【涙腺崩壊・厳選!!】何度みても泣ける話 まとめ⑧

 ◇3月23日

 卒業式でした。「ありがとう」の歌を歌っている時、お父さんに「お父さん、お父さんのおかげで卒業できたよ。

ありがとう」と頭の中で言いました。そしたらなぜか、声がふるえて涙が少し出てきました。その夜、こんな夢を見ました。

お母さんとお父さんが宮古のスーパーマーケットから帰ってきた夢でした。

 ◇3月25日

 親せきの人の携帯に電話がかかってきました。内容は、お父さんらしき人が消防署の方で見つかったということでした。

急いで行ってみると、口を開けて横たわっていたお父さんの姿でした。ねえちゃんは泣き叫び、お母さんは声も出ず、

弟は親せきの人にくっついていました。顔をさわってみると、水より冷たくなっていました。

 ぼくは「何でもどったんだよ」と何度も何度も頭の中で言いました。

「おれがくよくよしてどうすんだ」と自分に言いました。でも、言えば言うほど目がうるんでくるばかりです。

お父さんの身に付けていたチタン、東京で買った足のお守りや結婚指輪、携帯。

そして驚いたのが時計が動いていたことです。お父さんの息が絶えた時も、津波に飲み込まれている時も、ずっと。

お父さんの時計は今はぼくのものになっている。ぼくがその時計をなくしたりすることは一生ないだろう。

 

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