……

 

外で遊ぶ園児達をぼーっと見つめるしんのすけ

 

歩けなくなってから

 

幼稚園で一人ぼっちの時間が多くなった。

 

運動の時間はいつも見学。気を使って先生やいつものみんなは話しかけて

 

くれるが、それも虚しい。

 

しんのすけ(…オラも外で遊びたいなぁ…)

 

たそがれていた時だった。教室のドアが開く。

 

そこにいたのはいつものみんなだった。

 

233:名無しVIP2008/08/03(日) 21:14:08.87 ID:POpkLing0

 

人が少ないのう・・・

 

 

 

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ネネ「しーんちゃん!」

 

ぼーちゃん「ぼぉ」

 

マサオ「えへへ……元気?」

 

風間「やっぱりしんのすけがいないと何しても面白くないよ。だから僕達

 

教室で遊ぶ事にしたんだ!」

 

しんのすけ「みんな……」

 

風間「さぁ! 何して遊ぶ?」

 

この時ばかりはさすがにネネちゃんもリアルおままごとは提案しないよう

 

だった。

 

しんのすけ「う~ん……」

 

悩みに悩んだしんのすけはこう言った。

 

しんのすけ「お絵かき!」

 

234:名無しVIP2008/08/03(日) 21:14:22.20 ID:p+65I5pZ0

 

しんのすけ・・・生きろ!

 

235:名無しVIP2008/08/03(日) 21:14:29.61 ID:POpkLing0

 

ネネ「いいわね! そうしましょうよ!!」

 

マサオ「え~… 僕絵下手だから嫌だなぁ……」

 

ネネ「黙れオニギリ」

 

マサオ「は…はぃい!!」

 

ぼーちゃん「なに…描く?」

 

 

 

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しんのすけ「じゃあねー みんなが好きなモノ!!」

 

風間「僕にかかれば簡単さ!!」

 

ネネ「それじゃ、描きましょう!」

 

239:名無しVIP2008/08/03(日) 21:15:26.57 ID:POpkLing0

 

数十分後……

 

ネネ「できたー!!」

 

マサオ「僕も!!」

 

ぼーちゃん「んぼっ!!」

 

風間「余裕さ!」

 

しんのすけ「オラもできたぞー!」

 

風間「じゃあネネちゃんから発表していこう!」

 

ネネ「ネネはね~ 大好きなうさちゃん!!」

 

マサオ「うわぁー!上手!!」

 

ネネ「マサオ君は何を描いたの?」

 

マサオ「僕はねー じゃじゃーん! 車!!」

 

ネネ「まあまあね」

 

ぼーちゃん「ぼくは 東京 タワー」

 

風間「…個性的で……いいと思うよ!」

 

ぼーちゃん「ぼ!」

 

241:名無しVIP2008/08/03(日) 21:16:13.41 ID:POpkLing0

 

 

 

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風間「僕はママさ!」

 

しんのすけ「あらートオルちゃん? 魔女っ子マリーちゃんやもえPじゃな

 

いのかしら?」

 

風間「いや描こうか迷って……ってちがーう!!」

 

みんなの視線が風間くんに集まる

 

風間「コホン……// し、しんのすけは何描いたんだよ!! 見せてみろ!!」

 

強引に奪い取る風間くん

 

しんのすけ「いやぁああん// 風間くんったら強引~//」

 

風間「………!」

 

ネネ「なになに~!!」

 

マサオ「見せて見せて~!!」

 

ぼーちゃん「ぼ!」

 

風間「しんのすけ…これって…」

 

243:名無しVIP2008/08/03(日) 21:16:39.39 ID:p+65I5pZ0

 

ぼーちゃんにいちいち吹くwww

 

247:名無しVIP2008/08/03(日) 21:17:24.03 ID:POpkLing0

 

そこに描かれていたのは、笑顔の人々。大人や子供、様々の人達が描かれ

 

ている。

 

しんのすけ「オラのとうちゃんかあちゃんと~ひまわりとシロと~かすか

 

べ防衛隊のみんなと~

 

 

 

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組長と~よしなが先生と~……んもう、いっぱいいて描ききれなかったゾ

 

!」

 

風間「しんのすけ……お前……」

 

しんのすけ「オラ、みんながだーいすき! みんなと一緒にいられて本当に

 

楽しいゾ!!」

 

しんのすけの発言に、辺りがあったかい空気につつまれた。

 

風間(こいつは一生懸命病気と闘って辛いハズなのに、なんで? …しんの

 

すけ、お前は凄い奴だよ…)

 

ネネ「しんちゃん!! 私もしんちゃん大好きよ!!」

 

マサオ「僕も!」

 

ぼーちゃん「ぼくも!」

 

涙目になりながら皆が言う。

 

249:名無しVIP2008/08/03(日) 21:18:20.75 ID:POpkLing0

 

風間「ぼ…僕だってかけがえの無い友達だと思ってるさ!!」

 

しんのすけ「あれー? ほんとかなー?風間くん。」

 

風間「ほ…ほんとだよ!!」

 

しんのすけ「ふーん……ま、いっか!」

 

風間「なにがだよっ!!」

 

辺りが笑いに溢れる。

 

しんのすけ(風間くんは1番のオラの親友だゾ……ありがとう。風間くん)

 

 

 

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250:名無しVIP2008/08/03(日) 21:18:53.15 ID:POpkLing0

 

宣告されて7ヶ月が経った。

 

ひろし「ただいまー!」

 

しんのすけ「おかえりー!」

 

ヨチヨチ歩きで出迎えるしんのすけ

 

みさえ「あらあなた!お帰りなさい ご飯にする? お風呂にする?」

 

しんのすけ「それともワ・タ・シ?//」

 

みさえ「このおバカっ!」

 

ひろし「アハハ……今はどっちともいいや。 それよりみさえ 話しがある

 

んだ。」

 

真剣な顔で話すひろしに、ただ事ではないと気付くみさえ

 

みさえ「…なーに?」

 

252:名無しVIP2008/08/03(日) 21:19:37.57 ID:VLHhBg0jO

 

なんだよ…なんなんだよこれ…

 

目からみそ汁が

 

253:名無しVIP2008/08/03(日) 21:19:56.20 ID:POpkLing0

 

みさえ「しんちゃん…ちょっとお風呂入ってなさい。」

 

しんのすけ「えーなんでー?」

 

みさえ「いーから!」

 

渋々お風呂へと向かうしんのすけ

 

 

 

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居間に移動するひろしとみさえ

 

ひろし「オレ……会社辞めようと思うんだ。」

 

みさえ「………!!」

 

みさえは驚いた表情を見せたが、すぐにいつもの表情に戻りこう言った。

 

 

みさえ「そろそろ…言うんじゃないかと思ってたわ。大丈夫よ。私あなた

 

にちゃんとついていくって決めてるんだから!」

 

ひろし「オレ…しんのすけの事が心配でいても立ってもいられないんだよ

 

!! 少しでもしんのすけと一緒にいてやりたいんだよ!!」

 

254:名無しVIP2008/08/03(日) 21:20:06.12 ID:sloW/7F80

 

これは直るフラグですねそうですねそうだといえよたのむ10円やるからそ

 

ういってくれ

 

256:名無しVIP2008/08/03(日) 21:20:54.18 ID:bsoWRQJ20

 

俺は100円出そう

 

255:名無しVIP2008/08/03(日) 21:20:32.38 ID:POpkLing0

 

みさえ「あなた………」

 

ひろし「しんのすけの残りの人生、少しでも充実させてやりたいんだ!! ど

 

こかへ出掛けたり一緒に遊んだりしてやりたいんだ!」

 

真剣な表情で訴えるひろし

 

「そんなの……ダメだゾ!!」

 

 

 

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ひろし・みさえ「……!」

 

しんのすけがドアを開け、ひろしに言った。

 

ひろし「おまえ…聞いてたのか?」

 

259:名無しVIP2008/08/03(日) 21:21:19.82 ID:POpkLing0

 

しんのすけ「今とうちゃんが会社やめても、オラは嬉しくなんかないゾ!!」

 

 

ひろし「おまえ…自分の体の事わかってるだろ!?おまえだってとうちゃ

 

んと一緒にいたいだろ?」

 

戸惑いを隠せないひろし。

 

しんのすけ「オラ…みんなと一緒にいたいけど……オラは……オラはもう

 

死んじゃうんだゾ!残されたひまわりはどうなるんだゾ!」

 

涙声で言うしんのすけ

 

みさえ「パパはね、しんちゃんのためを思って辞めようとしてるのよ!!」

 

しんのすけ「そんなの……ありがためーわくだゾ!!」

 

ひろし「しんのすけ………」

 

しんのすけ「だから辞めるなんていうなー! 男らしくないゾー!」

 

その言葉と同時に座り込むしんのすけ

 

263:名無しVIP2008/08/03(日) 21:22:16.62 ID:POpkLing0

 

ちょっと歩くのでさえ辛いのに、頑張って立っていたせいか足が持たなか

 

ったようだ。

 

 

 

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みさえ「しんちゃん……!!」

 

しんのすけを抱き抱えるみさえ

 

ひろしはうつむいたまま喋ろうとしない。

 

みさえ「しんちゃん……もう寝なさい。パパの事は心配しなくていいから

 

……」

 

しんのすけを寝室に連れて行くみさえ

 

ひろし(……オレにとっての幸せは、しんのすけにとって迷惑なのか? …

 

…オレはどうしたらいいんだ?)

 

268:名無しVIP2008/08/03(日) 21:23:28.70 ID:POpkLing0

 

みさえ「さて……しんのすけも寝た事だし……どうするの?あなた。」

 

ひろし「しんのすけは……オレと一緒にいたくないのかな?」

 

みさえ「そんなことあるわけないじゃない! …私が思うに、しんのすけは

 

…病気だからって特別扱いされるのは嫌なんじゃないかしら。

 

今まで通りの私たちで居て欲しいんじゃないかしら。」

 

ひろし「みさえ……」

 

みさえ「わたしも…働かないあなたの姿なんかあんまり見たくないわ!働

 

いてるあなた、カッコイイもん。」

 

笑顔で語るみさえ。

 

ひろし「…………」

 

ひろしはムクッと立ち上がり、胸ポケットの中に入ってた辞表を破り始め

 

 

 

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た。

 

みさえ「あなた……!!」

 

ひろし「オレ……やっぱり仕事続けるよ。仕事してないとオレじゃない気

 

がする。しんのすけに目覚めさせて貰ったよ……」

 

みさえ「フフッ……これからも頑張ってね! あなた!」

 

ひろし「ああ!」

 

ひろしは仕事を続ける事を決意した。

 

妻と息子と娘のため、そして自分のために。

 

271:名無しVIP2008/08/03(日) 21:23:58.87 ID:vv5eM7oe0

 

目から海水が

 

273:名無しVIP2008/08/03(日) 21:24:28.95 ID:POpkLing0

 

宣告されてから九ヶ月が経った。

 

しんのすけ「じゃ、行ってきまーす」

 

みさえ「行ってらっしゃーい!!」

 

いつものようにバスに乗り込むしんのすけ。

 

風間「おはようしんのすけ!」

 

しんのすけ「よっ!」

 

いつものたわいない会話をしる二人。

 

でもこの時間がしんのすけにとっては大切な時間だった。

 

しんのすけ「風間くん! オラ最近ちゃんと字がかけるようになったゾ!」

 

 

 

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風間「やるじゃないかしんのすけ! じゃ幼稚園ついたら書いてみせてよ!」

 

しんのすけ「ほほ~い!!」

 

もとからあまり字が書けなかったしんのすけだが、手のリハビリも兼ねて

 

字を覚え始めたのだ。

 

277:名無しVIP2008/08/03(日) 21:25:21.96 ID:POpkLing0

 

お昼休みになった頃

 

相変わらずしんのすけは一人ぼっちで外で遊ぶ園児達を羨ましそうに見つ

 

めている

 

そんな中いつも話しかけてくれるのは風間くんだった

 

風間「やぁしんのすけ。朝約束しただろ? 字を書いてみろよ~!」

 

しんのすけ「ほほ~い!!」

 

紙に向かって真剣に書き始めるしんのすけ

 

紙には

 

「野原しんのすけ」

 

と書かれていた。

 

278:名無しVIP2008/08/03(日) 21:25:51.73 ID:POpkLing0

 

風間「すごいじゃないかしんのすけ!漢字も書けるのか!」

 

しんのすけ「いやぁ~//」

 

風間「他にも書いてみろよ!」

 

しんのすけ「ほい!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

こうして仲良く二人は昼休みを過ごしていた………

 

午後のお勉強が終わり、みんなが帰る中……

 

風間「しんのすけ!ほら行くぞ!」

 

しんのすけ「ほほ~い!」

 

風間くんがしんのすけを車椅子に乗せ、みさえがいる幼稚園の玄関に向か

 

う。

 

279:名無しVIP2008/08/03(日) 21:26:45.09 ID:POpkLing0

 

風間「ほら!ついたぞ! それじゃ……」

 

しんのすけ「風間くん待って!!」

 

風間「ん?どうしたんだしんのすけ」

 

しんのすけ「風間くん……あのね……」

 

風間「……?」

 

しんのすけ「いつも…… ありがとうなんだゾ!///」

 

風間「ば…ばかっ!!別にいいよ!!// それじゃあな!!」

 

風間くんは照れを隠すように走って帰っていった。

 

それからしばらくしてからみさえが来た。

 

みさえ「遅くなってごめんね!!」

 

しんのすけ「遅いゾみさえ!」

 

みさえ「だってぇ~ おケイがぁ~!!」

 

しんのすけ(やっと……やっと…ちゃんと風間くんにお礼が言えたゾ!)

