【恐怖】決まった時間に鳴る着信音・・・しかし誰も取らないのには理由があった!!!
【震災怪談2 急かす店】
正確な場所は伏す。三陸沿いにある町の話とだけ、お知らせするにとどめたい。
その町に震災後、一軒のコンビニができたのだという。ところが、開店の予定日になってもオープンする気配がない。近隣住民がどうしたのか尋ねると、店員は困り顔で「夜勤がいないんです」と言った。オープンを控え、店ではアルバイトの研修を1週間ほど行なっていたのだが、夜になると奇妙な現象が立て続けに起こったのだという。
自動ドアが勝手に開閉する。レジが触れてもいないのに開く。監視カメラが誤作動で動かなくなる、などなど。あまりにその手の出来事が続き、ついにアルバイトはオープン前に全員辞めてしまった。そのため人員確保が必要になり開店が延びたのだそうだ。
「そういうことは珍しくない。ここは津波でやられた地区だもの」。私にこの話を聞かせてくれた男性は、静かにそう呟いた。
オープン後、常連客のひとりが「押されるんだけど」と訴えてきた。発言の真意を理解できぬまま「はあ」とうなずく店員に、常連客は詳細を説明し始める。買い物を終えて店を出ようとすると、背後から膝の辺りをグイグイ押されるのだという。まるで退出を急(せ)かされているような気持ちになって不愉快だ…訴えはそのようなものであった。
「送風が強いとか床が傾いてるとか、店になんか欠陥があるんでないの」。常連客はそう言ったが、新設して間もない店であるから、欠陥など考えにくい。一体、原因はなんなのかとしばらく考え込んでいた店員が突如、「あ」と声を上げた。
「膝から下って……それ、この辺りに来た波の高さじゃないですか」
その言葉に常連客は驚きつつも「そうかもなあ」と、納得したそうである。
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