【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…
ハルは俺に密着し、DSに集中していた。
ジュン
「何まだいてんの?」
サリナ
「うん。 今さっき来たばかりだよ。」
ジュン
「うぜーな。 さっさと帰らせろよ。
俺疲れてるんだよ」
サリナ
「でも、 来たばかりだし。
ハルもせっかく喜んでるから」
ジュン
「チッ。 仕方ねーな。
あんまり遅くまで居座らせんなよ」
舌打ちしながらダルそうに話すジュン。
サリナ「うん」
小声だが会話はまる聞こえだよ。
俺は腰を上げる。
ハル
「パパどうしたの?」
俺
「ハル。今日はもうパパ帰るな。」
ハル
「やだー。 いまきたばかりだよ。
だめだめだめだめー」
ハルが俺の服を引っ張った。
するとサリナとジュンがリビングに入ってきた。
ジュン
「あっ、俺さんお久しぶりです。
お元気そうですねw
良かったらこれから一杯どうですか?」
ジュンが作り笑いで俺を見る。
俺
「いや、 俺はこれで。 明日仕事も早いんで。」
ハル
「パパかえらないで。 おねがい。かえらないで。」
必死に俺を引き止めるハル。
ジュン
「コラコラハル。 ワガママ言っちゃ駄目だろ?
俺さんは忙しいんだよ。 困らすな」
父親面するジュンに嫌悪感を抱きながら、
俺
「ハルごめんな。
パパまた必ずハルに会いにくるから。」
笑顔でハルを諭した。
拗ねながらハルは諦めてソファーに座り込んだ。
俺
「じゃ俺帰るわ。」
気まずそうな顔をするサリナに、
少し申し訳ない気持ちになりながらも玄関に向かった。
ジュン
「あれっ俺さん何か落としましたよ」
偶然廊下を歩いている時に、
ハルのプレゼントにと思っていたフィギュアが
ポケットから落ちた。
ジュンがそれを拾う。
ジュン
「仮面ライダー? なんかの景品?」
俺
「あっそうそうw
たまたま当たったんでハルにどうかと思ってw」
ハル
「ぼくに? ありがとーパパー」
ハルが嬉しそうにフィギュアを手にとった。
ジュン
「当たった景品だぞ。 そんなのいっぱいあるだろ…」
捨てろと言う前にサリナが割って入ってきた。
サリナ
「さぁさぁ。ジュン君疲れてるでしょ。
先にシャワーしたら?」
サリナが申し訳ない顔をし俺を見た。
場違いな俺こそ申し訳なさすぎるよ。
リビングからジュンが、
「きったねーケーキ。 こんなの早くゴミ箱に捨てろ」
と聞こえた時は、
無償に自分がダサいやつなんだと自覚した。
惨めな気持ちになるが、
そんなことはどうでもよかった。
だってハルが、
ハル「ぼくずっとたいせつにするね」
って言ってくれたんだよ。
本当に嬉しかった。
佐々木先生に報告する約束だった。
帰り駅で待ち合わせしファミレスに入る。
佐々木先生
「すっごいムカつく。 何なんですか? その人。
無神経にも程があります。」
佐々木先生が怒って俺を見る。
俺
「疲れてたみたいだし、
虫の居所も悪かったんすよ。きっと。
それに俺は別に彼と自分を比較しようなんて
思ってないんす。
たしかに俺はダサいかもしれないけど、
彼は彼。俺は俺なんだし。」
佐々木先生
「松井さんはカッコ悪くなんてないです。
ハルちゃんが園児の頃は松井さんは、
お母さん達や先生達からも人気ありました。」
拗ねる佐々木先生。
俺を慰めようとしてくれてるんだろうけど、
本当に俺は気にしてなかったんだ。
久しぶりにハルに会えた。
それだけで十分気持ちが満たされていたんだ。
また来週ハルに会いにいこう。
そう思うだけで俺の日常が変わって見えた。
子供の存在の大きさに気づかされる。
そして仕事もプライベートも充実するよう、
自分なりのペースで過ごした。
着信。
深夜0時。
サリナからだ。
こんな時間にどうしたんだろう。
眠りにつきかけていたから少し眠いが、
何かあったのかも?と電話に出た。
俺
「もしもし」
「…」
俺
「どうした? こんな時間に。」
ハル
「パパ… パパ…」
弱々しい声でハルが答えた。
俺
「ハルか? どうした? 何かあったか?」
一瞬で目が覚めた。
嫌な予感がする。
ハル
「パパ… たすけて…シクシク
たすけて…シクシク」
ガシャーンッ
電話越しに何かが壊れる音がした。
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