俺は当時実家住みで、実家はものすごい僻地ってか山奥
リアルに、隣の家が100m離れてるレベル
勿論街灯なんかも殆ど無く、夜は真っ暗
ある冬の日、夜中にタバコ吸いつつ歩きながら近くの川がある橋へ
するとぼんやり人影が
幽霊!?と驚きつつ、よく見たら生きてる人
何かを抱きかかえて、橋から今にも身を乗り出し落ちていきそうだった
こんな夜中、しかも冬にと驚いて、
「何してる!?」
と大きい声を出してしまった
すると、その人影はよほどビックリしたのかビクッと小さく飛び上がって橋の手すりのそばで座り込んでしまった
走って近づくと、大きなストールを頭からすっぽりかぶった女の人だった
手には、毛布にくるんだ赤ん坊が眠ってた
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女の人は、顔はよく見えなかったがガタガタ震えてた
後から分かるが、それは寒さのせいじゃなかった
俺は、ピンと来た
多分だが、自殺だろうと
とりあえず、見てしまったし思わずだが声までかけてしまったので
「あの・・・大丈夫ですか」
と声をかけて手を伸ばした
すると女の人は、ヒッと小さく息を吸って身を引いておびえ始めたんだ 怯えてはいるけど、
見てしまった以上ほっとけなかった俺はとにかく大丈夫かと声をかけなかば強引に実家に連れて帰った
明るい場所に出て俺はびびった
彼女、顔が痣だらけだったんだ
ストールをすっぽりかぶってたのは、顔を隠すためだったんだろう
彼女は、ずっと
「すみません、もう大丈夫です
すみません、すみません」
と力無く言い続けて涙をこぼし始めた
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顔の痣、赤ん坊、こんな夜中にいるべき場所を飛び出して死のうとしていた・・・
いくら鈍い俺でも、だいたい察しがついた
でも、かける言葉が見つからない
ただ涙を流してる彼女を、なだめるしか出来なかった
そうこうしてるうちに、うちの母親が起き出してきた
騒がしいから何事かと出てきたんだか、彼女と赤ん坊見て当然ビックリ
「ちょっとアンタ!どーしたの!!」
謝りながら逃げる様に出て行こうとする彼女を、母親と俺とで必死に止める
特に母親は、赤ん坊が風邪をひいてしまうと説得した
泣くばかりで言葉が出ない彼女に代わり、俺が別室でさっきあったことを説明
母親は警察に届けた方がいいのかな、と言ったところで彼女が今度はこちらの部屋に飛び出して来た
赤ん坊をそばに置き、警察や家族にだけは連絡しないで欲しい!と土下座された
「もう大丈夫、自分で帰れます
すみません、夜分にご迷惑おかけしました
有難う御座いました」
そんな言葉を繰り返して、また出て行こうとする彼女
俺はパニクって思わず、
「それ・・・旦那さんに?
帰って本当に大丈夫なんですか?」
と、エラいストレートに聞いてしまった
彼女、目をまん丸くして俺を見た
そして、
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赤ん坊を抱きしめたまんま再び泣き出した
今度は声をあげて泣いた
母親は黙って彼女を見つめてた
んで、わんわん泣く彼女を再びあったかい居間へ通してゆっくり事情を聞いた
以下箇条書き
●結婚前はそれは優しい旦那さんだった
●仕事もすごく真面目で、若いのに異例のスピード出世
●そのあたりから、家でも俺はエラい・スゴい発言
●嫉妬深くなり、彼女を見下すように
●ある時仕事の電話で男性同僚から電話→浮気だと逆上→携帯逆パカ
●その時浮気だとキレられ殴られる
●以来ちょっとしたことでも殴るように
今まで顔はなかったらしいが、旦那が酔って帰った時に
赤ん坊が夜泣き→うるさいと赤ん坊を殴ろうとする→かばう→逆上ボコボコ
姑にもいびられまくっていて、何もかもイヤになり夜中こっそり飛び出して死のうとしたらしい
母親が途中から泣き出して、つらかったね、つらかったねと頭をなでながら話聞いてた
俺は俺で、周りに浮気で嫁さん泣かすやつはいたが、
いわゆるDVってやつで嫁さん泣かすやつはいなかったから、本当にこんなことあるんだとビックリ
俺自身は暴力自体大嫌いだったから、胸くそ悪くなった
特に母親も嫁に行った娘がいる(俺の妹)親として、激怒して
幸せに暮らしてると信じきってる実家が知ったら、悲しむからと言う彼女を一喝
→彼女実家に連絡
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→彼女実両親到着
→事情説明
→彼女実両親激怒
結構な地位のご両親だったようで、知り合いの弁護士挟んで彼女の旦那と義実家フルボッコ
慰謝料とって1年後に離婚した
んで、その間顔の怪我が治った彼女がお礼にきてまたビックリ
ものスゴい美人だった・・・
あの時は顔腫れてたし、必死過ぎて気付かんかった
雷にうたれたみたいな衝撃だった
女なんかヤレれば良いくらいのクズだったが、彼女だけは何故か違ったんだ
気付いたら、今後も何かあれば力になりたいと連絡先を聞いていた
彼女はその後、実家から離れ一人で子育てしながら働いていた
何か援助や手伝いを申し出ても、
気持ちだけでとても励みになるから大丈夫ですと断られた
そんな健気なとこがますます好きになって、
初めて本気で女の人に恋をしたことに気がついた
このとき、30歳
彼女しかいないと思った
好意を持った女性と接したことが無い俺は、彼女にどう伝えたらいいか
どう距離を縮めたらいいか
全く分からんかった
それに、彼女はやっぱり男にまだ恐怖心があったんだ
だから、ただほぼ毎日たわいもない挨拶や励ましをメールする日々
たったそれだけ
それだけが、つまらない毎日を送って人生諦めかけてた俺の、
生きる希望・糧になってた
そんな時、彼女が過労で倒れたと連絡があった
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彼女は働き過ぎだった
子どもを不自由なく育てるためにと、頑張りすぎたんだろう
病院に行くと、彼女が子どもを片手で抱きしめながら点滴していた
もう気持ちを抑えていれなかった
俺は、彼女に自分の気持ちを正直に伝えた
彼女が好きだということ
恐怖心は癒えてないかと思うが、俺を信じてみて欲しいこと
子どもも含めて、愛しいと思うこと
無理をせず、もっと俺を頼って欲しいこと
彼女は最初、首を横に振ってた
でも、俺は諦めなかった
信じてもらうには、行動で示すしかないと思ったから
まず、その後ほぼ押しかけの様に彼女の住まいへ訪問
彼女が家事や用事を済ませる間、子どもとたくさん遊んだりした
そうして、少しずつ一緒にいる時間が長くなり
何年かして彼女の笑顔が増え、子どもの笑顔も増え
彼女が子どもから、
「お兄さんて、本当は自分のパパ?」
って聞かれたことをキッカケに、
彼女が俺の存在が子どもと自分の中で大きくなっているのに気付いて、晴れて付き合うことに
俺は最初からそのつもりだったから、付き合ったその日にプロポーズ
凄い出会いだったが、十年近くたった今もすごく幸せです
俺は絶対彼女と子どもを泣かせないって今も思ってる
↓ネットの声は次ページへ↓
・幸福に暮らしてほしいです。きっと、この先にも良い事が、ありますように。
・嫁さん殴られすぎだったんだな。驚くぐらい美人だったってことは。
・いい出会いがあったんですね、最高ですね。
・誰でも幸せになる権利があるの
・なにはともあれ、おめでとう!みんなで幸せになってね
引用元:http://bazz-anecdote.com/?p=1972