【感動】小三の春休み、近所に二つ年下の香子が引越して来た。ある日、道の傍らでしゃがみ込んで泣いている香子を見つけた俺は…→俺と彼女の物語は、ここから始まった…!→「俺と香子は、幸せな夫婦になります!」
「あ、ママ!」
その人は女の子のお母さんだったようだ。
娘の帰りが遅かったので心配して出てきたのだろう。
女の子は俺の手を離すと、お母さんに向って走っていった。
女の子はお母さんに抱きついて、一頻り泣いた後、
こっちを振り返って俺を指した。
お母さんがペコっと頭を下げて、こっちに向ってくる。
大人の人に頭を下げられるなんて初めてだった俺は、
なんか混乱と気恥ずかしさで、その場を走って逃げ出してしまった。
31: 1:2009/08/25(火) 10:12:44.70 ID:9k1Z+XoP0
その日の夜、ウチに女の子とお母さんが尋ねてきた。
義理堅いお母さんだった。わざわざ俺がどこのウチの子か近所で聞いて回ったらしい。
俺は母親によって無理矢理玄関に呼ばれ、お母さんからお礼のケーキを受け取った。
女の子はずっとお母さんの足にしがみついていて、チラチラと俺と母親を交互に見ていた。
俺は嬉しいとか誇らしいとかそういう気持ちは全然なくて、
ただ早く自分の部屋に戻りたかった。
が、女の子達が帰った後、母親に褒められたのは悪い気がしなかった。
「香子ちゃんは一年生で、こっちにきたばっかりなんだから、これからも助けてあげなさいよ?」
「んあ。」
そうか『かこちゃん』っていうんだな。名前も知らんかった。
そんなことを思いながら食べるケーキは、美味かった。
33: 1:2009/08/25(火) 10:21:51.56 ID:9k1Z+XoP0
まもなくGWに入った。
俺はいつものごとく団地で遊びながらも、どこかで香子の姿を探したが、
連休中にその姿を見る事はなかった。
GWが終わり、ダルイ学校生活がまた戻る。
朝、欠伸をしながら家を出ると、公園を挟んで向かいの棟の下に、
香子とお母さんがいるのが見えた。
お母さんに何事か言われ、香子がこっちに走ってくる。
なんだなんだと思いつつ待っていると、香子は小さな袋を差し出してきた。
「これ。」
「ん?くれるの?」
香子が頷くので、袋を貰って開けて見ると、中から陶器で出来たフグの
キーホルダーが出てきた。
後で聞いた話だが、お爺ちゃんの家が下関にあるそうだ。
「おみやげ。」
「あー…ありがとう。」
物を貰ったらお礼を言う。それくらいは子供でも分かった。
香子は嬉しそうに笑顔を見せた。
34: 名無し:2009/08/25(火) 10:26:24.20 ID:kgfbKzUT0
GW不自然じゃね?
お土産の前振りなんだろうけど
何にも無いなら要らないだろwwwwww
>>34
すみません、GW中に香子が下関に行ってた、というだけです。
35: 1:2009/08/25(火) 10:28:30.40 ID:9k1Z+XoP0
俺はそのまま学校へと歩きだす。
と、香子もトコトコと付いて来る。……目的地が一緒なので当たり前だが。
さすがに登校中に手を繋ぐようなマネは出来なかったが、
ほっといてどんどん先に行く訳にもいかないので、歩くペースを彼女にあわせた。
「学校慣れた?」
「………うん。うぅん。」
歯切れの悪い返事だった。
これも後から知ったんだが、都会っ子の香子は服も垢抜けてたし、
容姿もまるで人形のように可愛らしかったが性格が大人しかったため、
クラスでちょっと浮いていたらしい。
団地にも同い年の子はいるはずなのに、一緒に登校するところを見たことは無かった。
40: 1:2009/08/25(火) 10:36:30.83 ID:9k1Z+XoP0
香子からしたら、俺がこっちに来て初めての友達、のつもりなんだろう。
そう思うと、年下ということもあって、無碍には出来ない気がした。
「勉強好き?」
勉強嫌いの俺が聞くことではないかもだが、他に話題もわからない。
「こくごとおんがくが好き。」
「あー、おんがくは俺も好きかな。」
リコーダーが本格的になるにつれ、音楽もだんだんと面倒くさくなっていくのであるが。
結局その登校中は、学校の話ばかりで終わったような気がする。
ちょっと記憶が曖昧。
42: 1:2009/08/25(火) 10:40:08.90 ID:9k1Z+XoP0
それから、登校にはいつも香子がついて来るようになった。
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