【あれは悪夢の・・】墓参りをした日から毎日、亡くなった母が現れるようになった。母を無視し続けた結果・・・

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「お母さんからせっかく授かった命、大切にせなあきまへんで」

私「…」

「ほな、さいなら」

坊さんはそう言うと私と母に会釈して電車を降りていった。

母は相変わらず表情を変えずに私を見つめたままだった。

明日は仕事に大いに関わる大事な出張だった。

しかし私はその時、坊さんの言葉と、母の表情と伝えたがっている事の意味にようやく気付いた。

飛行機に乗るな━━。

母はきっと私にそう伝えたかったのだろう。

意味を理解した瞬間、母の表情が優しい笑顔に戻ったのだ。

私は出張に行くのをやめることにした。

どうしても母の警告を無視するわけにはいかないと思ったからだ。

会社の上司に出張に行くことができない事を電話で伝えると、

行かなければ首だと電話を切られてしまった。

しかし私の決心はとても固いものだった。

母の警告を無視するくらいなら、首になっても構わないという気持ちになっていた。

そしてその翌日。

1985年、8月12日

その日私の乗るはずだった日本航空123便は、御巣鷹山の中に消えていったのだ。

死者520名。

生存者4名。

この事はニュースやテレビで大きく取り上げられ、しばらくはどこへ行ってもこの話題で持ちきりだった。

会社の方達も生存者の中に私の名が挙がらなかった事から、

てっきり私が死んだと思いこんでいたようだ。

お盆休みがすぎて出勤すると、みんな幽霊でも見たかのように悲鳴を上げたり驚いたりした。

正直に事情を説明しても嘘だと言われるのは目に見えているため、

仕方なく寝過ごしてしまったということにした。

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