【涙腺崩壊】のび太『あれからもう10年か……』ドラえもんがいなくなってからののび太の成長、ドラえもんのその後が泣ける・・・
笑ながら話す二人を見ていて、言葉が漏れていた。
「よせやいのび太。そんなんじゃねえよ」
「そうそう。お前だって、ちゃんと働いてるじゃないか」
「……僕は、ただそれだけだよ。何かをしようとしているわけでもない。ただスーツに着替えて、会社に行って、怒られてるだけだ……」
「……そんなに卑屈になるなよ。働いてるってのは、大人になったってことなんだよ」
「そ、それより、今日はしずかちゃんは来ないの?」
スネ夫は慌てながら話題を逸らした。気を、遣わせてしまったかもしれない。
「……しずかちゃんは、今日は仕事だよ」
「そっか……残念だな」
「しょうがないよ。しずかちゃんは、大手の企業に勤めているからね。――出木杉と一緒に……」
「………」
それから、僕らは夜遅くまで宴会をして別れた。
二人とも、立派に自分の道を歩いている。……片や、僕はどうだろう……
(……僕は、ダメだな……)
考えれば考える程、鬱な気持ちになってくる。もしドラえもんがいたのなら、助けてくれたかもしれない。
……でも、彼はもういない。そして、いくら考えても、何か現状が変わるわけでもない。
(……帰るかな……)
考えるのを止めた僕は、夜道を再び歩き出した。空を見上げてみたけど、あいにく星は見えなかった。雲に隠れた朧月だけが、逃げるように光を放っていた。
「――野比!!何度言わせるんだ!!」
「す、すみません……!!」
オフィスの一角で、僕は相変わらず上司に怒鳴らていた。提出した書類に、不備があったからだ。
「……まったくお前は、なぜそういつもいつもミスばかりするんだ。お前が作ってるのは、ただの紙きれじゃないんだぞ?この会社の、必要な書類なんだ。少しは自覚しろ」
「はい……」
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