 

 

 

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これがしんのすけと風間くんの最後の会話になった。

 

281:名無しVIP2008/08/03(日) 21:27:09.79 ID:jkywlIBk0

 

うわあああああああああああ

 

282:名無しVIP2008/08/03(日) 21:27:12.20 ID:KlC2Hibf0

 

うわあああああああああああああ

 

284:名無しVIP2008/08/03(日) 21:27:50.86 ID:POpkLing0

 

翌日……

 

ついにこの日がやってきてしまった。

 

しんのすけを起こしにいくみさえ

 

みさえ「しんのすけー! 起きなさーい!」

 

しんのすけ「………………!!」

 

しんのすけはこの時気付いた。

 

自分の声が出ない事を。

 

みさえ「しんのすけ? ほらおはよーは?」

 

声が出ない事に焦りを感じるしんのすけ

 

必死に喋ろうとするが声にならない声が出るばかりだ。

 

みさえ「しんちゃん!?」

 

みさえもしんのすけの異変に気付く。

 

みさえ「しんちゃん!?どうしたの!? しんちゃん!!」

 

288:名無しVIP2008/08/03(日) 21:29:05.45 ID:POpkLing0

 

 

 

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みさえが何を言っても

 

返事を返せない。

 

何をしても伝わらない。

 

しんのすけは悔しさのあまり涙を流してしまった。

 

みさえ「あなた!! あなたー!!」

 

数時間後、病院に着くと同時に医者のもとへ走る野原家

 

みさえ「しんのすけが……しんのすけが!!」

 

医者「落ち着いて下さい野原さん!! 何があったのですか!?」

 

ひろし「声が…出なくなったんです!!」

 

医者「なんですと!? すぐに調べましょう!!」

 

もしかしたら…

 

もしかしたら、風邪で声が出ないだけなのかも知れない。

 

状況が悪いほど、人は少しの可能性にかけたくなるものである。

 

数分後……

 

医者「野原さん、検査結果が出ました……」

 

みさえ「しんのすけはどうなったんですか!?」

 

289:名無しVIP2008/08/03(日) 21:29:36.00 ID:sloW/7F80

 

何だ死亡エンドじゃないのか

 

よかったよかった・・・のか・・?

 

291:名無しVIP2008/08/03(日) 21:30:11.71 ID:POpkLing0

 

 

 

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医者「残念ながら……しんのすけ君が喋る事は…もうないでしょう。」

 

聞きたくなかった。

 

ただの風邪だと期待していただけにダメージも大きい。

 

いつか来るとは知っていながらも、その日はまだ遠いと思っていた。

 

「しんのすけがもう喋れない」

 

頭の中でその言葉が響く。

 

「ほほーい!!」

 

「妖怪ケツでかおばばー!」

 

「とうちゃん!かあちゃん!」

 

「オラ…大人になったら美人のおねーさんとケッコンするゾ!」

 

……何気ないいつもの会話が

 

もう出来なくなると思うと

 

感情がみるみる内に込み上げてくる。

 

みさえ「しんぢゃあ゛あぁああん!!!」

 

ひろし「しんのずげー!!!!!」

 

295:名無しVIP2008/08/03(日) 21:31:06.66 ID:POpkLing0

 

叫ぶと同時にしんのすけは車椅子に乗せられ戻ってきた。

 

しんのすけは泣いていない。

 

むしろ私達を励まそうとジェスチャーしている。

 

思えばしんのすけが病気にかかってから

 

 

 

↓続きはコチラ↓

私達は何回泣いたかわからない。

 

だけどあの子は全然泣かず、必死に生きている。

 

子供のくせに甘えたがらない。…あの子は病気にかかってから強くなった

 

 

肉体的にではなく、精神的に。

 

私達よりずっとタフだ。

 

情けないな……私達。

 

1番辛いのは、しんのすけのハズなのに……

 

298:名無しVIP2008/08/03(日) 21:31:41.02 ID:SanNYexr0

 

もう苦しくて読めない・・・

 

303:名無しVIP2008/08/03(日) 21:32:06.51 ID:POpkLing0

 

それからしんのすけは再度入院することになった。

 

ベッドの上にはホワイトボードと沢山の紙、ペンが用意されていた。

 

しんのすけの筆談用にだ。

 

みさえ「しんちゃーん りんご持ってきたから、むいて食べましょうか!」

 

みさえの方をジッと見てから震える手でホワイトボードに一生懸命何かを

 

書き始めるしんのすけ

 

『オラ うさぎさんが いいな』

 

みさえ「はいはい……ちゃんとうさぎさんに切るわよ!」

 

喜ぶ表情を見せるしんのすけ。

 

 

 

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みさえ「ほら!出来たわよ!うさぎちゃんDX!」

 

『ありがと かあちゃん』

 

みさえ「ふふ… 他になんか食べたい物があったらいいなさいね!」

 

『ほ~い』

 

…こんな生活がいつまで続くんだろう。

 

喋れなくなってから更に

 

病気にかかる前の何事もない日々が幸せだったか思い知る。

 

307:名無しVIP2008/08/03(日) 21:32:55.82 ID:6+a6mY4j0

 

くそ・・・泣けてきやがる・・・。

 

308:名無しVIP2008/08/03(日) 21:33:11.95 ID:POpkLing0

 

再度入院してから二日後

 

風間「しんのすけ!大丈夫か!?」

 

ネネ「しんちゃん!」

 

笑顔で迎えるしんのすけ。

 

風間「僕たち二人、ひまわり組の代表としてお見舞いに来たんだ!」

 

ネネ「はいこれ!!」

 

ネネが渡したのは千羽鶴だった。

 

『ありがとうだゾ!』

 

風間「しんのすけ…おまえ喋れなくなったのか!?」

 

『そうなんだゾ…』

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ゆっくりと文字を書くしんのすけ

 

ネネ『しんちゃん…可哀相…』

 

二人は事の重大さに気付く。

 

しんのすけを励ましにきたのに…話しを聞いて重たげな表情になる。

 

313:名無しVIP2008/08/03(日) 21:34:11.32 ID:POpkLing0

 

『でもだいじょぶ! 字があるゾ!』

 

暗い表情の二人に笑顔で語りかけるしんのすけ

 

ネネ「そっか!そうよね! じゃあネネ、しんちゃんにお手紙書くね!」

 

風間「僕も手紙書くよ!」

 

『うれしいゾ! お手紙待ってるゾ!』

 

…それから数分、しんのすけ達は色々と雑談をした。

 

風間「じゃあ僕たちそろそろ帰るよ。」

 

ネネ「またくるからね!しんちゃん!」

 

『んじゃ そーゆーことでー』

 

ガチャン。

 

部屋のドアが閉まる

 

315:名無しVIP2008/08/03(日) 21:34:55.14 ID:JSt39fELO

 

なんでもないようなことが・・・幸せだったと思う・・・

 

319:名無しVIP2008/08/03(日) 21:35:26.28 ID:POpkLing0

 

いそいそと紙とペンを取り出すしんのすけ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

しんのすけ(オラ…いつまで字が書けるかわからないゾ。今のうち、伝え

 

たい事を紙に書いておくゾ…」

 

震える手でペンを握りしめ、字がぐちゃぐちゃになりながらも一生懸命自

 

分の思いを形に残していく。

 

消灯時間ギリギリまでベッドの机に向かっている。

 

しんのすけ(…オラ、いつ手が動かなくなっちゃうのかな? オラ、いつ死

 

んじゃうのかな…?)

 

涙が滲み出てくる。

 

しんのすけ(オラ… まだ死にたくないゾ…… 死にたくなんかないゾ!!)

 

大声で泣きたくても。

 

泣き声は出てくれない。

 

323:名無しVIP2008/08/03(日) 21:36:54.16 ID:rShedtdu0

 

ああそうか・・手も動かなくなってくるんだったな

 

太刀悪いな

 

322:名無しVIP2008/08/03(日) 21:36:35.99 ID:POpkLing0

 

しんのすけが再度入院してから一ヶ月が経った

 

トゥルルルル……

 

野原家に電話が鳴り響く

 

みさえ「はい野原ですー」

 

医者「野原さんですか!? しんのすけ君の容態が!!!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ガチャ……

 

受話器を落とすみさえ

 

みさえ「しんのすけ!!!!!!!」

 

ひまわりをダッコし、ドアを開け車に乗り病院へと向かっていた。

 

みさえ(……しんちゃん!! しんちゃん!!)

 

車のスピードもどんどん上がっていく。

 

327:名無しVIP2008/08/03(日) 21:37:21.00 ID:SENil3hbO

 

まさに泣ける2ちゃんねる

 

333:名無しVIP2008/08/03(日) 21:38:15.86 ID:POpkLing0

 

病院の駐車場でひろしに電話をかけるみさえ

 

みさえ「あなた!! しんのすけが!!」

 

ひろし「今行く!!」

 

ろくに事情を説明しないにも関わらず、会社を出るひろし

 

ひろし「すいません部長! 息子が!! それでは!!」

 

部長「待ちたまえ! 野原くん! 野原くーん!!」

 

そこにはもうひろしの姿は無かった。

 

みさえ「先程連絡を頂いた野原です!! 息子は!?息子は!?」

 

看護婦「少々お待ちください…」

 

みさえ「息子の命がかかっているんです!! 早くして!!」

 

鬼の形相で言うみさえ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

看護婦「は……はい!!

 

……

 

看護婦「息子さんは4Fの集中治療室です。」

 

みさえ「わかったわ!!」

 

336:名無しVIP2008/08/03(日) 21:39:14.67 ID:POpkLing0

 

みさえはエレベーターを待っている時間ももどかしく感じ、自分の足で階

 

段をのぼる事にした。

 

みさえ「しんちゃん……しんちゃん!!」

 

4Fの集中治療室の前には医者が待っていた。

 

みさえ「先生!しんのすけは!? 大丈夫なんですか!?」

 

首を横にふる医者

 

医者「しんのすけ君の容態は急変してしまいまして……」

 

みさえ「なんでもいいからしんのすけに会わせて!! 早く!!」

 

医者「……ではこちらへ」

 

342:名無しVIP2008/08/03(日) 21:40:39.08 ID:POpkLing0

 

ピッ・・・ピッ・・・

 

一定間隔の電子音が鳴る。

 

みさえ「……………!!」

 

そこには変わり果てたしんのすけの姿があった。

 

鼻にはチューブがつけられ、体はピクリとも動かず、眼球のみ動いている

 

 

 

↓続きはコチラ↓

 

みさえ「しんのすけ!!」

 

医者「野原さんお静かに!!」

 

みさえ「だって……だって!!!」

 

大粒の涙を流し、その場に座り込むみさえ。

 

するとそこに遅れてひろしがやってきた。

 

ひろし「し…んのすけ………?」

 

ひろしも泣き叫ぶ。

 

医者「野原さん。気をしっかり持ってください!!」

 

344:名無しVIP2008/08/03(日) 21:41:15.28 ID:XmeAlFNJ0

 

ブワッ(´;ω;`)

 

348:名無しVIP2008/08/03(日) 21:42:02.49 ID:POpkLing0

 

医者「この様子だと……今夜が……」

 

更に追い討ちをかける医者。

 

みさえ「い゛や゛ぁあああああああ!!!!!!!」

 

ひろし「嘘だろぉおおおおお!!!!!」

 

ひろし「先生! どうにかしてくれよ!! 医者だろ!?」

 

医者「こればっかりはどうにも……私達は、最善の手をつくしてきました

 

が……」

 

みさえ「しんちゃん!! しんちゃん!!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ひろし「しんのすけ!!しんのすけ!!」

 

必死の呼びかけに応えたかのように

 

しんのすけの目からポロリと一粒涙が流れた。

 

351:名無しVIP2008/08/03(日) 21:43:22.48 ID:POpkLing0

 

しんのすけの右手がプルプルと動き出す。

 

ひろし「しんのすけ!? どうしたんだ!?」

 

みさえ「字よ!!あなた!! 手を出してあげて!!」

 

ひろし「あ…あぁ……!!」

 

しんのすけの手元に手を伸ばすひろし

 

ひろし「なんだ……?」

 

『あ』

 

『り』

 

『が』

 

『と』

 

354:名無しVIP2008/08/03(日) 21:44:43.33 ID:POpkLing0

 

ピリリリリリッ ピリリリリリッ

 

看護婦「先生! 心拍数ともに血圧が減少しています!!」

 

医者「電気ショックだ!!」

 

ウィィーン ボンッ

 

反応がない

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ピリリリリリッ ピリリリリリッ

 

機械の音が鳴り響く

 

医者「もう一度だ!」

 

ウィィーン ボンッ

 

ピーーーーーーッ

 

359:名無しVIP2008/08/03(日) 21:45:07.78 ID:f3oxJNT/0

 

あああああああああああ

 

362:名無しVIP2008/08/03(日) 21:45:47.80 ID:POpkLing0

 

医者「…………」

 

看護婦「先生……」

 

医者「午前11時32分 死亡確認」

 

みさえ「うそ…………」

 

ひろし「そんな……………」

 

時間が止まったかのようだった。

 

しんのすけが……

 

わたしたちよりさきにしぬなんて……

 

ひろし・みさえ「し゛んのす゛げぇえええええ!!!!!」

 

365:名無しVIP2008/08/03(日) 21:46:12.73 ID:PZCUshkF0

 

ああああああああああああああ

 

367:名無しVIP2008/08/03(日) 21:46:23.36 ID:f3oxJNT/0

 

 

 

↓続きはコチラ↓

ああああああああああああああああああああああああ

 

369:名無しVIP2008/08/03(日) 21:46:27.97 ID:POpkLing0

 

しんのすけの葬儀が終わった。

 

私達は魂が抜けたような生活をしていた。

 

トゥルルルル……トゥルルルル……

 

家の電話が鳴り響く。

 

ガチャ

 

みさえ「のはらです……」

 

みさえの声にいつもの元気は無い。

 

看護婦「野原さん……あなたがたに渡したい物があるのですが……一度病

 

院にいらして頂けませんか?」

 

みさえ「あ……はい。」

 

ひろしとひまわりを連れ、病院へと向かう。

 

378:名無しVIP2008/08/03(日) 21:47:54.55 ID:x1Mg2Xja0

 

あっさり死んでしまった・・・クソクソクソッ!!

