“インフルエンサー”と呼ばれる、SNS等で多くのユーザーからフォローされ、世間に与える影響力が大きい行動を行う人物が存在します。
週刊文春記者のスズキさん、タレントの戸島花さんが出演する生放送番組「文春砲Live」では、5万人以上のフォロワーを抱える、コラムニストで元インフルエンサーの妹尾ユウカさんと、本企画でYouTuber事務所に取材を行った弟子ハル一号さんが登場。
話題のインフルエンサービジネスのカラクリやフォロワーの買収など、妹尾さんがビジネスの裏側を明かしました。
※本記事は2018年2月17日に「週刊文春デジタル」によって放送された「【文春砲Live #24】「羽生結弦とブライアンコーチの愛憎6年」を徹底解説!」の内容の一部を再構成したものです。
悪徳インフルエンサーとは?
戸島:
次の特集はこちらです。「1ツイートでウン十万円ゲット!? 話題のインフルエンサービジネスのカラクリをインフルエンサーに全部聞く!」。
弟子ハル一号:
早速ですがお二人は今話題の「インフルエンサー」という言葉はご存知ですか。どういうものかと言うと、定義は曖昧なのですが、Twitter・Instagramのフォロワーが1万人以上いる社会的に影響力がある人と言われています。
弟子ハル一号:
お笑い芸人の渡辺直美さんは769万人のフォロワーがいて、すごい影響力と言われているんですけども、芸能人の方以外にも一般人の方で、フォロワーが多くて、影響力があるインフルエンサーという方がいます。
スズキ:
芸能人じゃないんだね。
弟子ハル一号:
そうです。学生だったりとか主婦だったりだとか。一応YouTuberもインフルエンサーと呼ばれているんですけれども、そういったネット社会の問題がありまして、僕が皆さんにお伝えしたいのはこちらです。
弟子ハル一号:
「悪徳インフルエンサーに気を付けろ!」ということで、たとえば好きな方のTwitterやInstagramって、気にされますよね。
戸島:
毎日見てます。
弟子ハル一号:
たとえば、超おすすめのものだったり、愛用品という物が上がっていたら、気になって見たりしませんか。
戸島:
タグ付けしてあったりすると、リンクに飛べるので……。
弟子ハル一号:
商品を見たりしますよね? それなんですよ。
戸島:
えっ?
弟子ハル一号:
日常の投稿に溶け込ませて、商品紹介をする。
スズキ:
ステルスマーケティング【※】(以下、ステマ)ね。
※ステルスマーケティング
消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。影響力のあるブロガーが、何らかの企業や組織から報酬を得ていることを明示せずに、あたかも第三者であるかのように偽装して、特定の企業や製品について高い評価を行うことも指す。
弟子ハル一号:
商品を「PR」というハッシュタグを付けないで、あたかも愛用品として自分のファンに購買意欲を持たせるという。
戸島:
でもそれってわからなくないですか。本当に愛用しているものも載せられない世の中になってますよ。
弟子ハル一号:
本当に愛用しているものもあると思うんですよ。
スズキ:
俺は絶対ないと思うね。全部金だと思うよ(笑)。
弟子ハル一号:
今回はそういったやり方にもいろいろなものがあるんですけれども、実際にどんなやり方があるのかということを、話題のインフルエンサーが金の稼ぎ方をレクチャーしますよ、という。
スズキ:
本当に? 怪しいんだよね。
2投稿で200万を稼いだ元インフルエンサーが語る「正直ちょろい商売」
戸島:
妹尾さんにインタビューしたVTRがあるそうなので、見てみましょう。
~VTR紹介~
──Twitterを始めたのはいつ?
妹尾:
高校3年生くらいからです。
──なぜ5万4千人もフォロワーがいる?
妹尾:
一番はじめは辛口なツイートをしていて、その中からWebメディアの方から、もうちょっと長文を書いてみない? ということでコラムのお誘いを受けて、そこからフォロワーが増えたっていう感じです。
──インフルエンサーとはどういうもの?
妹尾:
定義としては、だいたいフォロワー1万人からがインフルエンサーと言われていて、一般人なんだけどファンを抱えている芸能人未満みたいな人が多いですね。私は1万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーという部類で仕事をさせてもらうこともあります。
──インフルエンサービジネスのシステムは?
