【涙腺崩壊】妻子もかえりみず好き勝手遊びまわっていた俺。ある日突然「お母さんが子供を迎えに来ないから、お父さんに迎えに来てほしい」と保育園から連絡があって…
サリナが振り向く。
俺「遅いし… 泊まってけよ…」
サリナはハルの表情を伺った。
サリナ「そうだね。一晩泊めてもらおうかな。。」
サリナが家に来ることになった。
もう少し。
もう少しだけでいいんだ。
ハルのそばにいたい。
サリナ
「綺麗に片づけてるんだね。」
俺
「あーうん。
今すぐなんか作るからくつろいどいて。」
俺は冷蔵庫の中のもので適当に作った。
なんだか緊張する。
いつもハルと二人だったから。
その間サリナはハルとおもちゃで遊んでた。
俺
「それ、ハルのお気に入りのおもちゃなんだ。
持っていってあげてくれw」
空元気って言うのかな?
俺は無理して笑顔を作った。
今日はずっと笑顔でいるんだ。
絶対悲しい顔をしないと決めた。
ハルに気づかれないように、お別れしたかったんだ。
野菜炒めと味噌汁だけだけど、テーブルに置く。
俺「さー食べよ。 腹減ってるだろ?」
サリナ「いただきます」
そう言って味噌汁を一口飲んだ。
サリナ「おいしい。」
サリナがビックリした表情で俺を見た。
俺「そうかw 良かったw」
サリナ
「料理出来るようになったんだね?」
俺
「そりゃコンビニ弁当ばっかじゃ体に悪いだろw
最初は苦労したんだ。
ハルも全然食べてくれなかったしなw
食えたもんじゃなかったよw」
サリナ
「そっか。 すごいね。
ハルもすごく賢くなったし。
俺君頑張ってくれたんだね。」
ハル
「ちーまん。ちらい。」
ハルはピーマンをフォークでよけている。
俺
「ハル。ピーマン食べないと大きくならないよ。
ずっと小ささいままだぞ」
ハル
「ちいさい。やー」
サリナ
「俺君。本当にパパみたいだねw」
サリナが笑って俺を見た。
サリナの笑顔。
今日始めて見たような気がする。
いや、ずっと見てなかったな。
こうやって家族三人で食卓を囲むのは初めてだ。
だけど、これが最初で最後なんだ。
ハルを寝かせて、電気を消し俺は畳に寝転ぶ。
サリナはハルと一緒に布団に入った。
全然眠れる気がしなかった。
ハルと過ごした1日1日を思い返していた。
ハルの寝顔を見るとまた泣きそうだ。
サリナ
「寝れないの?」
背中を向けたサリナが言った。
もう寝たと思っていた。
俺「すまん…」
何で謝ってんだ俺は。
サリナ
「俺君変わったね。
大人になった。 パパだよ本当。
ハルのこと本当に理解してるみたいだし。
ハルもすごくパパに懐いて。パパっ子だね」
俺
「そりゃずっと一緒だったからなw
それにハルのおかげで、
少しだけど成長できたんだよ俺も。
良い父親じゃなかっただろうけど。」
俺
「俺みたいな最低なクズ男でもさ。
こうやって父親できるんだ。
子供ってすげーよな。
どんな辛いことがあってもさ、
その笑顔を見るだけで、
よし頑張ろって思えるんだよ。
子供の成長だけじゃない。
それで親も成長していくんだなw」
ハルが初めてパパって呼んでくれた日。
俺は変わろうと思った。
ハルが自閉だと分かった時、
父親としての自覚が出来た。
本当にハルのおかげなんだ。
それから少し話した。
俺が帰らなかった頃のハルの話。
サリナが出て行ってからの俺とハルの話。
サリナが出て行った理由。
今は地方の友達のところで
介護の仕事をしていると言ってた。
初めてサリナと向き合って話したような気がする。
本当に何もかもが遅すぎたと後悔した。
サリナ
「わたしね。後悔してるんだ…
あの日ハルを置いていったこと…
何もかもから逃げ出したくなって…
気づいたら電車に乗ってた…」
サリナは何度もハルに会いに
保育園まで来ていたらしい。
何度か顔を見たけど、
足が竦んでそばにいけなかったと言っていた。
俺
「これからは一緒だよ。
いっぱいママができるだろ?
2年間ハルも頑張ったし、
サリナも頑張ったんだ。
ハルを大事にしてくれな。
こんな俺が言うのもなんだけど。」
サリナ
「ありがとう… でも俺君はそれでいいの…?」
本当は駄目だと言いたい。
それでもハルの幸せはサリナと暮らすことなんだと
自分に言い聞かせた。
俺
「ハルにはママが必要だよ。
俺は大丈夫だ。 ハルにまた会いにいくし…
何か困ったことがあったら
いつでも頼ってくれたらいい…」
サリナ
「ありがとう… ごめんね…」
その言葉がすごく心に響いた。
辛くてしかたなかった。
サリナは泣いているのか背中が震えていた。
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