正直に告白します。
メディアに出てくる「激辛好き」な人々の尺度がよくわかりません。イマイチ信用できない、と言い換えても良いでしょう。
なぜかといえば辛味に対する感覚は個人差が大きいことと、メディアでは色や形と違い、味を直接伝えることができないため、制作サイドで辛さの調整がどうとでもなるからです。(アツアツおでんの温度も同じ)
テレビで「激辛すぎて全員残した!」というメニューを見てお店へ行き、アッサリ完食した時は、完食の嬉しさよりも「これじゃない」といった残念さのほうが大きいものです。
そんな中、激辛好きとメディアで語られるアミーゴこと、鈴木亜美さんの辛味愛をお尋ねする機会に恵まれました。
果たして、アミーゴの激辛好きは本物なのか。
表参道にある激辛好き御用達店「赤い壺」にて様々な辛味を味わっていただきつつ、日頃の辛味との付き合い方について存分に語っていただきました。
- 旨・辛ダイニング 赤い壺
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東京都 港区 北青山
創作料理
タバスコは24本入りを箱買い
16歳でテレビ番組『ASAYAN』をきっかけに芸能界デビューした鈴木亜美さんですが、この頃はすでに辛味の才能が花開いていたようです。
「子供時代、インスタントラーメンを食べるときに七味唐辛子を入れたのが辛味との出会いです」(鈴木亜美さん)
陸上をしていた中学生時代には部活の帰りにラーメン屋へ。そこのメニューにあったオロチョンラーメン(主に味噌ラーメンを唐辛子などで辛くするラーメン)に辛さレベルがあり、より辛いものを求めるなかで辛味の追求が始まりました。好きな辛味はトウガラシと山椒、中華でいう「マー」と「ラー」だそうです。
「辛いもの食べると、翌日はお肌すべすべですよ!」
自宅では火鍋をよく食べ、グラス一杯のトマトジュースにはタバスコの小瓶を半分は入れてしまうのだとか。タバスコは24本入りの箱買いをして常に在庫を欠かさないそうです。
誓約書にサインしないと食べられない激辛メニュー!?
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唐辛子系の辛味を愛する人なら行っておきたいのが赤い壺。
このお店で多くの激辛好きたちを恐れさせているのが、同店の辛さレベル8(8辛)を誇る伝説の激辛チヂミ。こちらは食べる前に、「体調が悪くなっても自己責任」という誓約書に署名しないと食べられないという限定メニュー。
まず、鈴木亜美さんには腕試しに4辛のメニューを、その後に本命となる8辛のチヂミを召し上がっていただきます。
常人なら普通に咳き込むレベル!唐辛子山盛りの「ペペロンチーノ」
はじめに提供いただいたた4辛メニューは「ペペロンチーノ」。
ペンネをつかったものですが、出てきた料理を見て取材スタッフはビックリ。
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なぜか鈴木亜美さんはニッコリ。パスタの上に山のように唐辛子が盛られています。
バーズアイという南米産の唐辛子が鋭いパンチを繰り出してくるのですが、涼しい顔をして鈴木亜美さんは味わっていきます。
「唐辛子単体で食べても大丈夫ですけれど、パスタと一緒に食べるとパスタの味・塩分が合わさって美味しく食べられますね」
と爽やかに笑いました。
激辛好きたちを轟沈させる「いかとニラのハバネロチヂミ」
赤い壺がなぜ激辛マニア御用達の店となっているか。それはこのメニュー「いかとニラのハバネロチヂミ」があるからです。
誓約書にサインしないと食べられない一品で、文字通り病院送りになったお客さんもいるのだとか。10人でチヂミを1つ頼み、辛いものが苦手な人向けのお助けドリンク「練乳牛乳」を47杯飲んだにもかかわらず辛すぎて残した…という伝説もあるメニューに鈴木亜美さんが挑みます。
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調理工程はというと、
チヂミの上にはハバネロを刻んだものがかかり、生地にはハバネロペーストが練りこまれています。さらにそれをハバネロの油で焼くというハバネロ尽くしです。
まずは誓約書に鈴木亜美さんがサイン。芸能人として色紙以外にサインをする機会はどのくらいあるのでしょうか。
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厨房から調理中のハバネロの香りが漂ってきています。辛いものが苦手なスタッフはそれだけで辛い(からい)顔をしていましたが、鈴木亜美さんはむしろ楽しみでしかたない、といった表情。
出てきたチヂミからもハバネロの香りが漂っています。鈴木さんは笑顔で「いただきます!」。激辛チヂミを食べた彼女の第一声が気になるところです。
「うん、うん、うん。ハバネロの味が出ています。おいしい!」
「端っこはサクサクとした歯ざわりでおいしいです! 中央部分の生地はモッチモチですね。海鮮の味もしっかりしていて、これはテンション上がる味ですね! クセになるおいしさ!」
