親戚の子供の話。
その親戚は母子家庭で中学三年の男子の一人っ子。
この男子をB君とする。
B君は基本的に物静かな性格。
しかし部活はガチガチの体育会系。
試合の時などは闘争心丸出しで頑張るという、静と動の切換がある。
さらに言うと勉強は嫌いだが頭の回転は速い。
ニュースなどもよく見ており、
世界情勢の話題なんかでも大人と遜色ないくらいに話せる。
そんなB君が三年の夏休みの前日、教室で友達としゃべっていると
後ろから消しゴムをちぎっては投げてくる馬鹿がいた。
こいつをCとする。
B君ははじめ無視していたが、
しつこく投げてくるCに止めるよう言うが止めない。
頭にきたB君はCの手を払いのけたが、
その拍子に持っていた消しゴムが飛んでいった。
普段B君は逆らったりすることがなかったので、
Cはたったそれだけで逆上しB君に殴りかかった。
その所為でB君の右目は大きく腫れ上がり、
眼球の毛細血管が切れ白目の部分が赤く染まった。
病院で診察をうけた結果、しばらく激しい運動は控えるようにとなった。
間の悪いことに夏休みに入ってすぐ、
三年間頑張ってきた部活の試合があった。
B君は怪我のため出場できないことが確定した。
B君の悔しさたるや計り知れず、
友達が遊びの誘いに来るも家に籠もる日々だった。
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Cの暴挙から5日くらい後、
学校からCの親御さんが謝罪に伺いたいと連絡があり、
担任、C本人と母親の三人が自宅に訪れた。
B君は部屋に籠もっており、母が相手をしていたが
Cの担任が直接謝罪がしたと言い、B君はしぶしぶその場に出た。
「B君、Cも反省しているんだ。
新学期が始まるまでにクラスメイトだし、仲直りできたらいいだろう」
二人の亀裂を修復させるためか、この事件を大事にしたくないためか、
やたらと仲直りを勧めるような話をし続けていた。
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「先生、僕が三年間どれだけ部活を頑張っていたのか知っていますか?」
「もちろん知っているよ」
「この怪我の所為で、最後の試合に出られなくなって、
僕の三年間の努力が無駄になったんですよ」
「確かに試合には出られなかったが、
努力した日々はB君にとって無駄じゃないだろう。
試合だけが部活の全てじゃないと先生は思うぞ」
「それは先生の価値観ですよね?僕にとっては試合が全てでした」
「……」
B君の反撃が始まった。
「それにコイツはまだ僕に謝ってすら無いんですよ」
「ご、ごめん」
「言われてから謝っても遅い。それで許してもらえると思うな」
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「B君、Cも反省しているんだから」
「反省したら僕の三年間が戻るのですか?」
「それは…」
「はっきり言います。僕はCを許すつもりはありません。
ただのクラスメイトで友達とも思っていないですから。
喧嘩は友達とするものでしょうけど、これは暴力です。
僕はしかるべき場所へ訴えますので、今日は帰ってください」
「B君、Cの母として私からも謝ります。許してあげてもらえないですか?
Cも最近、勉強なんかで悩んでて、それで少しイライラしていたりしてて」
「コイツの頭が悪いことが、僕に関係あります?」
「それは……」
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「はっきりいいます。
今回の件は傷害事件として警察に被害届を出します。
あなたたちの対応をみて、今決めました。
これからすぐに病院で診断書を貰って、
今日中に届けを出しますので後は警察と相談してくだい」
「そんな警察なんて、なあ、B君、学校でのことじゃないか。
B君が許せば丸くおさまる話だろ」
「先生、それっておかしくないですか?
被害者は泣き寝入りってことですか?」
「そういう訳じゃないよ。いつまでも許さないって言っても、
いいことないじゃないか」
「先生、僕の目は失明していたかもしれないんですよ?
そんな暴力を受けたのに、ゴメンの一言で許さなければいけないんですか?
