【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…

感動, 物語ヤンキー, 感動, 涙腺崩壊, 発達障害, 苛酷

担任
「それではここのページ誰か読んでくれますか?」
生徒
「はーい。はーい。」

親にいい所を見せるチャンス。
生徒達が張り切って手を上げる。

ハルは? 手を上げていない。
きっと恥ずかしいんだろう。

担任
「それじゃみんな読めるように、
段落ごとに順番に読んでいきましょう」

次々に朗読をする生徒達。

いよいよハルの番だ。
あれだけ毎日本読みの練習をしてるんだ。
大丈夫。頑張れ。
心の中で一生懸命応援をする親バカな俺。

担任
「次は松井君。」
ハル
「は、ハイー」

緊張して語尾が上がってる。

ハル
「みみ、み、みんみん…」
教室内でクスクスと笑い声がする。

ハルならできる頑張れ。

ハル
「みんなでかげおくりを
もういちどやらないかい…」

担任
「松井君よく出来ました。 次松村さん」

ハルは顔と耳を真っ赤にしながら、
ゆっくり座るとうつむいた。

上手に出来たよ。
みんなに見られて緊張したのにな。

帰ってうんと褒めてあげたいけど、
今日来てるのは内緒にしてるんだ。
なんだか悔しい。

どうやらかさじぞうではなかったけど、
ハルは一生懸命に読んだ。
ちゃんと出来た。
誇らしい気持ちになった。

 

授業も終盤。

ハル「うえーーーん」
急にハルが大声で泣き出した。

俺と目が合ってしまった瞬間の出来事。
しまった。
俺がいることに気づいてしまったようだ。
担任が近づく。

授業はまだ終わってなかったけど、
教室の後ろで待機していた山下先生が
ハルを連れて教室を出た。

授業が終わり
支援級で待機してるハルを迎えに行った。


「ハルー。 帰ろう。」
ハル「…」
無言で喋らないハル。


「すいません。御迷惑おかけして」

山下先生
「いいえ。ハル君いつもなら大丈夫なのに。
人が多くて混乱したのかもしれませんね」


「いや、 今日は自分が
参観日に来ない約束をしてたんです。
その約束を破ってしまったから泣いたんだと思います。
本当にすいません」

山下先生
「いえいえ。
ハル君!お父さん迎えに来たから帰ろうね」

ハルは黙って立ち上がり、
俺をスルーして教室を出た。
俺はハルを追う。
相当怒ってる。
無理もないか。


「ハル。 ごめんな。パパ約束破って」

ハル「…」

沈黙が続く。
俺はハルの手を繋ぎ、

「今日はレストラン行こうか?
ハルの好きなハンバーグ食べよw」

ハル「はい」
少し機嫌をなおす。

 


「今日は本読みうまくできてたな。
パパ本当ハルはすごいなーって驚いたよ。
びっくりしたw」

ハルが急に立ち止まる

ハル
「パパのうそつき。
こないやきそく(約束)したんでしょ」

また泣きだすハル。


「ごめんな。本当。
パパどうしてもハルの頑張ってる姿見たかったんだ。
もう来てほしくないってハルが思うなら、
もう絶対に行かない。」

ハル「もういいの…エグッ」

俺はハルの頭を撫でた。

ハル
「パパ… パパぼくひとりにしないで…エグッ
ぼくパパいなくなってほしくない…エグッ」


「ばか。 何言ってんだよ。
パパはハルから離れたりしないよ。」

ハルの一言でこっちまで泣きそうになる。
俺は涙をこらえた。

ハル
「だって…エグッ だって…エグッ
ちいちゃんはパパいなくなるの…エグッ
ママいなくなるの…エグッ
パパ… ぼくおりこうにするよ…エグッ
だからね…おいていかないで…エグッ」

 

ようやく理解した。
知ってる人は知ってると思うけど、
『ちいちゃんのかげおくり』って話しがある。
戦争時代の話なんだけど、
俺もうろ覚えだから知りたい人は本を読んでほしい。

ハルはちいちゃんのかげおくりを読んで、
ちいちゃんのお父さんのように
俺もいなくなってしまうんじゃないかと思ったんだ。
ちいちゃんと自分を重ね合わせたんだろう。
参観日に来て、
どうしてもこの話しを俺に聞かせたくなかったんだ。

胸に深く突き刺さるものを感じた。
苦しくなる程ハルを愛おしく想った。
自然と涙が零れる。
そしてハルがこんなに不安になるのは、
俺が悪いんだとすごく理解した瞬間だった。

俺はハルを抱きしめて。

「パパはずっとハルと一緒だよ。
だから心配しないでいいからな。」

不安になるのは無理もない。
ハルは俺のせいで母親を失ったんだから。

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