 

376:名無しVIP2008/08/03(日) 21:47:35.14 ID:POpkLing0

 

看護婦「これ……しんのすけ君から渡すように頼まれてたんです…」

 

それは

 

少しクシャクシャになった紙だった。

 

ちゃんと広げてみてみるとそこには文字が書かれていた。

 

 

 

↓続きはコチラ↓

どうやら手紙のようだ。

 

ひろし「……なになに?」

 

382:名無しVIP2008/08/03(日) 21:48:40.44 ID:POpkLing0

 

『とうちゃん かあちゃん ひまわり このてがみをよんでいるということ

 

は オラはもうしんじゃったんだね。』

 

『オラ すこししか いきられなかったけど すっごくたのしかったゾ!』

 

『うみ もういっかいいけなかったね でもオラみんなといられるだけでう

 

れしかったんだゾ!』

 

『とうちゃん! ひまわりのためにがんばって はたらくんだゾ!』

 

『かあちゃん! むだづかいはあんまりしちゃだめだゾ! おべんぴ なお

 

すんだゾ!』

 

『ひまわり! ひまわりはオラににて きっと びじんさん になるゾ! か

 

っこいい オムコさんみつけて しあわせになるんだゾ!』

 

『みんなにであえてよかったゾ! オラもうこわくなんてないゾ! んじゃ

 

、そーゆーことでー』

 

震える手で書いた文字はぐちゃぐちゃだった。

 

紙には所々に丸いシミがある。

 

だが一文字一文字頑張って書いた文字は

 

ひろしとみさえにはちゃんと伝わったようだ。

 

ひろし・みさえ「…………………」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

手紙を読む二人の頬は

 

流しきってしまったハズの涙がまた一粒二粒ポロポロとつたっていた。

 

383:名無しVIP2008/08/03(日) 21:48:44.49 ID:XmeAlFNJ0

 

 

381:名無しVIP2008/08/03(日) 21:48:27.79 ID:OGIWUVqc0

 

 

386:名無しVIP2008/08/03(日) 21:48:51.71 ID:PGMc6BGR0

 

>>381

 

やめろおおおおおおおお

 

そのAAをのせるなーーー

 

391:名無しVIP2008/08/03(日) 21:49:43.09 ID:POpkLing0

 

しんのすけが亡くなってから7年が経った。

 

風間君達は毎年お香をあげに来てくれている。

 

あの子が生きてたら これくらい大きくなってたのかな…と思うと、寂し

 

くなる。

 

ひまわりも今年小学生になった。

 

お兄ちゃんがいたことを話しても

 

ほんの少ししか覚えてないようだ。

 

私は一度たりともしんのすけを思わなかった事はない。

 

あの子の手紙を時々読み返してはあの頃の日々を思い出している。

 

ひろし「なぁ……みさえ、ひまわり」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

みさえ「……なぁに?」

 

ひまわり「どうしたの?パパ。」

 

ひろし「海……いこうか」

 

395:名無しVIP2008/08/03(日) 21:50:28.39 ID:PGMc6BGR0

 

はぁ・・・ やばい鬱った・・

 

396:名無しVIP2008/08/03(日) 21:50:44.06 ID:POpkLing0

 

波の優しい音色が あの日の出来事を鮮明に思い出させる。

 

ひろし「あいつとの約束…果たせなかったな…」

 

みさえ「そうね…」

 

 

 

しばらく沈黙が続く。

 

ひまわり「ねぇ…お兄ちゃんってどんな人だったの?」

 

みさえ「しんのすけ? う~ん……」

 

みさえ「言葉では言い表せないわ。ひまのようにいたずらをよくしたり、

 

美人の女性が好きで追いかけまわしたり……そりゃあ手のかかる子だった

 

わ。」

 

ひろし「でもな、だれよりも家族や友達を大切にする優しい奴であったの

 

も確かなんだ。」

 

ひまわり「ふぅ~ん……」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

397:名無しVIP2008/08/03(日) 21:50:45.61 ID:rShedtdu0

 

おい、シロの出番まだかよ

 

402:名無しVIP2008/08/03(日) 21:51:17.22 ID:6+a6mY4j0

 

>>397

 

確かにシロがほとんど出てこないな。

 

410:名無しVIP2008/08/03(日) 21:52:10.41 ID:POpkLing0

 

ひまわり「もっと海を高いところから見たい!」

 

ひまわり「ひろし!抱いて!」

 

ひろし「パパ抱っこと言いなさい!」

 

みさえ「あの子はいつまでも私達家族の一員よ。 心の中でいつまでも一緒

 

なのよ。」

 

ひろし「ひまわり、お兄ちゃんの分まで 沢山生きるんだぞ。」

 

ひまわり「はぁ~い」

 

ひろし「…さ、帰ろうか!」

 

みさえ「えぇ!!」

 

ひまわり「うん!」

 

天国からオレ達をいつまでも見守っててくれるよな?

 

な?しんのすけ…………

 

『ほっほ~い!』 END

 

412:名無しVIP2008/08/03(日) 21:52:45.18 ID:6+a6mY4j0

 

 

 

↓続きはコチラ↓

>>1

 

お疲れさん。

 

418:名無しVIP2008/08/03(日) 21:53:12.00 ID:nORw1N770

 

泣いた

 

さんくす

 

420:名無しVIP2008/08/03(日) 21:53:24.64 ID:Kygtyd1s0

 

乙。

 

目から涙がでるくらいしか面白くなかったぜ・・・

 

450:名無しVIP2008/08/03(日) 21:56:39.34 ID:hNgYMi0q0

 

> ひまわり「ひろし!抱いて!」

 

せっかく泣けそうだったのにwwwwwwwwwwww

 

 

454:名無しVIP2008/08/03(日) 21:58:03.54 ID:POpkLing0

 

>>450

 

> ひまわり「ひろし!抱いて!」

 

これ入れないと最後まで気分落ちたまま終わりになるから

 

少しでも笑えるようにと思って。

 

458:名無しVIP2008/08/03(日) 21:59:02.60 ID:QcEduMyz0

 

 

471:名無しVIP2008/08/03(日) 22:02:16.07 ID:SanNYexr0

 

なんだこのストーリーテラー

 

 

 

↓続きはコチラ↓

>>1乙

 

484:名無しVIP2008/08/03(日) 22:09:38.75 ID:raYsvsr1O

 

あーまじやべぇ涙とまんね

 

しんのすけ「かあちゃん…寝ちゃったの?」

 

1:名無しVIP2009/02/24(火) 23:10:31.95 ID:heMAccJ+0

 

野原家

 

ローンが35年残ったいつもの一軒家

 

いつものように幼稚園バスが前に止まる

 

「かあちゃんおかえり~!!」

 

しんのすけがいつもの挨拶で帰ってくる

 

「帰って来たらただいまでしょ!」

 

いつものみさえのお叱り

 

「かあちゃんおつや~」

 

「帰ったらまず手を洗ってうがい!」

 

「昨日やったもん!」

 

「おバカ!早くしなさい!」

 

「んも~、我が儘なんだからぁ~」

 

4:名無しVIP2009/02/24(火) 23:12:57.45 ID:heMAccJ+0

 

「ママはお洗濯干してくるからその間にうがいと手洗いしなさいよ!」

 

「ホイホ~イ」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

みさえが庭へ出ていく

 

「妖怪ケツデカオババはうるさいぞ…」

 

ぼそっと呟くしんのすけ

 

「しんちゃ~ん…ちゃんと聞こえてるわよ~…?」

 

みさえの鋭い眼光がしんのすけに突き刺さる

 

「て、手洗ってこよ~…」

 

そそくさと浴室に向かうしんのすけ

 

5: ギエエエエ!!! ◆CsuQ0EKNw6:2009/02/24(火) 23:13:11.39 ID:W39ox

 

ywF0

 

なんか鬱っぽいな

 

6:名無しVIP2009/02/24(火) 23:14:35.05 ID:heMAccJ+0

 

手を洗いリビングに戻るしんのすけ

 

「しんのすけ~うがいはしたの?」

 

庭からみさえが言う

 

「これからだゾ~」

 

冷蔵庫を開けてプスライトを取り出すしんのすけ

 

それをコップに注ぎうがい

 

「ガラガラガラー」

 

ゴクン

 

「ぷは~、美味しいうがいだったぁ~」

 

 

 

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「よし、も一回」

 

ゴチンッ

 

「このおバカ!ジュースでうがいなんかしたら駄目でしょ!」

 

「へぇぇ~」

 

「罰としておやつ抜き!」

 

ドスドスと庭に戻るみさえ

 

7:名無しVIP2009/02/24(火) 23:15:48.67 ID:+j7zVFWb0

 

クレしんの本編でも、鬱話や怖話は本気で凄いからな。

 

作者は長期連載で他の作品を描けないウサを晴らしたいそうだが・・・

 

8:名無しVIP2009/02/24(火) 23:17:21.94 ID:heMAccJ+0

 

「まったくぅ、かあちゃんは怒りっぽいゾ」

 

うがいを済ませテレビの前に座りビデオを入れるしんのすけ

 

「アクション仮面はやっぱり良いですなぁ~」

 

上機嫌でビデオを見るしんのすけ

 

「たぃ!」

 

後ろからひまわりが近づいてくる

 

「お~ひまわり~、一緒にアクション仮面見るか?」

 

「る~!」

 

「よしよし、オラが特等席で見せてやるゾ」

 

ひまわりを抱き上げ自分の足の上に座らせる

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「たぁ~!うへへぇ」

 

うれしそうなひまわり

 

暫く見入る二人

 

9:名無しVIP2009/02/24(火) 23:18:34.49 ID:heMAccJ+0

 

『正義は勝つ!ワッハッハッハッ!』

 

お決まりの台詞

 

「ワッハッハッハッ!」

 

「わったったったー」

 

それを真似るしんのすけ

 

その姿を見て真似るひまわり

 

12:名無しVIP2009/02/24(火) 23:19:55.60 ID:qSn9mEpr0

 

脳内再生余裕でした

 

もう3年も見てないのに

 

14:名無しVIP2009/02/24(火) 23:23:22.72 ID:heMAccJ+0

 

「しんのすけ~、おやつよ~」

 

台所から声が聞こえる

 

「おおっ?かあちゃんさっきおつや抜きって…」

 

「ふふっ、良いお兄ちゃんだったからご褒美よ」

 

「ママって美人////」

 

みさえに抱き着くしんのすけ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「ふふっおバカ、早く食べなさい」

 

プリンをテーブルに置くみさえ

 

「おお~プリンだ!」

 

大喜びのしんのすけ

 

一口食べる

 

「いやぁ~ん、まったりとしてプルプルでしつこくないお味////」

 

「大袈裟ねぇ~」

 

微笑みながら言うみさえ

 

17:名無しVIP2009/02/24(火) 23:26:26.85 ID:heMAccJ+0

 

「たいも!たいも!」

 

ひまわりも食べたいらしい

 

「あらひまも?はい、あ~ん」

 

食べるひまわり

 

「たぁい!うへぇ」

 

ご機嫌なひまわり

 

21:名無しVIP2009/02/24(火) 23:34:26.09 ID:heMAccJ+0

 

そしてひろしが帰ってくる時間

 

「ただいま~」

 

「あなたぁ~ん」

 

しんのすけが駆け寄る

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「おかえり、だろ?」

 

笑いながらしんのすけを抱き上げるひろし

 

「しんのすけ~重くなったなぁ」

 

「そうなのよ~、この前体重計のったら3キロもふえちゃってぇ」

 

「こらしんのすけ!それはママの事でしょ!」

 

台所からみさえが顔を出す

 

22:名無しVIP2009/02/24(火) 23:36:20.44 ID:heMAccJ+0

 

「また…増えたのか」

 

ひろしが問い掛ける

 

「増えてないわよ!最近減ってるのよ!しんのすけが言ったのは前の事よ

 

!」

 

「ならいいけど…」

 

寝室に向かい服を脱ぐひろし

 

「あなたぁ~、しんのすけとひまお風呂にいれて~」

 

「えぇ~、お前がいれろよ~」

 

「オラもとうちゃんとなんてやだゾ~、南明奈ちゃんがいい~」

 

「たい!やっ!うへぇ(私もいや!小栗旬ならいい~)」

 

ダンッ!

