日本には、多くの外国人が観光や仕事で訪れています。2020年には東京オリンピックも開催されるので、さらにその数は増えていくことでしょう。そして彼らはきっと、日本で目にするさまざまなことに疑問を感じるに違いありません。
そんな外国人に「日本について質問」をされたら、あなたはちゃんと答えられるでしょうか?
「話題の達人倶楽部」が編集した書籍『日本人の9割が答えられない 日本の大疑問100』より、答えられるようになっておきたい雑学をピックアップしました。
お城に魚(シャチホコ)が
載っているのはなぜ?
受験シーズンになれば「合格祈願」、厄年になると「厄除け」など、日本人はわりと神様へのお願いごとが好きな国民かもしれません。いわゆる「神頼み」です。
同じような考えは、ずっと以前の戦国時代にもありました。お殿様が住むお城にも、災厄を除けるため、まじないの品が備えられていたのです。そのひとつが有名な「シャチホコ」です。
シャチホコは、頭が虎に似て、体は魚という想像上の動物で、見た目は「大きな魚」です。シャチホコは雨を降らせる力を持つとされています。顔は前方に向け、背中をそらせて、尾を天に向けているのが特徴です。このシャチホコは、お城で一番高い建物である天守閣の屋根などに取り付けられました。
屋根に取り付けた意味は、火除けとされています。火事になったら、水の生き物であるシャチホコが水を吹き出して、延焼を抑えるといわれたからだそうです。
伝統芸能
「能」と「狂言」の違いは?
日本人にとっても、能と狂言はなかなか区別がつきにくいもの。
その違いをテレビ番組に例えると、能はシリアスドラマ、狂言はお笑い番組といえます。
能は人間の情念、深い心理などをテーマとして扱うものです。役者は能面で顔を覆い、その面の動きや角度によって喜怒哀楽のすべてを表現します。
一方、狂言は人間社会のおかしさを扱います。役者が演じるのは貴族や武士、一般の庶民など身のまわりによくいる人物たちで、彼らがおかしな行動や言葉、動きによって観客の笑いを誘います。
と、これだけの違いがありますが、もともとこの2つは同じ芸能でした。
その源流は、平安時代に生まれたといわれる猿楽です。猿楽は、サーカスのような曲芸や手品、モノマネなど、多種多様な要素を含む芸能だったのです。それをもとにシリアスな要素が能に、お笑いの要素が狂言に、と分かれていったのです。
お侍さんは、なぜ
チョンマゲを結っていたの?
かつて日本の侍は刀を腰に帯び、頭にはチョンマゲを結っていました。
武士がチョンマゲを結っていた理由は、戦いのときに頭を守る兜にあります。鉄の帽子である兜は、長時間着用していると当然蒸れます。そのため、兜をかぶるときは頭頂部を剃っていました。残った後頭部の髪の毛を束ねていたのが始まりとされます。
なお、チョンマゲは武士だけのものではありません。一般の男性もチョンマゲを結っていました。ただし、チョンマゲにはさまざまなバリエーションがあり、身分や職業、その時々の流行によって形に違いがあったと言われています。
日本のタクシーは
なぜ自動ドアなの?
1964年の東京オリンピックをきっかけに登場した有名なもののとして、タクシーの自動ドアがあります。
1950年代後半にはすでに開発されていたようですが、1964年に東京の大手タクシー会社が、新車にこぞって導入したことから一気に普及しました。オリンピックをきっかけに増加する「海外からのお客様をおもてなしするため」に、多くのタクシー会社も自動ドアを導入したとされています。
つまり、日本のタクシーはなぜ自動ドアなのか?その理由は、外国人観光客への「おもてなし」の気持ちの現れといえるのです。
さて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、注目されているのは自動ドアどころか、ドライバーがいなくても乗客を目的地まで運ぶ「自動運転手」です。「ある場所から競技場までの往復」など限定的ではありますが、実用化が期待されています。
日本のパトカーが
白と黒になった理由は?
白と黒で連想するものは? 日本人なら警察のパトロールカーを思い浮かべる人もいるかもしれません。車体の上半分が白で下半分が黒というツートンカラーのパトカーは、日本独特の配色だそうです。
日本に初めてパトカーが登場したのが1949年。アメリカ軍からオープンカーを譲り受け、アメリカのパトカーと同じように白と黒に塗り分けたのが第1号。その理由は、当時道路を走っている一般車のほとんどが白だったことから、一般車と明確に区別するためでした。1955年に、全国の警察で白と黒のツートンカラーに統一されたそうです。
ちなみに警察庁ではパトカーについて「車体を白黒に塗って赤色灯と拡声器を備え、都道府県名を表示する」という指針を設けてはいますが、細かい規定はないそうです。