どう考えも釣り合わないでしょう」
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ここでCの母が悲痛に言った。
「ほんとうに申し訳ありませんでした。
今日はお詫びのものも持ち合わせてないので、
後日改めて伺わせていただきます」
「それは示談ってことですか?ちゃんとするから、
警察には届けをだすなということですか?」
「そうして頂けるのなら」
「ちょっと、ちょっと、示談とか取り下げとか、話が大げさですよ。
B君のお母さんはどうお考えですか?」
「私は息子が望む解決法が一番だと考えています。
最後の試合に出られないと決まったときの姿をみていますから」
「ということです。母は僕に一任してくれています。
ではCのお母さん、治療費と慰謝料をあわせて百万円お願いします」
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担任が声を荒げた。
「B!大人に向かって言い過ぎだぞ!」
「そんな事ないですよ。中学生でも三年間、
休まず新聞配達すればもっと稼げます。
二度と戻らない三年の時間が百万なんて安いくらいですよ」
「でもなぁ……」
「Cのお母さん、大丈夫ですか?」
「そ、それは……」
「B、やっぱりお金で解決するなんておかしいぞ。もう十分だろ?」
「じゃあ先生は僕と同じ状況になっても、心から相手を許せるんですか?」
「ああ、先生は許す」
「わかりました。そこまで先生が言ってくれるんなら、
僕はこれから先生の目に失明の可能性のある攻撃を加えます。
それでCの事も許します」
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「B、先生への攻撃とCの事は関係ないだろう」
「関係なく無いですよ。先生は僕に、理不尽な攻撃を理不尽に許せと言う。
僕は許さないって言っているのにです。
なら僕の気持ちをフラットにするなら、Cの目を同じようにするしかない。
でもそれは先生が許さないでしょう。
なら先生が身体を張って、僕の気持ちをフラットにするのが
最善なんじゃないですか?
C、お前はどれがいい?失明覚悟で俺に殴られるか、
百万を払って終わりにするのか、
警察に捕まるのか、それとも、先生がお前の身代わりになるのか?」
Cは黙ったままだが、担任をちらりの見た。
担任の顔は引きつっていた。
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「先生、覚悟はいいですか?」
「わかった、お前がそれで気が済むなら殴れ」
「C、お前先生に感謝しろよ。こんなに素晴らしい先生はいないぞ」
Cはガクガクと頷いた。
全員が玄関から出て、担任が覚悟を決めB君に向き合った。
B君の隣に立つCに静かに言った。
「C、これから俺は先生を全力で殴る。止めるなら今だぞ」
「……」
「わかった。先生、見えてると反射的に避けちゃうかもしれないので、
目をつぶってて下さい。僕にとっては大切な一撃ですから」
「……」
担任は何も言わずに目を閉じた。
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「じゃあいきますよ」
横で成り行きを見ていたCの目をB君は思いきり殴りつけた。
悲鳴を上げるCの母、状況がつかめず身動きのとれない担任。
B君の母だけが静かに様子を見ていた。
B君はCへの復讐をずっと考えていた。
どうすればCに身体的、精神的に絶大なダメージを与えられるのか。
この一件は事前にある程度考えていたようだが、
担任をフェイクに使うことは当日に思いついたらしい。
担任というか学校側は「喧嘩両成敗」で事を納めた。
Cの目は思い切り腫れたが、失明などは無い。
ただし、夏休みが終わってからも登校することは無かった。
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B君はいま、いい大人になりエリートビジネスマンの道をひた走っている。
この話を聞いたとき、B君には逆らわないようにしようと誓った。
●コメント
当人しか分からない描写が細かすぎる!!
●コメント
傷害事件にして欲しかった。
人の顔面を全力で殴れる人ってどうかしてる。
状況的には、Cの目を思い切り殴ったB君のほうがいかれてる。
●コメントA
A君がいつ出てくるか期待してた。
●コメント
残念だが先生は目を閉じてキスを待っていた
●コメント
>>●コメントA
私はAを探しに行った
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●コメント
B君かB母が親戚中にこの芝居じみた一連の流れを
力説してる場面を想像するとクッソ笑えるw
●コメント
>>●コメントA
おれも…
●コメント
馬鹿野郎っ!!!
A君はな、A君はな、いつでも俺たちの心の中にいるんだぞ。
目を閉じて、感じて見ろっ!
●コメント
あ・・・ 見える!
私にも見えるわっ!
●コメント
C君と担任のクロスカウンター打ち合い
引用元: ・胸がスーッとする武勇伝を聞かせて下さい!(140)
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/kankon/1482931720/