 

みさえが捌いていた魚の頭がリビングまで転がってくる

 

「さぁっしんのすけ、ひまパパとお風呂だぁ!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「わぁいわぁいパパとお風呂だぁ」

 

「たぁいたぁい!」

 

そそくさと風呂場へ向かう三人

 

23:名無しVIP2009/02/24(火) 23:41:01.67 ID:heMAccJ+0

 

「まったくもう…」

 

料理の支度をするみさえ

 

「うぇ~い」

 

三人は仲良く入浴

 

頭を洗い身体を洗う

 

「よしそろそろでるぞ~」

 

浴室からでる三人

 

「あれ?バスタオルが無い…」

 

「みさえ~お~い、みさえ~」

 

呼び掛けるが返事が無い

 

「なにやってんだみさえの奴…しんのすけ、ママ呼んで来てくれ」

 

「ほっほ~い」

 

25:名無しVIP2009/02/24(火) 23:42:32.47 ID:cQoJ1fpz0

 

支援・・・

 

27:名無しVIP2009/02/24(火) 23:44:14.25 ID:heMAccJ+0

 

台所に駆け出すしんのすけ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「まったく…風邪ひいちゃいまちゅね~ひまちゃ~ん」

 

「ね~」

 

ひろしとひまが待っていると台所から

 

「とうちゃん!かあちゃんが!」

 

しんのすけの声が

 

「どうした?床でも抜けた…か…」

 

ひろしが台所へ行くとみさえが倒れている

 

「みさえ!」

 

ひまわりをしんのすけに渡すひろし

 

そしてみさえに駆け寄る

 

「しんのすけ!救急車だ!」

 

「ほ、ほい!」

 

28:名無しVIP2009/02/24(火) 23:46:57.05 ID:heMAccJ+0

 

「みさえ!みさえ!」

 

必死に呼び掛けるひろし

 

そしてしんのすけが戻ってくる

 

「とうちゃん!」

 

「しんのすけ!」

 

「今20時32分だって!」

 

「バカ!そりゃ時報だよ!あぁもう!車のが早い!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

服を着替え急いでみさえを担ぎ車に乗るひろしとしんのすけとひまわり

 

そして病院につき急いで窓口へ

 

「すいません!みさえが!妻が!倒れて!」

 

「はい、じゃあまずあちらで書類に記入を…」

 

淡々と別の窓口を指差す事務員

 

「バッカヤロー!みさえが大変なんだよ!死んだらどうすんだ!早く医者

 

を呼べよ!」

 

むなぐらを掴み叫ぶひろし

 

「は、はい、少々お待ちを」

 

気圧され医者に連絡をとる事務員

 

「で、ではこちらへ」

 

事務員の案内で医者の元へ向かう野原一家

 

31:名無しVIP2009/02/24(火) 23:50:30.27 ID:heMAccJ+0

 

手術室の前でひろしはうなだれている

 

医者はみさえを軽く調べると顔色を変えすぐに手術室の空きを確認しひろ

 

し達には説明しないまま手術室に入った

 

「みさえ…無事で居てくれ…」

 

「とうちゃん…だいじょぶだゾ!かあちゃんは強いもん!」

 

「しんのすけ…そうだな」

 

しんのすけの頭を撫でるひろし

 

 

 

↓続きはコチラ↓

みさえが手術室に入って1時間ほど経とうとしたその時

 

手術中の明かりが消え、医者が中から出て来る

 

33:名無しVIP2009/02/24(火) 23:52:50.09 ID:e6aP80nbO

 

三人目…だと…

 

35:名無しVIP2009/02/24(火) 23:53:49.64 ID:heMAccJ+0

 

「先生!みさえは…みさえは!」

 

医者に詰め寄るひろし

 

「先生…かあちゃんは…?」

 

うるうるしながら問い掛けるしんのすけ

 

「お父さん…こちらへ」

 

医者は近くの診察室にひろしを誘う

 

「とうちゃん…」

 

「お子さんはうちの看護師に預からせます…」

 

看護師に手を引かれ離れるしんのすけ

 

そしてひろしは診察室へと入る

 

39:名無しVIP2009/02/24(火) 23:55:50.18 ID:heMAccJ+0

 

「旦那さん…落ち着いて聞いて下さい…奥様は…胃癌です、それも…かな

 

り進行もしています、普通なら激痛で日常生活もままならない筈なのに…

 

 

「は…?が、癌…先生…嘘でしょう?」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「旦那さん…事実です…奥様は癌…」

 

医者が言い終わる前に医者につかみ掛かるひろし

 

「ふざけんな!昨日まで…いやついさっきまで元気だったんだみさえは…

 

さっきまで…元気だったんですよ先生…なのに…なんで癌なんですか!み

 

さえが何したって言うんだよ!」

 

「奥様は貴方に心配をかけまいと気丈に振る舞っていたんだ!旦那さん!

 

今の奥様に一番必要なのは貴方の支えですよ!」

 

その言葉を聞き手を離し崩れ落ちるひろし

 

40:名無しVIP2009/02/24(火) 23:57:23.68 ID:8Y24Eyb1O

 

うわああああああああああ

 

41:名無しVIP2009/02/24(火) 23:57:28.39 ID:heMAccJ+0

 

「旦那さん、私たちも全力を尽くします…」

 

「はい…お願いしますみさえを…助けて下さい…」

 

涙声で言うひろし

 

「お子さんには言わないほうが…」

 

「いえ…息子には…しんのすけには伝えます…」

 

「しかし…」

 

「あいつは…男です…みさえを守ってやるのはあいつと俺の仕事なんです

 

…しんのすけならわかると思います…必ず…」

 

ゆっくり立ち上がり診察室を出てしんのすけのいるナースステーションへ

 

 

 

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向かうひろし

 

「とうちゃん!」

 

ひろしの姿をみるやいなや駆け寄るしんのすけ

 

「しんのすけ…とうちゃん話しがある、男同士の大切な話だ」

 

「ほ、ほい…」

 

しんのすけの目線に合わせてしゃがむひろし

 

45:名無しVIP2009/02/25(水) 00:00:21.86 ID:wX+5eNv6O

 

ちょっとかーちゃんの肩揉んでくる

 

51: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:02:07.36 ID:PfrRT5Xo0

 

「しんのすけ…いいか…よーくとうちゃんの言うことを聞くんだ…かあち

 

ゃんは…みさえは…とっても重い病気なんだ…もしかするとかあちゃんは

 

…」

 

「かあちゃんしんじゃうの?」

 

「…」

 

しんのすけの問いかけに黙ってしまうひろし

 

「うそだ…とうちゃんオラを騙そうとしてるんでしょそうでしょ?」

 

「しんのすけ…本当なんだ…これからは」

 

「かあちゃんの病気なんかやっつけてよ!とうちゃん強いんでしょ!大人

 

でしょ!」

 

「とうちゃんにも病気は倒せないんだ…」

 

 

 

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「父ちゃんのおバカ!父ちゃんの弱虫!かあちゃんが死んだらとうちゃん

 

のせいだぞ!」

 

「!…しんのすけ!」

 

パシンッ

 

しんのすけの一言にカッとなりしんのすけを叩くひろし

 

「あっ、しんのすけ…すまん」

 

「とうちゃんのおバカ!」

 

「しんのすけ!」

 

しんのすけはそのまま何処かへ走り去ってしまう

 

53:名無しVIP2009/02/25(水) 00:02:57.81 ID:wwAOq93+O

 

みさえ…………

 

57: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:04:43.28 ID:TY9mRfRr0

 

「(かあちゃんは死なないゾ…かあちゃんは絶対絶対)」

 

手術室に走るしんのすけ

 

その時

 

「…」

 

みさえが手術室から病室に移動するために運ばれている

 

「かあちゃん…」

 

その場に立ち尽くすしんのすけ

 

「…」

 

 

 

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58:名無しVIP2009/02/25(水) 00:04:45.70 ID:1Y3Zbi++0

 

うああああああああああああああああああああああ

 

65: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:07:17.08 ID:TY9mRfRr0

 

「しんのすけーっ!しんのすけーっ!」

 

しんのすけを探し回るひろし

 

「やっぱり…あいつにはまだ早かったんだ…俺は馬鹿だ…大馬鹿だ…」

 

「んも~とうちゃんうるさいゾ、病院はしずかにしなきゃ~」

 

しんのすけがトイレから出て来る

 

「しんのすけ…!」

 

駆け寄り抱きしめるひろし

 

「しんのすけ…すまん!とうちゃんが悪かった!」

 

「んーん…とうちゃん」

 

「なんだ?」

 

68:名無しVIP2009/02/25(水) 00:09:28.37 ID:TY9mRfRr0

 

離ししんのすけの目を見るひろし

 

「オラ…かあちゃんを病気からお守りするぞ…!」

 

「しんのすけ…」

 

「オラ男だもん…かあちゃんは女だから男が守らなくちゃいけないんだゾ

 

!ね?とうちゃん!」

 

「ああそうだ…!かあちゃんを守るのは俺達だ…」

 

 

 

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「あとひまわりもだゾ!」

 

「そうだな…そうだな…」

 

しんのすけをきつく抱きしめるひろし

 

「とうちゃん苦しいゾ…」

 

しんのすけも堪え切れなかった涙を流す

 

69:名無しVIP2009/02/25(水) 00:11:38.78 ID:2C6vdN7YO

 

だめだ

 

俺も涙が止まらない

 

72: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:12:58.88 ID:TY9mRfRr0

 

翌朝

 

しんのすけとひろしとひまわりはみさえの病室でうたた寝していた

 

「ちょっとあなた!しんのすけ!」

 

跳び起きる三人

 

「なんでこんな所にいるの!?会社は?幼稚園は?」

 

「み、みさえ…」

 

「かあちゃん…」

 

みさえに抱き着く二人

 

「ちょちょっと!」

 

「みさえ!愛してるぞ!」

 

「かあちゃん愛してるゾ!」

 

 

 

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「たいやい!」

 

しんのすけ、ひまわり、ひろしが抱き着き

 

「なにおバカな事言ってるの!」

 

「しんのすけ、父ちゃんはかあちゃんと話があるから…な?」

 

「ほ、ほい、ひま行くぞ」

 

ひまわりを抱っこして病室を出るしんのすけ

 

ひろしは昨日医者と話しみさえにも病気を告げることにした、これから長

 

い闘病生活が始まる、途中で気付くより自分から伝えたいというのがひろ

 

しの気持ちだった

 

76: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:15:29.82 ID:TY9mRfRr0

 

「ひま…」

 

「たい?」

 

病室の廊下の椅子に座りひまわりに話し掛けるしんのすけ

 

「ひまもオラが絶対お守りするゾ、かあちゃんがいなくてもオラが居るか

 

らかあちゃんがいなくなっても泣いちゃ駄目だゾ?」

 

「うぇ…」

 

泣きそうになるひまわり

 

「…たい!」

 

しかし涙を堪えしんのすけの言葉がわかったように返事をする

 

「おぉっ!それでこそオラの妹だゾ、偉いゾひまわり」

 

 

 

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80:名無しVIP2009/02/25(水) 00:18:05.15 ID:Y5NDZ55D0

 

どんなに平穏に見える家庭にも、こういう試練はやってくる可能性がある

 

 

家族から長期療養者、それも治る見込みのない人が出た苦しみは体験した

 

人間しか分らない。

 

それでも生きていて欲しい、迷惑と思わないでくれという家族の思い。

 

早く楽にして欲しい、生きてるだけで迷惑を掛けるのは嫌だという叫び。

 

 

生きてることは、そんな気持ちの重ねあいなのかもしれません。

 

おわかりいただけただろうか?