妹尾:
商品紹介をして、それに応じた報酬を得るっていうシステムがすごく多くて、Instagramで1フォロワーにつき2円くらい。Twitterが1~1.5円くらいと言われています。
──お金の流れは?
続きはコチラ↓↓
妹尾:
たとえば商品を紹介してほしい会社がいます。間に私とその人をつなぐ代理店があって、だいたい代理店から受け取る形になっています。大元は商品の会社が出しています。
──妹尾さんが1回呟くとどれくらい稼げる?
妹尾:
正直なところ40万円はいくと思います。1カ月1ツイートだけで全然生活していけるんですよ。それを見たファンの人が商品を購入してくれるので、5000円の商品だったら3000円くらいが私に入るようになります。リツイートしてくれたらお金が入るというのもあります。
──リツイートしてくれたらいくらですか。
妹尾:
5万円。正直めちゃめちゃちょろい商売です(笑)。
~VTR紹介終了~
戸島:
すごい話ですね。
スズキ:
今までにどんな商品を紹介しましたか。
妹尾:
飲むとおっぱいが大きくなりますよっていうバストアップサプリメントのステマをやったことがあります。そのときにいただいた額がツイート2投稿で計200万円くらいです。
スズキ:
「PR」ということは書いたの?
妹尾:
書きました。
スズキ:
書いたのに200万も貰えるの!?
妹尾:
それでも私は全然下のほうですよ。
スズキ:
200万円はどういう流れなの。
妹尾:
あれはインチキがありまして、1カ月分無料と謳っているのですが、買う人は「1カ月分お試しができるんだ」と思って買うじゃないですか。でもそれは実は仕掛けがあって、「4カ月分を買うと、もう一つついてきますよ」っていうだけなんですよ。
スズキ:
そういうのはよくあるけれど、フォロワー5万人がみんな買ってくれればいいんだけれど。買った分だけ自分にお金が入ってくるということ?
妹尾:
そうです。歩合なので、買っていただいたところから何パーセントかが入ってくるので。
戸島:
じゃ相当売れたということですね。
妹尾:
たぶん。でも美容系の商材ってすごく売れるんですよ。やっぱりみんな可愛くなりたいし、おっぱい大きくなりたいし、痩せたいしという思いがすごく強いんですよ。
戸島:
実際に飲んだんですか。
妹尾:
飲みました。
スズキ:
大きくなったの?
妹尾:
多少は(笑)。
スズキ:
「大きくなりました」って、他の人のおっぱいの写真を使ったりする?
妹尾:
私はやっていないです(笑)。
スズキ:
他の人でやっている人もいる?
妹尾:
います。もっとひどい話だと、豊胸手術を受けてから、アフター写真を撮るという人もいます。それでも全然元が取れちゃうくらいなんです。私でも200万円いくので。だからこういうのって、結局みんな辞めないんですよ。
現物支給で使わないものはメルカリに転売
戸島:
何か問題って起こったりしないんですか。苦情だとか、食い違いみたいな。
妹尾:
会社とのですか? 一度、ひどいなと思ったのが、薬自体が海外製のものなので、私の手元に届くまで時間がかかるってことで、「飲む前に良かったですってことを書いてください」っていうお願いをされたことがあります。それはさすがに……と思いました。
スズキ:
でも実際に書いている人たちもいるわけでしょう。
妹尾:
います(笑)。
戸島:
化粧水とかそういう系の投稿のときに、化粧品が減ってないのに「愛用中です」って書くのは、本当に中身を減らしてからやったほうがいいなと思うんです。
妹尾:
「新品じゃん!」ってやつですよね(笑)。
戸島:
一応化粧品とかチェックしちゃうじゃないですか。そのときに中身が減ってないなとか、サプリとかも「飲んでる」とか言ってても、写真が箱から取り出した新品だなとか。そういうのを見ると、ちょっと引いちゃうな。
妹尾:
ありますね。ただ、化粧水で結構原価が高い1本2万円ぐらいのだと、現金じゃなくて現物支給の場合もあって、でも別にその化粧水は使わないっていう人はメルカリ【※】とかで売っています。
※メルカリ
日本およびアメリカにてサービスを提供しているフリマアプリである。もともと20~30代の女性に人気だったが、2017年時点で40~50代の男性の出品も増加してきている。
スズキ:
出た! メルカリ(笑)。
妹尾:
実質、商品券みたいなものなんです。
スズキ:
俺らでも、取材に行ったら企業からものを貰うじゃん。それって売るのはいけないと思うんだけど、そういう人たちは売っちゃうんだね。事務所のサンプルDVDとかでも「サンプル」って書いてあって売れないようになっているけれど、企業もそうしたほうがいいよ。企業もわかっているのかな。
妹尾:
わかっていないんじゃないですか。売れれば何でもいいと思っているんだと思います。
某シェアハウス番組に出ていた方が「お洗濯楽しい!」って洗剤を載せていたり……
スズキ:
ステマの見分け方って何ですか。
妹尾:
すごく難しいのですが、ハッシュタグの中に英語を何個も並べて、その中に小さく「PR」って付けているのを見つけるとか。
戸島:
Instagramって、カッコイイ英語とかでハッシュタグを付けると「オシャレ!」みたいになりませんか?
