【驚愕】「赤ちゃんの自分に父親がエイズウイルスを注射した」そして24年・・・
「改名したことで、自分自身のアイデンティティーが守れた。それに『僕はブライアン・スチュワートとは何の関係もない。僕はあの人の犯罪の被害者だ』と言えるようになった」
「仮釈放の審理であの男はずっと、僕を『息子』と呼び続けた。手を挙げて『被害者』と呼ぶよう、要求したかった。僕があの人の息子だったなんて、いつのことだって思った。HIVをわざと注射した時、僕はあの男の息子だったんだろうか?」
しかし病気の症状がどれだけ重くつらい時でも、ジャクソンさんは笑いを失わなかった。病床で、フォレスト・ガンプの物まねをして、看護師たちを笑わせていた。
「いつも冗談を飛ばしていた。HIV陽性だということについて冗談を考えるのも好きだし、難聴だというのがどういうことか冗談にしたり、父親がいないことについて冗談にしたりするのも好きだ」
「啓発スピーカーになっていなかったら、スタンダップ・コメディアンになっていたと思う」
「みんな当惑するんです。僕のユーモアは、自分の境遇を何とか受け止めるための方法なんだろうって。でも、生きていて起きる辛いことや悲劇を笑い飛ばせるというのは、何とかやりすごしてるだけじゃない。それは力なんです」
ジャクソンさんは7月、ミズーリ州矯正局から手紙を受け取った。自分の証言をもとに、父親は今後5年間、仮釈放されないことになったという。
「審問ではひたすら、自分の証言内容を朗読して、正義が行われるよう祈って願うしかなかった。今回の審理結果が出て、本当に力を与えられた気持ちだ」
「父親がそのうち戻ってきて、やりかけたことを終わらせようとするんじゃないかと脅えて、悪夢から目を覚ますこともある。僕はあの男を許したかもしれない。でも、たとえ許されたとしても、自分のしたことの償いはしないといけない」
ジャクソンさんの父親は、自分はサウジアラビアから帰還してPTSDを患っていたから、あのようなことをしたのだと、情状酌量を求めている。しかしジャクソンさんは納得していない。父親は海軍予備役で、実際の戦闘は目にしていないはずだからだ。
そしてそうこうする間も、ジャクソンさんは医師たちを驚かせ続けている。
「まったくの健康体なんですよ! 馬みたいに、馬よりも健康だ。ちょっと太めかもしれないけど、アスリートとしてもなかなかなのものですよ」
「今のところT細胞(免疫細胞)の数値は平均以上です。ということは、僕が誰かにHIVをうつしてしまう可能性はほとんどゼロです。昔は毎日23個の錠剤を飲んでいたけど、今では1つだけ。自分が何をどうしたのかよく分からないけど、今の僕のHIVステータスは『検知不可能』です」
「それでもまだエイズ患者ですよ」とジャクソンさんは陽気に言う。「一度HIV陽性と診断されたら、ずっとHIV陽性だ」。
啓発スピーカーとして、そしてHIVの理解を広めるための慈善団体「Hope Is Vital(希望は命に不可欠)」の活動で多忙なジャクソンさんだが、いつか父親になる日をぼんやり夢見ることも多い。
自分の父親はひどかった。それだけに、自分は良い父親になりたいのだ。
「父親になりたいとすごく思います。自分がなるべきこと、そのひとつが父親なんだと思う」
「自分の子供たちに、希望という根っこをしっかり与えたい。世界は平和な場所だと思ってもらいたい。僕がいつでも守ってあげるし。ひどい目に遭っても、それを通じて素晴らしいことが可能になります」
引用元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-37700366