小売店やレストランなど、集客で成り立っているビジネスは年中無休で営業しているところも多く、連休などはまさに稼ぎ時。
どんな理由であれ、長期にわたり閉店したら、客足が遠のいて命取りになりかねない。
にもかかわらず、ある米レストランが毎年2週間にわたり閉店しているというのだ。
ただ、その理由が素晴らしい。感動したネット民の間で、「今度食べに行きたい!」と大評判になっているほどなのである!
・あるレストランが毎年2週間にわたり閉店することに
米ニュースサイト『boredpanda』によると、毎年2週間にわたり閉店している飲食店は、
米カリフォルニア州ベーカーズフィールドのタイ料理レストラン「Chef’s Choice Noodle Bar:シェフズ・チョイス・ヌードル・バー」だ。
同店の Facebook ページを見ると、バーでお洒落なカクテルも飲めるレストランは、カジュアルダイニングというよりは少し高級志向なお店のようである。
・その理由が素晴らしすぎて感動!
では一体、なぜ毎年2週間もレストランを閉店することに決めたのだろうか!?
その理由を綴った「お知らせ」が、レストランのドアに貼られているので、内容を以下に紹介しよう。
「現在、閉店中。10月4日11時より開店。タイ出身の料理長が家族に会えるよう、毎年休暇をとっています。シェフズ・チョイス・ヌードル・バーで働くまで、彼は15年も家族に会っていませんでした。家族と一緒に過ごし、充電してもらいたいという思いから、毎秋2週間にわたり閉店することにしたのです」
と、なんとも心温まるようなことが書かれていたのである!
店が閉まっていると知らずに足を運んだ客でも、こんな貼り紙を見たら怒りだすどころか、従業員を大切にするレストランに好感を抱くことだろう。
・ネット民が「今度食べに行きたい!」と大評判に
そんなシェフズ・チョイス・ヌードル・バーの噂は、ネットで次々に拡散され、「ぜひ今度食べに行きたい!」といったコメントが続々と寄せられているとのこと。
すでに同店で食事をしたことがある人は、「料理も美味しいし、雰囲気も最高」だとオススメしていて、一気に評判がアップしたようである。
こんな寛大な対応をされたら、料理長もますます「もっと美味しい料理を作ろう!」とモチベーションがアップして、仕事に精を出せるのではないだろうか。
参照元:Facebook @Chef’s Choice Noodle BAR、boredpanda(英語)
執筆:Nekolas
▼毎年2週間にわたり閉店している理由が書かれた貼り紙はこちら
↓北半球で1番使えないラーメンガイドブックww次ページへ↓
常識を覆す一冊『ザ・閉店』
いまだ衰えることを知らないラーメンブーム。人気店ひしめく激戦区・東京では常にさまざまなラーメン店が生まれては消え、新陳代謝を繰り返している。
いろんな出版社から毎月のように発行されるラーメン店のガイドブックはその象徴といえよう。人気店、話題店がページを飾る一方で、閉店も多いため「数年前のガイドブックはほとんど使い物にならない」というのが常識だ。
そんな中、常識を覆す衝撃的な1冊に出会った。
それがこれ。
その名も『ザ・閉店』
(正式書名はデウスエクスマキな食堂15年冬号『ザ・閉店 ~ラーメンの四半世紀篇~ 北半球で一番使えないラーメンガイドブック』、全40ページ、オールカラー¥702)
個人発行のいわゆるミニコミ誌という形式を取りつつ、書名のとおり「すでに閉店してしまったラーメン店」にまつわる文章や写真をメインに掲載しているのだ。
「時代を彩った名・迷店たちへの鎮魂歌」というキャッチフレーズに漂う郷愁。あたかも「昭和の映画スター名鑑」を眺めているかのような錯覚にすら襲われる。
ためしに、チラっと中身を開いてみると……
かつて、とんこつブームの先駆け的存在となり、アリのような長蛇の列で一躍有名になった環七のアノお店や、
激辛マニアの中では絶大な支持を集めていた千石のアノお店(右ページ)など、スープや味のジャンルごとに絶妙なチョイスで紹介されており、その歴史や味、思い出、閉店にいたるいきさつなどが書かれている。
しかし、もう一度念のために言っておく。ここに載っているのは、どこもかしこもすべて幕を下ろしたお店ばかりである。
こんなラーメンガイドブック見たことねーわ!!!!
