【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…
ただボーっと座っていたんだ。
正直今何も考えられない状況。
夏も終わりかけ、少し肌寒くなってきたな。
月明かりがトンネルの中まで入ってきている。
ハルを横向に抱え座り込む。
ハルは俺を見つめ、
宇宙人みたいにわけの分からない言葉を話している。
きっと俺に話しかけてるんだろう。
虚しくなる。
寂しさも込み上げてきた。
何でだろうか?
こんな気持ちも、
きっとハルと会話が出来ればましだったんだろうか?
俺は一人なんだと痛感する。
そう思いながらハルの言葉に耳を傾けていた。
ハル「パッパ?」
え?聞き違いか?
ハル「パッパ」
今度は俺を指差して言った。
俺
「パパ? 今パパって言ったか? うんパパ。」
急に何かが込み上げてきた。
ハルはニッコリ微笑んで
ハル「パッパーw」
俺「うんうん。 パパ。パパだよw」
俺のことを初めてパパって言ってくれたんだ。
ハルをギュッと強く抱きしめた。
苦しそうにしていたけど、そんなのお構いなしだ。
俺の瞳からは溢れんばかりに涙がこぼれた。
俺
「ごめんなー。 本当ごめんなー。」
俺は大泣きしながらハルに謝った。
こんな情けない父親で。
こんなひもじい想いをさせてることに、
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
いつぶりだろうか。
いや、こんなに泣いたのは初めてかもしれない。
こんな気持ちになったのわ。
俺は一人じゃなかったんだ。
こんな俺でも父親と思ってくれてるんだな。
子供の笑顔ってすごいなって実感させられたよ。
いつの間にかハルは眠っていけど、
俺は眠ることができなかった。
眠れる場所じゃないからとかじゃない。
自分の不甲斐なさと
今までの腐った自分を思い返してだ。
佐々木先生の言葉が耳に残っていた。
「ちゃんと子供はお父さんの背中を見てますよ」
そうなんだ。 俺もそうだったし。
ハルは俺の背中を見て育つんだ。
もっとしかりしないとダメだ。
この瞬間まで俺は、いつでも人の責任にしてきた。
こうなったのは親のせい、学校のせい、大人のせい。
今だってそうだ。
社会や世の中のせい、嫁のせい、いつだってそうなんだ。
自分の否を認めず誰かれ構わず
他人に責任を押し付けてきた。
全て自分の責任なのにな。
自分がこうしてしまったんだ。
きっとサリナもそんな俺に愛想が尽きたんだな。
外で朝をむかえたその日、
俺はハルを連れて隣町まで2時間かけて歩いていた。
保育園には前もって連絡を入れ休ませた。
唯一の頼りがそこにあったからだ。
死んだ親父の姉貴に会いにいったんだ。
俺の叔母にあたる人。
小さい頃の記憶だけが頼りだった。
親父に2、3回連れてこられたことがある。
町の雰囲気はガラッと変わっていたけど、
どうにかたどりついた。
リフォームして新しく建て替えられていたけど、
表札を見てここで間違いないと思った。
チャイムを鳴らすと、
四十歳過ぎのおばさんが出てきた。
おばさん
「はい、どちらさまですか?」
俺
「あの…、カズエおばさん(親父の姉貴)はいてますか?
俺っていいます。」
おばさん
「えー、あっ、母さーん」
どうやらカズエおばさんの娘のようだ。
おばさんは俺とハルの全身を舐めるように見、
家の中に向かって叫んだ。
おばさん
「ごめんなさいね。俺さんってどちらの俺さん。
母とはどういった関係?」
無理もない不審者に見られてるんだろう。
答えようとすると、
「はいはい。どうしたの?お客さん?」
ガリガリのおばあちゃんが中から出てきた。
この人がカズエおばさんなのか?
正直顔まで覚えていないから分からない。
でもきっとこの人で間違いないだろう。
おばさん
「俺さんって方よ。お母さん知り合い?」
カズエ
「俺さん?」
カズエおばさんは俺をジッと見つめた。
カズエ
「もしかして、俺父の息子の俺ちゃん?」
長い月日が経っていたが、
どうやら俺のことを覚えてくれていたらしい。
俺
「はい。。」
目を潤ませながら俺に近づいてきた。
大きくなったねと言われ再会を喜んでくれた。
俺とハルは家の中に通されお茶を出してもらった。
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