妹尾:
それ、痛いです(笑)。
戸島:
オシャレに見えるから、みんなそういう意味で付けているのかと思ってました。
妹尾:
あれはごまかしのためです。
スズキ:
タレントでもやっている人は多いんだよね。
妹尾:
特に某シェアハウス番組に出ていた方々とかがすごく多いです。「お洗濯楽しい!」とかって洗剤を載せていたり(笑)。
スズキ:
タレントの「バースデーパーティに行きました」とか「お店の新規オープンしました」って、あれもお金を貰っている人、多いんでしょう?
妹尾:
貰ってます。
戸島:
オーナーとかと友達だと思っていたんですけれど。お金を貰うとかじゃなくて、ただで食べれる、PRは込みで……。
妹尾:
ただで飲み食いできるぐらいでインフルエンサーは動かないですよ、もう(笑)。
一同:
(笑)
スズキ:
戸島さんはやったことないの?
戸島:
結構フォロワーがいるんだけど、そういう仕事が来ないな……(笑)。でも、今みたいにインフルエンサーって言葉がなかった昔に、実際に商品を使ってやったことある。使ったら、その商品も貰える。でも桁が全然違います。
すごい時代になりましたね。ちょこちょこで入ってくる話で、当たり前の職業じゃないけれど、一つの生業として成り立っているような……。
妹尾:
そうだと思います。
スズキ:
たとえば行きつけではないんだけど、「お店に行ったことあります」みたいな。
妹尾:
さすがにそれは聞いたことないです。でもレセプションに行っただけで常々通っているふうに書く人はいます。
スズキ:
それはだめじゃないの?
妹尾:
モラル的には。最近は化粧水だけではなくて、時計とかも多いです。
フォロワーは購入できる!?
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戸島:
「見た目が綺麗な人じゃないとできないの?」とコメントが来ています。
妹尾:
見ての通り、全然ブスでもできます(笑)。
戸島:
いえいえ(笑)。
妹尾:
フォトショップが上手ければできます。
戸島:
でもたまに顔を全く載せないで、そういう投稿だけでリツイートがすごい人とかいますよね。
妹尾:
あれは買っているんだと思いますよ。1万人フォロワーがいれば仕事が来るので、1万人買っちゃえば、そこからどんどん嘘が本当みたいになっていくんです。
戸島:
本当に買えるところはあるんですか。
妹尾:
あります。海外のサイトとか出てきます。
スズキ:
あれって本当に買えるの?
妹尾:
買えます。
弟子ハル一号:
実験で買いましたよ。買ったら、本当に増えました。本当にすぐ増えるんです。
戸島:
いくらくらい?
弟子ハル一号:
1フォロワー1円くらいですね。1000円で1000人買いました。でもそこから2カ月、3カ月するとどんどん消えていくんですよ。そのまま置いておくと、3カ月後には600とか500になっているパターンが多くて……。だいたい外国人が多いです。
妹尾:
日本人のアカウントを買うと高いんですって。
戸島:
コメントがいろいろ来ているのですが、「貰ったお金は税金で取られるの?」って書いてあります。
妹尾:
取られます。
スズキ:
でも手渡しだからどうなの?
