世の中は知らなくても生きていけるけど、知ってて損もしない情報がたくさんあります。たとえば『お客に言えない!モノの原価マル秘事典』(青春出版社)で紹介されているあらゆるお金にまつわる雑学なんかもそうです。
オーケストラの給料事情やノーベル賞の賞金にまつわる裏話など、いくつかピックアップして紹介しましょう。
01.ヴァイオリン奏者とシンバル奏者の給料は同額
日本のプロオーケストラでは、完全に固定休というところが多い。楽団によってかなり差はあるが、一応給料は安定しているといえる。
オーケストラは規模によって60人〜100人くらいの楽団員が所属している。ヴァイオリンやチェロのように、演奏会でいったん曲が始まるとほぼずっと弾き続けている弦楽器の楽団員もいれば、そんなに音を出す機会がない、例えばティンパニーのような打楽器の楽団員もいるのだが、その給料には正団員である限り楽器による差をつけないのだという。
もちろん、年齢とキャリアによって差が生まれる場合はあるが、同じくらいの年齢であれば、みんな均等の給料をもらっている。
ただし、各楽器のセクションに「首席奏者」がいて、この人は給料の5〜10%ほどの「首席手当」がもらえる。
02.運転免許、日本は30万円アメリカは3,600円?
日本の運転免許(普通免許)取得までの費用が高すぎる、ということは、よく言われる話。本当にそんなに高いのか、海外と比べてみよう。
日本では通常、都道府県警察(公安委員会)が公認する指定自動車教習所で所定の課程を終了しなければ、普通免許を取ることができない。その講習料は25万円から30万円くらい。さらに運転免許試験場(運転免許センター)で学科試験を受ける費用もかかるし、期間も数ヶ月かかる(一部、短期のクイックコースもあるが…)。
アメリカでは、自宅にある車で練習して試験を受けることができる。日本で近所の駐車場で運転の練習をしたら「無免許運転」になってしまうが、アメリカでは問題ない。連邦政府の自動車局での受験費用は、学科と実技を合計して約30ドル(約3,600円)程度。ちなみに学科試験の問題は、ネットで公開されている。
英国では、免許保持者が先生として同乗し、路面で練習する場合が多い。費用は先生にもよるが、2時間40ポンド(6,400円)程度で、先生がOKを出せば受験へと進む。教習所に通う場合は10回で200ポンド(3万2,000円)。筆記試験料が約30ポンド(4,800円)、実技試験が50ポンド(8,000円)程度だ。
フランスでは、民間の自動車学校(オート・エコール)で運転講習を受け、その後、地元の警察で実地試験を受ける。費用は20時間の学科と実地込みで800〜1,000ユーロ(約10〜12万円)ほど。
ドイツでは交通局による学科の講習があり、それとは別に自動車学校の技能講習が行われる。1,000ユーロ(約12万円)からのコースがある。最大の特徴は、フランスとドイツの免許は生涯有効で更新の必要がないこと。
各国とも日本より低コストで、なにより練習の選択肢が豊富なようだ。
03.「小松菜」は農家にとって安定した収入源?
旬は冬。鍋物に最適で、雑煮に入れても良し。他にもおひたしをはじめ、とても使いやすくて重宝する小松菜は、農家にとっても有用な野菜だ。
というのも耐寒性が強く、霜が降りたり冷え込んで他の葉が凍るほどの気候でも枯れないほど栽培がしやすいのだ。病害虫防除のためにはハウスで栽培すると手間もかからない。
加えて収穫までの日数が、夏なら二十数日と短い。ハウスで1年を通して栽培すれば、年間に10回くらい収穫できる。価格も300〜400円/キロと安定している。そのため、農家にとってはまるでサラリーマンの月給のような安定した収入となる。じつにありがたい野菜なのだ。
04.一番大きな打ち上げ花火は約150万円
夏の夜を最高に盛り上げてくれる花火大会。花火はきれいだが、大会の運営コストは億単位だという。その中でもメインの打ち上げ花火は一発いくらなのか。
例えば、予算が1億円きっかりとして広告・宣伝費、主催者本部経費などを除くと、花火師に払うことができる予算は6,000万円というところ。花火師も人件費、運搬費、関係者へのご祝儀などを算入しなければならず、花火そのものには4,000万円くらいしかかけられない。これで、どれくらいの規模の花火を打ち上げられるだろうか。
例えば大会のラストを飾る巨大なスターマインは、3尺玉(=直径約90センチ)でも1発100万円〜150万円で打ち上げられる。普通の玉になると、玉の大きさが直径約14センチ、上がった花火の直径が約70〜90メートルくらいの「3号玉」で約5,000円。玉の直径約17センチ、花火の直径約220メートルの「6号玉」で約1万6000円、玉の直径約30センチ、花火の直径約320メートルの「10号玉(尺玉)」で5万円〜6万円というところだ。
仕掛け花火の「ナイアガラ」は、1メートルあたり約3,000円で、全長200メートルで60万円。ということは、ラストの3尺玉を2発300万円としてナイアガラ200メートルを加え、残りを1発平均8,000円として計算すると、4,500発ほど打ち上げることができる
これでは打上数としては少ないが、花火師と相談すれば「パック料金」で数を増やしたりすることも可能なようだ。
05.世界経済は古紙の「価格相場」に表れる?
古紙の価格が変動しているのをご存知だろうか。古紙が計画的に生産されるものではないことと、「紙の需要」そのものが大きく変動するために、古紙の需要も変化するのだ。少し前には、高度経済成長を続けていた中国での紙の需要が膨大だったことから、日本国内の古紙がどんどん中国に渡っていた、という現象もあった。
一方で最近は新聞の販売部数が減少し、新聞古紙が発生する総量が減っているため1キロあたりの価格が高止まりする傾向だ。新聞古紙の価格は1キロあたり約14円で取引されているが、メーカーの需要が一時的に高まって、古紙の買取量が増えると1キロあたり24円程度まで価格が高騰するという。
ゴミステーションに出された資源ゴミを持ち去るという違法行為までする業者が現れるのは、ときに古紙の価格が高騰して、需要が急に高まることがあるためなのだ。
06.ノーベル賞の賞金は非課税?でも経済学賞だけは…
さて、この賞金には税金はかかるのだろうか。答えは「たいていの場合、かからない」だ。所得税法で「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」には所得税を課さない、となっている。副賞の金メダルも非課税ということだ。ただし、経済学賞だけはスウェーデン国立銀行が賞金を出すため、課税対象になってしまうのだとか…。