多くの人が挑戦し破れた8辛のハバネロチヂミをペロリと平らげてしまいました。
完食者には表彰状が。来店すれば鈴木亜美さん直筆のサインが入った表彰状が見られますよ。
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鈴木亜美さんの食べっぷりに感動した店員さんが…
8辛のチヂミを軽々と食べた鈴木亜美さんにお店のスタッフもビックリ。そして、
「実は、火曜日と木曜日の限定で、チヂミを超える10辛のメニューを出しているんです。それを召し上がりますか?」
と、おすすめと挑戦状のハーフ&ハーフのような申し出をいただきました。
「ぜひ!お願いします!」
と、鈴木亜美さん。
急遽、5辛の激辛タンドリーチキンと10辛の激辛チャプチェを追加注文します。そこで、筆者は鈴木亜美さんの激辛好きぶりに真に驚かされることになりました。
激辛タンドリーチキンでは味覚の正しさを魅せる
8辛を制覇した鈴木亜美さんにとって5辛のタンドリーチキンは「辛いもの」のうちには入りません(常人なら咳き込み、むせるレベルの辛さ)。が、食べ終えた後の感想に舌を巻きました。
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「チキンは甘くてジューシーです。皮もとろとろで美味しい!はちみつかと思う甘みが味の中にありますね」
と鈴木亜美さんが語ったのですが、なんと味付けにはちみつを使っている料理なのです。
辛味が苦手な人は、「辛いもの好きの人たちは痛覚のような辛味だけを楽しんでいて、味なんかわかっていない」そう思っているかもしれませんが、常日頃から筆者はそれを否定していました。鈴木さんの感想からは、辛味のなかの味わいを楽しんでいることがわかります。
「お店の人が味見できないような辛さのメニューは好きじゃないんです。お店の人が辛味と旨味をしっかり作ってくれる料理が好きで、辛いだけだとあまり美味しくないので…」
と語る鈴木亜美さん。筆者も心の中で「同志よ!」と叫んでいました。
完食者がわずか2名!? 10辛の「激辛チャプチェ」はいかに?
最後に登場したのは、食べ終えた猛者に与えられる賞状がわずか2枚しか店内に飾られていない、火曜日と木曜日にしか食べられない10辛の激辛チャプチェです。
チャプチェは春雨を使った韓国料理。赤い壺では、日本一辛い唐辛子と言われている「辛富士」を使い、春雨にハバネロのほか最も辛いトウガラシとして3年間ギネスにも登録されていたことがある「トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー」の成分が吸われるように調理されています。
ぱっと見、そして香りは少しあっさり目ですが、口にして少ししてからビリビリビリと辛味がやってくる、そんなタイプの春雨でした。
鈴木亜美さんも
「割と薄味ですねえ。さっぱりしていますよ。チヂミの方が辛味を感じたかもしれません」
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と食べ始めましたが、途中から
「あ、辛い!」
と反応が変わりました。
この日初めて、一般の人が口にするような言い方で「辛い!」という言葉を聞きました。が、顔は笑顔のままです。
そのまま食べ続ける鈴木亜美さん。
「一度ヤマがあって、それを超えるとイケますね。うん。大丈夫、大丈夫。」
同店最高の、数多くの激辛ファイターを跳ね返してきた10辛料理をあっさり制覇。
チヂミの賞状に続き、チャプチェを食べた者だけに贈られる赤い賞状も手にしたのです。
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2枚の賞状を同時に手に入れた人はお店の歴史の中で初めてだそうです。スタッフの方も「お世辞抜きで芸能界で最も辛味に強いと思います」と太鼓判を押していました。
鈴木亜美さんは「本物の激辛好き」
同席した激辛好きを自称する筆者は、8辛のチヂミは美味しく食べられましたが、10辛のチャプチェは「いや、これはいかん…」と腰が引ける辛さでした。
あのチャプチェをパクパクと食べる様を目の当たりにした鈴木亜美さんはメディアによるお世辞などまったく関係なく、正真正銘、筋金入り、本物の激辛好きと断言できます。
個人的に舌を巻いたのは、5辛のチキンにはちみつが入っていることを見抜いた味覚です。料理に使うトウガラシの量を増やせば辛味を増すのは簡単です。
しかし、激辛料理の価値は辛味の中にどのような旨味を入れ込むかということでもあり、その旨味を見抜く舌まで持ち合わせる鈴木亜美さんの辛味好きは正真正銘の本物と言い切れます。
取材でありながらも、激辛好き同士の会話を楽しめた貴重なひとときでした。筆者の中で、鈴木亜美さんのニックネームは「アミーゴ」から「カラミーゴ」に変わりました。
引用元:https://retty.news/34854/