【涙腺崩壊】のび太『あれからもう10年か……』ドラえもんがいなくなってからののび太の成長、ドラえもんのその後が泣ける・・・

ストーリー, 感動

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のび太くんへ

今キミは、心の中に、色んな想いがあるんだと思う。

どれが本物で、どれが偽物なのか。

キミは、それに悩んでいるんだと思う。

でものび太くん。人の気持ちは、いつも一つとは限らないんだよ。

その一つ一つが、きっとキミの本当の気持ちなんだと思う。

でも、それを全て出してしまうことは、難しいことなんだ。

人は、いつかは岐路に立つんだよ。

そこでどこに向かうのかは、その人にしか分からない。

 

 

キミもきっと、それで迷うことがあると思う。

そんな時は、キミの歩いてきた道を、一度振り返ってごらん。

そうすれば、きっと何かが見えるはずだよ。
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(自分の道を、振り返る――か……)

これまでの僕は、どんな道を歩いてきたのだろう。

小学生の時に彼が来て、夢のような毎日を過ごして、突然いなくなって、悲しみに打ちひしがれて……
自分の道を思い出した僕の脳裏には、彼の姿がいつもあった。

(……まるで、親離れ出来ない子供だな……)

そんな自分が何だかおかしく思えた。

今でも、無意識に彼の助けを望んでいるのかもしれない。

そんな、気がした……

眠るために瞳を閉じる。

薄暗い室内の枕元には、咲子さんのくれた置物があった。

それを見ると、ふと笑みがこぼれた。

「……おやすみ」

ここにはいない彼女に向けて、そう呟いた。

――ピンポーン