なぜフランス人が一人で食事をしない理由知ってますか??

おいしいものは、人と分かち合ってこそ

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新しく発見した食材を、ご近所の人たちとときどき分け合うことがあります。ある春の日に、私はホワイトアスパラガスを収穫しました。でもフランスの冬は寒いうえに多湿ですから、この白い品種が新鮮なままマルティール通りのマルシェに並ぶことは、なかなかありません。長距離をトラックで輸送していては、新鮮さが失われてしまうからです。そこで、私はスペインとの国境近くにあるランド県の畑で収穫を行い、買い物袋2個分の白いアスパラガスを抱えながらパリに戻り、八百屋を営む友人のイズィディーンに一部をおすそ分けしたのです。

ある日、私の目の前に淡い緑色のなめらかな殻をもつ、奇妙な楕円形の物体が現れました。それは生のアーモンドでした。イズィディーンは固い殻と渋皮を割るために、木製の柱にアーモンドを打ち付けました。彼はそれらを取り除いて、実の部分を取り出していたのです。私は1個つまんで口に入れようとしましたが、彼に止められてしまいました。

「まずは殻を取らないとね」、と彼は言いながら爪で殻をつまみ、それらを剥がし続けました。なめらかで白いアーモンドが現れるまで、彼がその手を止めることはありませんでした。「もう食べていいよ」と彼に言われて私が口にしたものは、アーモンドの味に似ていましたが、それは似て非なるもの。シログワイのような新鮮さと食感がありました。

「でも、これって処理が大変ね」と私がつぶやくと、彼はこう言いました。「重要なのは、食べることではないよ。大事なのは、アーモンドを割って、皮をむくプロセスなんだ。夕食後にミントティーをのみながら、テレビの前に座って家族全員でね。それに勝るものなんて何もないんだ」と。彼の声に私は一瞬、自分の父の姿を重ねていました。

パルタージュはフランス人の
食に対する向きあい方そのもの

パルタージュの重要性を訴えるのは、私の周りにいるしっかりもののフード業界の人たちだけではありません。フランスの一流シェフの多くもこれを支持しています。なかでもとりわけ顕著なのは、ミシュラン3つ星評価をもつシェフ、ギー・サリヴォワです。セーヌ川沿いの造幣局モネ・ド・パリに位置するレストランを、彼は庶民的なビストロのように営んでいて、しょっちゅうダイニングルームに足を運んでは、お客とのおしゃべりやハグを楽しんでいます。12月の初旬にサヴォワのレストランは、フランス外務省が認める世界最高峰のレストランをランキングした「La Liste(ラ・リスト)」で、見事1位に輝きました。

受賞の祝賀会パーティーの場で、オリジナルのほろ苦いシトラスを添えたグレープフルーツソルベや、アラン・デュカスの名物ボロバンを含む、5つのコースのディナーを終えたあと、サヴォワは外務大臣のジャン=マルク・エローに、こんなお願いごとをしたそうです。「外務省のキッチンスタッフ全員い、個人的にお礼を伝えてもいいですか?」と。

エローは彼の要望を受け入れ、その数分後に20人前後のシェフと、彼らのキッチンスタッフ全員をステージに上げると、ディナーに集まった他の数百人の人々とともに、スタンディング・オベーションを送ったそうです。

立ち上がって拍手を送りながら、彼は私にこう耳打ちしてきました。「料理はね、チームプレイなんだ。創造や変革、よろこびの芸術さ。つまりパルタージュがすべてなんだよ」と。