【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…

感動, 物語ヤンキー, 感動, 涙腺崩壊, 発達障害, 苛酷

仕事中ずっと胸騒ぎしてたんだ。

着信。
サリナからだ。

休憩にまたかけるか。
そう思いマナーに切り替えた。

すぐにまた着信。
いつの間にかサリナからの着信が10件。
しかも一分おきにだ。
俺はすぐかけ直す。

サリナ
「ハルが… ハルが…」
泣いて震えるサリナの声。

俺は頭が真っ白になった。

俺はその場に携帯を落とした。

心臓が今にも止まりそうな感覚。
急いで病院に向かう。
まわりの声も音も何も聞こえない。
ただ自分の心臓の音だけが激しく鼓動する。

 

病院に着くと、
サリナと両親が先に来ていた。
サリナが俺に気づくなり、
泣きながらしがみついてきた。

トラックにひかれて即死だった。
顔には擦り傷があったけど、
穏やかな表情だったのを覚えている。

俺はただ眠ってるだけなんだよな。
そう思って、何度もハルを揺さぶった。


「うそだよな? ハル。
起きろ。 なぁ…起きてくれ…
なぁ…帰ったらリレーの練習するって…
約束しただろ…」

ハルはそのまま目を覚ますことはなかった。

 

あの時からずっと気をつけてきたのにな。
だからずっとなかったんだよ。
道路に飛び出すことなんて。

ハルは脇道に自転車を止めて、
道路に投棄してあった
黒いゴミ袋を拾いに行ったそうだ。

それが犬か猫だかと勘違いしたのかもしれない。
ただのゴミだと分かってて
拾いに行ったのかもしれない。

それはもう誰にも分からないことだ。

サリナは自分が送らなかったから悪いんだと、
何度も俺に謝ってた。
安心しきっていた俺が一番いけなかったんだ。

俺は泣いた。
病院の廊下に座り込み
ずっと泣き叫んでたのを覚えてる。

一人で痛かっただろうな。
一人で苦しかっただろうな。
一人で寂しかっただろうな。

ハルごめんな。
本当にごめんな。

それからの俺は仕事も辞めて家に引きこもった。

サリナもずっと辛そうだったけど、
サリナを思いやることも出来ないくらい、
俺の心はからっぽで何もする気がおこらなかった。

俺はサリナに実家に帰るように言った。
最低だな。
でも独りになりたかったんだ。

サリナは週に一回は家にやってきた。
ただ掃除して洗濯をして
俺のご飯を準備して帰っていくだけ。

俺は家の壁に頭を打ちつけてボコボコにしたり。
何度もしにたいと思った。
生きてても意味がない。
ハルは俺の全てだった。
それがない今、
何のために生きてるのか分からなかった。

病院には何度か運ばれたけど、
しぬことは叶わなかった。

 

ハルが亡くなって1年と半年が経とうとしていた。
相変わらずサリナは俺の家に通っている。

サリナ
「ねぇ、今日は何か食べたいものある?」


「別に…」

サリナ
「また朝からお酒呑んでるの?」

俺「ほっといてくれ…」

サリナ
「ねぇ… 俺君いつまでそうしてるの?」


「ほっといてくれって言ってるだろ。
何でおまえは普通でいられるんだよ?
ハルは…」

こんなことサリナに言うなんてどうかしてる。
俺は言葉を止めた。

サリナ
「ハルはもういないんだよ…
わたしだって辛いんだよ…
でもこんなことしてて…
ハルが帰ってくるの…?
わたし俺君のこんな姿見てるの辛いの… 」
サリナが俺の背中に抱きつく。


「ほっといてくれ。 もうほっといてくれ…」

そんなこと分かってる。
それでもまだ、
ハルがいないことを受け入れられなかった。

時間が解決してくれる。
なんて慰めいったい誰が言ったんだろうな。
俺はあの日のままずっと時間が止まってる。

きっともう立ち直ることなんて出来ない。
そう思った。

 

それっきりサリナは俺の家に来なくなった。
愛想つかされて当然だ。

家の柱には、ハルの成長を記した線がある。
今はどれくらい成長したかな?

ボードにはハルが笑顔で映る写真。
ハルの大事にしていた、
バスや仮面ライダーのおもちゃ。
それに俺に描いてくれた絵。
ハルのランドセルに教材。

あの日のまま。
ハルがいつ戻ってきてもいいように、
そのままにしていた。

ハルとの思い出が沢山詰まったこの部屋だけが
俺の唯一の居場所なんだ。

 

ふと公園に行きたくなり、久しぶりに家を出た。
ハルと始めて過ごしたあの公園だ。

目を瞑るとあの日の思い出が蘇ってくる。
ハル「ぱっぱ」
初めてパパって言ってくれた。

ハルの声が聞こえるような気がした。

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