【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…

感動, 物語ヤンキー, 感動, 涙腺崩壊, 発達障害, 苛酷


「ハルが帰ったってどう言うことですか?」

今日は佐々木先生が風邪で休みってこともあり、
臨時で別の先生がハルについていた。

先生
「ハルちゃんお母さんが迎えに来ましたよ。」

1時間も前に帰ったとのこと。
サリナが? 心拍数が上がる。
俺はすぐ携帯で義母に連絡した。


「ハルが保育園にいないんす。
もう帰ったと言われました。
サリナだと思う。
連絡ありませんでしたか?」

半年前からサリナの携帯番号が変わっていた。
そのせいでこちらから連絡は出来ない。

義母
「あの子から連絡ないわよ。
わたしも探すわね。すぐお父さんにも連絡いれる」

俺「すんません。 助かります。
俺も心あたりのある場所を探しますんで」

何故今。 何故このタイミングなんだろう。
俺はサリナが行きそうな場所を探した。
前住んでいたアパート。公園。スーパー。
不安が募る。

もしかしてもうこの街にはいないかもしれない。
ハルにもう会えない。

最悪の状況が頭をよぎる。
俺はその不安を振り祓うように探し続けた。

サリナがいなくなって2年が経つ。

ハルを返してくれ。
そして、 サリナに会ってもう一度話したい。

サリナも人の親なんだ。
ハルを置いていなくったとは言え、
こうしてまた会いにきた。
きっと思うところもある。

複雑な気持ちが入り交じる中、
俺は駅やショッピングモールなんかを虱潰しに探した。

 

途方に暮れる俺。

いつかこんな日がくるかも。
そう心の中で少しは思ってたじゃないか。
でもこんなに早くその日がくるなんて。

サリナ
「ハルが大きくなったら、また3人でこようね?w」
昔のサリナの言葉を思い出した。

春は桜が満開。
秋は紅葉で彩る。
地域にある記念公園。
あそこかもしれない。

時間が経ちすぎてあたりは暗くなっていた。
最後の希望はそこしかない。
と、そう思い夢中で走った。

俺「ハァ… ハァハァ…」
汗だくで酸欠状態だ。

ギィーコ…ギィーコ。
「キャハハハハw キャハハハハw」
ハルの笑い声が聞こえる。

街灯に照らされた二人の姿を見つけた。
ブランコに乗るハル。
それを押していたのはサリナだ。

俺「ハァ…ハァ…」
ゆっくりと近づく俺。

サリナ「久しぶり。」
そこには優しい笑顔で
ハルと遊ぶお母親の姿があった。
俺に気付いたサリナはすごく冷静だった。


「ハァ… もう…会えないかと思った…ハァ
ハルにも…お前にも…ハァハァ」

サリナ
「ハル、随分大きくなったね。本当に大きくなった。」
サリナはハルの頭を撫でながら俺とは目を合わせない。

ハル「パパァー」
ハルが俺に気付いて笑顔で走り寄ってきた。

俺は、またハルを
この手で抱きしめれた事に少し安心した。


「ずっと… ずっと待ってた…
お前ともう一度会って話したかった…
あの日記ですごく救われたんだ…」

ハルが自閉症だと診断を受けてすぐ、
佐々木先生からサリナが
毎日日記をつけていた事を教えてもらった。

俺は前のアパートにそれを取りに行ったんだ。
家財は全てなくなっていたんだけど、
大家さんが処分に困っていたと、
日記や母子手帳なんかを入れた箱を
とっておいてくれたんだ。

その日記には、
ハルが産まれてサリナがいなくなる一週間前までが
記されていた。

そこには、俺の知らないハルの成長と、
サリナの気持ちがたくさん書かれていた。

ハルが離乳食を食べた日。
ハイハイからつかまり立ちをした日。
健康診断にひっかかた日。
自閉症の疑いがあると告げられた日。

俺が会社をクビになったこと。
俺が帰らなくてなったこと。
連絡すらとれなくなったことまで全部だ。

でもその日記には、
喜びや不安は書いてあったけど、
微塵も不満や嫌みは書いてなかった。
そこには優しくてたくましい、
ただ息子を愛する母親の姿を感じた。

なのにだ。
なのに何故ハルを置いていったのか。

ずっと疑問だった。

 

サリナ
「よく分かったね。ここにいるって。」


「あー… 勘だよ。もしかしたらって…」
来ると思ってここで待っていたんだろう。
ここが最後だ。本当に来て良かった。

サリナ
「ごめんね。 勝手なことして。
心配したよね? 本当にごめん。」


「いいよ。 元気だったか…」

言葉が詰まる。

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