子供を誘拐された家族の絶望は想像することもできませんが、その娘が23年経って現れたとしたら、その驚きは言葉に言い尽くせないことでしょう。
新生児のときに誘拐された娘と、23年経ってから再会した親子の話をご紹介します。
事件はニューヨークの1987年までさかのぼります。
ジョイ・ホワイトさんは、熱があった生後3週間の娘カーリナさんを病院に連れていきました。
点滴を受けるため、母親と赤ちゃんは引き離されるのですが、その間に悲劇が起こります。
看護師姿をした女性が赤ちゃんを誘拐して消えてしまったのです。
誘拐したのはアン・ペットウェイという女性で、家族から遠く離れたコネチカット州へカーリナさんを連れ去ったのです。
この事件は当時、アメリカ中の注目を集めました。カーリナさんの安全な引き渡しに1万ドルの報酬が発表され、顔写真付きのポスターがいたるところに貼られました。
しかしながら、何の手がかりも得られないまま23年が過ぎたのです。
アン・ペットウェイは当時流産を繰り返し、自分の子を持てない不安から誘拐を決行し、カーリナさんをネッティと名付けて育てました。
ところが16歳の時にカーリナさんは家族の誰にも似ていないことから、自分の出生について疑問を感じるようになりました。同じ年に彼女は妊娠し、自分の出生証明書が必要になってアンに尋ねると拒否されました。
すでに疑わしく思っていたこともあり、カーリナさんはアンの持ち物の中から自分の出生証明書と思われるものを見つけ出して役所へ持っていきました。しかしそれは他人の身分証明書だろうと非難されただけでした。
その後、出生証明書について問い詰めるとアンは産みの母親ではないことを告白し、さらに本当の母親は彼女を捨てたのだと嘘をついたのです。
そこからカーリナさんは自分で調べ始めたのですが、7年経ってようやく行方不明になった子供のリストがあるWEBサイトにたどり着き、その中に自分の子供の頃の写真に似た「カーリナ・ホワイト」という赤ちゃんの写真を見つけました。
(左:行方不明時の写真 右:成長後の予想)
そこで初めて、カーリナさんはジョイ・ホワイトさんに電話したのです。ジョイさんはすぐに警察に通報し、調査が始まりました。
DNA鑑定の結果、カーリナさんは23年前に誘拐されたジョイさんの娘であることが確認されたのです。
そして、2010年にドラマチックな再会が実現しました。
アン・ペットウェイは誘拐の罪で起訴され、12年の実刑判決を受けて現在も服役しています。