【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…
社長
「アホ。 他人じゃねーだろ?お前はうちの従業員だ。
お前は若いのに根性もあるしよ。俺は買ってるんだよ。
それに、一緒に汗かいて一緒に飯食ってんだろ?
もう俺の家族みたいなもんなんだから
面倒みてやるのは当たり前じゃねーか。
それと礼なら山下に言え。
あいつお前のことも、
お前のガキのことも心配してたからな。
クビにしないでくれーって頼んできやがってよw
最初からクビにするつもりもなかったけどなw」
何から何までお世話してもらった。
せっかくもう泣かないって決めてたのにな。
社長に礼はいらないから仕事で返せと言われ、
明日はゆっくりしろと言われ1日休みをもらった。
俺は今まで大人が嫌いだった。
まあ俺も大人なんだけどな。
信用できるやつもいなかったし、
他人からこんなに優しくされたことなんてなかった。
佐々木先生やカズエおばさん。
社長や山下さん、みんなが俺なんかに優しくしてくれる。
今まで人生を損して生きてきたんだなって思った。
この人達は見返りも求めずに俺に優しくしてくれた。
本当に信用できる人達だ。出会えたことに感謝したい。
グズな俺は、こう言う人達との出会いのおかげで、
少しずつ成長できたんだと今は思う。
俺は一人で生きていけるなんてずっと強がってたんだよ。
でもそうじゃないって分かった。
まわりに助けられ、支えられ、
こうやって生きていけてるんだと気付かされた。
それとハル。
ハルが何よりも俺を強く支えてくれてるんだって思うんだ。
もう一人じゃない。
ハルの存在は大きい。
こいつがいるんだから生きていける。
そう思った。
少しボロでワンルームの小さな部屋だったけど、
俺とハルには十分すぎる部屋だった。
翌日、俺とハルは電車に乗って買い物に行った。
天気も良く朝からハルは上機嫌だ。
ハル
「でんさー?」
俺
「うん電車。 次のに乗ろうな」
ハル
「でんさーのるーwキャッキャッ」
楽しそうにするハルを見て少し幸せな気分になった。
生活用品を買おうと色々見ていると、
いつの間にかハルが何かを抱きかかえて歩いていた。
俺
「どうしたそれ??」
ハル
「でんさー?」
どこで見つけたのか、
ハルはおもちゃを持っているようだ。
でも、電車のおもちゃと思って
バスのおもちゃを間違って持っているようだ。
俺
「それバスだw」
ハル
「ばすー?」
俺
「うん。電車はこっちな?」
と言っておもちゃ売り場にある電車のおもちゃを見せた。
ハル
「いやーー」
大きな声。
どうやら電車より大きなバスのおもちゃを
気に入ったみたいだ。
そう言えばハルに
おもちゃなんて買ってやったことないな。
普通の父親らしいこともしてあげたことない。
そのバスのおもちゃを買ってあげることにした。
帰りの電車、
ずっとバスのおもちゃを大事そうに抱えるハル。
ハル
「でんさーw でんさーwフンフンフンフン♪」
家に帰る前公園の砂場で一緒に遊んだ。
山作ったり、穴掘ったり。
ハルはバス走らせたりして。
ハル
「でんさーw でんさーのるーwキャハ」
まだバスを電車だと思ってるんだ。
その笑顔がたまらなく愛おしかった。
なんだかこうやって、
何も考えず二人でゆっくりしたのは初めてかもしれない。
満たされた気持ちになった。
俺もハルも泥だらけだ。
俺
「ハル?風呂行くか?」
ハル
「おぷろいやー」
ちょっと怒るハル。
部屋に風呂がなかったので、
ハルと近くの銭湯に行った。
ハルはすごく風呂嫌いなんだけど、
初めての銭湯にはしゃいでた。
二人で一つの布団に横になる。
ハルは今日買ったバスをしっかり抱いて寝てた。
遊び疲れたんだろう。
穏やかな寝顔だ。
初めて買ってあげたおもちゃ。
相当気に入ったみたいで俺も嬉しかった。
ここはもう俺とハルの家なんだ。
ようやく落ち着けたことに安堵した。
これからは少しずつだけど、
家庭らしい家庭を作ってやろう。ハルのために。
今日まで色んな出来事があった。
何度も挫けそうだったけど、
ハルの存在がいつも俺を助けてくれた。
なんとかやってこれたんだな。
これ以上下はないだろうってくらいの底辺を味わったけど、
でももう大丈夫だ。
そうだよな?
俺は自分に言い聞かせるようにして目を閉じた。
こんな小さなことが、こんなに幸せに思えるなんてな。
ずっとこの幸せが続いたらいいなと切に願った。
でも、これからが俺にとってもハルにとっても
本当に大変になることを、この時はまだ知る由もなかった。
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