 

86:名無しVIP2009/02/25(水) 00:28:46.39 ID:TY9mRfRr0

 

「みさえ…」

 

「やだなぁに、真面目な顔しちゃって~」

 

「真面目な話だいいな…?」

 

「う、うん…」

 

「おまえのな…病気…は」

 

「…」

 

「癌…だ…」

 

「!…」

 

「辛い宣告なのはわかってるでも!これは俺達家族四人が一体になって乗

 

 

 

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り越えなくちゃならないことだからおまえに話した…」

 

「…」

 

「みさえ…?」

 

押し黙っているみさえ

 

88: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:31:45.25 ID:TY9mRfRr0

 

「…のすけは」

 

「ん?」

 

「しんのすけは知ってるの?」

 

「…あぁ…かあちゃんはオラがお守りするって…」

 

「そう!」

 

顔を上げひろしに笑顔を見せるみさえ

 

「みさえ…おまえ…」

 

「しんのすけがあんなに明るく振る舞ってるんだもの…母親の私がうじう

 

じしてられないわよ…!」

 

「みさえ…」

 

みさえを抱きしめるひろし

 

「みさえ…頑張ろう…生きよう、生きてしんのすけとひまを一緒に育てよ

 

う…みさえ」

 

「あなた…」

 

91: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:33:52.75 ID:TY9mRfRr0

 

 

 

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「とうちゃん…もう入っていい?」

 

扉の外からしんのすけの声がする

 

「あ、あぁ…!」

 

入ってくるしんのすけとひまわり

 

「ほらしんのすけ!幼稚園行きなさい!あなたも会社!」

 

「あ、あぁ、また夜来るからな!」

 

「ひまは幼稚園に連れてってオラが見てるゾ!」

 

「あら、ひまはママと居ても大丈夫よ」

 

「え!?」

 

「ひまを面倒見られないほど疲れてないわよ」

 

「ひまだけかあちゃんといるなんてずるいゾ!」

 

「なぁにいってんの、ほらひまこっちいらっしゃい」

 

95: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:36:47.42 ID:TY9mRfRr0

 

ひまをしんのすけから受け取ろうとするみさえ

 

「や~ん!めっ!」

 

しんのすけの服を掴んで話さないひまわり

 

「いや~ん、ケダモノォ~」

 

「もしかしてひま、しんのすけと居たいんじゃないか?」

 

「おぉっ、そうなのかひま?」

 

「た~よた~よ」

 

 

 

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そうだと言わんばかりにしんのすけにしがみつくひまわり

 

「ひまはオラが見るから、かあちゃんは早く病気をやっつけてよ!」

 

「しんのすけ…」

 

潤むみさえ

 

「わかった!まかせたぞ、おに~ちゃん」

 

「まかせとけだゾ!」

 

98:名無しVIP2009/02/25(水) 00:38:35.62 ID:KUYj8qs+0

 

ベッタベタの展開だな

 

100:名無しVIP2009/02/25(水) 00:39:21.31 ID:Saib1+QR0

 

ベタ好きな俺にはたまらん

 

99:名無しVIP2009/02/25(水) 00:38:39.58 ID:TY9mRfRr0

 

「よし、とりあえず今日は父ちゃんと一緒に幼稚園行くぞ、色々園長先生

 

やよしなが先生に説明しなきゃいけないから」

 

「よろしくねあなた」

 

「よし!行くぞしんのすけ!」

 

「ほい!」

 

病室を出るひろし

 

その後にしんのすけも続くが病室を出る直前に振り返り

 

「かあちゃん、病気なんかかあちゃんのでっかいおけつで潰しちゃえばい

 

いんだゾ!」

 

 

 

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「こら!しんのすけ!」

 

「でもかあちゃんがどうしてもって言うなら、オラと父ちゃんがかあちゃ

 

んをお守りするからね…」

 

「しんのすけ…」

 

「たいも!たいも!」

 

「おおっ、ひまもかあちゃんをお守りするって!」

 

「…ありがとう」

 

「それじゃかあちゃん、また来るゾ~」

 

元気良く走り去るしんのすけ

 

「いつの間にかおっきくなっちゃって…」

 

その後ろ姿に頼もしさを覚えたみさえだった

 

103: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:41:00.13 ID:TY9mRfRr0

 

一ヶ月後

 

みさえは今だ病室だ

 

しかし一つ大きな違いがある

 

みさえの髪は全て抜け落ちてしまっている

 

抗がん剤の副作用だ 

 

「かあちゃ~ん!」

 

「しんのすけ!病院では静かにしなさい!」

 

「まぁまぁ、しんのすけだってさびしいんだろう」

 

 

 

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病室に幼稚園の制服を着たしんのすけ、スーツ姿のひろし、ひまわりが入

 

って来る

 

「今日はかあちゃんにお土産があるゾ」

 

「あらなにかしら」

 

「キャン!」

 

「し、シロ!」

 

「シロもかあちゃんに会いたいって言ってたから…」

 

「しんのすけ…」

 

「くぅ~ん…」

 

みさえの頬を舐めるシロ

 

「シロ…ありがと、しんのすけをよろしくね」

 

110:名無しVIP2009/02/25(水) 00:44:42.01 ID:TY9mRfRr0

 

シロの頭を撫でるみさえ

 

気持ち良さそうなシロ

 

「あっ、やばい遅刻だ!」

 

ひろしが時計を見て叫ぶ

 

「しんのすけ!行くぞ!」

 

「ほい!ひまも行くぞ!」

 

「たい!」

 

慌ただしく病室を出る三人と一匹

 

 

 

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「いってらっしゃ~い」

 

窓の外にいる三人と一匹に叫ぶみさえ

 

「いってきまぁす!」

 

それに答える三人と一匹

 

114:名無しVIP2009/02/25(水) 00:46:40.88 ID:TY9mRfRr0

 

幼稚園に着いたしんのすけ

 

そこには風間くん、ネネちゃん、まさおくん、ぼーちゃんが居る

 

「しんのすけ!おはよう!」

 

「おぉ!風間くぅん////」

 

「しんちゃん!おはよ!」

 

「しんちゃんドッチボールやろうよ!」

 

「よ~しやるゾ!」

 

「ボ~」

 

マサオの頭を掴むしんのすけ

 

「僕はボ~ルじゃないよぅ~」

 

「おおっ、違うのかぁ」

 

「ひまちゃんはネネとおままごとしましょ~」

 

ひまわりを抱き上げるネネ

 

116: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:48:45.85 ID:TY9mRfRr0

 

「おおっ」

 

 

 

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ボ~ルが明後日の方向に飛ぶ

 

するとボールを拾う園児

 

「へっへっへ~」

 

あのお馴染みのいじめっ子二人組だ

 

「おいしんのすけ~」

 

「お前の母さんさぁ~」

 

「!?」

 

「おい!止めろよ!」

 

二人組に詰め寄る風間君

 

「お前の母さんは癌でさぁ」

 

「ハゲてるんだろ~?」

 

「…」

 

「ちょっと止めなさいよ!」

 

「ボー!」

 

仲間達が集まる

 

「お前達もしんのすけなんかと遊んでるとはげるぞ~」

 

118:名無しVIP2009/02/25(水) 00:50:42.53 ID:TY9mRfRr0

 

「や、やめろよ!」

 

後ろから声がする

 

なんとマサオ君だ

 

 

 

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「なんだよマサオ~」

 

「俺達に逆らうってのか~?」

 

「うるさい!しんちゃんが…しんちゃんが…」

 

「もういいゾマサオ君」

 

「しんちゃん…」

 

「オラのかあちゃんは…確かに髪の毛無いゾ…でも…でも」

 

プルプル震えるしんのすけ

 

「マサオ君だって無いんだゾ!!」

 

「…」

 

「……」

 

「………」

 

沈黙

 

「お、おいしんのすけ…」

 

「でもオラ、マサオ君大好きだゾ、ネネちゃんも、風間君も、ボーちゃん

 

も、もし髪の毛が無くなってもオラは皆が大好きだゾ!」

 

「しんのすけ…」

 

123: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 00:52:41.56 ID:TY9mRfRr0

 

「それにオラのかあちゃんは病気と戦ってるんだゾ!それを馬鹿にするの

 

はゆるさないゾ!」

 

「な、なんだよ…」

 

 

 

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「俺達とやろうってのか?」

 

構える二人組

 

「やってやろうじゃないのよ!」

 

「ボー!」

 

「う、うん」

 

「かすかべ防衛隊ファイヤー!」

 

構える仲間達

 

「へ、へん!」

 

「行こうぜ!」

 

去る二人組

 

124:名無しVIP2009/02/25(水) 00:52:43.66 ID:zoMuCa+s0

 

おにぎりの男気に惚れた

 

127:名無しVIP2009/02/25(水) 00:54:31.19 ID:TY9mRfRr0

 

「みんな…」

 

「しんのすけ、安心しろよ、しんのすけのママだってかすかべ防衛隊皆で

 

守からさ」

 

「そうよしんちゃん!大丈夫よ!」

 

「ボー!」

 

しんのすけを激励する風間君、ネネちゃん、マサオ君、ボーちゃん

 

「大丈夫だゾ!かあちゃんは病気なんかに負けないゾ!」

 

 

 

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「その意気だしんのすけ!」

 

「よし!今日はぱーっとリアルおままごとよ!」

 

ネネちゃん大ハリキリ

 

「お、オラちょっとお腹が…」

 

「ぼ、僕も」

 

「ボー」

 

そそくさ去る三人

 

「ま、まってよ~」

 

「マサオ君は、やるわよね?」

 

「ぼ、僕もお腹が…」

 

ドスッ

 

うさぎのヌイグルミに一発

 

「やれ、オニギリ」

 

「うぇ~ん」

 

マサオの悲しい叫びがこだまする

 

129:名無しVIP2009/02/25(水) 00:56:34.84 ID:3zXLUMVqO

 

マサオ君禿発言で一瞬だけ吹いた

 

130:名無しVIP2009/02/25(水) 00:57:13.31 ID:TY9mRfRr0

 

そして幼稚園が終わりしんのすけとひまわりは病院へ幼稚園バスで送って

 

もらう

 

 

 

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「ほっほ~い、かあちゃんおかえりぃ~」

 

「たったぁ~い!」

 

「帰って来たらただいまでしょ!」

 

「そうとも言う~」

 

「まったく…ゴホッゴホッ」

 

「かあちゃん?大丈夫?」

 

癌はみさえの身体を着実に蝕んでいた

 

頬はこけ、腕もかなり細くなった

 

「大丈夫?お医者さん呼ぶ?」

 

「大丈夫よ、ありがとうしんのすけ」

 

「ほ、ほい…」

 

「ほら…手を洗ってらっしゃい、今日隣のおばさんがプリンお見舞いに持

 

ってきてくれたから食べよ」

 

「プリン?ほっほ~い」

 

元気良く病室を出るしんのすけ

 

133: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:00:01.82 ID:TY9mRfRr0

 

「ふっふ~ん、プリ~ン」

 

しんのすけが病室に戻ろうと歩いていると、病室からひまわりの泣き声が

 

聞こえる

 

「んも~ひま、かあちゃんに心配かけちゃ駄目だ…ゾ…」

 

 

 

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しんのすけが病室に入るとそこには血を吐いてうずくまるみさえの姿があ

 

った

 

「かあちゃん!」

 

「びぇ~ん」

 

「かあちゃん!かあちゃん!」

 

いくら呼び掛けても返事は無い

 

140: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:06:03.24 ID:TY9mRfRr0

 

そしてみさえはそのまま集中治療室に入った

 

「しんのすけ!」

 

「父ちゃん!」

 

ひろしが息を切らして走って来る

 

ひろしに抱き着くしんのすけ

 

「かあちゃんが…かあちゃんが…!」

 

「しんのすけ!大丈夫だ、父ちゃんが来たからな大丈夫だ…!」

 

「野原さん…」

 

医者が話し掛ける

 

「先生!みさえは…みさえは!」

 

「旦那さん…お子さんを…」

 

「しんのすけ…父ちゃん先生と…」

 

「やだ!」

 

 

 

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「しんのすけ…」

 

「オラはかあちゃんをお守りするんだゾ!絶対絶対動かないぞ!」

 

「…先生、こいつにも…しんのすけにも聞かせて下さい…」

 

「わかりました…」

 

142: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:07:44.02 ID:TY9mRfRr0

 

「奥様は…このままお亡くなりになるまで意識を取り戻さない可能性が高

 

いです…」

 

「…!」

 

「奥様の体は衰弱しきっています、今は点滴と酸素を送り込む事によって

 

延命治療をしているに過ぎません…」

 

「そんな…」

 

「旦那さん…そしてしんちゃん…覚悟はしておいて下さい…」

 

集中治療室のガラスの向こう側

 

みさえが横たわっている

 

心電図の無機質な電子音だけが虚しく聞こえていた

 

146: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:09:04.71 ID:TY9mRfRr0

 

みさえが意識を失ってから二ヶ月が経った

 

そして野原一家はある決断を迫られる

 

「かあちゃんおかえりー!」

 

ガラス越しにみさえに話し掛けるしんのすけ

 

 

 

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「今日ね、マサオ君がまたネネちゃんに怒られて泣いちゃったんだゾ~」

 

幼稚園かばんから紙を取り出す

 

「ほらみてかあちゃん、オラ今度のおゆうぎ会で浦島太郎やるんだゾ、風

 

間君が浦島太郎で、ネネちゃんが竜宮城のお姫様、オラは亀の役だゾかあ

 

ちゃんも見に来てよね!」

 

嬉しそうに話し掛けるしんのすけだが、みさえからの反応は勿論無い

 

そこにひろしが沈痛な面持ちでやってくる

 

「しんのすけ…ちょっとこい」

 

「…ほ~い」

 

廊下に出る二人

 

「しんのすけ…かあちゃんをな…」

 

「…」

 

「もう休ませてあげよう…」

 

「…!」

 

148:名無しVIP2009/02/25(水) 01:10:47.08 ID:HUFu5qsF0

 

なんでこんなに鬱になるのか

 

149: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:10:48.90 ID:TY9mRfRr0

 

「休ませる…?」

 

「今かあちゃんはとっても疲れてる…このままかあちゃんに辛い思いさせ

 

たくないだろ…?」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「かあちゃん死んじゃうの?」

 

「…先生が、かあちゃんが一番良い方法で休ませてくれるらしい…」

 

「…」

 

「しんのすけ…わかるな…?」

 

「わからないゾ!オラ子供だからわからないゾ!」

 

再び集中治療室にもどるしんのすけ

 

そしてガラス越しにみさえに話し掛ける

 

「かあちゃん起きろ!かあちゃん!雨降ってきたゾ!洗濯物濡れちゃうゾ

 

!」

 

「しんのすけ…」

 

その様子を後ろから見て涙を流すひろし

 

「かあちゃん!父ちゃんがまた女の人の香水の匂いつけて帰ってきたゾ!