戸島:
えっ、手渡しなの?
妹尾:
こういうのは基本的に手渡しです。バストアップサプリのときも手渡しでした。
スズキ:
会社的にどうなのかな。
妹尾:
でもそのバストアップサプリの会社は潰れましたよ。潰して立ち上げて、潰して立ち上げて……。
スズキ:
胡散臭い(笑)。昔、美顔器とか売っていた会社と同じじゃない? 40万円で売って、4人以上に渡したら元が取れますみたいな(笑)。
元インフルエンサーがSNSの投稿情報に警鐘「鵜呑みにしないで」
戸島:
ちなみに妹尾さんがインフルエンサーを辞めた理由は?
妹尾:
結局、自分のことを好いてくれている人たちを騙す行為じゃないですか。そういうのに心が痛んだっていうのと、「お前ステマだろ」「死ね」っていうメッセージがたくさん来て心が病みました。報酬の200万円以上に心が傷つきました。
スズキ:
俺は結構そういうのは来ているけれど、まだ大丈夫(笑)。 あとInstagramのストーリー機能【※】でやるステマが多いとか。
※ストーリー機能
通常のフィードとは別枠を使用して、短い動画や写真を気軽にシェアできる機能。24時間で自動消滅するのが特徴。
戸島:
でもストーリーって消えちゃうじゃないですか。
妹尾:
ストーリーを残せるシステムもあるんですよね。あとストーリーって、間違えてリンクを踏んじゃうことも多いんですよね。
戸島:
踏ませることが大事なんですか。
妹尾:
そうですね。リンクに飛んでもらえるようになるので、それで商品を見てもらえるので。
スズキ:
モデルさんとかはそれで稼いでいる?
妹尾:
基本的に。「最近見なくなったのに、なんでこの人はこんなに裕福な生活をしているんだろう?」っていう人がいるじゃないですか。
スズキ:
超いる(笑)。
妹尾:
パトロンがいるのかなと思われがちなんですけれど、やつらは違うんですよ。
スズキ:
小森純さんの件【※】も、結構問題になったじゃないですか。これは僕はちゃんと取材したほうがいい気がするんです。
YouTuberについても弟子ハルくんは取材していたんだよね。
※小森純さんの件
“ペニオク騒動”ことペニーオークションの詐欺事件。タレントの小森純さんをはじめとした複数の芸能人が謝礼を受け取ったうえで、本来落札していない商品を落札したかのように装い、オークションサイトの宣伝をブログで行った。実際は商品が落札できず、手数料をだまし取る仕組みとなっていた詐欺サイトであることが発覚、大問題となった。
弟子ハル一号:
そうです。YouTuberの事務所関係者に取材をして来たんですけれども、某大物トップYouTuberはタイアップ広告の動画を1本投稿するだけで、動くお金が1200万円。
戸島:
え!
妹尾:
だから言ったじゃないですか、私なんか下の下の下です(笑)。
スズキ:
本当にその数字は見たの?
弟子ハル一号:
見せてもらいましたよ。
戸島:
会社、企業側も、その広告はそれだけお金を出す意味があるということ?
弟子ハル一号:
ちゃんとした数字はわからないのですが、本当に今、テレビのCMだったりとか、雑誌の中の広告に比べて費用対効果っていうものがすごい大きいらしくて。
戸島:
ネットだとそのままリンクが貼ってあれば飛べますもんね。なるほど。皆さんも騙されないようにじゃないですけれど、ちゃんと見極めてください。
スズキ:
YouTuber界隈もちょっと胡散臭いからいろいろ取材したいな。だって事務所も何だかわからないから、悪さばっかりしてるでしょ、あの人たち。 では最後、締めの言葉を。
弟子ハル一号:
ここまでお金が大きく動いているTwitter、Instagram、YouTubeを使用しているユーザーは、お金を貰って投稿しているということを頭の片隅に入れていただいて、その上でSNSを使ってください。
スズキ:
やるほうもそうだけれど、見るほうも……。
妹尾:
鵜呑みにしないでね、ということですね。