【面白い!最高傑作だよ】一年につき、一万円で寿命を買い取ってもらった結果wwwwww
23:名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 13:55:02.70 ID:uxwqRYpB0
げっそりした気分でトイレから出ると、
監視員がドアの正面に立っていた。
最前席で聞きたかったのかな、俺の吐く音。
うがいをして水をコップ三杯飲みほすと、
俺は再びベッドに戻って横になった。
「昨日も説明しましたけど」と横でミヤギが言う、
「あなたの余命は一年を切りましたので、
今日からは常時、監視がつくことになります」
「その話、後じゃ駄目か?」と俺はミヤギをにらんだ。
ミヤギは「わかりました。じゃあ、後で」と言うと、
部屋のすみっこに行って、三角座りをした。
以後、ミヤギはそこから俺を定点観測し続けることになる。
似たような経験のある人には分かると思うが、
これをやられると生活のペースはすっかり狂う。
ほら、人に見られてるとできないことって沢山あるだろ?
24:名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 13:59:29.66 ID:uxwqRYpB0
寿命が一年を切った客には監視員が付くってのは、
確かにあらかじめ聞いていた話ではあったんだ。
ミヤギの説明によると、寿命が半年を切った客が、
ヤケになって問題を起こすことがあまりに多いから、
それを未然に防ぐために監視員が導入されたそうだ。
もし俺が他人に多大な迷惑をかけそうになったら、
監視員が本部に連絡して、俺の寿命を尽きさせるらしい。
トラヴィス・ビックルにはなれないってこった。
ただ、最後の三日間だけは、監視員も外れて、
純粋な自分の時間を満喫できるそうだ。
統計的に、そこまでくると人は悪さをしなくなるとか。
27:名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 14:02:44.12 ID:uxwqRYpB0
夕方には、吐き気も頭痛も消えていた。
俺はようやく物をまともに考えられるようになってきた。
昨日、衝動的に寿命の大半を売ったことについては、
自分でも意外なほど後悔していなかったな。
むしろ、三か月も残さなきゃよかった、とさえ思った。
監視されっ放しの三か月なんてごめんだからな。
三日くらいしかいらなかったんじゃないのか?
さて。自分の価値の低さを今さら悩んでも仕方ない。
問題は、これから何をするかだろう。三か月で。
俺はルーズリーフを一枚取り出し、ペンを手に取り、
そこに「やりたいことリスト」を作成した。
いよいよそれらしくなってきたな。
28:名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 14:04:53.70 ID:uxwqRYpB0
やりたいことリスト。たとえば、こんな感じだ。
・幼馴染に会って礼を言う
・親友と会って馬鹿話をする
・なるべく多くの時間を家族と過ごす
・知人全員に向けて遺書を書く
・大学には行かない
・アルバイトにも行かない
まあ、全体的に平凡な発想だ。
誰に書かせても似たような感じになるだろうな。
32:名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 14:12:20.21 ID:uxwqRYpB0
いつの間にか真後ろにミヤギがいて、
俺の書いたリストを眺めていた。
「それ、やめた方がいいですよ」
一つ目の項目を指差して、彼女は言った。
“幼馴染に会って礼を言う”。
「なぜ?」と俺はミヤギに訊ねた。
――幼馴染について、ちょっと説明するか。
夢にも出てきたその子と俺は、四歳からの仲でさ。
彼女が転校するまでは、どこにいくにも一緒だったんだ。
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