【幻の最終回】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…誰も知らない22年後の物語に涙が止まらない

ウワサ, 感動

63 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)21:42:37 ID:ZQX0p4bAF
朝ご飯を食べた後で、居間でまったりしていたオラとひまわり。
目の前のテレビでは、朝のワイドショーが芸能人のスクープを取り立てていた。
何でも、俳優の藤原ケイジとアンジェラ小梅が、

またもや破局したとか。何度目だ、藤原ケイジ。

そんな緩やかに時間が流れる室内に、突如けたたましくドアを叩く音が響き渡った。

「な、なんだ?」

おそるおそる玄関に近付き、ドアを開ける。

――と同時に、とある女性が飛び込んで来た。

「――か、匿って、しんのすけ!!」

その女性は、室内に入るなり、ぜえぜえと息を切らしていた。

「む、むさえさん!どうしたんですか……」

オラの問いかけに、ひまわりが反応する。

「え!?むさえおばさんが来たの!?」

「おばさんって言うな!……それより、お茶くれ。喉がカラカラで死にそう……」

何事だろうか……オラとひまわりは目を見合わせた。

そして仕方なく、むさえさんにお茶を差し出した。

65 :名無しさん@おーぷん:2014/08/15(金)22:00:07 ID:fHRx3baz5
文の雰囲気が凄く好きだ
支援ー

66 :名無しさん@おーぷん:2014/08/15(金)22:05:44 ID:iCAXerKYR

応援してるぞ

67 :名無しさん@おーぷん:2014/08/15(金)22:12:36 ID:CtbQa6oWh
面白い!ゆっくりでいいから最後までガンバや!

68 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)22:15:37 ID:ZQX0p4bAF
「――ぷはぁー!生き返ったー!」

コップのお茶を一気に飲み干したむさえさんは、元気に話す。

「……それで?どうしたんですか、むさえさん?」

「え?あ、ああ……ちょっと、避難を……」

むさえさんの言葉に、オラは頭を抱える。もう、何度も聞いてきた言葉だった。

「……またですか。今度はなんですか?お見合いですか?」

「めんどくさそうに言うな!

……まあ、父さんがお見合いを勧めてきたのは合ってるけどね……」

むさえさんは、少しばつが悪そうに呟く。

「そりゃそうでしょ。むさえさんも、いい加減結婚しないと」

「そうそう。むさえおばさんもいい歳でしょ?」

オラの言葉に、ひまわりが続く。

「と、歳の話はやめい!それに、おばさんって言うな!

――私はいいの!写真に生きるの!」

……むさえさんは、プロの写真家になっていた。
たまに写真展を開いては、そこそこ儲けているらしい。

ただ、元来適当な性格もあって、開催は不定期。

今では完全に、放浪の写真家となっていた。
腕は認められてるのに、実にもったいないと思う。

ただ、これだけ自然体だからこそ、いい写真が撮れるのかもしれない。

芸術家とは、かくも面倒な存在なんだろうな。

69 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)22:16:21 ID:ZQX0p4bAF
「……まあ、身を隠すだけならいいけど。それに、いくら九州のじいちゃんでも、さすがにここにいるなんて……」

プルルル…

突然、家の電話が鳴り始める。

「……まさか……」

「……ひょっとして……」

「……う、ウソでしょ……」

オラたち三人に、緊張が走る。
ひまわりとむさえさんにアイコンタクトをした後、オラが電話に出た。

「……も、もしもし……」

「――ああ、しんのすけか。九州のじいちゃんたい」

「―――ッ!」

「むさえに伝えてくれんね。――いい加減、諦めて九州に戻れとな。頼んだばい」

そして、電話は切れた。

呆然とするオラに、ドアの陰に隠れたむさえさんがおそるおそる顔を覗かせた。
どうだった?――そう言わんばかりの顔をして、オラに注目する。

オラは静かに、親指を立て、アウトのジェスチャーを取る。
それを見たむさえさんは、一人、ムンクの叫びのような顔をするのだった。

 

 

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