【幻の最終回】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…誰も知らない22年後の物語に涙が止まらない
330 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/19(火)00:10:06 ID:Z7uN05JdJ
「……そっか……そんなことが……」
オラは、ななこさんに愚痴を零すように、全部話した。
もちろん、ななこさんはひまわりが事故に遭ったことを知っていたし、お見舞いにも来ていた。
それでも、一から十までを、ななこさんに話した。
それは、オラの愚痴でもあったし、贖罪でもあった。
自分がこれだけ嫌な人間であることを、誰かに聞いてほしかった。
ななこさんは、オラの話を何も言わずに聞いてくれていた。
そして、話し終えたオラに、笑顔を向ける。
昔と変わらない、あの頃のままの笑顔を。
「……しんちゃんの気持ち、何となく分かるよ。
しんちゃんだって、本当は二人を祝福したいし、
風間くんを恨んでなんかいないんだよね?」
「……うん」
「でも、どうしても風間くんとひまわりちゃんに強く当たってしまう……。
それはね、きっと、まだしんちゃんの中で色々整理がついてないからだと思うな。
お兄ちゃんだからしっかりしなきゃいけない。
お兄ちゃんだからひまわりちゃんを支えないといけない。
たしかに、それは立派なことだと思うし、ひまわりちゃんも救われてると思う。
……だけど、しんちゃん自身はどうなのかな」
「オラ……自身……」
「しんちゃんだって、本当は辛かったでしょ?
お父さんたちのことがあって、
ひまわりちゃんのことがあって、風間くんのことがあって……
それでも、お兄ちゃんとして何とかしなきゃいけない。
それって、時に自分を追い込む結果にもなると思う」
「………」
「お兄ちゃんでもない。風間くんの友達でもない。
しんちゃんが、しんちゃんとしてどうしたいのか……
それを、一度振り返ってもいいんじゃないかな?」
「オラが、オラとして……」
するとななこさんは、少し困ったように笑みを浮かべた。
「ごめんねしんちゃん。私に出来るのはこんなことを言うくらいしかないんだ。
これについては、しんちゃん達が、自分達で解決するべきことだと思うんだ。
誰かに答えをもらうんじゃない。誰かに助けてもらうんじゃない。
しんちゃん達が、本当の意味で向き合って答えを見つけることなんだと思う」
「……」
「……あんまり力になれなくてごめんね」
「……そんなこと、ありません」
そしてオラは、立ち上がった。
「ありがとう、ななこさん。オラ、もう一度ひまわり達と話してみるよ。
それで、もう一度考えてみる」
「……うん!頑張って!しんちゃん!」
ななこさんは、とても暖かい笑顔を向けていた。
その笑顔が、オラの背中を押してくれた気がした。優しく、そっと。
331 :名無しさん@おーぷん:2014/08/19(火)00:10:21 ID:UJ6pfjEov
きっとななこさんは綺麗なおばさまになってる
356 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/19(火)01:06:16 ID:Z7uN05JdJ
それから、オラは家に帰った。
「……ただいま」
「……あ、お帰り……」
ひまわりはオラに気付くと、力なく声をかけた。
申し訳ないような、気まずいような……ひまわりは、顔を伏せていた。
これは、オラのせいなんだろうな。
オラが妙な意地を張ったせいで、ひまわりにこんな顔をさせたのかもしれない。
「……ひまわり」
「……うん?」
「今度……出かけようか……」
「……え?」
ひまわりは、驚いたように顔をオラに向けた。
「街にでも行って、買い物でもしようか」
「う、うん……それはいいけど……」
「よし。決まりだな。――それはそうと、オラ、お腹空いちゃったよ。ご飯、食べようか」
「……うん」
ひまわりは、不思議そうに首をかしげていた。
でもオラは、見極めるつもりだった。
本当に、ひまわりにとってどうするのが一番いいのか。
オラが、どうしたいのか。そして……
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