 

ひまわりがお腹空いたって泣いてるゾ!」

 

涙を流しながら叫ぶしんのすけ

 

「かあちゃん!オラまたケツだけ星人やっちゃうゾ!戸棚のお菓子食べち

 

ゃうゾ!かあちゃん!オラのおゆうぎ会見に来てよ!かあちゃん!」

 

150:名無しVIP2009/02/25(水) 01:11:05.64 ID:8z5STyF2O

 

バットエンドはやめてぇ~

 

157: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:12:57.17 ID:TY9mRfRr0

 

「しんのすけ…!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

しんのすけを後ろから抱きしめるひろし

 

「父ちゃん…うわぁ~ん!」

 

「しんのすけ…泣け沢山泣くんだ、泣いていいんだ…」

 

今までの涙が一気に押し寄せた様に涙を流すしんのすけ

 

「し…んの…すけ」

 

「!」

 

みさえの声が聞こえた気がした

 

「みさえ…?」

 

「かあちゃん…?」

 

「や~ねぇ…二人ともなに泣いてるの…」

 

みさえに目をやればみさえが目を開けてこちらを見ている

 

「先生…先生!」

 

先生を呼びに走るひろし

 

「かあちゃん…起きたの?」

 

「しんのすけ…アンタ幼稚園は…」

 

そこにひろしが医者を連れて戻ってくる

 

「これは…」

 

「先生!みさえは…みさえは治ったんですか!?」

 

159: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:14:13.38 ID:TY9mRfRr0

 

ひろしの問いに首を振る医者

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「患者さんにはよくあるんです…亡くなる前に最後の力を振り絞って一時

 

期だけ回復する事が…」

 

「そんな…」

 

「次倒れたら…」

 

「…」

 

「野原さん…どうしますか…このまま入院を続ければ今の回復の状態を長

 

引かせる事は出来ます、しかしそれも焼け石に水です…それならば」

 

「先生…みさえを…退院させてやってください…」

 

「野原さん…」

 

「最後に…最後にみさえとしんのすけとひまわりとシロで思い出を作りた

 

いんです…」

 

「…わかりました、すぐに手続きをしましょう…」

 

去る医者

 

「しんのすけ…みさえ…帰ろう、家へ」

 

160:名無しVIP2009/02/25(水) 01:14:20.72 ID:1Y3Zbi++0

 

工工エエエエェェ(´A`)ェェエエエエ工工

 

161:名無しVIP2009/02/25(水) 01:14:52.99 ID:ErL+SECYO

 

本気で泣きそう

 

163: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:15:37.80 ID:TY9mRfRr0

 

そしてみさえは家に帰って来た

 

 

 

↓続きはコチラ↓

野原家に久しぶりの明るい笑い声が響く

 

「しんのすけー、準備できたの~?」

 

「ほっほ~い、バッチリだぞ!」

 

「よ~し、じゃあ行くか!」

 

野原家はドライブに出掛けた、勿論シロも一緒だ

 

「まずは何処行くか」

 

「ほいほい!オラ最近出来たアクション仮面ミュージアム行きたいゾ!」

 

「しんのすけ~、今日はみさえの…」

 

「あら良いじゃない、行きましょうよ」

 

「そうよひろし~、出世できないわよ~」

 

「出世は関係ないだろ出世は!」

 

いつもの空気が流れる車内

 

164:名無しVIP2009/02/25(水) 01:15:49.75 ID:pSCXO90P0

 

治ったと期待したのに(‘A`)

 

165: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:17:13.14 ID:TY9mRfRr0

 

そんなこんなで結局アクション仮面ミュージアムに到着

 

「ほっほ~い!かあちゃんとうちゃん早く早くぅ~ん!」

 

走り回るしんのすけ

 

「ほらしんのすけ!走ると危ないわよ!」

 

「平気平気ぃ~」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「まったくもう…」

 

「ほら行こうみさえ」

 

「たい!」

 

「キャン!」

 

「シロはヌイグルミのフリしてなさいよ!」

 

「くぅん」

 

中に入る野原一家

 

「おぉ~、アクション仮面が沢山いるゾ!」

 

「ふふっ、しんのすけったらあんなにはしゃいじゃって…」

 

「みさえと久しぶりのお出かけだからな、嬉しいんだよ」

 

「父ちゃん父ちゃん!あっちに美人なおねいさんがいるゾ」

 

「なっなに?何処だしんのすけ!」

 

みさえの鋭い眼光

 

「あなた…後でお話が」

 

「お、お話だけで終わる?」

 

「父ちゃんなんで膝が震えてるの?」

 

166: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:18:58.80 ID:TY9mRfRr0

 

ミュージアムから出て来る野原一家

 

しんのすけの手にはみさえの手がしっかりと握られている

 

勿論ひろしは荷物持ちだ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「楽しかったゾ~」

 

「すっかり日が暮れちゃったわね~」

 

「おい!少しは持ってくれよ!」

 

「あらや~ねぇ男の癖に」

 

「力はかあちゃんのが上だけどね…」

 

「その通りだしんのすけ」

 

カキーン

 

コキーン

 

「さっ、帰るわよ」

 

ひろしとしんのすけの頭にはでっかいたんこぶ

 

「キャッキャッ、うへぇ~い」

 

その様子を見てひまわりも楽しそうだ

 

「あ、帰る前に一カ所寄りたい場所が…」

 

「ん?どこよ?」

 

「まぁ着いてからのお楽しみって事で!」

 

ひろしが車に乗り発車させる

 

「父ちゃんどこ行くの~?」

 

「まぁすぐわかるよ

 

169: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:20:36.15 ID:TY9mRfRr0

 

そして車が停まる

 

 

 

↓続きはコチラ↓

そこは北千住駅

 

「ここ…」

 

「そう、俺がみさえにプロポーズした場所…野原一家が始まった場所だ」

 

「あなた…」

 

「ここでとうちゃんとかあちゃんは結婚したの?」

 

「う~ん、俺がかあちゃんに結婚してくださいってお願いしたんだよ」

 

「ひろしの転落人生の幕開けの場所か…」

 

「しんのすけ、よくわかったな」

 

カキーン

 

コキーン

 

やっぱりたんこぶが出来る

 

「じょ、冗談だよみさちゃ~ん」

 

「まったく…!」

 

ぷりぷり怒るみさえ

 

176: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:24:26.62 ID:TY9mRfRr0

 

「かあちゃん、とうちゃん」

 

「ん?どうしたのしんのすけ」

 

「そんなに痛かったか?」

 

「んーん…あのね」

 

ひろしとみさえを見つめるしんのすけ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「とうちゃん、かあちゃん、オラを二人の子供にしてくれてありがとうだ

 

ゾ!」

 

「しんのすけ…」

 

「あと、ひまわりをオラの妹にしてくれてありがとう!」

 

「しんのすけ…」

 

涙を流すみさえ

 

「ちきしょう!バカヤロウ!なんだか目が痛いぜ!ほらみんな並べ写真撮

 

ろう!」

 

ひろしが涙を堪えみんなを並ばせる

 

177:名無しVIP2009/02/25(水) 01:25:19.29 ID:S2DTbxmB0

 

ダメだろ・・・クレしんで鬱展開とか・・・

 

178: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:26:04.89 ID:TY9mRfRr0

 

北千住駅前に並ぶ野原一家

 

「しんのすけ…」

 

「ひまわり…」

 

みさえとひろしがしんのすけとひまわりに話し掛ける

 

「ん…なぁに?」

 

「俺達の子供になってくれてありがとう」

 

カシャ

 

シャッターの下りる音

 

 

 

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その写真にはいつもと変わらない野原一家の幸せな風景があった

 

185: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:27:52.00 ID:TY9mRfRr0

 

北千住駅で写真を撮って一年の月日が流れた

 

しんのすけは少し背が大きくなった

 

今年小学一年生だ

 

ひまわりは少しだが言葉を喋る事が出来るようになった

 

ひろしは相変わらず係長だ

 

「ひま~?」

 

「う?なにおにたん」

 

みさえが居たが今は誰もいない病室のベットにひまわりとしんのすけが座

 

って居る

 

「オラこれから小学生だゾ、だからひまわりが何かあったらオラが今まで

 

よりもっと沢山お守りするから、オラに言うんだゾ?」

 

「ほい!」

 

ひまわりは完全にしんのすけ似だ

 

「おにたん」

 

「どーしたひまわり?」

 

「おちっこ」

 

急いでひまわりをトイレに連れていくしんのすけ

 

「もぅ~、全くぅ、手のかかる妹だゾ」

 

 

 

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186:名無しVIP2009/02/25(水) 01:28:12.12 ID:XUtNgJXWO

 

ダメだ。お酒飲んだせいかすげえ涙でる

 

187:名無しVIP2009/02/25(水) 01:28:18.91 ID:LK8/c7rW0

 

ベタベタな話だし、普通に登場人物からオリジナルだったら絶対泣かない

 

よな・・・

 

クレヨンしんちゃんを見た事がある奴のみ泣ける物だと思うぜ・・・

 

195: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:29:35.26 ID:TY9mRfRr0

 

「ひま、ちゃんと出たか?」

 

「ほい!」

 

「よし、じゃあいくゾ」

 

ひまわりと手を繋ぎ歩き出すしんのすけ

 

「先生…ありがとうございました…」

 

病院の前ではひろしが先生に頭を下げている

 

「ほっほ~いとうちゃ~ん」

 

「ひろち~」

 

しんのすけとひまわりが歩いてくる

 

「こらひま!ひろしじゃなくてパパだろ!」

 

「ほい!」

 

「わかったか?」

 

「ほい!ひろち!」

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「駄目だコリャ…」

 

「とうちゃん早く行こうよ!」

 

「あぁ、そうだな…それじゃ先生…また」

 

「はい、お元気で」

 

車に向かって歩き出す三人

 

198: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:31:30.05 ID:TY9mRfRr0

 

「ほっほ~いオラ助手席~」

 

ドアを乱暴に開けるしんのすけ

 

「しんのすけ!」

 

「ほいほ~い」

 

やり直し丁寧に開けて閉めるしんのすけ

 

「まったくぅ~妖怪ケツデカオババは相変わらずうるさいぞ~」

 

「なぁんですって!?」

 

グリグリグリ~

 

「ぬおぉ~ん、何だか久しぶりだゾ~」

 

後部座席にはみさえの姿

 

北千住駅で写真を撮ったあの後、みさえの病状は悪くなる所か快方に向か

 

っていったのだ

 

医者もこれには驚き奇跡としか表現出来ないと言った

 

癌の腫瘍も小さくなり手術で簡単に切り取れた

 

 

 

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そして、リハビリを重ね今日ついに退院の時であった

 

202:名無しVIP2009/02/25(水) 01:32:14.20 ID:o2wbofNx0

 

もしやハッピーエンド?

