【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…
楽しそうに走り回るハルの姿が、
うっすらと残像のように浮かび上がる。
ハルはきっと俺を恨んでるだろうな。
何で俺じゃなくハルなんだよ。
なんで。
これからもっと
楽しいことや嬉しいことがあったんだ。
ハルは誰よりも優しくて
誰よりも思いやりがあったんだ。
なのに何でハルが。。。
これからの成長を楽しみにしてた。
それをどうして奪うんだ。。。
俺はあの日と同じ、
公園の滑り台の下でうずくまって泣いた。
疲れた。 もう疲れた。
俺は行く宛もなくただただ街をさ迷い歩いた。
ゲームセンターの前を通りかかった時に、足を止めた。
派手な格好をした高校生くらいのヤンキー2人が、
中学生を叩いたりして脅してる。
まわりの人間は見て見ぬふりをしているようだった。
俺
「おいお前ら何やってんの。
そんなダサいことしてんな」
俺はそれを見かねて口を挟んだ。
ヤA
「はぁテメー何?」
ヤB
「しゃしゃり出てくんなオッサンw」
ヤンキーが中学生に蹴りを入れた。
蹴られて座り込む中学生。
俺
「いい加減にしろクソガキ」
俺はヤンキーを突き飛ばした。
ヤB
「おい、やんのかオッサン」
ヤA
「ぶっ殺すぞ」
ヤンキーの一人が得物を出して俺を威嚇する。
俺
「恐くねーよ。 かかってこいクソガキ」
ヤA
「ヒーローのつもりかおっさんw」
ヤンキーが俺に近づいた。
その瞬間、腹部に強い衝撃が走る。
俺はその部分を見た。
服が赤く染まり始めた。
どうやらやられたたみたいだ。
恐怖心なんてものは微塵もなかった。
むしろやっと楽になれるんだ。
これでハルのところに行ける。
そう思った。
俺はその場に座り込む。
強い衝撃の後に吐き気がやってきた。
目眩もする。
だんだんと視界が暗くなっていくのが分かった。
気を失ったんだ。
次に目を覚ました時、
俺は病院のベッドで横になっていた。
俺の左手を誰かが握っているようだ。
俺「サ…サリナ…」
サリナは俺が目を覚ましたのに気づくなり、
泣きながら話しかけてきた。
サリナ
「心配したよ… バカ… むちゃしないでよ…」
そうだった。
俺
「なんだ… しねなかったのか…」
全身の力が抜けていく。
サリナ
「何してんのよ… 本当にバカ…」
俺
「……」
サリナ
「俺君… わたしを一人にしないでよ…
ねぇ… 勝手に置いてかないで…
俺君までいなくなったらわたし本当に無理だよ…
お願い… お願いします…」
サリナが泣きながら俺の手を両手で握った。
サリナがプロポーズした時に渡した、
指輪をしているのに気づく。
俺
「指輪… 何で…?」
サリナ
「何でって… 俺君がもう一度結婚しよって
言ってくれたでしょ…
わたし… ずっとつけて待ってるんだよ…」
俺は自分のバカさ加減にようやく気づく。
俺
「ごめん… 本当にごめん…」
涙が溢れ出た。
俺
「サリナ… ハル…俺のこと許してくれるかな…
ハルは幸せだったかな…」
サリナ
「あたりまえでしょ…
ハルは優しい子だって、
一番俺君が知ってるじゃない…」
簡単にしねなかった。
ハルがまだこっちに来るなって
言ってくれてるのかもしれない。
俺に残されたもの。
それはサリナを大切にすることなんだ。
俺が入院したと聞いて、
沢山の人達がお見舞いに駆けつけてくれた。
建設会社の社長に佐々木先生、
ヒロシおじさんの家族まで。
俺は沢山の人に支えられて生きてるんだと気づいた。
そして沢山の人達のおかげで、
俺はまた自分を取り戻すことが出来た。
ハルの出逢いが俺を成長させてくれた。
ただ純粋に泣いたり笑ったり、怒ったりって、
それが出来ることがどれだけ幸せかを学んだ。
これから先、
何度も挫けたり辛い想いをすることがあるだろうけど。
ハルの笑顔を思い出して、自分に言い聞かせるんだ。
天国にいるハルに笑われないように。
恥ずかしい生き方は絶対しないって。
沢山ハルから学び経験させてもらった。
それを無駄にする生き方をしないように生きていきたい。
今も目を閉じると、あのハルの懐かしい温もりを感じる。
それは俺の中で、ハルがちゃんと存在してる証拠なんだ。
近況を少し。
今年6月サリナと再婚した。
勿論式も挙げた。
一軒家も購入したし、
庭にはブランコを着けるつもりだ。
サリナは短大に通ってる。
保育士になるために。
俺はと言うと、 相変わらずかな。
前にも書いたけど、
休みの日は障害者や親のいない子のために、
ボランティア活動に参加して支援したり。
施設なんかの増築とか修復とか無償でしたりして、
色々忙しくやってる。
俺自身もそうだけど、選択を間違えることがある。
本当に自分の道を選択するって言うのは
難しいと思ったよ。
それでもいいんだ。
何度も何度も間違って、
いつか正解に辿り着けばいい。
そう思ってる。
人は変われるんだ。
俺も変われたんだから。
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