【幻の最終回】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…誰も知らない22年後の物語に涙が止まらない

ウワサ, 感動

72 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)22:37:29 ID:ZQX0p4bAF
「と、父さんにバレてたとは……」

むさえさんは、居間の中央で項垂れる。

「……まあ、親子ってことじゃないの?」

「さすが九州のじいちゃんね。むさえおばさんの行動パターンを読んでる……」

ひまわりは腕を組みながら、感慨深そうに呟く。

「――こうしちゃいられない!」

むさえさんは、さっさと荷物をまとめて玄関に駆け出した。

「え?もう帰るの?」

「まあね!父さんに居場所がバレてるなら、長居は無用!」

むさえさんは急いで靴紐を結ぶ。と、その時――

「――あ、そうだった。はい、しんのすけ」

むさえさんは、オラに封筒を手渡してきた。

「これ……」

「少ないけど、なんか美味しいのでも食べなよ」

むさえさんが渡してきた封筒には、けっこうな額のお金が入っていた。

73 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)22:37:42 ID:ZQX0p4bAF
「……こんなの、受け取れないよ……」

「そう言うなって。親族からの気持ちだから、素直に受け取りなさい。

アタシも無名だったころに、散々みさえ姉さんに援助してもらってたしね。

それを返してるだけなんだよ。
……それに、しんのすけ達の元気そうな顔を見れたから、それでいいの」

むさえさんは、優しくそう話した。

「……もしかして、むさえさん。オラたちの様子を見に……」

オラの言葉に、むさえさんは照れ臭そうに頬を指でかく。

「……まあ、アンタ達に何かあったら、あの世でみさえ姉さんに合わせる顔がないしね……」

「むさえさん……」

「――そろそろ行かなきゃ!じゃあね!!」

そう言い残すと、むさえさんは出ていった。

「……なんか、カッコよくなったね、むさえおばさん……」

オラの後ろから、ひまわりが呟く。

「……そんなこと言ったら、またむさえさんにどやされるぞ?おばさんって言うなって。
――でも、その通りだな……」

いつもオラたちのことを気にかけてくれているむさえさん。

その気持ちには、感謝してもしきれない。
オラとひまわりは、彼女が出ていった玄関に向け、小さく会釈をした。

84 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)23:36:32 ID:0agH6Y210
「――おーいみんな!ちょっといいか!」

工場の中で、工場長が声を上げた。
その声に従業員は手を止め、彼の方を見る。もちろん、オラも例外じゃない。

「今日はうちの工場に、元請けのお偉いさんが視察に来る!しっかり働けよ!」

「うぃー!」

「それだけだ!作業に戻ってくれ!」

工場長が話を終えると、従業員は再び手を動かし始めた。

(元請けのお偉いさんか……難癖でも付けにくるのか?)

心なしか、全員緊張しているようにも見える。

何しろ、元請けだしな。下手なことをしていたら、最悪契約を切られる。

そうなったら、こんくらいの工場は、あっという間に危機に陥るだろうし。

85 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)23:36:38 ID:0agH6Y210
それからしばらくすると、工場に一人の女性が入って来た。
長い黒髪をした女性だった。スーツを着こなし、毅然として歩く。

彼女は工場長からの説明を受けた後、工場内を見て回る。

そんな彼女の姿を見た従業員は、思わず手を止めていた。
それもそうだろう。何しろその女性は、かなりの美人だった。

どこか童顔ではあるが、整った鼻筋、仄かに桃色の唇、きりりとした凛々しい目

……その全てが、 美人と呼べるだけのパーツであり、絶妙な配置をしている。

彼女の顔を間近で見れば、目の前の作業なんて忘れてしまうだろう。

……だが、どこか見覚えもある。
どこだっただろうか……

「……あら?」

ふと、彼女はオラの顔を注視した。

(やば……なんか問題あったか?)

オラは目の前の作業工程を頭の中で確認する。不備は……ない。
だが彼女は、ツカツカとヒールの音を鳴らせながら、オラの方に近付いてきた。

そしてオラの横に辿り着いた彼女は、オラの顔を覗きこむ。

「……な、なんですか?」

「………」

彼女は何も言わない。ただ黒い瞳を、オラに向けていた。

見ていると、何だか吸い込まれそうになる……

――と、その時……

「―――しん…様?」

「……はい?」

女性は、オラにそう話しかけて来た。
その呼び方をする人は、オラの知る限り一人しかいない……それは……

「……もしかして……あい、ちゃん?」

すると彼女は、それまでの凛々しい態度を一変させ、その場で飛び跳ねてはしゃぎ始めた。

「やっぱりそうだ!――そうです!あいです!酢乙女あいです!お久しぶりです!しん様!」

……工場内には、どよめきが走った。

86 :名無しさん@おーぷん:2014/08/15(金)23:38:17 ID:Kl1PXqcuV
キター

87 :名無しさん@おーぷん:2014/08/15(金)23:38:25 ID:wB13TmNVu
しん様ーーー!!

 

 

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