 

205:名無しVIP2009/02/25(水) 01:32:31.15 ID:7FbJGyy20

 

よかったのう

 

211: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:33:31.41 ID:TY9mRfRr0

 

「よし!帰るか我が家に!」

 

ひろしがエンジンをかけ、発車する

 

「あなた、しんのすけ、ひまわり…」

 

「なぁにかあちゃん?」

 

「どうしたみさえ?」「かーたん?」

 

「守ってくれてありがとう…」

 

「…へへっ、気にすんなよみさえ」

 

「なよー」

 

「そうだゾ、これからも母ちゃんはオラがお守りするゾ!」

 

涙を堪えるひろし

 

涙を流すみさえ

 

少し大人になったしんのすけ

 

少し大きくなったひまわり

 

212:名無しVIP2009/02/25(水) 01:33:34.40 ID:HUFu5qsF0

 

 

 

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ハッピーエンドか・・・

 

よかった

 

215:名無しVIP2009/02/25(水) 01:33:59.16 ID:m3vPGD3OO

 

急展開wwww

 

219:名無しVIP2009/02/25(水) 01:35:05.76 ID:TO3l3W5pO

 

感動の時のBGMかかってきた

 

 

222: ◆7TkPuG2Ma.:2009/02/25(水) 01:35:39.80 ID:TY9mRfRr0

 

「よし!しんのすけ着いたぞ!」

 

「あんた入学式で変な事しないでよ~」

 

「大丈夫だゾ!オラお兄ちゃんだもん!」

 

胸を張るしんのすけ

 

「よ~し、写真撮るぞ!」

 

校門の前に並ぶ野原一家

 

「はい!チーズ!」

 

カシャ

 

写真に写ったのは笑顔に溢れた野原一家

 

これから先もずっと

 

この笑顔が続きますように…

 

終わり

 

223:名無しVIP2009/02/25(水) 01:35:49.62 ID:XUtNgJXWO

 

 

 

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よかった

 

本当によかった

 

涙と鼻水がひどい

 

しんちゃんもひろしもひまわりも、何よりみさえ。よかった

 

231:名無しVIP2009/02/25(水) 01:36:27.89 ID:8z5STyF2O

 

よかった、これでぐっすり眠れそうだ

 

244:名無しVIP2009/02/25(水) 01:38:23.71 ID:hUwBn07rO

 

映画化してくれ

 

288:名無しVIP2009/02/25(水) 02:09:48.48 ID:HzGmDpdoO

 

いいお話をありがとう

 

>>1乙

 

十三年後のクレヨンしんちゃん

 

1: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:41:45.75 ID:60VRmiQN0

 

僕はシロ、しんちゃんのともだち。十三年前に拾われた、一匹の犬。

 

まっ白な僕は、ふわふわのわたあめみたいだと言われて。

 

おいしそうだから、抱きしめられた。

 

あの日から、ずっといっしょ。

 

2:名無しVIP2006/04/07(金) 01:42:04.87 ID:wgZY7yyj0

 

1000げと

 

4:名無しVIP2006/04/07(金) 01:42:27.56 ID:q4SEiyGF0

 

 

 

↓続きはコチラ↓

なにこの最終的に俺の涙を誘いそうな>>1

 

5: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:43:23.40 ID:60VRmiQN0

 

「行ってきマスの寿司~~~~~~。」

 

あいかわらずの言葉といっしょに、しんちゃんは家から飛び出していった

 

 

まっ黒な上着をつかんだまま、口に食パンをおしこんでいるところを見る

 

と、

 

今日もちこくなんだろう。

 

どんなに大きな体になっても、声が低くなっても、朝に弱いのは昔から。

 

 

特に今年は、しんちゃんのお母さんいわく『ジュケンセイ』というやつだ

 

から、

 

さらにいそがしくなったらしい。

 

たしかに、ここのところのしんちゃんは、あんまり僕にかまってくれなく

 

なった。

 

しかたのないことだとしても、なんだかちょっと、うん。

 

さみしいかもしれない。

 

6: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:43:42.54 ID:60VRmiQN0

 

せめてこっちを見てくれないかな、と言う気持ちと、がんばれという気持

 

ち。

 

 

 

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その二つがまぜこぜになって、とにかく少しでも何かしたくなって。

 

小さくほえてみようとしたけれど、出来なかった。

 

なんだかとても眠たい。

 

ちかごろ多くなったこの不思議な感覚、ゆっくりと力が抜けていくような

 

 

あくびの出ないまどろみ。

 

閉じていく瞳の端っこに、しんちゃんの黄色いスニーカーが映って。

 

ああ今日もおはようを言い損ねたと、どこかで後悔した。

 

7: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:44:22.87 ID:60VRmiQN0

 

ぴたぴたとおでこを触られる感覚に、急に目が覚める。

 

いっぱいに浮かんだ顔に、おもわず引きぎみになった。

 

ひまわりちゃんだ。

 

「シロー。朝ご飯だよ。」

 

そう言いながらこちらをのぞき込んでくる顔は、しんちゃんに似ていて。

 

 

やっぱり兄妹なんだな、と思う。

 

「ほら、ご飯。」

 

ひまわりちゃんは、片手で僕のおでこをなでながら、もう片方の手でおわ

 

んを振ってみせる。

 

山盛りのドッグフード。まん丸な目のひまわりちゃん。

 

 

 

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あんまり興味のない僕のごはん。困った顔のひまわりちゃん。

 

僕は、それをかわるがわる見ながら、迷ってしまう。

 

お腹は減っていない。

 

でも食べなければひまわりちゃんは、もっと困った顔をするだろう。

 

でも、お腹は減っていない。

 

8: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:44:48.83 ID:60VRmiQN0

 

ひまわりちゃんは、悲しそうな顔になって、僕の目の前にごはんを置いた

 

 

そして、両手でわしわしと僕の顔をかきまわす。ちょっと苦しい。

 

「お腹減ったら、食べればいいよ。」

 

おしまいにむぎゅうっと抱きしめられてから、そう言われた。

 

ひまわりちゃんは立ち上がると、段々になったスカートをくるりと回して

 

 

そばにあったカバンを持つ。

 

学校に行くんだ。

 

いってらっしゃいと言おうとしたけれど、やっぱり言う気になれなくて。

 

 

僕はぺたんとねころんだ。

 

へいの向こうにひまわりちゃんが消えていく。

 

顔の前に置かれたおちゃわんを、僕は鼻先ではじに寄せた。

 

 

 

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お腹は、ぜんぜん空いていない。

 

10: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:45:32.66 ID:60VRmiQN0

 

ごはんを欲しいと思わなくなった。

 

おさんぽにも、あんまり興味はなくなった。

 

でも、なでてもらうのは、まだ好き。

 

抱きしめられるのも、好き。

 

『ジュケンセイ』っていうのが終わったら、しんちゃんは。

 

また僕をいっぱい、なでてくれるのかな。抱きしめてくれるのかな。

 

そうだといいんだけど。

 

11:名無しVIP2006/04/07(金) 01:45:47.30 ID:MVSt4HwFO

 

わりと普通の青年を想像した

 

12: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:45:48.60 ID:60VRmiQN0

 

目を開くと、もう辺りはうすむらさき色になっていて。

 

また、まばたきしているうちに一日が過ぎちゃったんだと思う。

 

ここのところ、ずっとそうだ。何だかもったいない。

 

辺りを見回して、鼻をひくひくさせる。しんちゃんの匂いはしない。

 

まだ、帰ってきてないんだ。

 

さっき寄せたはずのおちゃわんのごはんが、新しくなっている。お水も入

 

れ替えられている。

 

のろのろと体を起こして、お水をなめた。冷たい。

 

 

 

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この調子なら、ごはんも食べられるかと思って少しかじったけれど、ダメ

 

だった。

 

口に中に広がるおにくの味がキモチワルイ。思わず吐き出して、もう一度

 

ねころがる。

 

夢のなかは、とてもしあわせな世界だった気がする。

 

僕はまた夢を見る。

 

しんちゃんと最後に話したのは、いつだっただろう。

 

14: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:46:14.94 ID:60VRmiQN0

 

僕はしんちゃんを追いかけている。

 

しんちゃんはいつものあかいシャツときいろいズボン。小さな手は僕と同

 

じくらい。

 

シロ、おて

 

シロ、おまわり

 

シロ、わたあめ

 

『ねえしんちゃん。僕はしんちゃんが大好きだよ。』

 

『オラも、シロのこと、だいすきだぞ。シロはオラの、しんゆうだぞ!』

 

 

わたあめでいっぱいのせかいはいつもふわふわでいつもあったかで

 

いつまでもおいかけっこができる

 

いつまでも

 

 

 

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15:名無しVIP2006/04/07(金) 01:46:49.98 ID:q4SEiyGF0

 

シロ視点か。斬新だな

 

16:名無しVIP2006/04/07(金) 01:47:01.77 ID:ihxwusgI0

 

。・゚・(ノД`)・゚・。

 

19:名無しVIP2006/04/07(金) 01:48:00.04 ID:Z+winlnWO

 

すでに泣いてる

 

20: 第二話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:48:48.90 ID:60

 

また朝がきた。

 

でも、その日はいつもと違っていて。しんちゃんのお母さんが、僕を車に

 

乗せてくれた。

 

しんちゃんのお母さんの顔は、気のせいか苦しそうだった。

 

車はまっ白なお家の前で止まって、僕は抱きしめられたまま下ろされる。

 

 

そして一回り大きなふくろの中につめられた。まっくらだ。どうしようか

 

 

昔なら、びっくりしてあばれてしまったかもしれない。でも今は、そんな

 

力も出ない。

 

とりあえず丸くなると、体がゆらゆらとゆれた。

 

それがしばらく続き、次にゆれが収まって、足もとがひんやりとしてくる

 

 

 

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21: 第二話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:49:20.46 ID:60

 

いきなり辺りがまぶしくなった。

 

目をぱしぱしさせていると、変なツンとした匂いがする手につかまれ、持

 

ち上げられる。

 

いっしゅんだけ体が宙に浮いて、すぐに冷たい台の上に下ろされた。

 

まっ白い服を着た人が、目の前に立っている。そばには、しんちゃんのお

 

母さん。

 

二人が何かを話している。白い人が、僕の体をべたべた触る。

 

しんちゃんのお母さんが、泣いている。

 

22: 第二話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:49:54.03 ID:60

 

どうして泣いているのか解らないけれど、なぐさめなくちゃ。

 

でも、体が動かない。またあの眠気がおそってくる。起きていなきゃいけ

 

ないのに。

 

なんとか目を開けようとしたけれど、ひどく疲れていて。

 

閉じていく瞳を冷たい台に向ければ、そこに映るのはうすよごれた毛のか

 

たまり。

 

なんて、みすぼらしくなってしまったんだろう。

 

 

 

↓続きはコチラ↓

23:名無しVIP2006/04/07(金) 01:50:13.59 ID:ihxwusgI0

 

やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

 

24: 第二話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:50:16.79 ID:60

 

ああそうか、僕がこんなになってしまったからなんだ。だからなんだ。

 

だからしんちゃんは、僕に見向きもしないんだ。

 

おいしそうじゃないから。

 

あまそうじゃないから。

 

僕はもう、わたあめにはなれない。

 

26: 第二話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:50:52.84 ID:60

 

わたあめ。

 

ふわふわであまあまの、くものかたまり。

 

いちど地面に落ちたおかしは、もう食べられないから。

 

どんなにぽんぽんはたいても、やっぱりおいしそうには見えないよね。

 

だけど、君はいちど拾っててくれた。

 

だれかが落として、もういらないって言ったわたあめを。

 

だから、もういいんだ。

 

27:名無しVIP2006/04/07(金) 01:51:00.81 ID:VZ3kQA440

 

ヴァァァァァァァァァッァアァッァァァッァッァ

 

 

 

↓続きはコチラ↓

28: 第二話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:51:12.89 ID:60

 

何かにびっくりして、僕はまた戻ってきた。

 

見なれた僕のお家。いつもの匂い。少しはだざむい、ゆうやけ空。

 

口の中がしょっぱい。

 

「なんで!!!!!!」

 

いきなり、辺りに大声が響いた。びりびりとふるえてしまうような、いっ

 

ぱいの声。

 

重たい体をひきずって、回り込んで窓からお家の中をのぞきこむ。

 

しんちゃんのお父さんとお母さん、ひまわりちゃん。

 

そして、僕の大好きなしんちゃんも。

 

みんなみんな、泣いていた。

 

29: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:52:08.73 ID:60VRmiQN0

 

短い話だから、何とかなるかもしれないけれど、規制かかったらすいませ

 

ん。

 

第三話いけるかな…?

 

30:名無しVIP2006/04/07(金) 01:53:12.32 ID:ASUJDqQG0

 

ウワァァ—–。゚(゚´Д`゚)゚。—–ン!!!!

 

32: 第三話(1/4) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:54:02.21 ID:60

 

 

 

↓続きはコチラ↓

「母ちゃんの行った病院は、ヤブだったに決まってる!! オラが、他の

 

病院に連れてくぞ!!!」

 

しんちゃんが、ナミダをぼろぼろこぼしながら、怒っている。

 

ひまわりちゃんも、うつむいたまま顔を上げようとしない。

 

「しんのすけ、落ち着け。仕方ないんだ。」

 

しんちゃんのお父さんが、ビールの入ったコップをにぎりしめたまま呟い

 

ている。

 

「仕方ないって、父ちゃんは…ホントにそれでいいの!!!???」

 

「良いわけないだろ!!!!!」

 

しんちゃん以上のその大きな声に、だれもなにも言わなくなった。

 

その静かな中に、しんちゃんのお父さんの低い声が、ゆっくりひびく。

 

33: 第三話(1/4) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:54:26.96 ID:60

 

「しんのすけ、良く聞け。いいか、生き物は何時かは死ぬんだ。

 

 それは、俺たちも同じだ。……もちろん、ひまやお前の母さんもそうだ

 

 

 それが今。その時が、いま、来ただけなんだよ。解ってたことだろう?

