【男のロマン】【最高すぎる】幼馴染「……童貞、なの?」 ⇒ 俺「…んンッ………グゥッっっ!!!」 結果:お察しの通りだww
「起きようにも起きれないと申しますか……」
言い訳する俺を尻目に(尻目って言葉はなんだかすごく卑猥だ。尻目遣
いって言葉もあるらしい)、妹は扉を閉じて去っていってしまう。
残るのはむなしさだけだった。
妹がいなくなってから例のアレはすぐに鎮まった。人体の不思議。
「妄想だと罵倒されても平気なのに……」
妹さまの罵倒はどうにも耳に痛い。……よく思い返せば罵倒なんてされ
てなかったが。
妹がなぜ俺につらく当たるようになったのか(厳密にはつらくあたると
いうより舐め腐っているという感じだが)。
心当たりはあまりない。思春期だからかも知れない。
でもまぁ、話しもできないというほどではないし、こうして朝起こしに
くるだけでも常軌を逸した妹ぶりと言える。
もし嫌われた心当たりがあるとするなら、
ネットで見た情報に興味を引かれ、フリーの催眠音声(セルフあり)をダ
ウンロードし実践していたところを目撃されたこととか、
妹の読んでいた小説を追うように読んで「主人公って絶対ロリコンだよ
な」と発言したこととか、
妹が買ってきたアイス(箱)を一日で食い尽くしたこととか、
せいぜいそんなもので、どれも瑣末に思えた。
難しい年頃なのだろう。
大人の寛容さで認めてあげることにした。
あと何年かすればもうちょっと距離感がつかめるに違いない。なんだか
んだいって兄が大好きな妹様だし。
根拠はない。
「うむ」
ひとつ頷いてからベッドを這い出て着替えをはじめた。
月曜の朝はつらい。
6:名無しNIPPER:2011/07/23(土) 22:38:05.60 ID:yBf3Hcveo
家を出ると夏の太陽が俺を苛んだ。
ちょっといい感じの言い方をしてみても、暑いものには変わりない。
「コンクリートジャングル!」
テンションをあげようとして思わず叫んだ。
どちらかというと気が沈んだ。
「ヒートアイランド現象……」
一学生には重過ぎる言葉だ。
「何やってるの?」
声に振り返ると妹が呆れながらこちらを見ていた。なんだかすさまじく
冷たい視線。
「夏だなぁって思ったら生きてるのがつらくなってきた」
「毎年大変だね」
大変なのだ。
「最近、馬鹿さが加速度的にあがってきてるよね」
「マジで?」
「このままいくと世界一も夢じゃないかもね」
「まじでか!」
世界一。素敵な響きだった。思わず言葉に酔いしれて白昼夢を見た。
表彰台の上で「THE BAKA」と刻まれたトロフィーを抱え、首に金色のメ
ダルをかけられる。
美女に月桂冠をつけてもらう。そのとき頭を前のめりになる。でっかい
お○ぱいが目の前で揺れた。
童貞には強すぎる刺激だが目をそらせない。馬鹿の証明とも言えた。
涙ながらに「うれしいです!」とインタビューに答え、ぱしゃぱしゃと
いうフラッシュの音を一身に浴びる。
良かった。努力してきた甲斐があった。ようやく俺は世界一になれたん
だ……。
――そんなわけがなかった。ギャグにしても寒い。
7:名無しNIPPER:2011/07/23(土) 22:39:00.48 ID:yBf3Hcveo
「ちょっと前はもう少しマシだったのに」
妹さまは不服そうだった。
「お姉ちゃんがきてた頃はマシだったのに」
お姉ちゃん。
妹がいう「お姉ちゃん」は俺から見ると同い年だ。
俺と妹には幼馴染がいた。
美少女だ。料理も上手い。朝起こしにきたりもした。「将来は結婚しよ
うね」と砂場で約束した仲だ。たまに弁当を作ってくれる。
家事が趣味でほんわりとした穏やかな性格が持ち味。からかわれると「
むぅ~」と言いながらぷっくりと頬を膨らませる。
クラスメイトに「夫婦喧嘩か?」とか「夫婦漫才か?」とかからかわれ
るたびに、「ち、ちがうよっ!」と真っ赤になって否定していた。
サッカー部のマネージャーをしている。犬好きで、暇な休日はペットシ
ョップを覗きに行き、「かわいい……」とか言ってる。
そんな好みが分かれそうなハイスペック幼馴染なのだが、つい先日サッ
カー部の先輩と交際を始めた。
そのことから照れ隠しかと思われた「ち、ちがうよっ!」という発言が
本当だったことが判明し、クラスメイトは今でも俺に哀れみの視線を寄
せる。
8:名無しNIPPER:2011/07/23(土) 22:39:27.28 ID:yBf3Hcveo
ぶっちゃけ一番ショックを受けたのは俺だった。クリティカルダメージ
。オーバーキル。
↓次ページへつづく↓