【幻の最終回】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…誰も知らない22年後の物語に涙が止まらない
27 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)22:51:19 ID:1O7mcjVGu
風呂に入った後、居間でテレビを見ながら、ぼんやりと昔のことを思い出していた。
――父ちゃんと母ちゃんは、オラが中学の時に事故で他界した。
夫婦水入らずで旅行に行く途中のことだ。
それから、秋田と熊本のじいちゃんばあちゃんが、
オラとひまわりをそれぞれ引き取る方向で話が進んでいた。
……でも、ひまわりが、オラと離れて暮らすことを激しく抵抗した。
ひまわりにとって、親しい家族は、オラだけだった。
オラまでいなくなってしまう――小学生だったひまわりは、そう思ったのかもしれない。
結局オラとひまわりは、この家で過ごすことになった。
オラはそれまで、色々バカをやっていた。
でも、もう父ちゃん達はいない。ひまわりを育てるのは、オラの役目になる。
それ以降、オラは徹底して父ちゃん、母ちゃんになった。
最初の方、ひまわりが動揺していたのは、今はいい思い出だ。
じいちゃんたちの支えもあって、オラは高校を卒業することが出来た。
それからすぐに就職して、今に至る。
爺ちゃんたちは、大学へ行くように勧めて来た。
でも、それも断った。
いつまでもじいちゃんたちに負担をかけるわけにはいかなかったし、
ひまわりの学費も工面しないといけなかった。
その決断に、悔いはない。
もっとも、ひまわりも大学に行かずにアルバイトをし始めてしまったから、
結局無用な心配だったが。
29 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:53:41 ID:stTb8uBz2
しんのすけいい人すぎる…
32 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)23:15:45 ID:1O7mcjVGu
「……結婚、か……」
ふと、ひまわりに言われたことを思い出した。
結婚と言えば、忘れもしない出来事がある。
……ななこさんの、結婚だ。
オラが小学校の時のことだった。
ななこさんは就職し、同じ職場の男性と結婚した。
とても、いい人だった。その人を見た時、オラは全てを諦めた。
この人なら、ななこさんを幸せに出来る――小学生ながら、
生意気にも、そんなことを考えていた。
しかしまあ、ひたすら泣きまくったものだ。
そんなオラに、父ちゃんは言った。
『想いが成就することは、人生の中では少ない。
人は誰かと出会い、想い、こうして、いつか想いを断ち切らなければならない時が来る。
人生ってのは、そうやって繰り返されていくものだ。
――でもな、しんのすけ。大切なのは、
その時に、どういう気持ちでいられるかってことだ。
ななこさんは、きっと幸せになる。
本当にななこさんの幸せを思うなら、彼女の門出を祝ってやれ。
泣きたいときは、父ちゃんが一緒に泣いてやる。
だから、祝ってやれ。それが、お前に出来る、最大の愛情表現だ―――』
そしてななこさんは、結婚した。
今では、二児の母となっている。時々家にも遊びに来る。
幸せそうな彼女の笑顔を見ると、こっちまで幸せになる。
憧れは思い出に変わり、思い出はいつまでも心を温めてくれる。
そうやって、人は大きくなる―――
これも、父ちゃんの受け売りだ。
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