 

 

しんちゃんは、なにも言わない。しんちゃんのお母さんも、続ける。

 

「あのね、ママが最初ペットを飼うのに反対したのはね、そう言う意味も

 

 

 

↓続きはコチラ↓

あるの。

 

 しんちゃんに辛い思いをさせたくなかったから…ううん。

 

 私自身が、そんな辛いお別れをしたくなかったから。だから、反対して

 

たの。

 

 でも、もうこうなっちゃった以上、仕方ないでしょう?

 

 せめて、最期を看取ってあげることが、私たちに出来る一番良い事じゃ

 

ないの?」

 

「最期って!!!」

 

しんちゃんが泣いている。ぼろぼろ泣いている。手をぎゅっとにぎりしめ

 

て。

 

僕よりもずっと大きくなってしまった手を、ぎゅっとかたく。

 

34: 第三話(3/4) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:55:04.41 ID:60V

 

RmiQN0

 

僕の体のことは、たぶんだれよりも僕自身が一番知っていて。

 

でも、いいと思っていた。

 

このままでもいいって。

 

だって夢の中はあんなにもあったかくてあまくって。

 

だからずっとあそこにいても、かまわないと思ってたんだ。

 

それじゃだめなの?

 

36: 第三話(4/4) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:56:13.74 ID:60

 

 

 

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しんちゃんがこっちを見た。

 

しばらく目をきょろきょろさせたあと、僕を見付けて、顔をくしゃくしゃ

 

にさせる。

 

「シロ。」

 

名前を呼ばれた。本当に、ひさしぶりに。

 

わん。

 

なんとか声が出た。本当に小さくて、ガラスごしじゃあ聞こえないかと思

 

ったけれど。

 

でも、たしかにしんちゃんには届いた。

 

しんちゃんが近付いてくる。窓を開けて、僕に手をのばして。

 

「大丈夫、オラが、何とかしてやるぞ。」

 

やっと抱きしめてくれたしんちゃんの胸は、いっぱいどくどく言っていて

 

 

夢の中の何十倍も、とってもあったかかった。

 

ねえ、よごれたわたあめでも。

 

38:名無しVIP2006/04/07(金) 01:57:20.90 ID:0mPpFpCC0

 

ヤバイ、涙出てきた。

 

もっとお願いします。

 

39: 第四話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:58:12.06 ID:60

 

 

 

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VRmiQN0

 

僕は夢を見る。

 

何度目になるかはわからない夢。でも、それは今までとはちがう夢。

 

41: 第四話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:58:27.31 ID:60

 

僕は段ボール箱に入っていて、そのはじをしんちゃんがヒモで三輪車に結

 

びつけている。

 

三輪車がいきおいよく走る。

 

箱ががたがたゆれて、ちょっときもちが悪い。

 

ふいに、その箱から引っぱり出され、僕は自転車のかごに乗せられた。

 

小さな自転車。運転しているのはしんちゃん。せなかにはまっ黒なランド

 

セル。

 

シロに一番に見せてやるぞって、嬉しそうにしょって見せてくれたランド

 

セル。

 

まだまだ運転は下手だったけど、とってもあたたかかった、春。

 

42: 第四話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:59:03.35 ID:60

 

自転車のかごが一回り大きくなる。

 

くるりとまわると、しんちゃんが今度は、まっ白なシャツを着ていた。

 

自転車も、新しくなっている。もうよたよたしていない。スピードも、速

 

 

 

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い。

 

そういえば、よくお母さんに怒られたとき、

 

ナイショだぞって僕を、こっそりフトンの中に入れてくれたよね。

 

もちろん次の日には、お母さんに怒られるんだけど、それでもやめなかっ

 

た。

 

二人だけのヒミツがあった、きらきらしてまぶしい、夏。

 

43: 第四話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 01:59:41.64 ID:60

 

ぼんやりしていたら、ひょいっとかごから下ろされた。

 

代わりに自転車を押しているしんちゃんのとなりに並んで歩く。

 

しんちゃんはずいぶん背が伸びて、お父さんと変わらないくらいになった

 

 

お母さんといっしょに使っている自転車が、ぎしぎしと音を立てる。

 

でも、どんなに大きくなっても、きれいな女の人に目がいくのは変わらな

 

い。

 

こまったくせだなあと思いながらも、どこか安心してる僕がいる。

 

いつまでも変わらないでいて欲しかった、少しだけ乾いた風が吹く、秋。

 

 

44: 第四話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:00:07.68 ID:60

 

 

 

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寒い冬。

 

あんまり話してくれなくなった。

 

おさんぽも、少なくなって。こっちを見てくれることも少なくなった。

 

見えるのは横顔だけ。

 

楽しそうな、悲しそうな。ぼんやりした、困った。怒っているような、悩

 

んでいるような。

 

そんな、横顔だけ。

 

寒い冬。小屋の中で、ひとりで丸くなっていた、冬。

 

45: 第四話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:00:29.17 ID:60

 

寒かった冬。でも、冬は春への始まり。あたたかな春への始まり。

 

僕は丸まって、わたあめのようになって、あったかいうでの中で。

 

春の始まりをまっている。

 

たとえそれがほんのいっしゅんのものでも。

 

46:名無しVIP2006/04/07(金) 02:01:09.46 ID:kiGcI9gv0

 

ああ…

 

48: 第五話(1/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:02:11.66 ID:60

 

かしゃん、という、なにかがたおれる音がして、僕は目を開けた。

 

電灯がぽつりぽつりとついた、暗い道の真ん中で、見なれた自転車が横に

 

 

 

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なっている。

 

のろのろと首を上げると、しんちゃんの前髪が顔に当たった。

 

道のはじっこのカベに、もたれかかるようにしてしゃがみ込むしんちゃん

 

 

その体はひっきりなしにふるえていて、とても寒そうだった。

 

僕を抱きしめたまま、動こうとしないしんちゃん。

 

しんちゃんに抱きしめられたまま、動くことができない僕。

 

ああだれか僕の代わりに、しんちゃんを抱きしめてあげて。

 

49: 第五話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:02:35.86 ID:60

 

「ごめんな、ごめんなシロ。オラ、何にも出来なかった。」

 

ぽつりぽつりと、しんちゃんが話しかけてくれる。

 

「いっぱい病院回ったんだ、でも、どこも空いて無くて。

 

 空いてるトコもあったんだけど、大抵シロを一目見ただけで…何も。

 

 あいつらきっとお馬鹿なんだぞ。お馬鹿だから、何にも出来ないんだ。

 

 

しんちゃん、泣いてるの? ねえ、泣かないで。

 

「でも、ホントにお馬鹿なのは……オラだ。」

 

しんちゃんなかないで。

 

「オラっ……シロがこんなになってるの、気付かなくて…!!

 

 

 

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 ずっと、一緒にいたのに…親友だって……思ってたのに、なのに!!!

 

 

なかないで、もういいから。

 

「シロっ…………。」

 

50: 第五話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:03:01.37 ID:60

 

しんちゃんが泣いている。僕はなにもできない。

 

せめて元気なところを見せようと思って、僕はしんちゃんのほっぺたをな

 

めた。

 

しんちゃんのほっぺたは、少しだけ早い春の味。

 

51: 第五話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:03:28.44 ID:60

 

僕がメスだったら、しんちゃんのために子供を作っただろう。

 

僕が居なくなっても、寂しくないように。

 

僕がわたあめだったら、しんちゃんのためにせいいっぱい甘くなっただろ

 

う。

 

僕が食べられても、甘さが少しでも長く口にのこるように。

 

僕が人間の手を持っていたら、しんちゃんを抱きしめただろう。

 

僕がしんちゃんにもらった、温もりを返すために。

 

僕が人間の言葉をしゃべれたら。

 

 

 

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きっと、いっぱいいっぱいのありがとうとだいすきを、君に。

 

52: 第五話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:03:57.22 ID:60

 

ひっきりなしにこぼれるナミダをなめながら、僕はあることに気が付いた

 

 

僕はここを、今しんちゃんがすわりこんでいるここを、知っている。

 

ここは、僕と君が初めて会ったところ。

 

僕と君との、始まりの場所。

 

54: 第五話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:04:19.48 ID:60

 

僕は待っていた。

 

あきらめながらも、いつか。

 

いつか、おっこちたわたあめでも。

 

おいしいそうだって言ってくれる人が。

 

ひろいあげて、ぱんぱんってして。

 

まだ食べられるぞって、言ってくれる人が、来てくれるって。

 

58:名無しVIP2006/04/07(金) 02:05:26.63 ID:JK2cHUur0

 

アニメ化・・否、映画化してくれ。

 

59: 最終話(1/3) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:05:47.18 ID:60

 

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「シロ。」

 

名前をよばれて、僕は顔を上げる。しんちゃんが、笑っていた。

 

まだまだナミダでいっぱいの顔で、それでも笑っていた。

 

「シロ、くすぐったいぞ。

 

 そんなにオラの涙ばっか舐めてたら、しょっぱい綿飴になるぞ。

 

 しょっぱいシロなんて、美味しそうじゃないから。

 

 だからシロ、オラ、待ってるから。

 

 今度はオラが待ってるから。」

 

しんちゃん。

 

「だから、もう一度、美味しそうな綿飴になって。

 

 そんでもって、戻ってくるんだぞ。」

 

だいすき。

 

60:名無しVIP2006/04/07(金) 02:05:50.10 ID:hy1U4LRA0

 

むしろアニメ化希望

 

61: 最終話(2/3) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:06:26.84 ID:60

 

ぼくはしんちゃんに抱きしめられながら、さいごの夢を見る。

 

もういちど、わたあめになる夢を。

 

もういちど、おさとうになって、とかされて。

 

くるくるまわって、あまい、あまいわたあめになる。

 

 

 

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目ざめたときに、だれよりも、

 

君がおいしそうだって言ってくれるわたあめになるために。

 

ふわふわのわたあめ。さくらいろの、あったかなわたあめ。

 

君が大好きだっていうキモチをこめた、君だけのわたあめ。

 

62: 最終話(3/3) ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:06:58.49 ID:60

 

僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。十三年前に拾われた、一匹の犬。

 

まっ白な僕は、ふわふわのわたあめみたいだと言われて。

 

おいしそうだから、抱きしめられた。

 

僕はシロ、しんちゃんのしんゆう。

 

今度はさくらいろの、ふわふわのわたあめになって。

 

君に、会いに行くよ。

 

63: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 02:08:18.05 ID:60VRmiQN0

 

勢いで此処まで書かせていただきました。

 

至らない点も多かったと思いますが、ありがとうございました。

 

67:名無しVIP2006/04/07(金) 02:09:06.73 ID:v4jxAJCh0

 

>>63

 

すごい良かった。

 

久しぶりに泣かせてもらったよGJ

 

64:名無しVIP2006/04/07(金) 02:08:38.66 ID:8f99xRtB0

 

 

 

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画面が見えない゚・*:.。. .。.:*・゜゚*・゜゚・*:.。..。・゜・(ノД`)・゜・。.

 

.。.:*・゜゚・*:.。. .。.

 

66:名無しVIP2006/04/07(金) 02:08:50.22 ID:HRfbLpOe0

 

。・゚・(ノД`)・゚・。ブラボー

 

84:名無しVIP2006/04/07(金) 02:25:51.95 ID:5QOfOS/s0

 

まじ泣いた。

 

すげぇいいはなしをありがとう

 

99:名無しVIP2006/04/07(金) 02:45:17.59 ID:cNjQ6DrHO

 

>>1

 

文学のセンスありすぎ

 

(´;ω;`)こんな短い話で泣いたのは初めて

 

108:名無しVIP2006/04/07(金) 02:53:59.46 ID:KMH0Gg+/O

 

神スレだな

 

119:名無しVIP2006/04/07(金) 03:06:35.24 ID:LpGg+2+zO

 

ガチで泣いた・・・

 

124:名無しVIP2006/04/07(金) 03:13:04.54 ID:dV8xk7vIO

 

おそらく>>1はジャイアンが主役のドラえもんシリーズの作者

 

125: ◆TmK8dn3Gxg:2006/04/07(金) 03:14:59.53 ID:60VRmiQN0

 

>>124

 

違いますよ。すいませんこれが初めてです。

 

ご期待に添えず申し訳ない。

 

226:名無しVIP2006/04/07(金) 12:04:46.90 ID:a7MmUZJn0

 

会社で涙するオレ

 

292:名無しVIP2006/04/07(金) 15:55:30.83 ID:rFotzYcnO

 

泣いた

 

クレヨンしんちゃん観たくなった

 

あの普段通りのを観たくなった

 

332:名無しVIP2006/04/07(金) 18:34:50.60 ID:Ov9+EWPh0

 

泣くしかないじゃないか!

 

1000:名無しVIP2006/04/08(土) 21:43:53.64 ID:Naw1AwOk0

 

>>1ありがとう!また何か思いついたら頼むよ!期待しないで待ってるからさ気楽にな!