【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…

感動, 物語ヤンキー, 感動, 涙腺崩壊, 発達障害, 苛酷

ハルに会うまでの時間は大分ある。
落ち着かず何故か台所に立つ俺。
昨夜は一睡も出来なかった。

やべっバニラエッセンスねーや。
なんて思いながらハルに喜んでもらおうと
お菓子作りを始めた。

朝早く近くのデパートにプレゼントを買いに行った。
今は仮面ライダーがお気に入りらしい。
仮面ライダーのおもちゃを手にしながら、
これハル喜ぶかなー。 なんて期待に胸膨らませる俺。

ドキドキ、ワクワク。
こんな気持ちはいつぶりだろうか。
ハルの笑顔が頭に浮かび、ついついニヤケてしまう。

 

そろそろ時間だ。
ケーキとプレゼントをもって
ハルの住むマンションへと向かった。

見るからに金持ちの住むマンション。
ここにハルが住んでいるんだ。
部屋番号を押し中に通された。

エレベーターの17Fのボタンを押し、
ゆっくり上がっていく。
俺の気持ちも高ぶる。
そしてすごく緊張する。

ハル「パパー」

玄関を開けるや否やハルが飛び出してきた。


「ハル! 元気してたか?」

ハル
「うんw パパおそいよ ぼくずっとまってたの」

ハルはいつもと変わらぬ満面の笑みで
俺を迎えてくれた。
今にも泣き出しそうだが我慢した。

サリナ
「俺君上がって。
ハル朝からずっと楽しみにしてたんだよw
俺君に会うの。
まだかまだかってうるさかったんだからw」

サリナに言われ部屋にあがらせてもらった。
ハルに手を引っ張られリビングへと入る。
長い廊下に広いリビング。
何不自由ない暮らしとはこのことだ。

こんなマンション、
テレビの中だけだと思ってた。
そう言えばジュンが
一流企業で働いてるって言ってたな。


「あっこれケーキ。」
サリナ
「えっ?ありがとーw
わっ!俺君が作ってくれたの?」


「うん、 味の保証はできないけど」

サリナ
「良かったねーハルw 後で食べようね」


「それにしてもすごく立派な住まいだなw
幸せそうで良かったよ」

サリナ
「うんw ありがとw」


「彼氏は?」

サリナ
「今日は朝からゴルフだし、帰りは遅いの。
大丈夫w彼には俺君が来ること伝えてるからw」

ハル
「パパーこっちこっちw
ぼくのおへやみてみて」

ハルは嬉しそうに俺の手を引っ張る。

ハルの部屋。
理想の子供部屋だ。
新しい勉強机にベッド。
そしておもちゃが綺麗に置かれている。

俺「あっ?」

ハルに買ったプレゼント。
渡すのが恥ずかしくなった。

大きいサイズの仮面ライダーフィギュアに、
ベルトのおもちゃが置かれてある。
ジュンに買ってもらったんだろう。

それに比べ俺が買ったのは
10センチ程の安物フィギュア。
プレゼントされても嬉しくないだろうな。
俺はそっと後ろのポケットに隠した。

 

サリナ
「お茶入れたから飲んでw」

リビングに戻りソファーに腰を下ろす。
ハルも俺の隣に座りずっと俺の顔を見る。
余りにもマジマジと見るので、
何だか照れてしまう。


「ハルもサリナも元気そうで良かった。
それに幸せそうで安心したw」

サリナ
「うん。 何でハルにずっと会いにこなかったの?」


「俺馬鹿だから
会ったらだめだって勝手に思ってた。
本当にごめん」

ハル
「パパごめんしないでいいよ。
ぼくおりこうにしてたよ。
きょうパパにあえたからすっごくうれしい」

無邪気な笑顔に癒される。

俺「ハルごめんな…」
今にも泣き出しそうだが、カッコ悪いから我慢。

サリナ
「これからはちゃんとハルと会ってあげてね。
ハルはパパ大好きなんだからw」

俺「うん…」

ようやく何か吹っ切れたような気がする。
ハルに会えるだけで幸せなんだ。
無理に何か幸せを見つける必要なんてないんだよな。

 

ガチャッ
玄関から誰かが入ってきたようだ。

サリナ「あっジュン君だ。」
そう言いながら玄関へと向かうサリナ。

サリナ
「おかえりー。 早かったね。」

ジュン
「部長が体調悪くなったんで、
酒の席はなくなったんだよ」

リビングの向こうから二人の会話が聞こえた。

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