【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…
生徒が帰った放課後。
ぞろぞろと保護者が集まりだした。
世間話などで賑わう中、
ヒソヒソと何か言っては俺を見る父母さん達。
何が言いたいのかは十分に分かってる。
どうやら俺対他保護者って感じの構図なんだろう。
やましいことなど何一つないんだ。
後ろめたい気持ちなどない。
ハルにあの時の様子を聞いていた。
俺「大君はどうして階段から落ちた?」
ハル「知らないよ…見てないの」
ハルは何もしてない。俺は父親なんだ。
ハルを信じるのも守れるのも俺だけなんだ。
俺は凛とした態度で話し合いに臨んだ。
教頭
「今回の件。 保護者の皆様には
大変御心配、御迷惑をお掛けしましたこと
深くお詫び申し上げます。」
教頭が謝罪し話しは始まった。
大ちゃんが階段から落ちたこと。
それを目撃した大ちゃんの友達AとB。
他数名の男子生徒も目撃。
A親
「うちの息子が言ってました。
ハル君が急に暴れて
大君を階段から突き落としたって。
大怪我をしたらどうするんです?」
B親
「うちの子供も同じ事を言ってました。」
全員の視線が俺に向けられる。
俺
「うちのハルは…そんな事してません…」
言いたいことは全部言ってやる。
そう思ってた。
でも異様な空気に怖じ気づく俺。
無縁の世界だと思ってた。
生きてきてこんな場面に、
まさか自分が出くわすなんて思ってなかったんだろう。
足が震える。
大父
「うちの息子は頭を打ってるんだぞ
もし大怪我して後遺症でも残ったら
どうするつもりなんだよ。
どう責任とるつもりだ。」
大君の父親がまくし立てた。
大母
「お宅の息子さん障害があるんですよね?
してないなんて。 よくもそんなこと…
そんな恐い子と同じ学校で同じクラスだなんて、
もう恐くて学校に通わせれないわ」
まわりがざわついた。
「子供の責任は親の責任だろ。
きちんと説明して謝罪しろ」
「どうしてこんなことになる前に
処置してないんですか」
「なんで養護学校に通わせないんだよ」
「支援級で十分でしょ」
「そうだ」
口々に保護者が非難する。
怒りや悔しさなんて気持ちは微塵もなくなってた。
心ない言葉にただ悲しい気持ちでいっぱいになった。
教頭
「まあまあ皆さん落ち着いて下さい。
とりあえずまず松井さんにきちんと謝罪して頂いて、
今後について話し合いませんか?」
怒りや哀れみの視線が俺に集まる。
沈黙が続く。
何か言わないと。
何か。
弱気になり真っ白になった、
俺の頭の中にハルの笑顔が浮かぶ。
ハルを守らなきゃ。
ようやく口が開く。
俺
「こうやって… 忙しいのに集まってもらって
本当にすいません…
大君が怪我をしたことは、本当に心を痛めてます。
ただ…」
大父
「ただなんだ? 言い訳するんですか?
うちの息子はまだお宅の息子さんにも
謝ってもらってないんだ。
子供が子供なら親も親だな」
言いたいことが言葉にできない。
俺
「息子が3歳の頃から…
ずっと自分一人で育ててきました…
俺が駄目男だから… 妻にも出ていかれました…
今日までずっと… 息子には寂しい想い…
辛い想いをさせてきました…
こんな未完成な親の俺だけど…
息子は立派に育ってくれてます…」
自分でも何を言ってるのか分からなかった。
分からなかったけど
伝えなきゃいけないことを。。。
伝えなきゃ。。。
その一心だった。
俺
「息子は発達障害です…
皆さんのお子さんのように健常児ではないです…
でも…それは悪いことなのでしょうか?…
息子は…相手の気持ちを理解することが…
極めて困難です…
急にパニックになったり…
悪戯してるつもりはなくても…
そう言う行動をとるときがあります…
でも…本人に悪気なんて…
これっぽっちもないんです…
ただ…不器用なだけで…
息子は…優しい子なんです…
人を傷つけるような子じゃないんです…
こんなこと…する子じゃないんです…」
教室が静まり返る。
俺
「親だから…自分は親だから…
あの子の唯一の理解者です…
息子を信じてはだめなんでしょうか…」
途中ハルを想うと涙が出てきた。
俺
「自分は… 母親の代わりも…
出来るはずがないのはわかってます…
母親がいない分…
それ以上の愛情を与えてきたつもりです…
一生懸命子育てをしてきたつもりです…
それは皆さんのような
親らしい親かは分かりません…
間違った子育てをしてきたかもしれません…」
俺
「それでも…
息子は正直で真っ直ぐに育ってくれてます…
嘘をついたりする子じゃないんです…
だから… 信じてやりたいんです…
皆さんは障害を持つ人間に…
多少なり嫌悪感… があるのは…分かってます…
でも…皆さんの子供と同じように… 心があるんです…
優しさや…思いやりがあるんです…」
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