【幻の最終回】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…誰も知らない22年後の物語に涙が止まらない
225 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/17(日)14:03:55 ID:YP08PXyyO
「しんのすけさん、実は、お話があるのですが……」
「話?」
「はい。我が酢乙女グループでは、介護用品にも力を入れています。
その新商品が出来たので、テスト運用をしてもらいたいのです」
「テスト運用?」
「はい。――黒磯」パチン
あいちゃんが指を鳴らすと、家の中に、一台の車椅子が運び込まれた。
「これは……車椅子?」
「はい。ですが、ただの車椅子ではありません。
……百聞は一見にしかず。――黒磯」
「はい……」
彼女の号令に、黒磯さんが車椅子に座る。
「まず、これは内部バッテリーを付けており、
軽く車輪を回すだけで、スムーズに移動することが可能なんです」
「へぇ……電動自転車みたいなものか……」
「そして、最大の特徴が……」パチン
再び彼女は指を鳴らす。
すると、黒磯さんが座っている座席が、上に延び始めた。
「これは……」
「座席は、最大1mまで延びることが可能で、床下20?まで下げることもできます。
これなら、車椅子の上り下りも容易く、少々の高いところの作業も出来る、
新型車椅子なのです」
「凄い……でも、なんだか悪いよ」
「それには及びません。先ほども言ったとおり、これはテスト運用です。
月に一度レポートを提出してもらいます。
こちらも、貴重な資料にさせてもらいます」
「……分かった。ありがとう、あいちゃん」
「礼には及びません。
……しんのすけさん、私に出来ることがあれば、何でも言ってくださいね」
そして、あいちゃんは帰っていった。
こうして、ひまわりを迎える準備は、着々と整いつつあった。
226 :名無しさん@おーぷん:2014/08/17(日)14:06:05 ID:mxaBK9lIU
これは出来る妻ですわ
234 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/17(日)18:08:16 ID:YP08PXyyO
それから、ひまわりの退院の日を迎えた。
「うわぁ……!」
ひまわりは、家の変わりように声を上げる。
家の中は、すっかり変わっていた。
タンスは全て一回り低いものに変え、
大概のものが車椅子のままでも手の届く位置に置いた。
まるでリフォームでもしたかのような室内は、
久しく家に戻らなかった彼女にとって、新鮮なものだろう。
「これなら、だいぶん過ごしやすくなると思うから」
「……うん。ありがとう」
言葉とは裏腹に、ひまわりからは、さっきまでの元気はなくなっていた。
顔も、どこか辛そうにしている。
「……どうした?」
「……ごめんね、お兄ちゃん。私のせいで、お兄ちゃんに迷惑をかけて……」
「……」
ひまわりは、完全に俯いてしまった。
それは、彼女の心からの言葉なのだろう。
――だからこそ、オラは彼女にデコピンをする。
「ていっ」
「あいたっ!」
ひまわりは、おでこを押さえたまま、目を丸くしてオラを見ていた。
↓次ページへつづく↓