【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…

感動, 物語ヤンキー, 感動, 涙腺崩壊, 発達障害, 苛酷

ハル「やきそく(約束)?…エグッ」
俺「約束。 ゆびきりげんまん…」
俺はハルとゆびきりをした。

レストランに入りご飯を食べる頃には
ハルに笑顔が戻っていたけど、
俺は複雑な気持ちだった。

ハルの不安な気持ちを、どうしても和らげてやりたい。
そう思った。

きっとハルはサリナが自分を捨てたと思ってるんだ。

ずっと母親の事を聞いてこなかったのがその証拠。
幼いながら確信したものがあったのかもしれない。

まわりの友達には、ちゃんと母親がいるんだ。
気付かないわけがない。
ハルに我慢させていることが、本当に申し訳なく感じた。

俺「ハル? ママに会いたいか?」

ハル「ママ…?」
少し間があいた。

ハル「ううん。 パパがいるからいい」
首をふるハル。


「ハルが会いたいって言ったら、 ママはきっと喜ぶよ。
ママもハルとずっと会いたいって思ってたから」

ハル「…」

俺「どうした?」

ハル「パパがいるからいいの」
頑固なハル。
そこは俺に似たのかな。

帰って眠りにつくハル。
ハルの寝顔は益々サリナに似てきた。

サリナと最後に会って半年が経ち、
サリナから手紙がきた。

それから今日までずっと手紙でやりとりしてる。
サリナはハルをいつだって心配していた。
自分から会いたいとは言いづらいのだろう。
だから言ってこなかった。

俺からハルに会いたいか?とも聞かなかったけど、
それは分かっていることだ。
俺自身ハルを会わすことに抵抗があったのかもしれない。

でももう十分だろう。

言わなくても、
サリナもハルもお互いに会いたいに決まってるんだ。
それにサリナがハルを嫌いで
置いていったわけじゃない事を知ってほしかった。

俺はサリナにハルを会わそうと考えた。

そしてハルを連れて、
サリナに会いに行くことにしたんだ。

ハルはお気に入りの電車のおもちゃ。
そしとトトロのぬいぐるみを抱きかかえている。
電車に乗って満足気に水筒のお茶をグビッと飲み干した。

前日の夜にママに会いに行くと伝えた。
ハルは何も言わなかったけどとても嬉しそうだ。

ハル
「とおいの? すぐつくの?」
俺「もう後2つ駅に止まったら着くよ」
ソワソワするハル。
何しろ4年ぶりに会うんだ。不安や緊張もある。

サリナには前もって手紙を送っていた。
番号は聞いていたけど、
かける事もなかったのでもう使われていなかった。

今日行く旨を伝えたけど、
手紙を確認していないのか
どうやらマンションにはいないようだ。

サリナの都合もあるだろうから、
会えなければ帰ればいいだろうと考えていた。

ハル
「ママいないの?
だったらおうちにかえろー」


「いてないみたいだね。
せっかくだから隣の公園で待たせてもらおうよ?な?」

ハル「はい」

ハルはジャングルジムで楽しそうに遊んでる。
きっと複雑な気持ちなんだろう。
その気持ちを隠すかのように、
いつもより元気に見せるハル。

 

日も暮れてきた。
どうやら今日は会えそうにない。
手紙じゃ仕方ない。

近くの宿に予約したからまた明日出直そう。

そう思い公園を出たところで、
公園の横に一台のワゴン車が停まった。

サリナだ。
助手席に座っていた。
運転席の男性と親しげに会話をしている。
話し終わり、ようやく助手席から降りてくると、
こちらに向かって歩いてきた。

サリナ
「えっ? 俺くん?…ハル?」
驚いた顔でこちらを見ている。


「手紙送ってたんだけど、
もしかして見てないか? 今日行くって。」

サリナ
「ごめんなさい。 ずっと忙しくて。」


「ごめんないきなり。
手紙で言うのもあれだとは思ったんだけど、
早く会わせたくて。 ハル連れてきた。」

サリナ「うん…」
サリナが瞳を潤ませる。

俺「ハル? ママだぞ」

ハルは俺の後ろに隠れている。

サリナ「ハル。 久しぶりだね。ママ!…分かる?…」

ハルは黙って頷く。

サリナがハルの目線までしゃがむと、
ハルにニッコリ微笑みかけた。

サリナ
「ハル!ママに抱っこさせてくれる?…」
そう言ってハルの手を引っ張り抱きかかえた。
ハルは緊張してか顔を強ばらせてる。

ハル「ママいいニオイ」

サリナ「本当? 汗臭くない?ハル会いたかったよ…」

泣き出すサリナ。
きっとハルがママって言ってくれて嬉しかったんだ。
ずっと会いたかったに違いない。

ハルもサリナの肩に顔をうずめている。
どうやら緊張も解けたようだ。

お互いずっとこうしたかったんだ。

俺「今日は大丈夫?」

サリナ
「うん大丈夫。
せまいけど良かったら泊まっていって。」


「俺は宿予約してるしそこ泊まるよ。
明日夕方迎えに行くから、ハルは預けてもいいかな?」

サリナ
「いいの? 本当に?」


「ハル。ママと二人で大丈夫だよな?」

ハル「はい」
ハルが笑顔で答える。


「母子水入らず。積もり積もった話もあるだろうし」

そう言って番号だけ交換し、
ハルをサリナに預けて俺はその場を立ち去った。

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