【涙腺崩壊】のび太『あれからもう10年か……』ドラえもんがいなくなってからののび太の成長、ドラえもんのその後が泣ける・・・
ドラえもんがいなくなった世界
のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」
思わず、曇り空に向かって呟いてしまった。
高校を卒業した後、僕は大学には行かなかった。確か、ドラえもんは僕が1浪して大学に行くと言ってたけど、大学は到底無理だった。
今僕が働いているのは、しがない中小企業だ。これも、ドラえもんが言っていたのとは違う。就職活動に失敗することもなく、起業することもなく、高校卒業した後に、いとも普通に就職をした。
……まあ、これが人生なのかもしれない。ちょっとしたことで、未来は変わるのかもしれない。
未来ってのは、なんとも脆いものなんだろうな。
会社での生活は、学校の時と何一つ変わらない。
毎日上司に怒られて、落ち込んで……
――だけど、あの頃と違うものもある。
ローカル線沿いにある小さな古いアパートが、今の僕の家だ。
実家から通うことも出来たけど、父さんも母さんももう歳だ。僕が独り立ちすれば少しは安心するだろうし、穏やかな老後を過ごすことが出来るだろう。
薄暗い部屋の電気を付ければ、1Kの小さな部屋に明かりが灯される。
部屋には必要最低限のものしかない。テレビ、冷蔵庫、コンロ、電子レンジ……
寂しい部屋ではあるが、これが、僕の住まいだ。
誰もいない部屋の隅に鞄を置き、スーツのままボロボロの畳に寝転がった。
もう見慣れた天井。相変わらず染みだらけだ。スーツもずっと着続けているからか、ところどころ色落ちしている。
「………」
――ふと、部屋の片隅にある事務机に目をやった。
机の上には仕事のために買ったノートパソコンと、仕事で使う資料が置かれている。マンガはない。
布団から立ち上がり、机に歩み寄る。そして、しばらく机を見つめた後、静かに引き出しを開けてみた。
――当然だけど、引き出しの中には、何もなかった。
次の休みの日、久しぶりに、僕らは集まった。
「――ホント、久しぶりだな!!」
ジャイアンは、相変わらず豪快に笑う。
彼は今、企業の社長をしている。高校を卒業した後、彼は一度就職した。だが、そこはかなりのブラック企業だったらしく、部下を何とも思わない心無い上司に激怒し、半ばケンカ別れのように辞職した。そして、自分で会社を立ち上げたんだ。
会社は好調のようだ。それは偏に、彼の人柄のおかげだろう。部下を大切にし、得意先に社長自ら赴き交渉する。引く時には引き、行くときには行く。彼のいい部分が、全面的に作用しているようだ。
「ジャイアン、相変わらず声が大きいなぁ……」
スネ夫は苦笑いをしながら、ビールをちびちび飲んでいた。
彼は今、デザイナーを目指している。なんでも、その道で有名な人に頼み込んで、弟子入りをしたとか。
彼は父親の会社を継がなかった。両親とはかなり口論となったようだが、父の会社を振り切り、自らの道を切り開いたんだ。今では、両親も彼を応援している。だが彼は、両親の支援を一切受けていない。『夢は自分の力だけで叶えたい』……それが、彼の言葉だった。
「二人とも、本当に立派になったよな……」
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