【幻の最終回】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…誰も知らない22年後の物語に涙が止まらない
402 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/19(火)21:13:40 ID:d3UyLBp9k
頃合いを見計らい、少しだけ二人と距離を置く。
「――風間くん!これ見て!」
「ああ!これ可愛いね!」
「でしょでしょ!?」
「うん!ひまちゃんに似合いそうだ!」
……二人は、とても楽しそうだった。そして、幸せそうだった。
特にひまわりは、普段家では見せないような笑顔を見せる。
家族に見せるものとは違う、全く別の笑顔……
この笑顔を作れるのは、きっと風間くんがいるからだろう。
おかげで、ようやく心が晴れた気がした。
「――ひまわり、風間くん、オラちょっと、これから仕事があるんだ」
「え?お兄ちゃん、今日は休みなんじゃ……」
「……さっき電話があったんだよ」
「じゃあ、帰ろうかしんのすけ」
「いやいいよ。オラだけ帰るから、二人で楽しんでよ」
オラは、二人の元から離れはじめた。
「ちょっと!お兄ちゃん!」
ひまわりの言葉に手だけを振って答える。
そして一度振り返り、風間くんの顔を見た。
「……風間くん。ひまわりを、頼んだよ」
「……しんのすけ……」
風間くんは、オラの目を見つめ返していた。
その目は、オラに何かを訴えていたように見えた。
そんな彼に微笑みを返した後、オラはそのまま、その場を離れていった。
帰り道に、ふと足を止め空を見上げた。そして二人の姿を想像してみる。
きっと今頃は、二人で街を歩いているだろう。
風間くんが車椅子を押して、ひまわりが笑って……
その姿は、オラの心を温かくする。でも少しだけ、寂しさも生まれていた。
「……さて!帰ってご飯の準備でもするかな!」
そんな入り混じる想いを胸に、オラはもう一度歩き出した。
今日は、ひまわりの大好物を作って、帰りを待っていようと思う。
403 :名無しさん@おーぷん:2014/08/19(火)21:21:52 ID:SBX7Xruna
誰だよこの漢らしい兄貴は、
かっこよすぎて惚れる
405 :名無しさん@おーぷん:2014/08/19(火)22:35:40 ID:MABNAJ0SC
しんのすけえええええ!
409 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/19(火)23:28:30 ID:d3UyLBp9k
それから、数週間が経過した。
ひまわりと風間くんは、清い交際を続けているようだ。
それは兄としては微笑ましいことではあるが、
極度のお母さんっ子である風間くんが、
ひまわりとお母さんの板挟みにならないかが少しだけ不安だったりする。
しかしまあ、ひまわりのことだ。
持ち前のど根性スキルと負けん気で、難なく色々やってみせるだろう。
今日のごはんはハンバーグにしようと思う。
我が家のハンバーグは、中にチーズを入れる。
ハンバーグを開けた時にトロッと出てくるチーズはひまわりが絶叫する程美味なのだ。
「……ん?」
買い物の帰り道、ふと曲がり角にいる不審な人物を発見した。
周りを気にしながら、曲がり角の先をチラチラと覗いているではないか。
完璧に、誰が何と言おうと不審者だ。
オラが携帯を手に持ち、ダイヤル110番を押下しようとした直前、
その人物に見覚えがあることに気付いた。
(あれは……)
ゆるりと近付き、声をかけてみる。
「――まさおくん?」
「――ィヒイイィイイッ!?」
あれだけ周りを気にしていたのに、背後に近付くオラに全く気付かなかったのだろうか。
付近に響き渡るほど、まさおくんは絶叫した。
振り向いたまさおくんは、オラの顔を見て胸を撫で下ろす。
「……なんだ、しんちゃんか……もう、脅かさないでよ……」
「いやいや、驚いたのはこっちの方だぞ。ていうか、何してるの?」
その問いに、まさおくんは少しだけ躊躇した。そして、曲がり角の先を顎で示す。
「……あれだよ」
「あれ?」
まさおくんに指示されるがまま、オラはその方向を注視した。
「……あれは……ねねちゃん?」
その先にいたのは、ねねちゃんだった。そして彼女の隣には、見覚えのないイケメンが。
二人は、談笑しながら歩いていた。
「……まさおくん。これって……」
「………」
まさおくんの顔は、この世の終わりのように沈んでいた。
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