今うまいラーメンが食いたいんだという人にしてみれば「こんな使えない情報ばっかり載せてどうするのか」と思うかもしれないが、各ページの隅っこに注目してほしい。
閉店したラーメン店の味に比較的近いと思しき現存のお店情報が付け加えられ、しっかり「ガイド」的な要素も満たしている。
この世から消え去ってしまったラーメンに精一杯のレクイエムを捧げつつ、今もなお頑張っているお店へのエールも忘れない。
その姿勢に、制作者の限りないラーメン愛を感じざるをえないのだ。
制作者は筋金入りのラーメンマニア
こんなマニアックで超絶おもしろいガイドブックを作ったのはどんな人物なんだろうか。
さっそく制作者の刈部山本さんにインタビューを試みた。
『ザ・閉店』執筆&発行人の刈部山本さんは、東京・阿佐ヶ谷で「結構人ミルクホール阿佐ヶ谷住宅」という、お一人様専門の喫茶店を経営している。
お店を切り盛りする合間には、B級グルメに関するミニコミをひとりで制作。バラエティ番組『マツコの知らない世界』(TBS系列)では、「板橋チャーハンの世界」の達人として出演も果たした。
↓次ページへつづく↓
──そもそも、なぜこんな特殊なガイドブックを作ろうと思われたんでしょう。
名前の通った出版社が出している普通のガイドブックだと、閉店したお店って扱いが悪いじゃないですか。そこだけ印刷の色が薄かったり、でっかく「閉店」マークがついてたりして。それって違うんじゃないかなっていう違和感から出発しています。ブログ10年分を詰め込んで制作したのがこの本なんです。(刈部山本さん、以下同)
──自分が記録を残さないといけない、みたいな使命感がやはりあった、と。
それもありますけど、こうした媒体を通して語りたいのは、むしろなくなったお店のほうなんですよね。お店のバックグラウンドとか、ご主人がどこで修行されていたとか、お店が流行った時代の時代背景、ブームの中でどんな立ち位置だったのかとか。当時はよく分からなかったけど、いま振り返って感じることがあまりに多いので。
──読んでいて「ラーメンが好きでたまらない」という気持ちがひしひしと伝わってきました。やはりご自身もラーメンマニア?
そうですね。自分の場合、最初に環七沿いの「なんでんかんでん」に衝撃を受けて、その後、青葉や武蔵などのお店を食べ歩き、だんだん知見を広げていきました。
──『ザ・閉店』では、ちゃんと現役のお店を載せているあたりに、愛やこだわりを感じます。
ありがとうございます。現役のお店情報は、当時の味を覚えている人へはもちろん、味を覚えていない人、知らない人にも「悶々としないように」という意味を込めて書いています。ま、中にはあまりに個性的過ぎたがために、なかなか似ている味が見つからないケースもありますが(笑)。
▲刈部山本さんが発行しているラーメン関連のミニコミ。この他にも、B級グルメ全般を扱ったミニコミを次々と発行。その圧倒的なデータ&知識量は、メディアで一目置かれる存在だ
──Webではなく、あえて紙のミニコミ誌にこだわっているのは何か理由があるんでしょうか。
WEBだとどうしてもピンポイントで記事を見ちゃうでしょ。紙の本だと、まずひとつの大きなコンセプトやジャンル分けの考え方を理解してもらえて、その流れの中で見てもらえるので、自分のスタイルには合っているのかなと。
──この『ザ・閉店』を通して読者へ伝えたいことは?
個人経営店のおもしろさ、でしょうか。やっぱりオーナーの強い個性やこだわりが表れているお店にひかれますね。中でも、ラーメンというジャンルはバクチ的な快楽や魅力があるんですよ。ラーメンブームっていう大きな流れの中でもいろんな局地的ブームがあって、それにノルか、ソルか、パクるのか、逆張りするのかですべてが違ってきます。ご主人も山っ気のある人が多い気もしますしね。そういう点も楽しんでほしいです。
引用元:http://rocketnews24.com/2017/09/28/960950/、https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/editorial/17-00006