世の中は、私たちの知らない様々なカラクリから成り立っていると言っても過言ではありません。おいしい話にはたいていウラがあると思っていいかも…。
たとえば『お客に言えない!モノの原価マル秘事典』(青春出版社)では、そばやノンアルコールビールなどの飲食物に関するこぼれ話が紹介されていました。
立ち食いそばの「そば」が「うどん」と同価格なら要注意
立ち食いそばの値段にはあるカラクリが。チェーンの立ち食いそば店にはうどんもメニューにある場合が多く、どちらもだいたい同じ値段だ。しかし、実際はそばのほうがはるかに原料費が高いので、うどんと同じ価格にしているのは怪しい。
そばはそば粉と小麦粉を混ぜてこねて作られる。そば粉だけでは「ポロポロ」になってしまうので、つなぎとして小麦粉を入れる。一般的に「小麦粉2割・そば粉8割」の「二八そば」が標準とされるが、そば粉の原料費が高いので、そば粉の割合を減らし、小麦粉の量を増やせば原価が安くなる。
そんなわけで、立ち食いそば店は、そば粉の割合を非常に低くしているところが多いという。本来JAS法では、そば粉が30%以上入っていなければ「そば」と名乗ってはならないとされているが、この規定は外食のそば、つまり「立ち食いそば」には適用されない。
そもそも酒税はアルコールを1%以上含むものにかかる間接税。350mlの缶ビールで約77円、発泡酒は麦芽比率などによって異なるが、350ml缶で約47円、いわゆる「第3のビール」が約29円となっている。
アルコール入りのビール系飲料が350ml缶で120円前後なのに対して、ノンアルコールビールは130円前後。酒税がかかっていないのになぜ高くなるのだろう?
理由としては、飲料メーカーはビールではないのに「ビールテイスト」の味わいを仕上げるのに苦労し、研究開発費も手間もかけているから。その分を回収したいという気持ちがあるということがひとつ。
また、アルコール入りの発泡酒や「第3のビール」をどんどん開発してきたのに、国税庁の方針で増税された分を取り返したい、という願望があるとも思われる。また販売時には、「酒税」にさらに「消費税」がかかることにも反発がある。
居酒屋のシシャモはほとんどが偽物!?
居酒屋でシシャモとして出されているほとんどが「カラフトシシャモ」というもの。別名カペリン、またはケープリンと呼ばれる代用魚だ。
本来のシシャモは、サケのように川を遡上して産卵する魚だが、「カラフトシシャモ」は、同じキュウリウオ科ではあるものの、まったく別の魚。現在、シシャモとして流通しているうちの98%がこのカラフトシシャモで、1匹8円ほどで卸されているようだ。
本物のシシャモとなると、ノルウェーやカナダから年間約3万トン輸入されるカラフトシシャモと違い、年間1,300トンほどしか捕獲がなく、居酒屋などに出回ることはまずないのだそう。
健康的な環境でのびのび育ち、弾力がある──地鶏のイメージといえばこんな感じだろうか。居酒屋などで地鶏と銘打っていれば、多少割高でも味わってみようとなるが、地鶏や銘柄鶏であれば、必ずブロイラー(短期間で急速に成長させる狙いで作られた品種)より格上の鶏肉なのかというと、必ずしもそうではないようだ。
農水省では細かく規格が定められているが、これは「『地鶏肉』特定JASマーク」をつける際の条件で、このJASマークにこだわらなければ、「〜地鶏」と名乗ることができてしまう。
外来種との交配種でも、平飼いをして運動させ、栄養価の高い餌を工夫すれば地鶏と見分けがつかない鶏に生育させられるともいう。実際、2007年には比内地鶏の肉と偽装して普通の鶏肉を販売していた事件も起こっている。
フィリピン産バナナの低すぎる買い付け価格
フィリピン産のバナナはたいていのスーパーで、5〜7本150円くらいで売られている。この原価は、フィリピンからの買い付け価格で約10%=15円くらい。日本で売られる頃には黄色いバナナになっているが、フィリピンから出荷されるときには「青い(緑色)」バナナだ。
ちなみにフィリピンの市場の屋台では、黄色く熟して皮の一部が黒ずんだようなバナナが売られている。日本では商品にならないが、フィリピン現地ではそれくらいがちょうど熟し、食べ頃とされているのだ。